Monkey Magic ~Mixing~
空想GT
中目黒キンケロ・シアター(東京都)
2019/08/21 (水) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/25 (日) 13:30
座席H列4番
価格3,500円
事前公開された出演者・キャラ紹介を見て「キャラ、多くね?」と思っていたが、いざ始まってみると初演にあった場面(やキャラ)がなかったり逆に初演になかった場面・キャラが増えていたりと、改訂版どころか基本コンセプトだけ残したほとんど新作で、ゴールデンタイム作品のキャラも登場させたりするサービス精神に感服。
また、空想笑年の定番と言えるがあのスピード感あふれる殺陣・擬闘にS.E,をピタリと合わせる音響テクニックも素晴らしい!
娯楽アクション、かくあるべし!(笑)
夏の階段、一足飛び
楽園王
サブテレニアン(東京都)
2019/08/23 (金) ~ 2019/08/24 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/24 (土) 18:30
価格0円
当日パンフレットには「怪談」の文字があるが、怪談(恐怖譚・怪奇譚・怪異譚)というよりは例えば漱石の「夢十夜」のような不思議譚にして文学的な薫りも漂う短編集。
場内の暗さも相俟って、異世界でひとときを過ごしたような感覚がまたステキ。
あと、入場料(?)は無料で、物販で補填できるか?という試み、大胆だなぁ。(意気に呼応して脚本を購入)
ナイゲン(2019年版)
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/08/22 (木) ~ 2019/09/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/08/24 (土) 14:00
価格2,700円
もう何度となく観ている演目なので新解釈的な部分に「なるほど」と思ったり先を知っているだけに「この時にあの人はどういう表情をしているかな?」とメインの流れの外を観たりと楽しんだ。
また、観ながら劇中でチラリと語られるこの前年の文化祭の出来事を描いた「ナイゲン:エピソード0」とか、翌年か翌々年を描いた「ナイゲン2」とかできないかな?などと思ったりも。
翌年だったら3148が監査になっているとか、翌々年だったらおばか屋敷の芝居に特殊メイクが使われるとか?(笑)
【余談気味】
どさまわりが「十二人の怒れる男」の3号の血を継いでいるのは皆さんお気付きでしょうが、海のYeah!も一部継いでいるかもなぁ。あと、議長は8号の血だよね。(異論反論大歓迎!)
ってか「十二人の怒れる男」を知っているとより楽しめるので皆さん、是非!
堕落ビト
劇団桟敷童子
サンモールスタジオ(東京都)
2019/08/23 (金) ~ 2019/09/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/23 (金) 19:00
価格2,800円
実際にあった事件をモチーフにしたフィクションにして劇団員のみの小規模公演、序盤には笑いもあるがやがて物語は悲劇に向かう。
結末も悲劇でありながら、それでも強く生きてゆく人物も併せて描かれるのが巧みで、そこが桟敷童子らしいところか。
また、この規模の会場だからできる複数の場・会話を交錯させる手法でテンポアップを図っているのもイイ。(すみだパークスタジオでは声が響いて聞き取りにくくなりそう)
ちなみにすみだパークスタジオ以外の会場での公演は(成子坂のアトリエは別として)ザ・スズナリでの「紅小僧」(2013年)以来。
大西部激熱活劇 海を知らぬ少女の前にカウボーイハットのわれは
ガガ
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2019/08/23 (金) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/23 (金) 14:00
価格2,500円
1人のガンマンと南北戦争で戦友だった元保安官を中心にした西部劇。
西部劇のお約束的な部分も多々ある(←批判ではなく賞賛である)中、主人公がしばしば幻想に悩まされるのが特徴で、南北戦争を生き抜いたもののその後も日常的に(?)命のやりとりをしているガンマンはそりゃあ心も病むわなぁ、と改めて気付く。
また、ネタがネタだけに客入れから本編まで新旧西部劇映画の主題曲・主題歌がちりばめられていたのも嬉しい。(「まさかのそんな曲」もあったけれど(笑))
世界の終わりで目をつむる
東京夜光
小劇場 楽園(東京都)
2018/12/19 (水) ~ 2018/12/24 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/12/23 (日) 18:00
価格3,000円
三畳一間のアパート暮らしの青年、大学の映像研究会で彼と同期だった映像作家らが織りなす群像劇。
一部デフォルメもあるが人物の存在感・実在感に説得力があり、単館レイト上映の映画を思わせる味わいが好み。
思い返してみると、けっこういろんな事象が盛り込まれていて、少し視点を変えると別の色や別の形が見えてくるトリックアートにも似ているか?
