じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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シャッフル・ルーム

シャッフル・ルーム

東京おいっす!

「劇」小劇場(東京都)

2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

あの作品のあのシカケ
独身を装いたい女性と同じマンションに住み妻帯者を装いたい元カレとの利害が一致して、1~2時間だけ互いの部屋を交換するが予想外の出来事や思わぬ訪問者があり、とっさに誤魔化そうとするが…という王道コメディ。
脚本家は当日パンフに曰く、某作家の戯曲を読んで「いつか同じことがしたい」と思ったそうで、そのことを「創り手にあるまじき想い」としているが、「あの作品のあのシカケ」を使うためにこういう設定を創造したことでもうそれは十分オリジナリティがあると言えるし、この種の作品の定番と言える嘘や思い違い、勘違いと偶然の一致の数々はもちろん模倣などではなくよく計算され練られているし、という「インスパイアされた作品」であり、クーニー親子に代表されるファルス(笑劇)として上出来。
各キャラ(及びその演技)もそれぞれ良く、中でも報知機設置業者の美濃部とプロデューサーの一之瀬が特に印象に残る。
また、美濃部が「うまいこと」を言う度に柝の音を入れるのは愉快。

11月戦争とその後の6ヶ月

11月戦争とその後の6ヶ月

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/23 (月) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

11月戦争とその後の6ヶ月
空軍(!)や聞いたこともないような隣国(笑)がある「もう1つの日本」での『感染列島』+恋愛モノ的な物語。
暗転なしの、映像用語で言えば「ワイプ」のような場転や鍋を食卓に運んだ後に一瞬の暗転があり、それが明けると食後、という表現など、シーンの切り方に潔さがあり、その鋭い切れ味は「名刀松枝」(笑) な感じ?
それと、照明といえば照明を落としてのSEXシーンも面白かったなぁ。
で、ラストには「マッチ売りの少女」(もちろん別役実ではなく原典の方)を連想。
あのオチが気に入らない観客にはハッピーエンドととれないこともないのが巧いっちゅうか、ズルいっちゅうか…(笑)

11月戦争とその後の6ヶ月

11月戦争とその後の6ヶ月

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/23 (月) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★

王国
かつての学生運動の闘士という部分に先日のタカハ劇団『モロトフカクテル』なども思い出す。その元闘士の起こす「新たなる闘争」(?)、ワク組みはガッシリしてそれなりに緊張感もあるが、どこか既視感と「借り物」のような感があり今ひとつのめりこめず

11月戦争とその後の6ヶ月

11月戦争とその後の6ヶ月

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/23 (月) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

影のあるオンナ
本人曰く「97%フィクション」で描くナカヤマミチコの半生記。文字通り「影」を使う演出やリーディング能力を身に付けるまでとその後を分けた構成などがユニークで、連作ショートコントのようなテンポの良さも相俟って楽しい。また、登場人物によるナレーションの口調の一部に『わたしは真悟』のそれと共通のものを感じたりもして。

梅津さんの穴を埋める

梅津さんの穴を埋める

H・R企画

東京アポロシアター(東京都)

2009/11/28 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

ワンシチュエーション&リアルタイムのコメディ
1人暮らしの母のもとに息子と2人の娘(+α)が集まったその日、皆が食卓についたまま老朽化した床が崩壊、ではなく崩落、いや陥没(←劇中表現より:ただしウロ覚え)して全員が身動きのとれない状況となり…というワンシチュエーション&リアルタイムのコメディ。
突然のトラブルに見舞われて、救いの手をさしのべてくれる誰かが近くを通るのを待ちながらいろいろ話をしているうちに隠し事が次々と明らかになるコミカルな前半と、家族あるいは愛し合う2人の絆が確認される後半との対比が鮮やかな脚本(かつて演劇集団円のために書き下ろされたそうな)に加えて、いかにもそれらしい家族やリフォーム屋の演技もイイ。
中でも劇団6番シードの椎名亜音嬢は初の老け役ながらその口調による表現力の巧みさに白髪交じりのヘアに老眼鏡という見かけも加わって、設定上どう若くても50前後、最近の傾向からすればアラカンもありうるという3人の子供を送り出した母親役を好演。
さらに陥没した床などをそれらしく表現した装置も○。

オールド・フランケンシュタイン

オールド・フランケンシュタイン

あぁルナティックシアター

小劇場 楽園(東京都)

