ハンダラの観てきた!クチコミ一覧

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冷たい唇、温かい箇所

冷たい唇、温かい箇所

ジ~パンズ

銀座みゆき館劇場(東京都)

2012/04/25 (水) ~ 2012/04/30 (月)公演終了

満足度★★★

冒険が欲しい
 観客を驚かすような趣向が無いのは寂しい。話の展開は、業界の多少、ブラックなコメディ或いはパロディなのだろう。観客は、シナリオレベルでも、良い意味で裏切られにゆくのだ。そういう新鮮味が感じられない。無論、こなれていて、ソツはない。演技も上手い。だが、折角、そこまで積み重ねてきたのなら、思考レベルでももう少しアクロバティックなことに挑戦すべきだとは思うのだ。でなければ、とてもヨーロッパなどの興業には勝てまい。

オーシャンズ・カジノ

オーシャンズ・カジノ

北京蝶々

王子小劇場(東京都)

2012/04/18 (水) ~ 2012/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

ギャンブル
 ギャンブルネタで、実際に勝負する場面が何度か出てくるが、ちゃんとギャンブルの勘所を捉えていて、迫力があった。ストーリー展開にも、そう無理は感じられない。然し、俳優の出、入りが、もう少し工夫できないだろうか。ハイテンションな作品なので、結構、多くの観客が楽しんだはずだが、細かいところに気を配れば、もっと観客を驚かすことも可能になるだろう。更なる工夫を期待する。

国境のある家

国境のある家

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2012/04/21 (土) ~ 2012/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★

矜恃
 池子弾薬庫の旧地主一家三代の歴史を通して、日本人の
矜恃が、アメリカ及びアメリカ人によって侵され、襤褸屑のように
なった有様を描いて重い作品である。
 然し、その描き方や筋の運び方、音響や照明、美術などは、流石に
伝統のある劇団のそれで、随所に笑いを取り入れながら、不必要に重く
ならないような配慮がなされていた。俳優陣の演技の質も基本的に高い。三世代に亘る話なので歴史的な変遷と変わらなかった物との対比も可能だろう。様々に考えさせる舞台であった。

カルテット! 4/25浦安公演

カルテット! 4/25浦安公演

アトリエ・ダンカン

東京グローブ座(東京都)

2012/04/12 (木) ~ 2012/04/21 (土)公演終了

満足度★★★★

音楽の持つ純度の高さ
 ストーリーとタイス、カノン、ボレロ、G線上のアリアなどの名曲が並走することで、話の展開が境界を踏み外すことなく、同時に本質的な展開を可能にして、心の洗われるような大団円に持ってゆく、そんな舞台であった。楽しめる。

勝手にしやがれ

勝手にしやがれ

演劇ユニット『MOSH(モッシュ)』

Geki地下Liberty(東京都)

2012/04/19 (木) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度

現代の寒さ
 全般的に創造性に乏しくギャグのレベルが低すぎる。演技にも独創性が無い。世界の中で生きていて、それを解釈できていないのではないか。結果、総ての表現が上ずってしまって、上っ面をなぞるだけである。楽屋落ちが多いのもそのせいだろう。もっと、状況を客体化して見る目と、自らの力量を知る謙虚さが必要だ。

チェーホフ短編集 「賭け」 【沢山のご来場ありがとうございました!】

チェーホフ短編集 「賭け」 【沢山のご来場ありがとうございました!】

華のん企画

あうるすぽっと(東京都)

2012/04/18 (水) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

流石
 頭取の予測と若者との間には、一筋縄では片付かない成長という要素があった。説明にもある通り、外枠を「賭け」で囲い込みながら6篇の短編を編み込んで、いわば布地に色目を編み込んでゆくような作業が行われた結果、ストーリーは重層化して、輻輳したトーンを醸し出し、劇中劇では高尚な芸術論、演劇・演技論さえ戦われるという、芝居好きには堪えられない趣向もあって、大いに楽しめた。また、俳優陣の演技も、流石とうならせる内容であり、巧みな演出、音響や照明とも相まって厚みのある舞台表現に仕上がっていた。

