我が名はレギオン
演劇実験室∴紅王国
ザ・ポケット(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
本格犯罪サスペンス系人間ドラマ
広域重要指定事件第126号「連続女性切断殺人事件(通称・使徒事件)」の特命第四班による捜査とその指揮を執る管理官の家族を描いており、今までに観た3作品が現代版泉鏡花あるいはレトロSF的な一種古風な風味だったのに対して、本作は本格犯罪サスペンス系の人間ドラマ、な趣き。
まず「ガツン」と来て後から「ズシン」と来る重量級でありながらもストーリー展開とその語り口によって休憩なし160分(!)の上演時間も「ここから先が長いのかな?」と思っているうちに「え、この流れだともうすぐ終わりだよね!?」となり、事実終わってしまう、な感じ。(体感的には2時間ないくらい)
開場時から「狂ったダイアモンド(Shine On You Crazy Diamond)」冒頭のような音が流れており、舞台上では「シ者(←ダブルミーニング)」たちが携帯をいじっているという状態。プログレも好きな身としてはここでもうワクワク、もとから高い期待値がさらに上昇。
そうこうして開演時刻になると謎の赤い服の女性に導かれるようにシ者たちが一点を見たところで暗転、特命班の指揮を執る管理官の家庭をザッと見せてからその翌朝の特命班顔合わせならびに早速の会議シーンとなり、ここでごく自然に事件の内容が示されるというスマートな出だし。
以降、特命班の捜査(会議と取調べ)を中心に管理官の家庭も見せつつ進行、2人いる犯人それぞれの事情(?)も含めてありきたりのコトバながら「現代社会の病巣を描く」、みたいな。
捕まった「第二の使徒」は自分の前にもう1人いた、という意味ではなく「使徒は大勢いる」と言うし、2人の使徒は本来の意味の「確信犯」だし、被害者たちも清廉潔白ではないし、改めて現代社会は病んでいるなぁ、と…。
最後に判明する「第一の使徒」の正体は予想通りどころか見え見えながら、そもそも真犯人捜しのミステリーではないし、それ以上に人間ドラマとして観応えがあるので全く問題なし。
それどころか、「死にたい」と言っていた第一の使徒に対してプロファイラーが「貴方が貴方を許せるまで……そんな風に生きてください。」と締めくくることにツボを突かれる(「トドメをさされる」の方が的確か?)。
そんなこんなで、緊張感が終始途切れることなく、無駄な部分も全くなく、オープニングからエンディングまで引きつけられっ放しの充実した160分、大変満足。
欲望貴族
角角ストロガのフ
王子小劇場(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了
満足度★★★
初見であった『人間園』同様…
…複数の場所が同居する装置が見事で、かつブラックなのに可笑しさも同居しているのがナンとも不思議な感覚。
今回は2つの家族のリビングダイニングを共有させておりドアだけが違うのが特に面白く、両家とも朝食にテンプラが出るシーンなぞテンプラが盛られた大皿まで共通という…(@_@)
他に三男が告発しようとリバース機構に出頭した時に兄たちの声が空間を飛び越えて聞こえる部分もこの装置ならではだし。
それにしても復讐の機会を窺ってずっとストーカーまがいの行為をして「彼」を助けてからさらに10年以上も待っていた油沢家の母の執念深さには舌を巻く。女性作家が書いているだけにより説得力を感じたりもして(笑)。
ビッグバン貴族
宇宙食堂
SPACE107(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★★
未来版裏かぐや姫
いわば「未来版裏かぐや姫」あるいは「新・かぐや姫前日譚」、登場人物が30人くらいいて主人公も1人や2人ではなくグループなため、各人物紹介的な前半はやや散漫な印象。
後半まで観ると「なるほど、ああやって協力し合うことになる面々をシッカリ紹介していたのね」と納得できるものの、前半の段階ではエピソードの羅列っぽく見えてしまう。
そんな人物たちが1つの目的に向かって結束して行く後半は「うまく行くのか?」なサスペンスもあり、ハラハラドキドキな展開になるのにもったいない…。
前半をもうちょっとスリムにして、ストーリー全体の行方を早めに提示すれば(クライマックスの一部を最初に見せておくとか)もっとスッキリしたろうに。
一方、かぐや姫伝説を事実的なものとして「月の古事記」にその記載があるとするのは面白い。つまりそんな大昔から月に人類が移住していたってワケだ。
また、前作といい本作といい、得意の(?)無重力空間での表現がないのがちょっと残念ながら、本作はオープニングに月面での重力が少なめな表現があったりしたのでそれなりに満足。しかし次回あたりでまた宇宙空間も見せてくれないかしらん?