2009/11/25 (水) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

さすが唐沢俊一
フランケンシュタイン博士が亡くなったが、その遺体は何者かによって持ち去られ…という状況から始まりつつも、ホラーでもサスペンスでもなく基本的にはコメディ。がしかし、
・'50年代のホラー映画のようなオープニングクレジット(音楽も含む)
・ひたすらベタなギャグ
・筆頭相続人だとばかり思われていた博士の孫娘が実は弁護士だったというドンデン返し
・「人は誰でも不完全であり、互に補完し合ってこそ完全になれる」という「坂本金八かっっ!!!」な教訓臭い(笑)結末
という複数の要素のコラボレーションとなっており、その取り合わせとバランスが上手い。
芝居の作・演出は初めてとのことながらさすが唐沢俊一、前説とカメオ的出演までこなして多才だなぁ…。

最後の料理人

最後の料理人

味わい堂々

OFF OFFシアター(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了

満足度★★★

突拍子のなさは若干軽減?
作った料理を食べた人が皆幸せになるという都市伝説系料理人「おかあさん」ではないかと思われる女性がやっている喫茶店の常連となった作家(ライター?)が観察するその店と客たちの様子…な物語。
ちょっとシュールかつややブラックという持ち味はそのままながら、過去3回の本公演に比べると突拍子のなさ(笑)が若干軽減された感じ。
やっぱり下北沢進出ということで手堅くまとめたのかしら?
が、夢落ちのようでそうでもなく、どこまでが現実なのか多層構造で煙に巻くようなのは岸野ワールドっちゅうか味わいワールドっちゅうか、その真骨頂かも。(笑)

我が名はレギオン

我が名はレギオン

演劇実験室∴紅王国

ザ・ポケット(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

本格犯罪サスペンス系人間ドラマ
広域重要指定事件第126号「連続女性切断殺人事件(通称・使徒事件)」の特命第四班による捜査とその指揮を執る管理官の家族を描いており、今までに観た3作品が現代版泉鏡花あるいはレトロSF的な一種古風な風味だったのに対して、本作は本格犯罪サスペンス系の人間ドラマ、な趣き。
まず「ガツン」と来て後から「ズシン」と来る重量級でありながらもストーリー展開とその語り口によって休憩なし160分(!)の上演時間も「ここから先が長いのかな?」と思っているうちに「え、この流れだともうすぐ終わりだよね!?」となり、事実終わってしまう、な感じ。(体感的には2時間ないくらい)
開場時から「狂ったダイアモンド(Shine On You Crazy Diamond)」冒頭のような音が流れており、舞台上では「シ者(←ダブルミーニング)」たちが携帯をいじっているという状態。プログレも好きな身としてはここでもうワクワク、もとから高い期待値がさらに上昇。
そうこうして開演時刻になると謎の赤い服の女性に導かれるようにシ者たちが一点を見たところで暗転、特命班の指揮を執る管理官の家庭をザッと見せてからその翌朝の特命班顔合わせならびに早速の会議シーンとなり、ここでごく自然に事件の内容が示されるというスマートな出だし。
以降、特命班の捜査(会議と取調べ)を中心に管理官の家庭も見せつつ進行、2人いる犯人それぞれの事情(?)も含めてありきたりのコトバながら「現代社会の病巣を描く」、みたいな。
捕まった「第二の使徒」は自分の前にもう1人いた、という意味ではなく「使徒は大勢いる」と言うし、2人の使徒は本来の意味の「確信犯」だし、被害者たちも清廉潔白ではないし、改めて現代社会は病んでいるなぁ、と…。
最後に判明する「第一の使徒」の正体は予想通りどころか見え見えながら、そもそも真犯人捜しのミステリーではないし、それ以上に人間ドラマとして観応えがあるので全く問題なし。
それどころか、「死にたい」と言っていた第一の使徒に対してプロファイラーが「貴方が貴方を許せるまで……そんな風に生きてください。」と締めくくることにツボを突かれる(「トドメをさされる」の方が的確か?)。
そんなこんなで、緊張感が終始途切れることなく、無駄な部分も全くなく、オープニングからエンディングまで引きつけられっ放しの充実した160分、大変満足。

