じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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ボス村松の国産ハーブ鶏

ボス村松の国産ハーブ鶏

劇団鋼鉄村松

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/09/04 (火) ~ 2018/09/05 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/05 (水) 15:00

価格2,000円

中心となるのは課長2人と若手1人の3人の居酒屋での会話。これが演者の年齢と相俟ってリアリティありまくりな上に学歴格差にも言及して終始ニヤニヤ。そしてそれなりに人生経験を積まないと創れない芝居であることに感心。

新宿公演のみで上演の「ボス村松のピクニック」はベテラン弁護士とかつて彼に弁護を担当してもらった医師の「二人半芝居」。舞台が日本ではなく、台詞回しも「それっぽい」ものにすることで翻訳劇のような味わいがあることと、基本的には二人芝居だが時々訴訟相手の女性が加わるのが面白い。

「Dの再審」

「Dの再審」

かはづ書屋

小劇場 楽園(東京都)

2018/09/04 (火) ~ 2018/09/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/09/04 (火) 19:30

価格3,000円

明智小五郎の探偵業50周年記念イベントで初手柄であるD坂の殺人の模擬裁判を行うことになったが、ある人物の思惑からリハーサルは台本通りに進まず……な物語。
模擬裁判ではありながら新たな証拠なども出て過去の結末と異なる結論(=事件の真相)に向かうという法廷ミステリー(「私は真実が知りたいんです!」系?(笑))の醍醐味を満喫。
役者陣の各人物表現・なりきり具合も巧みで、初演も観ていたが大いに愉しむ。
さらに、少し前に観た映画「検察側の罪人」と重なる部分・裏返しな部分を見出したり、十七戦地のある作品と構造的に双子……まではいかずとも親子のように似通っていると気付いたり、アレとソレはセオリーに則っているなと思ったり、本筋以外の部分も勝手に楽しんでしまったり。

ネタバレBOX

過去の事件を検証するうちに「真相」に辿り着くこと、その検証メンバーの中に事件の当事者が(そのことを隠して)加わっていること、は十七戦地「獣のための倫理学」(2013年)と共通。

専門用語が出てきて、その意味などを観客に伝えるために劇中に専門外の人物を配し、その人物に説明することで「説明台詞」を避けること、会議など議論が中心で劇中人物があまり動かない芝居で「再現してみましょう」などとして人物を動かすことなど、セオリーに沿っているなぁ、と。

※ 「検察側の罪人」との関連はあちらのネタバレになってしまうおそれがあるのでここにも書けず。
「LOVE」Chapter4

「LOVE」Chapter4

シンクロ少女

OFF OFFシアター(東京都)

2018/08/31 (金) ~ 2018/09/04 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/09/04 (火) 14:30

価格2,800円

冒頭から新キャラが登場したりして「新章スタート!」な感たっぷり。
そんなプロローグから始まる不器用なオトナたちのラブコメディ、今回はいつもの「笑えてしんみり」に加えて「まさかアノ人に!?」を含めて何度か泣かされる。

考えてみればこの世代の恋愛譚って他にあまりないもんなぁ、うまいところを狙ったモンだ。
また、このシリーズ、等身大をホンのちょっとだけデフォルメした程度で全然ウソ(ってか物語)っぽくないそれぞれのキャラがいかにも実在していそうで身近に感じられるのが魅力だと改めて気付く。
で、イイ歳をしての恋愛という部分に「男はつらいよ」シリーズにどこか通ずるような気もしたり……。

ネタバレBOX

一番ヤラれたのは「武田も手をつなごう」(大意)だった。
生意気なガキもやっぱり父がいた頃のことを懐かしむんだなぁ、と思わせるの、ズルいや。(笑)
キメラの聖櫃

キメラの聖櫃

劇団ショウダウン

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2018/09/01 (土) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/01 (土) 16:00

