偏路
劇団、本谷有希子
紀伊國屋ホール(東京都)
2007/12/14 (金) ~ 2007/12/23 (日)公演終了
満足度★★★★
伏兵・近藤芳正
フライヤーでも謳っている通りホームドラマ(とはいえ本谷流)で、笑いもありつつビターな部分もあり、甘辛ならぬ「甘苦」な感じ。目当てであった馬渕英俚可、江口のりこもさることながら、終盤でイイところをほとんどかっさらってしまった伏兵(笑)近藤芳正が良かった
お台場SHOW-GEKI城『親兄弟にバレる』
柿喰う客
フジテレビメディアタワー マルチシアター(東京都)
2007/12/15 (土) ~ 2007/12/20 (木)公演終了
満足度★★★★
人を喰っていてイイ
健全な不道徳?で、エネルギーが満ち溢れているようなところはいかにも柿。しかも自虐的に時々「物語はどこに向かおうとしているかわかりますか?」「さっぱり」みたいな台詞がはさまれつつ、あんな気恥ずかしいほどベタなモノを持ち出してまとめるなんて、人を喰っていてイイ
6よりも先/鳥の白の湖の果て
楽園王
ギャラリーLE DECO(東京都)
2007/12/11 (火) ~ 2007/12/16 (日)公演終了
満足度★★★
娯楽指向よりは芸術指向
中篇2作の連続上演。ともに純文学的というか詩的というか静かな作品だが、時折入る笑える部分が良いアクセントで、「鳥の白の湖の果て」は白鳥と黒鳥の表現や、後半での鳥かごの中の黒鳥の見せ方などがいかにも演劇的で面白く、「6よりも先」は複数のエピソードが併行して進み、それが交差すると舞台上の仕切りが外されるというのがナイス
どちらかと言えば娯楽指向よりは芸術指向だが、独特の味があってイイ
デジャブな第九
Premier☆Million☆Carats
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2007/12/12 (水) ~ 2007/12/16 (日)公演終了
満足度★★★★
ラブコメディとして概ね良好
若干詰め込み過ぎで半端な部分がなきにしもあらずではあったが、ラブコメディとして概ね良好。また、途中の暗転以降、舞台をそれまでの視点から180度反転させて見せるというアイデアおよびそれを可能ならしめた装置には感服!
模様の様な汚れ
Oi-SCALE
駅前劇場(東京都)
2007/12/07 (金) ~ 2007/12/16 (日)公演終了
満足度★★★
そしてAプログラム
ほぼ同じ時間軸の中の同じ物語だがキャストだけでなく構成と一部のエピソードが異なるバージョン。しっとりとしたBプログラムに比べて台詞のテンポが速く、なんだかダイジェストのように感じられてしまう。
模様の様な汚れ
Oi-SCALE
駅前劇場(東京都)
2007/12/07 (金) ~ 2007/12/16 (日)公演終了
満足度★★★★
まずはBプログラム
ちょっとヘンな人物もいたりしつつ、基本的にはリアルな会話中心に進み、どちらかと言えば純文学っぽい雰囲気で描くOi-SCALE版(あるいは林灰ニ版)『象の背中』。終盤の「アパート3」での貴志の台詞とそれに対する相手の答えには泣けるし、その後の留守電メッセージ再生の見せ方も巧い。
十傑峡 (じゅっけつきょう)
ひげ太夫
萬劇場(東京都)
2007/12/06 (木) ~ 2007/12/10 (月)公演終了
満足度★★★★
演じている側もいかにも楽しそう
いつもながらの痛快英雄譚、前説の歌から本編終了後のNG集(!)まで含めて非常に楽しいばかりでなく演じている側もいかにも楽しそうで、それが客席にビンビン伝わってくるのが良い。
また、技術的には初の試みである「4段やぐら」の大技はもちろんスゴいが、個人的には序盤での釘三の大工の腕のスゴさを表すオーラ(笑)や千手観音風の表現に大ウケ。
アイドルになっチャイナ
MY proDuce
しもきた空間リバティ(東京都)
2007/12/07 (金) ~ 2007/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★
自らの虚像に悩んだ末に結論を出すアイドル