欲望貴族

欲望貴族

角角ストロガのフ

王子小劇場(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了

満足度★★★

初見であった『人間園』同様…
…複数の場所が同居する装置が見事で、かつブラックなのに可笑しさも同居しているのがナンとも不思議な感覚。
今回は2つの家族のリビングダイニングを共有させておりドアだけが違うのが特に面白く、両家とも朝食にテンプラが出るシーンなぞテンプラが盛られた大皿まで共通という…(@_@)
他に三男が告発しようとリバース機構に出頭した時に兄たちの声が空間を飛び越えて聞こえる部分もこの装置ならではだし。
それにしても復讐の機会を窺ってずっとストーカーまがいの行為をして「彼」を助けてからさらに10年以上も待っていた油沢家の母の執念深さには舌を巻く。女性作家が書いているだけにより説得力を感じたりもして(笑)。

ビッグバン貴族

ビッグバン貴族

宇宙食堂

SPACE107(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★

未来版裏かぐや姫
いわば「未来版裏かぐや姫」あるいは「新・かぐや姫前日譚」、登場人物が30人くらいいて主人公も1人や2人ではなくグループなため、各人物紹介的な前半はやや散漫な印象。
後半まで観ると「なるほど、ああやって協力し合うことになる面々をシッカリ紹介していたのね」と納得できるものの、前半の段階ではエピソードの羅列っぽく見えてしまう。
そんな人物たちが1つの目的に向かって結束して行く後半は「うまく行くのか?」なサスペンスもあり、ハラハラドキドキな展開になるのにもったいない…。
前半をもうちょっとスリムにして、ストーリー全体の行方を早めに提示すれば(クライマックスの一部を最初に見せておくとか)もっとスッキリしたろうに。
一方、かぐや姫伝説を事実的なものとして「月の古事記」にその記載があるとするのは面白い。つまりそんな大昔から月に人類が移住していたってワケだ。
また、前作といい本作といい、得意の(?)無重力空間での表現がないのがちょっと残念ながら、本作はオープニングに月面での重力が少なめな表現があったりしたのでそれなりに満足。しかし次回あたりでまた宇宙空間も見せてくれないかしらん?

ベイビーフェイス

ベイビーフェイス

鈴舟

シアターサンモール(東京都)

2009/11/24 (火) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鈴舟ド真ん中
地方都市で酒屋を営み今は長男に店を任せている老夫婦が次男・三男・長女夫婦を呼び寄せた1日の騒動(と後日譚)を描いた「大家族系ホームコメディ」、別の言い方をすれば昭和40年代のホームドラマ、あるいはリアルタイプ「サザエさん」的な?
鈴舟(鈴置洋孝プロデュース時代を含む)ド真ん中と言おうか、家族愛に弱い身としてはまるで十字砲火を浴びているような…(笑)
冒頭の母の「永年連れ添っていると、自信に充ち溢れるようで怖がられることもあるほどの夫の声の中に優しさや弱気な部分も聞きとれる」(大意)なんてナレーションからもうホロリ。
以降は笑いの中に家族愛がたっぷり織り込まれており、「雨降って地固まる」的な孫娘の「できちゃった婚」騒動の落とし方もお約束気味とはいえ、逆に言えば定番・定石なワケで手堅くトドメ、みたいな。
ただ、熟年離婚でないことは判明する(ってか序盤から見え見え)ものの、その真相と結末はちょっぴりビター。
が、あの「遺言」によって湿っぽくならずに終わらせるのはやはり巧いと言うべきか。
あと、女性陣対男性陣が対立する構図に北野ひろしの『結婚契約破棄宣言』(93年)も思い出したり…
さらにタイトルに「コドモの顔」「プロレスの善玉」両方の意味が込められていることにも感心。

おるがん選集秋編

おるがん選集秋編

風琴工房

ギャラリー日月(東京都)