白痴

白痴

ユニークポイント

atelier SENTIO(東京都)

2012/04/15 (日) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

詩的
 白痴役の女優が一切喋らず、身体表現だけに終始した点を評価する。然し、せっかく壁まで白く塗ってセンスを高めているのに、モニターをあんなに置く必要はない。視覚的に観客の視線を散らす狙いがあるなら兎も角、モニターをあのようにセットする必然性は感じられなかった。
 職人夫婦役は、演出をもう少し工夫すべきだろう。白痴役は良かった。スタッフの感じも頗る良い。無駄を削ぎ、必然だけの裸にして見た上で、更に膨らみを持たせる工夫が必要だろう。

淋しいマグネット

淋しいマグネット

ワタナベエンターテインメント

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2012/04/08 (日) ~ 2012/04/28 (土)公演終了

満足度★★

スターシステム
 良かった点:照明、大道具、ダンス、音響、スター以外の俳優たちのがんばり(下手をすれば怪我をするような無理までして)
悪かった点:志、シナリオ、演出、コマーシャリズム

俺以上の無駄はない

俺以上の無駄はない

MCR

駅前劇場(東京都)

2012/04/12 (木) ~ 2012/04/17 (火)公演終了

満足度★★★★★

捻り
 こんなに下らない国に、今生きていて屈折していない奴は大嫌いだ。概ね、そういう輩は、「みむめも」「うましか」「どんとかん」だからである。という具合に居直れたら、この手のシナリオは、上がってこなかっただろう。実は、こんな下らない国に生きているのに、自分が、悪いと思う多くの日本人と同じように、劇中の主人公も考えているのだ。然しながら、彼は売れない表現者でもある。その彼には、いくつもの問題があるのだが。それらの問題を巧みな場面転換と小気味の良い科白で繋ぎ合わせ、オムニバス形式に近い形でプロットを換骨奪胎している点、並みの手法ではない。
 更に思い掛けない仕掛けをそれらのプロットに仕掛けることによって、メインプロット、サブプロット共にパターン化することの悪弊から逃れて、乱反射してゆくのである。この様な形態を編み出しうる者を称して、人は才能ある者と呼ぶのだ。注目しておくべき劇団である。

シェイクスピア「十二夜」

シェイクスピア「十二夜」

チョコレートカンパニー改めディ・ショコラーデ

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2012/04/12 (木) ~ 2012/04/15 (日)公演終了

満足度★★★★

シェイクスピアと四つに組む
 アラサーの女子二人が、シェイクスピアと四つに組んで、役者の身体性を試したいと言う。四つに組む覚悟や良し。それは言葉と身体性の演劇的結婚を目指すということか。だが、どうやらそういう具合に、分かったようなもの言いで、演劇を定式化している自分たちを、自分たち自身で茶化す、謂わばナンチャッテ精神のようなものをも併せ持つ様子である。かなりのレベルを期待できそうだと感じる。
 結果的に、期待が裏切られることはなかった。小田島 雄志訳の特性をキチンと活かし、シェイクスピアと四つに組んだことによって舞台に深みが、増した。
 それは単に貴族・紳士階級を主人公とし、位低き者たちを従とするような、単純な図式ではなく、何時、何処ででも主客転倒が可能な道化をもう一つの頂点として配置していることからも明かである。
 その構造は、幕あき直後、道化の揺する小さな器具に合わせて舞台上の総ての人物が翻弄される有様のフラクタル構造に端的に予知されている。

ひまわり

ひまわり

望創族

劇場MOMO(東京都)

2012/04/11 (水) ~ 2012/04/15 (日)公演終了

満足度★★★★

広い層に楽しまれそうだ
 設定は、ファンタスティックな部分を織り込みながらも、人の世出で生きるときに守らねばならぬ、とされる法的正義と情を対比させることで、我が国の伝統的枠組み、義理と人情のベースの上に置いたため、安定感のある舞台になっている。
 また道化役を演じていた役者たちが、それぞれの場所で、為すべきことをきちんとこなしていたのもプラス評価だ。
 シナリオも分かりやすく、科白もきちっと通っていた。広い層に楽しまれる舞台になっていた。

春を忘るな ご来場ありがとうございました!!!