勘違い・誤解やウソで事態がややこしくなるという王道コメディ、「芝居のウソ」の範囲内でのムチャもありつつ、うまく組み合わされた勘違いに感心し、ヤバい事態をなんとかウソでゴマ化そうとするマネージャーの文字通りの熱演に大笑い。また、終盤で自らの虚像に悩んだ末に結論を出すアイドルの姿がなかなか良い。
スクエアなヒトビト
劇団K助
ウッディシアター中目黒(東京都)
2007/12/07 (金) ~ 2007/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
最後にひとひねりしたオチまで
冒頭、3組の会話が同時に進行して、部分部分しか聞き取れず、そこに「謎の男」(当日パンフの役名通り)が現れて指パッチンをすると周囲はストップモーション、口上の後に各会話を順に見せてそれぞれを紹介するという導入部でツカミはオッケー。
以降、芝居のウソとして許容範囲のムリもありつつなかなか楽しく、「聖夜の奇蹟」的な偶然が将棋倒しの如く連なってハッピーエンドに向かい、さらにさり気なく散りばめていた伏線も次々と開花させて「そう来ましたかぁ」と感心させて、最後にひとひねりしたオチまでつけるという波状攻撃が上手い。
関ヶ原BOOGIE★WOOGIE
劇団BOOGIE★WOOGIE
シアターVアカサカ(東京都)
2007/12/07 (金) ~ 2007/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★
楽屋落ちな笑いは賛否両論かも
小早川秀秋の成長を関が原の戦い当日のみに凝縮して見せるというアイデアがなかなか。
「戦のない世の中にしたい」と言う秀秋に西軍の「四天王」が呼応するところとか、「戦をなくすための戦」という矛盾を指摘するあたりもイイ。
また、秀秋の妻のしたたかさ・コワさを筆頭に、裏で画策する女性たちも恵がかれており「やっぱりそうだよねー」的な。
一方、奇しくも前日の芝居と趣向がカブった現代のものを当然の如く登場させる手法やほぼ楽屋落ちな笑いは賛否両論かも。
赤穂浪士にも三分の魂
劇団阿佐ヶ谷南南京小僧
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2007/12/01 (土) ~ 2007/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★
小山田庄左衛門が主人公
「松の廊下」でも「田村邸の別れ」でも、ましてや「討ち入り」でもなく、小山田庄左衛門を主人公にしたりするのはいかにも劇団阿佐ヶ谷南南京小僧だし、現代のモロモロが当然の如く出てくる確信犯的手法は楽しい。
さらに、毎度お馴染みの段ボール製の装置・小道具、今回は洗濯板にも感心したけれど、うどんには感服。
さよならの終わりに、あの風を灼こう
HOT ROAD
SPACE107(東京都)
2007/12/04 (火) ~ 2007/12/10 (月)公演終了
満足度★★★
北チームを観劇
状況は映画『スピード』のまんまだがヒーローが解決するのではなく、各乗客それぞれにドラマ・悩み・バックグラウンドがあり…というところが独自で、まさに「オムニバス」の語源そのもの。
ほとんどがバスの車内シーンで、キャスターのついた事務用椅子をバスの座席として使うのがミソ。速度の増減やカーブでのGのかかった表現が見事なだけでなく、惑星ピスタチオなどのように、アングルを変えて見せることもできるというシカケ。
なお、いささかムチャな部分があり、笑いのスパイスではあるのだが、全体のトーンから浮いている感があったのは否めず。
トリツカレ男
演劇集団キャラメルボックス
サンシャイン劇場(東京都)
2007/11/29 (木) ~ 2007/12/25 (火)公演終了
満足度★★★
どこか没入できず
日本人作家の原作を日本人劇作家が脚色し日本人役者が演技するのに、舞台がイタリアで人物名も当然カタカナということに若干の違和感アリ。
ストーリーも確かにソツなく組み立てられていて決して悪くはないのだが今回はどこか没入できず。なんだか、おそろしく手の込んだ細工がしてある工芸品を見て、確かに大変だったろうと感心はするけれど実用には向いてるの?と疑問に思ってしまうというか、そんな感じ?