2009/11/21 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

いかにも「文學」+ややトリッキー
劇団員が選んだ文学作品を戯曲化するという試みで40~50分の中編2本立て。
横光利一の「春は馬車に乗って」は病に伏した妻と看病する夫の二人芝居で、いかにも「文學」な感じ。そのちょっと古風な雰囲気がまた住宅街の中にあり周りは民家のみな上にここ自体もひたすら民家で木製の窓枠をはじめとしたツクリが昭和中期(?)な洋間というこの会場にピタリとマッチして…。
しかし、夫が開け放った窓(←装置ではなくリアル)から外(←もちろんリアル)に出たり(そういえば「4の話」第2話にも窓から人が…なんて部分があったな)、その後に本物のアンコウ、エビ、アジが登場したりするとは誰が予想しえようか?
そんな演出もありつつ、病気のためにわがままになっている妻を大きく包み込むような夫の姿が優しくてステキ。
10分の休憩を挟んでの鷺沢萌の「痩せた背中」はややトリッキー。
いくつかの時、いくつかの場所がシームレスに演じられるので最初はちょっと戸惑ったものの、そのシカケが見えてきてからは芝居というものの面白さあるいは脚本・演出の巧みさを堪能。
実は最初に時空を飛び越えて亮司の部屋になった時はそれを飲み込めず戸惑い、しかし次の小学生時代の回想に移った時に「あぁ、そういうスタイルか」と納得。回想シーンの挟み方が本当に上手い。
で、こちらにも食事場面に秋刀魚の塩焼きの実物が出てきて、その香りが美味そうだったなぁ…

4の話

4の話

FRAMEPLOTS

タイニイアリス(東京都)

2009/11/18 (水) ~ 2009/11/24 (火)公演終了

満足度★★★

悪趣味なほどブラック
男女半々の4人グループがバーで顔を合わせるところから始まる3話のオムニバス、その4人(&マスター)の人物設定とファーストシーン、それに「4」…いや「死」にまつわるストーリーというのが共通で、あとは各作家がそのルールに則って書いた、というスタイル。
各話が終わるとマスターが片付けて何事もなかったかのように(連作ではないので当然なんだが)同じファーストシーンから再びスタートすることに漱石の「夢十夜」を連想。あるいはRPGでゲームオーバーになった後リセットしてまた始める、みたいな?
その内容はテーマがテーマだけに各話とも悪趣味なほどブラックながら、後味がメチャ悪い第2話と「マタンゴかっっ!!!」(笑)な第3話は好み。決して他人には勧められないけれども…(爆)
ちなみに目当ての新谷真弓と芳賀優里亜、事前情報からはこういうスタイルとわからなかったのでオムニバスだけに違うエピソードに出演してスレ違いかも、と思っていたら、メインの5人のうちの2人だったので共演をたっぷり観ることができたのはラッキー。

SO SHOW 天国

SO SHOW 天国

劇屋いっぷく堂

劇場HOPE(東京都)

2009/11/21 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

きくSide
東京地方検事局が主な舞台で、「ひまわりSide」と対照を成す…というか鏡像のような関係。
その2本のつながり具合からケイダッシュステージの『ダブルブッキング』(08年)を真っ先に思い出し、一方からもう一方へ電話をかけるシーンがつながっている(弁護士事務所側のザワついた声まで受話器からもれて聞こえる!(笑))ことでシアタードリームズ・カンパニーの『300g』(05年)も思い出す。
また、装置を弁護士事務所だけに使っていた「ひまわりSide」と異なり、食い逃げ現場である食堂としても使い、その実地検分や回想シーンの見せ方も面白い。
さらに、唯一両Side共通で演じられるシーンが、被告人にその真意を問う=父親の息子に対する愛情を示す場面というのがニクい。
そんなこんなで基礎編の「ひまわり」・応用編の「きく」という印象であることにラストの「あれ」も含めて「ひまわり」→「きく」の順で観て正解だったかな?と。
しかし両Sideを1度観て全体像やつながり具合を知った上でもう1回ずつ観たらもっと面白いんだろうなぁ。いつか再演して欲しいモンだわさ。

SO SHOW 天国

SO SHOW 天国

劇屋いっぷく堂

劇場HOPE(東京都)

2009/11/21 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

ひまわりSide
弁護士事務所が舞台。依頼人である離婚調停中の夫が未成年者略取誘拐で起訴されたとの報が入り…という物語。
タイトルやチラシから受けるイメージとは裏腹に硬派気味でカッチリ組み上げられた訴訟モノ、程良いユーモアや的確に入る用語解説(←客に対する説明ではない)もあって楽しくかつわかり易く、前回はともかく(お~い!(笑))、前々回といい、今回といい、ここって巧いなぁ、と。
もう一方の「きくSide」とのつながりもありつつ、こちらだけでもちゃんと成立するツクリになっているのも見事。

い・江戸・ろ・サリヴァン・ショウⅡ

い・江戸・ろ・サリヴァン・ショウⅡ

イエロー・ドロップス

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/20 (金) ~ 2009/11/22 (日)公演終了