なお、かつて映像を撮影した海に当時の面々が……という芝居を楽園で観るのは今年2度目。
Solace-慰め-
さくリさく企画
APOCシアター(東京都)
2019/08/20 (火) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/22 (木) 20:00
【《B面》遥かなる高速の旅路】
須貝作品としては「1万円の使いみち」系統。
ふとしたことから高速バスに乗り遅れたバンギャを乗せて東京に向かうこととなった女性教師という凸凹コンビのバディ系ロードムービー風コメディ。
一見ガサツなバンギャとおカタい教師が次第に心を許し自分の悩み・状況を打ち明けるに至るのが(お約束とはいえ)イイ感じ。
また、この二人と道中で遭遇する男女各二人ずつの人物を演ずるお二方のギャップのある役の演じ分けも上手く「これがさっきのあの人!?」みたいな。
Solace-慰め-
さくリさく企画
APOCシアター(東京都)
2019/08/20 (火) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/22 (木) 15:00
【《A面》水曜、19時、スターバックス】
冒頭のモノローグに仕込まれたちょっとした「トゲ」で「米内山さんだなぁ」と思い、本編の題材で「米内山さんならではの戯曲じゃん」と思い、クライマックスの女性二人の諍いと和解が「これまた米内山さんだなぁ」ということで、シッポの先までヨナさんが詰まった鯛焼きのような中編、「米内山テイスト」を満喫!
2020年以降の夏
くによし組
王子小劇場(東京都)
2019/08/21 (水) ~ 2019/08/28 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/21 (水) 19:00
価格2,500円
一言で表現すれば「SF風(???)ファンタジック寓話」か?
開幕して間もない頃の短い台詞で明かされる設定のブッ跳び方がいかにもくによし組だが、3編それぞれにもの哀しさが漂い、またその3編がクロニクル的にリンクして一つの世界を形成するのが巧みだし、それもまたくによし組らしい味わいと言えよう。
発表せよ!大本営!
Aga-risk Entertainment
駅前劇場(東京都)
2019/08/15 (木) ~ 2019/08/20 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/18 (日) 18:00
初日である15日ソワレを観て急遽アフタートークが決まったこともあり18日ソワレにリピート。
初日には大笑いしつつも「これを笑い飛ばしていいのか?」という疑問が小さなトゲのように残ったが、リピートしたことで多分それは物語の流れを追い表面的なことに注目していたためか?と気付く。
本作は確かに第二次世界大戦中を舞台にしているが、本質・主題は今の日本(の政治)に対する痛烈な皮肉ではないか?
最初は「印象操作」でごまかそうとしながらそれは難しいと察し事実の隠蔽から改竄へ、という流れはまさしく昨今、ちょくちょく行われていること(嘆)であろう。
今の日本もあの中のある段階まで来ており、すると「ああなる」のも時間の問題であるという警鐘ではないか?