価格4,000円

主な舞台は人里離れた村で、昨年前半に上演した「ドラゴンカルト」の続編に「ジェヴォーダンの獣」伝承も加えるという中二丸出し(笑)のホラー気味サスペンス。その雰囲気は往年の東映のプログラムピクチャーや映画化された海外古典SFをも想起させる大好きなヤツ。
そんな映画向きな内容を舞台で描いてしまうのがいかにもショウダウンでもあるか。
ただ、ひたすら現代劇で新機軸だった「ドラゴンカルト」に18世紀のフランスの伝承も加えたのは面白くもあり「従来路線(?)」の香りが混入して惜しいような気もする。

ところでドラゴンカルトの流れに融合させるネタが見つかったらシリーズ第三弾もありますよね、ナツメさん。(期待)

なお、観た後にWikipediaの「ジェヴォーダンの獣」の項目を読むと芝居に出てきた用語があったりもしてより理解が深まるかと。

『ボーイズオンファイヤーVSガールズオンファイヤー』

『ボーイズオンファイヤーVSガールズオンファイヤー』

HYP39

ART THEATER かもめ座(東京都)

2018/08/29 (水) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/31 (金) 20:00

ガールズオンファイヤー #GoF
単にボーイズの性別を反転してクライマックスの「競技」を替えただけではなく、基本的な設定・構造はボーイズと同一ながら各キャラも「ちょっとした事件」も変更した(そうだよね、女湯に男物のアレがあっても事件にはならないもんね(笑))いわば「翻案」作品。

その結果、ボーイスの「昭和の人情喜劇」に対してこちらは「イマの女たちの友情譚」に仕上がって両方観たことによる面白さ大幅増。
喩えて言えば「七人の侍」と「荒野の7人」みたいな関係か???(←あくまで「喩え」だってばぁ(笑))

で、帰り道の途中で気付いたが、この印象の違い、ガールズの女性キャラの何人かはイマっぽいのに対してボーイズの男性キャラはみんな普遍的(?)で昔も今もいそうだからかも?

『ボーイズオンファイヤーVSガールズオンファイヤー』

『ボーイズオンファイヤーVSガールズオンファイヤー』

HYP39

ART THEATER かもめ座(東京都)

2018/08/29 (水) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/31 (金) 14:00

ボーイズオンファイヤー #BoF
銭湯に併設されたサウナの常連たち(と新参者1名)の会話劇……かと思いきや終盤で驚くべき展開が!(笑)

観ていて妙に懐かしい感覚に囚われたが、気付いてみればそれは「昭和の人情喜劇」のノリ。
互いによく知っている仲であるがゆえちょっとしたキッカケで隠していた/抑えていた不満などをつい出してしまいトラブルとなるのは、たとえば「お笑い三人組」や駅前シリーズ・社長シリーズなどに通ずるような。
そしてそれだけでなく「雨降って地固まる」的にトラブルの収束によりメンバーが一歩踏み出す、というのも同様かな。

また、終演後に表情主宰と話したところザ・ドリフターズなどもお好きだそうで、終盤のアレはドリフと思えば大いに納得。

空の花壇は香らない

空の花壇は香らない

劇団ミックスドッグス×埋れ木

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/08/23 (木) ~ 2018/08/28 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/28 (火) 18:00

大千穐楽(アサガオチーム)
ド定番SFネタの1つ「アンドロイドに感情は芽生えるか?」というは一般的にはメインの物語の裏でひっそりと進行することが多いが、それをど真ん中に据えて「アンドロイドに感情を持たせようとするヤツら」の物語にするとは白昼堂々留守宅の玄関に軽トラで突っ込む窃盗犯のような、あるいは同情を買うために相手に「同情を売って下さい」と直訴するような、掟破りの「確信犯的犯行」で潔い。(笑)

星澤美緒さんの微かにロボマイムを取り入れた動きと抑揚をセーブした台詞回しだけでアンドロイドを実感できたのは当日パンフレットでアンドロイド役であると知って観たからか、その程度でもアンドロイドを「見せる」演技力か?(おそらく後者)
瞬きをしているかどうかしっかり観察するべきであったか?(帰路で気付いたので手遅れ(笑))

同情するなら金を積め

同情するなら金を積め

怪奇月蝕キヲテラエ

新宿眼科画廊(東京都)

2018/08/24 (金) ~ 2018/08/28 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/08/28 (日) 14:30

