じべ。が投票した舞台芸術アワード!

2023年度 1-7位と総評
日本演劇総理大臣賞

1

日本演劇総理大臣賞

ロデオ★座★ヘヴン

実演鑑賞

会議ものとバックステージ系の芝居が好みで「12人の怒れる男」も「笑の大学」も大好きな身にとってまさに「盆と正月が一緒に来たような」傑作にして秀作。4年ぶりに観ることができて、そしてこれが今年の観劇納めで良かった♪
劇中に出てくる「作劇/演出のセオリー」や「演劇に大切なもの」が本作で体現されているのも見事。これ、初演時に気付かなかったのは己の未熟さかあるいは脚本の改稿や演出家の違いによるものか?
で、活動休止前の作品を活動再開の1本目に再演することに連続ドラマで前回のラストシーンを見せてからその回が始まるパターンを想起。(笑)

ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-(7/29、30 愛知公演)

2

ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-(7/29、30 愛知公演)

劇団チョコレートケーキ

実演鑑賞

昨今の作品群とは趣を異にし、特撮ヒーロー番組の裏話的なものを軸に差別に関して語る。
題材的に娯楽要素も多く、元ネタがワカる身にとっては冒頭のS.E.~音楽で頬が弛んだのを筆頭にあれこれ大ウケ。
そんな中に「差別が生まれる原因」「差別をなくすためには?」などをさりげなく織り込んで、終盤にはさらに「こういう差別も」という現代的な(?)命題にも触れるのがいかにもここらしい。
また、舞台中央のミニチュアセット/ジオラマに手前から明かりを当てて後方のホリゾントに影を落としたりスポットを当てたりの効果が秀逸。「こういうテがあったか!」と狂喜♪
あと、劇中の中心作品である「ワンダーマン」のタイトル、wonder と wander をかけたものであることにもニヤリ。

天使の群像

3

天使の群像

鵺的(ぬえてき)

実演鑑賞

事前情報の通り今までなかったタイプの作品ながら漂う雰囲気はまさに鵺的。いわば「鵺的・ネオ」か?
観ている途中で「どこか爽快感があるのは何人かの人物が"真っ直ぐ"だからか?」と思ったがその後「いや、全員が"真っ直ぐ"だ」と気付く。
しかし"真っ直ぐ"ではあるがそれぞれ方向が違っていて、それが事態を混乱させているのかな?的な。とはいえ、その真っ直ぐさゆえ後味が悪くなく、鵺的にしては珍しい。(笑)
珍しいと言えば装置も具象的なことが多いが今回は上手手前が高く下手奥が低い傾いた床に下手側と奥をハーフミラーフィルムの壁(?)を立て、椅子(教室用&パイプ椅子)と机(?)を随時配置する抽象的なものであるのも珍しい。(奇しくも翌日下北沢で観た芝居のそれと共通点アリ)
一方、途中で「あること」が判明して「そういうことか……」と思ったのもつかの間、「だとするとあれはどっちだ?」などと却って疑問が増えてしまうのはいかにも鵺的?(笑)
本作を経て今後の鵺的がどうなって行くか楽しみ♪

#34「闇の将軍」四部作

4

#34「闇の将軍」四部作

JACROW

実演鑑賞

第0話・やみのおふくろ」
「第0話」と銘打たれている通り夕闇前の角栄と母・フメの短編二人芝居。終盤で夕闇冒頭の演説場面が出てきてまた夕闇が観たくなるシカケはまるでSW ep.4前日譚である「ローグ・ワン」の如し。(笑)

生きてるうちが華なのよ TAIAI

5

生きてるうちが華なのよ TAIAI

グワィニャオン

実演鑑賞

「笑って泣ける本格/正当ゾンビ芝居」、みたび(前2回は2005年5月・東京芸術劇場、2012年12月・萬劇場)。タイトルにしても劇中使用曲にしてもそうだしこの題材で「生きる/生きているということ」を前面に押し出しているのがイイ。
そしてラストで語られる「その後の変化」は、作・演出の西村さんをはじめとした関係者のみならず観客……どころか全人類(広げすぎ?(笑))の願いなのではなかろうか? 昨今の情勢を考えるとよりそのように感じる。やはり名作。

トリプルパパパーズ!

6

トリプルパパパーズ!

はらぺこペンギン!

実演鑑賞

前評判通り優しくあたたかいハートウォーミングコメディ。
かつてここで観た泪目銀座やペテカンの作品に通ずるどこか懐かしい感覚にイマな事柄も加味してぺこペンの真骨頂か?
作劇の基本と言うか王道というか「それな!」なパターンの使い方も巧み。

おわたり

7

おわたり

タカハ劇団

実演鑑賞

「いわゆるホラー」的設定もありつつ基本的には「民俗学的サスペンス」で進行し、途中で「え、そっち!?」と観客を欺いて(笑)からは怒涛の「古今東西ホラーアラカルト」。
それまでの伏線を回収しながら「あ、そのパターンか♪」が次々に出てくる後半などホラー好きにはタマラン。
そのクライマックス、基本はモダンホラーな味わいだが、実は日本古来の(因果応報的な)怪談に通ずるものもあり、さらに某ギリシャ神話&日本神話を連想させる設定もあり、報い・悔いだの憑代だのの単語がアタマに浮かび楽しかった♪

総評

2023年は諸事情により1月から11月まで落ち着いて観劇できる状態ではなく4~6月と8月は1本も観なかったのを筆頭に12本しか観ず、12月に延べ14本観たものの合計26本と20年ぶりに一桁本数にとどまった。
なので選んだ7本の過半数が12月の公演なのも仕方あるまい。

このページのQRコードです。

拡大