ベイビーフェイス
鈴舟
シアターサンモール(東京都)
2009/11/24 (火) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鈴舟ド真ん中
地方都市で酒屋を営み今は長男に店を任せている老夫婦が次男・三男・長女夫婦を呼び寄せた1日の騒動(と後日譚)を描いた「大家族系ホームコメディ」、別の言い方をすれば昭和40年代のホームドラマ、あるいはリアルタイプ「サザエさん」的な?
鈴舟(鈴置洋孝プロデュース時代を含む)ド真ん中と言おうか、家族愛に弱い身としてはまるで十字砲火を浴びているような…(笑)
冒頭の母の「永年連れ添っていると、自信に充ち溢れるようで怖がられることもあるほどの夫の声の中に優しさや弱気な部分も聞きとれる」(大意)なんてナレーションからもうホロリ。
以降は笑いの中に家族愛がたっぷり織り込まれており、「雨降って地固まる」的な孫娘の「できちゃった婚」騒動の落とし方もお約束気味とはいえ、逆に言えば定番・定石なワケで手堅くトドメ、みたいな。
ただ、熟年離婚でないことは判明する(ってか序盤から見え見え)ものの、その真相と結末はちょっぴりビター。
が、あの「遺言」によって湿っぽくならずに終わらせるのはやはり巧いと言うべきか。
あと、女性陣対男性陣が対立する構図に北野ひろしの『結婚契約破棄宣言』(93年)も思い出したり…
さらにタイトルに「コドモの顔」「プロレスの善玉」両方の意味が込められていることにも感心。
おるがん選集秋編
風琴工房
ギャラリー日月(東京都)
2009/11/21 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★
いかにも「文學」+ややトリッキー
劇団員が選んだ文学作品を戯曲化するという試みで40~50分の中編2本立て。
横光利一の「春は馬車に乗って」は病に伏した妻と看病する夫の二人芝居で、いかにも「文學」な感じ。そのちょっと古風な雰囲気がまた住宅街の中にあり周りは民家のみな上にここ自体もひたすら民家で木製の窓枠をはじめとしたツクリが昭和中期(?)な洋間というこの会場にピタリとマッチして…。
しかし、夫が開け放った窓(←装置ではなくリアル)から外(←もちろんリアル)に出たり(そういえば「4の話」第2話にも窓から人が…なんて部分があったな)、その後に本物のアンコウ、エビ、アジが登場したりするとは誰が予想しえようか?
そんな演出もありつつ、病気のためにわがままになっている妻を大きく包み込むような夫の姿が優しくてステキ。
10分の休憩を挟んでの鷺沢萌の「痩せた背中」はややトリッキー。
いくつかの時、いくつかの場所がシームレスに演じられるので最初はちょっと戸惑ったものの、そのシカケが見えてきてからは芝居というものの面白さあるいは脚本・演出の巧みさを堪能。
実は最初に時空を飛び越えて亮司の部屋になった時はそれを飲み込めず戸惑い、しかし次の小学生時代の回想に移った時に「あぁ、そういうスタイルか」と納得。回想シーンの挟み方が本当に上手い。
で、こちらにも食事場面に秋刀魚の塩焼きの実物が出てきて、その香りが美味そうだったなぁ…
4の話
FRAMEPLOTS
タイニイアリス(東京都)
2009/11/18 (水) ~ 2009/11/24 (火)公演終了
満足度★★★
悪趣味なほどブラック
男女半々の4人グループがバーで顔を合わせるところから始まる3話のオムニバス、その4人(&マスター)の人物設定とファーストシーン、それに「4」…いや「死」にまつわるストーリーというのが共通で、あとは各作家がそのルールに則って書いた、というスタイル。
各話が終わるとマスターが片付けて何事もなかったかのように(連作ではないので当然なんだが)同じファーストシーンから再びスタートすることに漱石の「夢十夜」を連想。あるいはRPGでゲームオーバーになった後リセットしてまた始める、みたいな?