価格2,300円

特異な生い立ちの元チャイルドモデルがある目的で業界復帰し……な物語はマンガチックで「なワケねーだろ!(笑)」な部分と「そこはアノ人のこと?」的にいかにもありそうでリアルな部分とがバランスよく配されて愉しく、業界内幕的な部分はシニカルでニヤニヤ。
途中で出てきたあるシチュエーションに関する「あるある」を伏線としたラストの一言も落語のサゲのように鮮やかにキマる上に「本作を貫くもの」へのピリオド的な意味も持ち、まさに画竜点睛を打つ、みたいな。

また、主人公がコドモから高校生になった時点で主人公と愛犬の配役が入れ替わり「犬が小さくなってんじゃねーか」と思わせておいて「三世」と明かすのも面白い。

なお、前説で上演中のスマホのバイブ音などを「他のお客様のご迷惑になりますので」とするのは定番だが、「他のお客様の観劇への集中の妨げになりますので」と具体的に言うのはσ(^-^) の知る範囲内ではここだけと思う。
このように具体的に示すのはより効果的ではなかろうか?

また、伝聞だが電車の遅れにより開演を遅らせる際に、終演後に予定などがあるか確認したそうだ。
これはかつて劇団東京都鈴木区で実際に耳にしたことがあったが知る範囲内ではわずか2例であり、もっと広まるべきだと思う。

さよならサムゴー 再会

さよならサムゴー 再会

サムゴーギャットモンテイプ

王子小劇場(東京都)

2018/08/29 (水) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/08/29 (水) 19:30

価格3,100円

まずはこれからご覧になる方々へ助言を。
一般的使用の場合の下手側(=ロビーから見て左側)のギャラリーでの演技がいくつかあるので上手側(=ロビーから見て右側)の方が観易いかも?(個人差はあります)

また、高校生活でのあれこれが題材でいくつものエピソードを重ねてゆく形式というのは20歳の国の作品群と共通ながら、片やリアルタイプ、片やエンタメ系とそれぞれ個性が出て異なる味わいなので、20歳の国ファンが観たら相違点が見つかって楽しめるのではなかろうか?


---ここから本来の感想---
微笑ましさ、胸キュン、おバカ、エロ、愛しさ、切なさ、心強さ、それに感動まで詰め合わせた「夏の福袋」。
誰しも「あぁ、そんなことがあったな」と似た経験を思い出す、あるいは「あんなことがあったらなぁ/あんなことをしたかったなぁ」とうらやむ高校時代の夏休みという題材、いくつものエピソードを重ねる形式、さらにはその見せ方、と長さを感じさせない要因を併用しており、体感的には90分くらいか?
150分にパワーアップした三演目が今から待ち遠しい♪(爆)

最初に登場した時はどう見ても先生より老けていた(爆)男子生徒(複数)が、いつの間にやら高校生に見えてくるのは演劇の魔法。(ホントか?)
ちなみにその男子の登場時のインパクトが隠れ蓑となって(笑)女子は何とか全員高校生に見えるという余禄アリ。(爆)

ネタバレBOX

1つのエピソードは以前のRAFTでの公演の応用で英語劇(!)。
一部の単語は日本語を英語訛りにしたものだったりして、そこに枝雀師の「いんぐりっしゅRAKUGO」を思い出す。
ワ・ラ・カ・ル・ト

ワ・ラ・カ・ル・ト

日本コメディ協会

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2018/08/24 (金) ~ 2018/08/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/25 (土) 19:30

#ワラカルト2018
「コメディ」の枠にとらわれず落語あり日替りゲストの芸人さんの芸あり法廷劇リーディングありとバラエティに富んだ内容は松花堂弁当のよう。

「ある妹とその弟」
基本中の基本でコメディらしいコメディ。「コイツ、何言ってんだ!?」の連発で大いに笑う。

「落語」
演じた景浦大輔さんは声優とのことだがまるで噺家、しかも演目は複数あったらしく、お見事。しかしこの回の下げの「緑青」、客席にあまり通じていなかったのでは?