春を忘るな ご来場ありがとうございました!!!

ウンプテンプ・カンパニー

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2012/04/09 (月) ~ 2012/04/16 (月)公演終了

満足度★★★

言の葉
 芝居はメタレベルで展開する方が面白い。梅が、紅梅の精であることは、その名、途中でのヒントなどで、演出の定石通り直ぐに気付いたが、彼女が、狂言回しなら、フィジカルとメタフィジカルを繋ぐ言語的なアプローチに不徹底があるように感じた。
 それは、シナリオに余計な解説が多すぎて興を殺ぐこととも同義である。この辺り、創作の基本だろう。

たくらみと恋

たくらみと恋

雷ストレンジャーズ

劇場HOPE(東京都)

2012/04/05 (木) ~ 2012/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★

流石 シラーの戯曲
 科白が緊密で格調高く、対比も利いていて見事だ。俳優陣のレベルも高く、納得の行く水準であった。キャスティングも良い。俳優達の質の高さは、格調高い科白に演技が負けていなかったことにも現れている。自然に感じられたのだ。

たくらみと恋

たくらみと恋

雷ストレンジャーズ

劇場HOPE(東京都)

2012/04/05 (木) ~ 2012/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★

流石 シラーの戯曲
 科白が緊密で格調高く、対比も利いていて見事だ。俳優陣のレベルも高く、納得の行く水準であった。キャスティングも良い。俳優達の質の高さは、格調高い科白に演技が負けていなかったことにも現れている。自然に感じられたのだ。

ロング・アゴー

ロング・アゴー

劇団ING進行形

タイニイアリス(東京都)

2012/04/06 (金) ~ 2012/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★

シチュエイション
 内容を取り違えるととんでも無い話になってしまうだろうが、冒頭シーンを見るだけで、この作品が扱っている主題は明らかだ。唯、問題は、現在も進行形であり、収束の兆しすら見えないので、このような形にしたのだ。
 ダンスにも、また、ゾンビか幽霊のような動きにも、ねじ曲がった指にも、滅びた村から、緊急を知らせに走る若者の聞く蠅の羽音のような音にも、地名にも、何もかもが、現在、この国で進行している破滅的な情況を表していた。
 ダジャレや下ネタに、必然性が無いのは、問題だが、ダンスや動きそのものには、大きな意味があった。前回のジャンヌ・ダルクより、随分、進歩した。その点を評価したい。

OTOGI

OTOGI

touch my brassiere? company

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2012/04/05 (木) ~ 2012/04/08 (日)公演終了

満足度★★★

風穴開けよう
 中盤迄、これでもか、という感じでダルイ感じを出されて、ドラマツルギーが分かっているのか、それとも、演出か、と判断に迷った。演出だったようで安心した。実際、この国は、夢を殺してしまって長い。国内にいる若者の閉塞感たるや、耐え難いものである。こんな情況を決意一般でひっくり返せるとは思わないが、風穴を開けようとの気持ちは、大変良く伝わってきた。

ファウスト

ファウスト

モナカ興業

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2012/04/04 (水) ~ 2012/04/08 (日)公演終了

満足度

噛み過ぎ
 先ず、脚本だが、原作の切り取り方に問題があるように思った。ゲーテの「ファウスト」と言えば数ある名作の中でもぴか一の作品だと思っているのだが、その最初のハイライトは、メフィストとの契約の場面だろう。無論、卓越した個人としてのファウスト提示は大切である。その上で、いざ、悪魔と契約を交そうという段になって、最初ファウストは怖気づく。確か、原作ではそうなっていたはずだが、そのくだりが、少し弱かった。
 更にファウストを演じたのは女優であったが、その必然性が見られない。また、メフィストフェレスを表すのに、多人数を用いていたが、用い方に難があった。
 第Ⅰ部終盤のワルプスギスの夜の描写もおざなりで、想像力を刺激されることが無かった。
 また初日と雖も、噛むことが多すぎたのも難点だ。照明、音響、舞台美術や劇場選びにも難があった。
 総じて、ファウストに挑むには、未だ力不足と言えよう。