その内容はテーマがテーマだけに各話とも悪趣味なほどブラックながら、後味がメチャ悪い第2話と「マタンゴかっっ!!!」(笑)な第3話は好み。決して他人には勧められないけれども…(爆)
ちなみに目当ての新谷真弓と芳賀優里亜、事前情報からはこういうスタイルとわからなかったのでオムニバスだけに違うエピソードに出演してスレ違いかも、と思っていたら、メインの5人のうちの2人だったので共演をたっぷり観ることができたのはラッキー。
SO SHOW 天国
劇屋いっぷく堂
劇場HOPE(東京都)
2009/11/21 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★
きくSide
東京地方検事局が主な舞台で、「ひまわりSide」と対照を成す…というか鏡像のような関係。
その2本のつながり具合からケイダッシュステージの『ダブルブッキング』(08年)を真っ先に思い出し、一方からもう一方へ電話をかけるシーンがつながっている(弁護士事務所側のザワついた声まで受話器からもれて聞こえる!(笑))ことでシアタードリームズ・カンパニーの『300g』(05年)も思い出す。
また、装置を弁護士事務所だけに使っていた「ひまわりSide」と異なり、食い逃げ現場である食堂としても使い、その実地検分や回想シーンの見せ方も面白い。
さらに、唯一両Side共通で演じられるシーンが、被告人にその真意を問う=父親の息子に対する愛情を示す場面というのがニクい。
そんなこんなで基礎編の「ひまわり」・応用編の「きく」という印象であることにラストの「あれ」も含めて「ひまわり」→「きく」の順で観て正解だったかな?と。
しかし両Sideを1度観て全体像やつながり具合を知った上でもう1回ずつ観たらもっと面白いんだろうなぁ。いつか再演して欲しいモンだわさ。
SO SHOW 天国
劇屋いっぷく堂
劇場HOPE(東京都)
2009/11/21 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★
ひまわりSide
弁護士事務所が舞台。依頼人である離婚調停中の夫が未成年者略取誘拐で起訴されたとの報が入り…という物語。
タイトルやチラシから受けるイメージとは裏腹に硬派気味でカッチリ組み上げられた訴訟モノ、程良いユーモアや的確に入る用語解説(←客に対する説明ではない)もあって楽しくかつわかり易く、前回はともかく(お~い!(笑))、前々回といい、今回といい、ここって巧いなぁ、と。
もう一方の「きくSide」とのつながりもありつつ、こちらだけでもちゃんと成立するツクリになっているのも見事。
い・江戸・ろ・サリヴァン・ショウⅡ
イエロー・ドロップス
ギャラリーLE DECO(東京都)
2009/11/20 (金) ~ 2009/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★
ラストの「死神」は秀逸
以前観た『知新笑新』(09年6月)と同様の「立体落語」オムニバス。
ほぼ全出演者…というより登場人物がモロに白塗りで、台詞回しも落語チックなので「芝居ですよ」と宣言しているようで独特の感覚なことに加えて、普通の空間に段差を作ってパイプ椅子を並べました、な客席のツクリも含めて「オトナの文化祭」みたいな感覚が楽しいと言おうか懐かしいと言おうか…。
そんな中、ラストの「死神」は秀逸。敢えて死神を白塗りにせずしかも黒シャツに黒スーツという「古典的殺し屋(笑)」のようなスタイルにしたのが効果的。
ただ、劇中の金額を現代に換算するのと、確信犯的に外来語を使ってドラマ「浮浪雲」(渡哲也の方ね)同様の可笑しさを出しているのはワカるけれど、ネタが落語だけに若干の違和感もあって微妙…。(どちらがイイと自分でも言いきれないんだが)
名もなき世界
楽園王
ギャラリーLE DECO(東京都)
2009/11/17 (火) ~ 2009/11/25 (水)公演終了
満足度★★★
モロに長堀戯曲…(笑)
「私の…」は2009年の大晦日を迎えた女性が前年のことなど思い出しつつ午前0時を過ぎると10年の1月ではなく09年の13月で…という幻想譚。回想シーンを除く全編が女性のモノローグで、その詩的なリズムが心地好い。そして女性が前に進み始めたかと思いきや…(「名もなき…」の後に続く)
「名もなき…」は、罪(後に連続殺人であることが判る)を犯したらしき女性とカウンセラーらしき男性の会話が中心で理屈っぽさ全開!(笑) ん~、モロに長堀戯曲…(笑)