「日替わり芸人」
車掌風の衣装でも主張しているように鉄道が大好きという太田トラベルさん。得意なものは他にもあり、と前置きしてバルーンアートでプードルを作って見せ、そのままそちらの芸かと思わせてそれ以降はバルーンアートで鉄道路線図を作るというハイブリッド。1週間がかりで作った東京の路線図というオチも巧かった。

「四番目の証言」
コミカルな部分も多少はあるが弁護士、検察官、裁判官、被告、2人の証人(以上6人の人物を4人の役者で演ずる)による法廷劇リーディング。
コメディではなく、協会員たちの演技力をまざまざと見せつける、的な。

「Hana」
タイトルにちなんだ短編集……というか、それに先に書かれた短編から連想した内容も加えた感じ?
5つの出し物の最初と最後を形式の異なるコメディにしたのも構成の妙と言えよう。

ところでツイッターのハッシュタグに「2018」が付いているってことは、毎年恒例とする構想かな?(期待)

白雪姫という女

白雪姫という女

ライオン・パーマ

駅前劇場(東京都)

2018/08/23 (木) ~ 2018/08/26 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/08/25 (土) 14:00

今まで観た何本かはスピード感のあるハイテンションコメディという印象だったが、元ネタが(一種の)古典だけに格調を保ちながらじっくり語る感じ?

そうして描くのは「白雪姫」の後日譚。十数年後の王妃、王子、白雪姫、魔法の鏡(!)とそれを取り巻く一般人(!!)の「歴史は繰り返す」気味のハナシかと思いきや、終盤で驚くべき事実が!(笑)
元ネタの「真相」を暴くとは見事な発想。
で、そのクライマックス場面は「丘の上」という設定ながら、ついつい断崖の上のように錯覚。(笑)

みのほど

みのほど

(劇)ヤリナゲ

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2018/08/24 (金) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/08/24 (水) 19:30

価格2,700円

少し前にまさかの手口で観客をかつぐ芝居を観ただけに「どこまでできていたの?」「劇中のアレは実在したの?」などいろんな疑問が浮かび、さらに「もしやそれが狙い?」とまで考えてしまう。
また、ある映画と併せて「観客の心理誘導」なんてことまで考える。それらの芝居・映画との相乗効果と言えよう。

なお、これからご覧になる方には当日パンフレットの「挨拶文」を開演前に読んでおくことを推奨。文中のある部分とほぼまんまの台詞があるし、それがテーマ(の1つ)と思うとワカり易いと思われるので。

ネタバレBOX

居場所不明で連絡が取れなくなった劇団主宰の部屋に残されていた創作メモ的な多数のスケッチブックを元に試行錯誤しながら芝居を創ろうとする出演予定者たち……という構成で4つの短編が演じられるために先の疑問が生じたが、終演後に伺ったところでは台本はほぼできていたらしい。

現実の主宰の体調不良と絡めて観客がそのような疑問を抱くように仕向けたのであれば、ある種の心理誘導ではないか、と考えたのは少し前に観た映画がまず「どうやって撮った?」「なんであそこはそうなる?」などと思わせておいてその後にその疑問に映像で答える構成だったことと併せてのことだろう。

そうして、物語で感動させるのでなく観客の心にナニカを生み出すのもまた芝居なのだなぁ、と改めて思う。

また、当日パンフレットの挨拶文の「何かを誰かに語らせるということ」はそんな劇中・現実を通じての出来事だけでなく創作(やら主張やら)とその表現全般についてことであり、それを演劇(ならびに挨拶文のシカケ)で見せるというのも面白く感じた。

しかし本当に「演劇を疑え」だなぁ……(笑)
ありがたみをわかりながら死ね

ありがたみをわかりながら死ね

オーストラ・マコンドー

小劇場 楽園(東京都)

2018/08/23 (木) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/23 (木) 19:30

価格3,300円

単館レイト上映の映画のような味わいの切なくも優しい物語。冒頭場面の意味に途中で思い当たった時の切なさたるや。3人の「歴史」をじっくり描いているのが響くんだな。
そこまでは「明日に向かって撃て」「冒険者たち」なども想起(←男2人に女1人という組み合わせからの連想もあろう)したのに……。
ところで、千穐楽後のバラし、大変だろうなぁ。(謎)

