満足度★★★★★
なんという学芸会。
リアルとフィクションのトランスが、奇跡的に成功している作品。
柴幸男が言うように「劇中劇に逃げて/落ちていない」のは見事の一言。
いつもの有象無象のリミックスについても、「おかあさんといっしょ」や童謡を
メインに据えた結果、どこまでも健全/健康的に仕上がっている。
そのトランス状況を支えるのは、骨太な俳優陣。
伊東沙保の少年漫画的な主人公、荻野友里の訳ありな悪役から、
今村圭祐の“学芸会らしい”役に至るまで、本当に献身的な面々だ。
健康/健全な部分において柿喰う客を完全に凌駕した。
中屋敷作品を観続けて10年弱。今のところの最高傑作、かもしれない。
子どもだった頃がある人ならば是非、観てほしい作品だ。
今まで観たことのない音楽劇がそこにある。