遠吠岬は夕曇り【ご来場ありがとうございました!】

遠吠岬は夕曇り【ご来場ありがとうございました!】

劇団ぺブル(ペブル・グラベル)

中野スタジオあくとれ(東京都)

2012/03/30 (金) ~ 2012/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★

ホームドラマ
 どこにでもある定食屋の、TV番組でやっても良い様な雰囲気の中に、何をどのように盛り込めるか。かなり実験的なこともやっている、力のある劇団だ。だが、実験が全然浮いていない。例えば、言語破壊すれすれのことをやって、シナリオそのものへ疑問符を投げかけているのに、、同時に、言語の背骨を外す滑稽に繋がっている為に、言語破壊は、表面上、その真の意味を隠しおおせているのである。緊密な論理と、シナリオの良さを見抜く力を持った俳優陣に支えられた結果、表現が自然で丁寧である。そのことが、わざとらしさを排除し、人生の深い所まで表現を届かせている。この劇団は、小さなもの・ことに大きな意味を込めることに成功した。いい意味で一種の型を持ちえたと言えるだろう。個々のメンバーの更なる深化と、重層化を願う。

下賤の天 ~白浪は蒼天に咲く~

下賤の天 ~白浪は蒼天に咲く~

カラスカ

TACCS1179(東京都)

2012/03/28 (水) ~ 2012/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★

義賊
 日本左衛門は、鼠小僧次郎吉のような義賊だ。頭脳明晰、剣もめっぽう強い。が、そんなことは、おくびにも出さぬ。
 時は元禄と行きたい所だが、そうは問屋がおろさない。元禄とは真っ向から対立する、享保である。有名な倹約政策の時代だ。将軍は、吉宗。もとは、紀州の出である。史的には四男であった彼が、五代目紀州藩主を継ぎ、更には将軍にまで上り詰めたのではあるが、親、兄弟の早世を、物語では、彼による暗殺と匂わせ、エンターテインメントの世界観に組み換えている。更に因縁浅からぬ尾張藩主、吉宗とは正反対の開放政策を取った歌舞く殿、宗春との三つ巴で描く痛快娯楽時代劇だ。史的事実をエンターテインメントに換骨奪胎し、民衆の恨み、つらみを隋所に噴出させながら、こなれた殺陣と推理小説のようにスリリングな論理展開で飽きさせない。無論、思いがけないどんでん返しも仕込んである。
 幕開きの不如意も、劇が進行する中で納得できる仕組みだ。エンターテインメント制作の手足れと言えよう。

鬼界ヶ森

鬼界ヶ森

劇団め組

吉祥寺シアター(東京都)

2012/03/29 (木) ~ 2012/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★

泣かせる科白
 先ず、劇場が面白い。吉祥寺の駅から歩いて4~5分の距離だが、舞台のタッパが高く、当然のことながら、客席は、どこから見ても見やすい。演出家と劇場の法的な詰めは面倒だろうが、自由に空間を使えるなら、空間的には、非常に面白い作りになっている。ある意味、江戸時代の歌舞伎小屋の風情があるのだ。
 こういう劇場で、時代劇というのが、良い。殺陣も中々こなれており、アクション面でも飽きさせない。更に、隋所に非常に本質的な科白が鏤められており、泣かせる。惜しむらくは、混迷の時代に翻弄される人々の無念と、現代を生きる我々の感じている不条理が、イマイチ連関を欠くことである。この劇団は、時代劇を演ずることが多いようだが、今後、現代とのリンクを、演目とどうビビッドに絡めて行けるかが、成功の鍵になろう。深入りせずに、エンターテインメントとして楽しむだけなら、充分に楽しめる。

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