満足度★★★★
泣かせる科白
先ず、劇場が面白い。吉祥寺の駅から歩いて4~5分の距離だが、舞台のタッパが高く、当然のことながら、客席は、どこから見ても見やすい。演出家と劇場の法的な詰めは面倒だろうが、自由に空間を使えるなら、空間的には、非常に面白い作りになっている。ある意味、江戸時代の歌舞伎小屋の風情があるのだ。
こういう劇場で、時代劇というのが、良い。殺陣も中々こなれており、アクション面でも飽きさせない。更に、隋所に非常に本質的な科白が鏤められており、泣かせる。惜しむらくは、混迷の時代に翻弄される人々の無念と、現代を生きる我々の感じている不条理が、イマイチ連関を欠くことである。この劇団は、時代劇を演ずることが多いようだが、今後、現代とのリンクを、演目とどうビビッドに絡めて行けるかが、成功の鍵になろう。深入りせずに、エンターテインメントとして楽しむだけなら、充分に楽しめる。