また、ラストは「あの芝居の世界」の中では一件落着ではあるが、それが「その後にもたらすもの」あるいは史実としてのあれが「その後の日本にもたらしたもの」を考えるとズシリとした重さがある。
そんなこんなでいかにもアガリスクらしい、かつブラック、かつシニカルな一編と言えよう。
なお、14日・15日の2日間で観た3本の芝居、2本はかつてあった事件や出来事をモチーフとしていて1本は架空の「王国」を舞台としていたがいずれも「イマの日本」に通ずる部分が少なからずあり、そうだよね、芝居ってそういう側面もあるよね、と改めて認識。
空が飛べると想ってみる。企画展「WA」
Oi-SCALE
宮益坂十間スタジオ・ギャラリー(東京都)
2019/08/17 (土) ~ 2019/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/17 (土) 18:00
価格2,300円
林さん(と「輪の席」のお客さんと)のトークセッション的に進みながら終盤で……な内容はいつもの公演での林さんの「マクラ」と本編の比率が逆転したような感じか? 「虚」と「実」の境界ははたしてどこ?なのが好み♪
冒頭(と言うより前説?)で「思いつくままに話しているように見えますがすべて脚本です」とわざわざ断りをいれるものの、例えば「輪の席」のお客さんに夢に関して話してもらう部分などはガチに思われ、しかしその中にかつての公演出演者もいるのでなおさら「虚」と「実」の境界が曖昧になるというシカケ……巧いよね。
また、あの「輪」がキャンプファイアのように感じられたのは林さんがキャンプ好きと知っていたためか時節柄か。「輪になって話す」というのもキャンプの夜っぽいし。
あと、複数の灯りを組み合わせ方によって変化をつけたりしたのもステキ。
檸檬
劇団天動虫
visionary work garage(東京都)
2019/08/17 (土) ~ 2019/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/08/17 (土) 13:00
価格2,500円
劇団天動虫流の(広義の)リーディング。
戯曲もありつつ基本は小説・詩で、それを作品によって一人芝居や群読(あるいは「読み継ぎ」)+演技で見せる。導入部と中盤には天動虫らしさもあり、作品選択や構成も巧み。
ジョニーさんの役どころ(読みながら作品世界に入り込む人)と導入部でのインディゴブルーの衣装(色だけ共通でデザインはそれぞれ)もイイ。
そういえばブルーチームはその後の衣装も色付きなのに対してジョニーさんがずっと白というのは「どの作品の色にも染まり得る」「まっさらな気持ちで作品を読む」的な表現か?
あと、各編の「創り方」にストーリーテラーズ(注・「東京ストーリーテラー」ではない)に通ずるものも感じた。
で、第二弾があるならば、同じ作家の複数の作品とか違う作家の似た作品とかをリミックス的につなげても面白いのではないか?とも思う。(思うは易し創るは難し?(爆))
工場
青年団リンク 世田谷シルク
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/08/13 (火) ~ 2019/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/15 (木) 14:00
価格3,500円
日本によく似た架空の「王国」のとある企業の工場勤務の人々の「日常」(?)。
一応「現代」に見えるがなんせ「架空の王国」だけにどこかレトロな雰囲気が漂い、「外の国」から働きに来ている人物の女性感は戦前の日本の考え方を思わせる。
そんな前提で夏から冬にかけての期間を連作短編集のようなスタイルで描くのだが、随所にイマの世相に対する皮肉があり「だから架空の国という設定なのね」とニヤリ。
工場勤務経験者として一部の言い回し(?)が「それな」だったり少し前に観た肋骨蜜柑同好会と通ずるものを感じたりしたのも楽しかった。
’72年のマトリョーシカ
風雷紡
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/08/14 (水) ~ 2019/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/08/14 (水) 19:00
価格3,800円
連合赤軍メンバーによる立てこもり事件の人質となり救出された女性への世間と家族からの風当たり……。
連合赤軍のあさま山荘事件に想を得た芝居・映画は何本か観てきたが、事件の最中やそこまでの軌跡を描いていたそれらとは視点を異にし、事件後の被害者女性と連合赤軍メンバーの取調べにあたる警察官を中心に描く。
「あ、こっち側を描いたのか!」な内容は昨今の世相にも通ずるし、今まで観たものの結果がこれか、な部分もあるし、なるほどぉ的な。
警察モノではお馴染みの所轄と本庁ネタもあり、あの現場でもそんなことがあったのね、なオドロキも。あさま山荘事件といえば……な「アレ」に関してもそうだったとは。
カミグセ短編集vol.2
カミグセ
STスポット(神奈川県)
2019/08/08 (木) ~ 2019/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/08 (木) 14:00
価格3,000円
「Re:タナトスのガールフレンド」
当日朝に原案の辻本さんの落語「死神」についてのツイートを目にしたこともあり、本作の落語バージョンなど脳内に描きつつ観る。(笑)
結果、終盤は難しいが途中までは落語としても成立するのではないか?と思う。
で、こういう「死神らしからぬ死神」が登場する作品って好きだな、と改めて感じる。
「思い出にニスを塗れ」
もしかしてこれは登場する人ではなく舞台となる絵画教室だった部屋が主人公で、「部屋の記憶」が描かれたものではないか?あるいは部屋にしみこんだ残留思念がじわじわとにじみ出てきたものではないか?などと思う。
「タナトス」は怪談っぽいけれど実はそうではなく、「思い出」は普通の話っぽいけれど実は怪談……なのではあるまいか?