ネタバレBOX

入口に「装置の関係でマスクをお配りしています」との掲示があり、入場してみると演技エリアに砂が敷き詰められているので納得。しかし、その砂を掘る場面でかなり深そうなのでさらにビックリ。念のために尋ねてみたが、やはりその部分だけ深くしてあるのではなく全体がそれだけ深いとのこと。

ラストは「ロッキー」シリーズだね。男二人が(殴り合うのでなく)相撲を取ろうと組み合うところで暗転……翻案か?(笑)
シャバダバダ!

シャバダバダ!

劇団おねがいシスターズ

ひつじ座(東京都)

2018/08/22 (水) ~ 2018/08/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/22 (水) 19:00

価格2,800円

ズッキュン娘による吉祥寺シアターでの初演を観ているだけにまず「ひつじ座で演るの!?」、次いで「この人数で90分!?」と驚いたが、そこからの推察通り初演版を刈り込みシンプルにした分、3組の母娘関係に焦点が絞られスッキリして、これはこれでアリ。
初演は映画館での上映でこちらはテレビ放映版、みたいな?(笑)

主人公サツキ(三好右華)のウザさに映画「センセイ君主」のあゆは(浜辺美波)と通ずるモノを感じる…ってか藤吉作品に登場するウザキャラってみんなそうかも。(笑)
ただ、本作のサツキはあゆはと同じくノートを持っているもんね、より近いサケだ。(爆)

ネタバレBOX

ラストのビターさは「罪と罰」というか、「刑期をつとめあげても犯した罪は消えない」というメッセージと受け取った。
魂殻少女 〜こんがらガール〜

魂殻少女 〜こんがらガール〜

劇団東京都鈴木区

中野スタジオあくとれ(東京都)

2018/08/21 (火) ~ 2018/08/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/22 (水) 15:00

価格3,000円

Twitterで地下アイドルの卒業ブログが注目され、少し前には演劇界の内幕を描いた芝居が好評を博した中での地下アイドルの内幕系とはタイムリー……というよりシンクロニシティ?
そんな内容もさることながら楽曲の「地下っぽさ」や衣裳、リングをモチーフとして多用した装置などスタッフワークが印象的。
また、SNSでの会話内容を台詞(と演技)で表現するのも妙案。(装置との相乗効果アリ)
さらに、物語の構造・パターンとして主人公が所属する共同体の存在を揺るがす事態が起こるというのがあり、その行く末は紆余曲折を経て結局元の鞘に収まる場合と、あれこれ進化してその共同体が新しいものになる場合があることに今更ながら気付いた。

ミセスフィクションズ夏の振替上演・上映会

ミセスフィクションズ夏の振替上演・上映会

Mrs.fictions

駅前劇場(東京都)

2018/08/17 (金) ~ 2018/08/20 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/19 (日) 19:30

【短編集上演】
公演中止・延期の報が続いた時に「こういう事態のために劇団はレパートリーを持っていれば……」という意見を目にしたが、まさにそれを実証したカタチでの公演。
しかも短編をいくつもレパートリーとして持っているというのは役者の数・個性に会うものを組み合わせて構成することもできて15MinutesMadeで蓄えた財産だな、と改めて。

1編目「ウルトラマンPRADA」、リーディングで台本を持っているが、ウルトラマン関連のムックなど(各人それぞれ異なる)に台本を貼り付けているという芸の細かさ!(笑)
そして、ウルトラマンを若い女性をターゲットにして作ったという設定の劇中番組部分に、この直前に映像で観た「花柄八景」劇中のセックスピストルズを落語の形式で語る創作落語「シド&ナンシー」との共通点を見出す。喩えて言えば「異種格闘技戦」的、一見水と油のようなものを融合させているんだな。
ちなみに初演(当日パンフレットには「2011年11月」とあるが「2011年1月」が正しい)のキャストはこちら。
岡野康弘(Mrs.fiction)
志水 衿子(ろりえ)
久我 真希人(ヒンドゥー五千回)
鈴木アメリ(犬と串)

