満足度★★★★
ワンシチュエーション&リアルタイムのコメディ
1人暮らしの母のもとに息子と2人の娘(+α)が集まったその日、皆が食卓についたまま老朽化した床が崩壊、ではなく崩落、いや陥没(←劇中表現より:ただしウロ覚え)して全員が身動きのとれない状況となり…というワンシチュエーション&リアルタイムのコメディ。
突然のトラブルに見舞われて、救いの手をさしのべてくれる誰かが近くを通るのを待ちながらいろいろ話をしているうちに隠し事が次々と明らかになるコミカルな前半と、家族あるいは愛し合う2人の絆が確認される後半との対比が鮮やかな脚本(かつて演劇集団円のために書き下ろされたそうな)に加えて、いかにもそれらしい家族やリフォーム屋の演技もイイ。
中でも劇団6番シードの椎名亜音嬢は初の老け役ながらその口調による表現力の巧みさに白髪交じりのヘアに老眼鏡という見かけも加わって、設定上どう若くても50前後、最近の傾向からすればアラカンもありうるという3人の子供を送り出した母親役を好演。
さらに陥没した床などをそれらしく表現した装置も○。