夜のジオラマ
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2007/11/28 (水) ~ 2007/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★
秋葉マジック?
従来とは全くと言っていいほどタイプの異なる作品であるのに、台詞の間合いとか全体の雰囲気とかは紛れもなくSPIRAL MOONだというのは「秋葉マジック」か?また、時を隔てた場に移る時にも暗転がないのがトリッキー。いや、あれは移るのではなく時空がクロスしていたのか?(…などと惑わせるのが狙いかも)
抗菌バスタ-Z リターンズ
ACファクトリー
シアターサンモール(東京都)
2007/11/28 (水) ~ 2007/12/02 (日)公演終了
満足度★★★
「二番煎じ化」回避は成功だが
ありがちな「二番煎じ化」を避けるために敵対関係にある抗菌バスターを登場させ新たな展開に持ち込んだのは見事。また、一歩間違うと内輪ウケになりかねない楽屋落ち系のネタも「寸止め」にとどめる節度もイイ。ただ、あからさまに更なる続編のアタマを見せる終わり方はいかがなものか?
マイルドにしぬ
プロペラ犬
赤坂RED/THEATER(東京都)
2007/11/27 (火) ~ 2007/12/02 (日)公演終了
満足度★★★★
水野美紀asコメディエンヌ
以前から舞台では時折見せていた水野美紀のコメディエンヌ部分が存分に発揮されていることに加えて、一見オムニバスのように見えながらもかすかにリンクし、最終的には全体で1つのストーリーになるという構成も○
新♀世界
スパンドレル/レンジ
王子小劇場(東京都)
2007/11/29 (木) ~ 2007/12/03 (月)公演終了
満足度★★★
「そう来ましたか」
どちらかと言えば苦手な側の作品だが、その独特の世界観と「何が起こっているんだ?」な興味に引っぱられ、いくつかの「そう来ましたか」を経て火や水まで使う終盤にはビックリ。また、アコーディオンとウッドベースの生演奏も独特の雰囲気で○
ジャンキー・チエの木人犯
モノヅクリズム ソラトビヨリ。
ART THEATER かもめ座(東京都)
2007/11/28 (水) ~ 2007/12/03 (月)公演終了
満足度★★★★★
小劇場系のネタ満載
毛色の真逆な2つの劇団がカチあってしまい、すったもんだの挙句に1つの作品を創り上げて公演にこぎつけるという内容に加えて、劇団のカラーの違いの見せ方や芝居を創り上げる過程が良く、さらに小劇場系のネタ満載で大笑い。
なお30日にも予定外のリピート。
ミーコのSFハチャメチャ大作戦~ベルンガ星人をやっつけろ!~
猫田家
アトリエヘリコプター(東京都)
2007/11/21 (水) ~ 2007/12/02 (日)公演終了
満足度★★★
何ともフシギでフクザツな感覚
トボけた味にシュールさや不条理気味のテイストも加わり、何ともフシギでフクザツな感覚。さらに棒読みでヘンなところで区切る台詞回しがあったりゼンマイ仕掛けのオモチャが止まるように終わったりするのも独特
銀河系ホームレス
宇宙食堂
SPACE107(東京都)
2007/11/22 (木) ~ 2007/11/25 (日)公演終了
満足度★★★
無重力感・浮遊感の表現には感心
序盤のいささか時代遅れ気味のギャグにはひいたが、父と娘を描いたメインパートにはひきつけられ、宇宙ステーションの船外活動シーンの無重力感・浮遊感の表現には感心。
ただ、悪役の首謀者が逮捕されて生き残るのに対してその部下が命を落とすのには抵抗アリ。