オチは容易に読めるものではあったとはいえ、その見せ方にも使った後方壁への映像や字幕(?)の投影が効果的。
そういうオチに導かれて「私の…」のエピローグに戻ったせいか、2009年のまま年が進まず、月だけがひたすら増えてゆく結末から、やはり女性は09年大晦日で…などと思ってしまう。
アワード
ZIPANGU Stage
シアターサンモール(東京都)
2009/11/20 (金) ~ 2009/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★
安定感のある仕上がり
とある文学賞の選考が行われているホテルのロビーを舞台にしたコメディ、まずは当日パンフで登場人物の名前を見てニヤリ。作家役であるなしを問わず全員が新旧作家の名前をもじってあり、一様ではないもじり方も含めて感心。
本編は受賞の最有力候補なのに会場に現れない覆面作家の替え玉を仕立てようとして嘘が嘘を呼ぶというコメディの定番スタイルに殺人事件をめぐるサスペンス風味も加えて好調。出演陣もそれぞれキャラにピタリとハマって、まさに「観たい!」コメントに書いた通り安定感のある仕上がり。
なお、贔屓の宮本ゆるみ嬢はますます「飛び道具」化しつつあるようで…(爆)
キャバレー DE SHOW
ももいろぞうさん
東京キネマ倶楽部(東京都)
2009/11/20 (金) ~ 2009/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★
臨場感アリアリ
かつてのキャバレーを改装したライブスペースを使っての新人ホステスの出世物語、終盤が若干破乱不足な感なきにしも非ずながら(本来的な)キャバレーのショー場面なぞ臨場感アリアリだし、多少類型的とは言え起承転結のストーリーもよくできており満足。おまけに早めに行ったおかげで1階最前列中央を確保できたし。
時間泥棒
たすいち
王子小劇場(東京都)
2009/11/19 (木) ~ 2009/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★
ロマンですねぇ、メルヒェンですねぇ
時間を盗むカメラ、そのカメラに憑いた魂、霊を見ることができる看護士という反則気味(笑)のアイテムやキャラクターを使ったファンタジー系のラブストーリー、大切な人を喪った者たちに向ける目線のあたたかいこと。
また、1年上の先輩に恋する男子高校生が年齢(というよりは人生経験)のギャップを埋めようとするなんてエピソードも「アキレスと亀」の挿話と絡めて描いているのには共感し、思い切りベタな演出&演技で死亡フラグが立ちまくり(笑)な探偵さんの過去シーンが愉快。
ヨミガエリ
演劇ユニットスーパーコンプレックス
アトリエフォンテーヌ(東京都)
2009/11/20 (金) ~ 2009/11/23 (月)公演終了
満足度★★★
ラストの逆転は鮮やか
「自殺した人間は即座に転生し再び同じ人生を歩む」というルールが不服でゴネるヤクザに、その直前の「誤認召喚(まだその時期でない者を天に召す過ち)」問題をも同時に解決する策を思いついた天使たちは当事者2人にある使命を与えて別人として地上に戻すが…な物語、若干の既視感と教訓臭、それに浅田次郎臭(笑)がするものの、ラストの逆転が鮮やか。
一方、難病により臓器移植手術が必要な息子を救うべく「金のためなら何をやっても構わない」母親の姿を半ば肯定的に描いているところに「ザラつき」を憶える。
また、彼女の餌食(?)となる男たちがたとえば不採算により小児科を閉鎖する病院経営者だったり、児童ポルノビデオ制作者だったりと、いろんな意味で「子供の敵」であるのが教訓臭のモトか?(笑)
inside out, inside out
演劇集団アーバンフォレスト
SPACE107(東京都)
2009/11/18 (水) ~ 2009/11/23 (月)公演終了
満足度★★★
4,200円はちょっと高いなぁ
おカマを嫌って10年前に家出した息子が結婚を前に婚約者とその堅物の両親を連れて来るにあたって従業員(この場合はホスト?ホステス?)たちに普通の男のフリをさせようとする(ばかりか建設会社の社長を演ずることになる)おカマバーのオーナーを中心とした、設定にしても展開にしても基本中の基本な王道ドタバタコメディ。そんな中に父親が息子の幸せを願う気持ちや、婚約者の両親の不器用な夫婦愛なども織り込んで手堅く仕上げてハズれるワケがなく、キレイだったり見苦しかったり(爆)するおカマちゃんたちもお約束?(笑)