満足度★★★★

ラストの「死神」は秀逸
以前観た『知新笑新』(09年6月)と同様の「立体落語」オムニバス。
ほぼ全出演者…というより登場人物がモロに白塗りで、台詞回しも落語チックなので「芝居ですよ」と宣言しているようで独特の感覚なことに加えて、普通の空間に段差を作ってパイプ椅子を並べました、な客席のツクリも含めて「オトナの文化祭」みたいな感覚が楽しいと言おうか懐かしいと言おうか…。
そんな中、ラストの「死神」は秀逸。敢えて死神を白塗りにせずしかも黒シャツに黒スーツという「古典的殺し屋(笑)」のようなスタイルにしたのが効果的。
ただ、劇中の金額を現代に換算するのと、確信犯的に外来語を使ってドラマ「浮浪雲」(渡哲也の方ね)同様の可笑しさを出しているのはワカるけれど、ネタが落語だけに若干の違和感もあって微妙…。(どちらがイイと自分でも言いきれないんだが)

名もなき世界

名もなき世界

楽園王

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/17 (火) ~ 2009/11/25 (水)公演終了

満足度★★★

モロに長堀戯曲…(笑)
「私の…」は2009年の大晦日を迎えた女性が前年のことなど思い出しつつ午前0時を過ぎると10年の1月ではなく09年の13月で…という幻想譚。回想シーンを除く全編が女性のモノローグで、その詩的なリズムが心地好い。そして女性が前に進み始めたかと思いきや…(「名もなき…」の後に続く)
「名もなき…」は、罪(後に連続殺人であることが判る)を犯したらしき女性とカウンセラーらしき男性の会話が中心で理屈っぽさ全開!(笑) ん~、モロに長堀戯曲…(笑)
オチは容易に読めるものではあったとはいえ、その見せ方にも使った後方壁への映像や字幕(?)の投影が効果的。
そういうオチに導かれて「私の…」のエピローグに戻ったせいか、2009年のまま年が進まず、月だけがひたすら増えてゆく結末から、やはり女性は09年大晦日で…などと思ってしまう。

アワード

アワード

ZIPANGU Stage

シアターサンモール(東京都)

2009/11/20 (金) ~ 2009/11/22 (日)公演終了

満足度★★★★

安定感のある仕上がり
とある文学賞の選考が行われているホテルのロビーを舞台にしたコメディ、まずは当日パンフで登場人物の名前を見てニヤリ。作家役であるなしを問わず全員が新旧作家の名前をもじってあり、一様ではないもじり方も含めて感心。
本編は受賞の最有力候補なのに会場に現れない覆面作家の替え玉を仕立てようとして嘘が嘘を呼ぶというコメディの定番スタイルに殺人事件をめぐるサスペンス風味も加えて好調。出演陣もそれぞれキャラにピタリとハマって、まさに「観たい!」コメントに書いた通り安定感のある仕上がり。
なお、贔屓の宮本ゆるみ嬢はますます「飛び道具」化しつつあるようで…(爆)

キャバレー DE SHOW    

キャバレー DE SHOW    

ももいろぞうさん

東京キネマ倶楽部(東京都)

2009/11/20 (金) ~ 2009/11/22 (日)公演終了

満足度★★★★

臨場感アリアリ
かつてのキャバレーを改装したライブスペースを使っての新人ホステスの出世物語、終盤が若干破乱不足な感なきにしも非ずながら(本来的な)キャバレーのショー場面なぞ臨場感アリアリだし、多少類型的とは言え起承転結のストーリーもよくできており満足。おまけに早めに行ったおかげで1階最前列中央を確保できたし。

時間泥棒

時間泥棒

たすいち

王子小劇場(東京都)

2009/11/19 (木) ~ 2009/11/22 (日)公演終了

満足度★★★★

ロマンですねぇ、メルヒェンですねぇ
時間を盗むカメラ、そのカメラに憑いた魂、霊を見ることができる看護士という反則気味(笑)のアイテムやキャラクターを使ったファンタジー系のラブストーリー、大切な人を喪った者たちに向ける目線のあたたかいこと。
また、1年上の先輩に恋する男子高校生が年齢(というよりは人生経験)のギャップを埋めようとするなんてエピソードも「アキレスと亀」の挿話と絡めて描いているのには共感し、思い切りベタな演出&演技で死亡フラグが立ちまくり(笑)な探偵さんの過去シーンが愉快。

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