2編目「お父さんは若年性健忘症」、ラストのあの台詞が二重三重の意味を持つのが巧くお母さんの強さと愛情がステキ。あと、ラストのマグカップもイイ。

3編目「ミセスフィクションズの祭りのあと」、滑稽なところもありつつ全体的には人情噺ではないか?いや、古典落語の江戸の人情ではなく「21世紀の人情噺」として。そして、舞台となるのがTBSの深夜番組「アメージパング」で時々取り上げる「外国人の一見客が入りにくい酒場」のように東武線沿線の場末の横丁、みたいな。
ちなみに観終えての帰り道、下北沢一番街を通ったら阿波踊りの後始末をしている店があり、余韻が深まる。

4編目「まだ僕を寝かさない(嘘リーディングver.)」、中心部分は2~30分で演じられるが、実は「人生」のそれなりの期間における友人との関係を表しているのでは?と思って観ると深い。その意味ではCoda的な最終場を省略したバージョンも成り立ちそう。

ミセスフィクションズ夏の振替上演・上映会

ミセスフィクションズ夏の振替上演・上映会

Mrs.fictions

駅前劇場(東京都)

2018/08/17 (金) ~ 2018/08/20 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/19 (日) 17:30

【長編上映】
6年ぶりの「花柄八景」懐しや。
久我さんの師匠っぷりと岡野さんの元噺家っぷり、それに今村さんのパンクロッカーっぷりが見事だし、劇中の新作落語もスゴいし、そもそも全体に漂う落語的雰囲気が秀逸。いつかまた生で観たい。それが叶わないならせめて創作落語「シド・アンド・ンンシー」全長版が聴きたい!

蒼いラフレシアの鼓動〜The beat of blue Rafflesia〜

蒼いラフレシアの鼓動〜The beat of blue Rafflesia〜

東京ジャンクZ

王子小劇場(東京都)

2018/08/15 (水) ~ 2018/08/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/18 (土) 18:00

3時間近い長尺(休憩10分込み)で内容的にはへヴィーなのに体感的には「やや長め(2時間余?)」程度という稀有な体験。
愉しいとかアクションてんこ盛りとかで体感時間が短いのはありがちだが、重めの内容で、というのがホントに不思議。
観ていて「共犯者意識」が生じたのか?

ネタバレBOX

観ていて「探す男」「真相を知っている側」双方に(場面に応じて)心情を察したと言うか共感したと言うか、さらに場合によってはわが身のことのように感じたのが意外。それだけ(意識せずに)のめりこんでいたということか?
危ないと思いながらもそちらに引き寄せられてしまうような、あるいは取り返しのつかないことをしてしまった時の足下の地面が軟化してゆくような、はたまた探し続けていたものをやっと見つけたのに手遅れだったような、そんな感覚が妙に迫ってきたんだな。

また、戯画化されて「そんなことはなかろう・そんなヤツはいなかろう」な状況・人物ではありながら、実在の事件を元にした芝居(そういうのを観て間もなくでもあったし)のような気がしていたが、終演後に配付された「本番後記」を見てそれがアタリだったことを知ってビックリ。
レプリカに捧ぐ

レプリカに捧ぐ

牡丹茶房

王子スタジオ1(東京都)

2018/08/16 (木) ~ 2018/08/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/18 (土) 14:00

価格2,500円

亜季が気付くと覚えのない物置部屋のような場所(会場の特徴を活かした美術が巧み)に閉じ込められており、そこにはもう10日も監禁されている文香もいて……といういかにも牡丹茶房的な(偏見?)不条理な状況に始まり、DART'S?乱歩?な展開を経てアメリカ映画並みの凄絶なクライマックスへ。
某団体のように「過激な描写が苦手な方はお問い合わせの上」とか告知しなくていいのかしら?(笑) あ、牡丹茶房ファンなら問題ないのか。(爆)
しかも中盤以降は人物それぞれが首謀者に思えてきてσ(^-^) が得意な深読み・誤読のし放題(笑)、「デス・トラップ 死の罠」的な展開も考えてしまった。

また、上演時間75分(この回の実測値)にしては体感時間が長く、しかしそれは冗長とかテンポが悪いとかではなく、先の見えない不安・緊張などから時間の流れがねっとりしているように感じたことによるものではなかろうか……ってことは主人公の気持ちを共有できた(共有させられた)のか?