ただ、4,200円はちょっと高いなぁ。
装置だって、バーのオーナーの自宅と言うよりはそこで殺人が行なわれる無人島にある別荘のロビーみたいな見覚えのあるものだし…(謎笑)
ブロークン・セッション【公演終了・ありがとうございました】
elePHANTMoon
サンモールスタジオ(東京都)
2009/11/18 (水) ~ 2009/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★
文字通りの「ブラックユーモア」
まさに文字通りの「ブラックユーモア」、思いっきりブラック(かつ不道徳?)なのに妙にユーモラスで笑えてしまうのが不思議~、みたいな。
中には眉をひそめる(どころかタイミング的に拒絶反応を示す)方もいらっしゃるとは思うものの、個人的には支持。
最近多いスプラッタ系コメディホラー映画の「んなワケねーだろ!」な可笑しさとはまた違った可笑しさが独特。ある意味アレよりもコワいしブキミでもあり…。
最初の場において、その家で何が行われているか大体はワカるものの細部が見えずにやきもきしていると、次の場以降の会話で薄紙を剥ぐように(←病気じゃないんだが)それがワカってくるのが巧い…と書いていて気付いたけれど、説明台詞がないんだな。台詞でそのものズバリを説明するのでなく、会話の中にヒントを潜ませて観客に知らしめる、な感じ。
そう言えば、舞台装置(これがまた前作に続いてリアルで、そこから生活のニオイや生活音が流れてきそう)の外(=別室とか廊下とか)で起こっていることを効果音(や聞こえてくる会話)だけで想像させるというのもこのバリエーションと言えるかも?
で、「解体」シーンは4分くらいにわたって舞台上に誰もいない状態だったと後日言われるまでそのことに気付かず。これってスゴくね?
ストイックだよ全員集合!
Theatre劇団子
ザムザ阿佐谷(東京都)
2009/11/18 (水) ~ 2009/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★
キャラクター合戦の様相
禁欲修行をする「ワンスモア学園」の100を超える(!)クラスから選抜された8人が会議室に集められ、校長立会いのもとに卒業すべき1人を決める話し合いをする…な物語、さながらキャラクター合戦の様相。(笑)
結末はお約束と言おうか定番的と言おうか予想の域を出ないものではあったが、そこまでのキャラ及びネタによって十分に満足。
まずはキャラクター。1番、2番、5番は自己紹介の時に、他(8番を除く)はそれよりも前の時点で誰なのか判るほどの有名人たち、中では4番、6番、7番それに校長、マリモンが形態模写的に抜きん出ていたか。なんたって登場した瞬間に誰だか判明するってくらいで。(衣装とメイクによる部分もあるが)
また、ネタについてはハナ肇の銅像(@「新春かくし芸大会」)や「ダダン」のCMを知っている世代としておそらく全部ワカったのではないかしら。しかし、他も含めて若者にはワカらんネタが多くないか?(ちょっぴり優越感(爆)
贋作 人形の家2009
劇団ドガドガプラス
浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)
2009/11/12 (木) ~ 2009/11/16 (月)公演終了
満足度★★★★
ポップかつ華やかで楽しい
※ 座席は「く」列:かなが入力できないのはいかがなものか?
映画監督としてのキャリアが長い望月六郎主宰(&作・演出)の劇団の第6回公演(初見)。望月監督、今まで撮ってきた映画とか強面っぽいプロフィール写真(笑)から受けるイメージとは裏腹に実際は当たりの柔らかそうな方で、内容的に2~30代の小劇場系作家(ったって様々だけれど)を思わせる作風だったのはちょっと意外。
たとえばアングラっぽいとか、あるいは“STRAYDOG”に近い感覚(森岡利行脚本の望月監督作品もあるのでなおさら)とか、そんな風に思っていたわさ。
が、考えてみれば同世代である野田秀樹の作品も小劇場っぽいワケで、そういうこともあるんだな、と。(といっても本作が野田チックというワケではない)
野田といえば、コチラは「がんさく」と普通に読むのだった。
で、「にせさく」と読ませないことから(ではあるまいが(笑))、イプセンの作品とはほぼ無縁、強いて言えば女主人公の名前が「ノラ」ならぬ「オラ」で、男主人公の名前が「井伏マリオ」(イプセンのもじりというのは深読み?)なことくらいか?