かっぱのディッシュ!
アナログスイッチ
サンモールスタジオ(東京都)
2019/08/07 (水) ~ 2019/08/13 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/07 (水) 19:30
価格3,500円
いかにもアナログスイッチな、進化したカッパと人間との交流ファンタジー。かつて読んだ児童文学やコース・時代の連載小説の主人公/語り手をオトナにしたような雰囲気が懐かしい……ってか、オトナからコドモまで広い世代がそれぞれに楽しめるのではあるまいか?
また、フリーハンドで描いたイラストを拡大したような装置の意匠(前作と同じ方が担当されたそうで)もほのぼのとした独特の味わいがあってステキ。
ダブルダブルチョコレートパイ
劇団肋骨蜜柑同好会
APOCシアター(東京都)
2019/08/03 (土) ~ 2019/08/12 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/06 (火) 19:30
【ミルク篇】
ビター篇の凸凹のちょうど逆の凸凹があってそれがピッタリ合わさるように一方で描かれた原因の結果がもう一方で描かれるような(例:ネズミとか電話とか)ところを筆頭にあれこれ補完しあう関係。
で、2バージョンだったりダブルキャストだったりするものは先に初日を迎える方が基本形で後の方が応用編というケースが多く、可能な限りその順で観る努力をするところ本作はスケジュールの関係で逆となったが結果オーライみたいな?(フジタさんによればビター篇の方が説明的とのことだし)
ま、ミルク篇を先に観た場合はまた別の見え方になったのかもだけれど。
また、ビター篇の女性陣は微かであっても希望を捨てないのに対してミルク篇の男性陣は諦めが早いというか執着心があまり感じられなかったという対比も面白かった。
ダブルダブルチョコレートパイ
劇団肋骨蜜柑同好会
APOCシアター(東京都)
2019/08/03 (土) ~ 2019/08/12 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/06 (火) 15:00
【ビター篇】
居住エリアが男女別に隔てられた「船」で長期間の移動をしている人々による会話劇。
とりたてて大きな事件が起きるわけでなく、どちらかと言えば日常的・一般的な会話が交わされるのだが、そこから各人物の個性・人柄・人生(?)が浮かび上がってくるような。
また、中に哲学者がいるためかそれらの会話がどことなく哲学的に思えてくるフシギ……(笑)
で、いつもは「土着的」なのに対して今回は「地に足がついていない」みたいな?(比喩的表現でなくまさしく「文字通り」(笑))
月がとっても睨むから
Mrs.fictions
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2019/08/03 (土) ~ 2019/08/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/08/05 (月) 19:00
価格3,500円
小学生時代に拐かされた経験を持つ男と彼を拐かした女子高生(当時)が時を経て思わぬ立場となって偶然に再会したことから始まる物語。
正と邪、陰と陽、光と蔭など、人物像や物語構造にいろいろな対比が組み込まれていて、しかしそれらは相反するものではなく、むしろ表裏一体で根源的な部分は共通であるとも思えるのが巧み。
人物の設定なぞ、一見正反対でも実は紙一重で、一歩間違えば同じ道を歩んでいたのではないか?と思わせるんだな。
また、かつての事件の加害者のみならず被害者も、それどころか登場人物の大半が大なり小なり「罪の意識」を抱いて生きていることにより観客の共感を得るのではないか?
で、各自の罪の意識に気付いたためか本作は「赦し」ではなく「贖い」の物語なのではないか?とも思った。
ところで今回の会場・すみだパークスタジオにあわせていわば「錦糸町ver.」だったが、昨年予定通りに下北沢・駅前劇場で上演にこぎつけていたらアレやソレはどうなっていたんだろう?
明日の遠まわり
空晴
駅前劇場(東京都)
2019/07/31 (水) ~ 2019/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/03 (土) 19:00
座席E列5番
価格3,000円
ちょっとした事件が起きている街のとある喫茶店に過去の因縁(?)がある人物たちが集い……な物語。
空晴作品としては珍しく(どうやら初めてらしい)屋外が舞台だが、複数の人物の思い込みや早合点によってコミカルな騒動となるところは空晴お馴染みのパターン。
そういえばこのパターンって、コメディの王道の1つではあるが、ちゃんと空晴の個性が出てきているのはさすが。