(ネタバレ気味なことなどはネタバレBOXへ)

ネタバレBOX

観ながらメインのお二方の役が逆というのもアリではないかとも思ったが、それでは意外性が減ずるか、と気付いて納得。(←赤猫座ちこさんへの偏見だな(笑))

終盤、誰が何のためにそうしたかが明かされるが首謀者は当然バレたことを否定しようとするので観ていて誰が本当のことを言っているのか疑心暗鬼となり、「まだ別の真相があるのではないか?」と深読み・誤読に走ってしまう。
ちなみに菜々美を陥れるのが目的で実は3人がグル、なんてことも考えた。(しっかりハマったな(笑))

出だしの三場(初日・3日目・10日目)で亜季の文香への呼び方をそれぞれ変えることにより次第に心を開いていったことを表現するのと、四場以降は経過日数を見せなくすることで観客の不安を煽るのも上手い。

【勝手にキャッチコピー】
一言で表現すれば「人をくった芝居」です(爆)
あなたも知らない舞台裏

あなたも知らない舞台裏

バードランドミュージックエンタテインメント

新宿村LIVE(東京都)

2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/08/17 (金) 19:00

座席XA列2番

#あなもし
演劇界の新人プロデューサー(という名の中間管理職)の奮闘記、からの……。
憎まれ役の「悪いオトナ」たちはまるで時代劇の悪代官のようにひたすらズルく憎たらしく、対する主人公サイドはひたむき(でもないか?(爆))とハッキリ対比されてワカり易く、フィクションと割り切って観たので頬が緩むこと緩むこと。しかしこの「ワカり易い」というのはちゃんと劇中の台詞を具現化してもいて、そんなあたりが鮮やか。
台詞の具現化ということでは呉原と栗原の衣裳に「あれれ?」と思うが、これもまた終盤のとある台詞でその意図がくみ取れて納得。

また、演劇界内幕ということで、2.5次元舞台に対する偏見への反論や少し前にTwitterで話題になった話題も盛り込まれ、さらにありがちながら公演直前に起きたある出来事(当然執筆時には現実となることは予想不能だったろう)に関する部分もあり、その意味ではリアル。

あと、構造上のシカケに最近のある映画に通ずるものを感じ、全体の流れ(特に最終場)に往年の社会派サスペンス映画を思い出したが、それらのタイトルを明かすと映画のネタバレにもなりかねないのが困ったもんだ。(笑)

(ネタバレBOXには上記でぼやかした部分などをもう少し具体的に……)

ネタバレBOX

冒頭の一文で省略したのは「奮闘記からの哀歌」。

呉原の衣装(上着)、最初に一目見て裏地が出ているように見えて裏返しか?と思ってよく見たらそういうデザインでとりあえず納得。が、終盤で「人の表と裏はわかり易いものではない」的な台詞があり、そう言えば栗原のワンピースも部分的に生地が裏返しになっていて改めて納得。

Twitterで話題になったのは「集客は俳優の仕事か?」ということ。そして脚本の遅れはありがちだが、そのための公演中止(延期)が現実に起こるとはシンクロニシティ?

終盤で「仮面の栗原」が唐突に出てきて「あれは誰?」と思うが最終場にまた登場し、それがテレビの再現場面での栗原ということが明かされるのも巧み。
そしてそこまで(の一部)がテレビ番組の中のものだったというシカケは最近の某映画(タイトルはここでも明かせず)と通ずるな、と。

また、権力に楯突いて苦戦の末に勝利を収めた主人公(側)の「その後」が伝聞で明かされるのは半世紀近く前の某映画(こちらは時効かと思い改行後に記述)と共通。

あと終盤で出される人気俳優の名前(ムロヤケイジ)が楽屋落ちっぽくて愉快。











コスタ・ガヴラス監督「Z」(1969年)

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