失業したマリオはふと人形ギャラリーに立ち寄るが、気付くと錦糸町の踊り子キャバレー「人形の家」の新人ボーイとして働いており…な物語、オラをめぐる彼女の夫とマリオの対決やナンバーワン踊り子・江島と人気役者・生島(笑)の挿話(ここだけ台詞が時代劇調だし)に歌(ハンドマイク使用)やダンスを伴うミュージカル風のシーンも交えてポップかつ華やかで楽しい。
また、この小屋の特徴である客席上手にある照明ブースと舞台横からそこへ続く階段(まるで「立体花道」)も使うのもイイ。
あと、序盤と終盤の人形ギャラリーの場面で大半の出演者が人形に扮しているそのポーズや、鏡の見せ方も良かった。
NINPU
ロスリスバーガー
RAFT(東京都)
2009/11/13 (金) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
倉多江美の短編をも想起させる
「理想の生活」についての文章を書かなくてはならないのに筆が進まない主人公が「具体的に思い浮かべてみれば?」という夫の助言に従ったところ、「勝手にしやがれ」を歌う太めのジュリー(笑)に続いて1万円をせびる妹やどう見ても全裸の人間なチワワ(爆)も現れ…という物語、『ジュマンジ』のように実際に現れるというよりは主人公が妄想の中に入り込み過ぎたってところか?
前回公演のリアルなタイプとは対照的な、倉多江美の短編「物語をコントロールできなくなった漫画家の悲劇」(「一万十秒物語」所収)をも想起させるシュール系、これも愉快。
特に主人公の気の弱そうな表現が、いかにも妄想の中の人物たちに手を焼きそうで、ある意味リアリティを与えていた、みたいな?
あと、ラストは原稿用紙が乱舞して散らかされ、その散らかり具合は前回の冒頭同様、他人事ではなく身につまされる(爆)。
御霊祭御祭騒【トリプルキャスト公演】
虚飾集団廻天百眼
シアターPOO(東京都)
2009/11/07 (土) ~ 2009/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
狂喜乱舞
自分の出生時の因果か身籠った子供を出産する際に命を落とした少女が、現世に残した娘を心配してあの世を仕切る大僧正にすぐにでも転生することを願い出て…という物語、約60分という上演時間もあってか非常にシンプルかつストレートでわかりやすい物語をコテコテのアングラ風味にユーモアも添えて楽しく、アンケートで出演者・脚本・演出・音楽・照明など各項目とも選択肢の中の「狂喜乱舞」に○を付けてしまったくらいで。
開場後、客席に入るとすでに牛頭・馬頭・鵙・鈴鬼なんてあの世の住人が舞台や客席にいて「お客様のお成~り~!」と迎えたり小芝居をしたりしており、石井主宰のユーモラスな前説を経て開幕すると、真っ暗な中、懐中電灯のみの照明からスタートするという。
以降、少女をそそのかして実は自分が転生しようとする御祭男や、少女が転生する子供の親となるハズの少年と少女なども描きつつ、ラストは中央通路を舞台から客席後方に去る亡少女の図、そうか、あの通路は産道だったのね、みたいな。
産道と言えば、胎児は産道を通る時にそれまでの記憶を失う、なんて台詞に夢野久作の「ドグラ・マグラ」を連想し(この頃多いな…)、衣裳・メイク(大僧正が特に○)などヴィジュアル面からは佐井好子(←本業はシンガー)の絵(イラスト?)も連想。
また、その産道…いや通路際の比較的前方に座ったのでメガネをかけさせられたり膝に腰かけられたりして、それもまた楽しからずや。
あと、終盤で流れる「とおりゃんせ」のロックバージョン(by Ray Ascroft)や、パなく降りしきる(←当たると痛いくらい:終演後に片付けるのはさぞや大仕事だろう(笑))紙吹雪&金銀モールも印象的。