満足度★
噛み過ぎ
先ず、脚本だが、原作の切り取り方に問題があるように思った。ゲーテの「ファウスト」と言えば数ある名作の中でもぴか一の作品だと思っているのだが、その最初のハイライトは、メフィストとの契約の場面だろう。無論、卓越した個人としてのファウスト提示は大切である。その上で、いざ、悪魔と契約を交そうという段になって、最初ファウストは怖気づく。確か、原作ではそうなっていたはずだが、そのくだりが、少し弱かった。
更にファウストを演じたのは女優であったが、その必然性が見られない。また、メフィストフェレスを表すのに、多人数を用いていたが、用い方に難があった。
第Ⅰ部終盤のワルプスギスの夜の描写もおざなりで、想像力を刺激されることが無かった。
また初日と雖も、噛むことが多すぎたのも難点だ。照明、音響、舞台美術や劇場選びにも難があった。
総じて、ファウストに挑むには、未だ力不足と言えよう。