満足度★★★★
燐光群「宇宙みそ汁」「無秩序な小さな水のコメディー」観ました
コンテンポラリー・リーディングというイメージで観れました(本は無いけど)。前者はダンス公演と銘打っても通用しそう(横浜・STスポットあたりでやりそう)。七ツ寺の凝縮した空間が、個人視点の戯曲にマッチ。溶けるように変わる照明の中に、様々な問題を抱えた世界が浮び、その中を当たり前のように主人公が生活する。後者の短編集では、1番目と3番目のOPの落差が瞬間的にウケた(笑)。二番目の話は、私にはちょっと退屈で…。
詩の持つリズム感
「宇宙みそ汁」には圧倒された。
そのまま読めば朗読で終わるのだろうが、テンポ良く次から次と繰り出される言葉の数々が、情景を想像させる演出の良さが出ていると思った。
「無秩序な小さな水のコメディー」の中の、バーテンダーと女性客の二人芝居「利き水」、二人の会話から浮かび上がる福島の悲劇と明日への希望は胸を打つ。
満足度★★★★★
「詩」が「劇」になるとき
私にとって初めての燐光群を梅ヶ丘BOXで観る。
「宇宙みそ汁」は詩人清中愛子さんの詩や手記、メールなどを、
坂手洋二氏が一切書き加えることなく編成して劇に仕立てたというものである。
その結果、戯曲として書かれたものではなかったにもかかわらず
「詩」が自然に伸びをして四肢を広げたような世界が現われた。
満足度★★★★
新たな視点へのお誘い
今回は“宇宙みそ汁”と“無秩序な小さな水のコメディー中の小品“利き水”“入り海のクジラ”“じらいくじら”の上演である。どの作品もアトリエでの公演に相応しい。
“宇宙みそ汁”の原作は詩である。清中 愛子の詩集とこの詩集の拾遺・数年間に書かれた作品、坂手へ送られた文章などを、演出家として坂手が構成したものだ。
これらの作品の共通項は、世界への視点だろう。宇宙とみそ汁とのコレスポンダンスの振れ幅には、当然、詩と劇とのコレスポンダンスも共鳴してくる。そして世界への目も。坂手作品は、実際、社会性の強い作品が多い。その分理知的で、距離を置いて見ることを期待される。実に優等生的作品なのだ。無論、レベルは高い。然し、芝居というものの、もう一つの面にも、そろそろ目を向けても良いのではあるまいか。つまり魅惑する側面に対してである。今迄の視座とは対極にあるかも知れないが、このような側面を自家薬籠中の物とすれば、更なる雄飛が期待できる。
今回の舞台でも、役者陣の演技は、演出家の期待に見事に応えたものであったが、もし、今後、自分の提案したような作品作りもあり得るならば、力のある役者陣にも新たな御自分を発見して頂きたい。
満足度★★★★★
色鮮やかな言葉の海
梅ヶ丘ボックスという何もない狭い空間に人生と宇宙がくっきりと浮かび上がる1時間40分。詩人清中愛子さんの詩集、坂手さんにあてたメールなどをコラージュして作り上げられた色鮮やかな言葉の海。何もないが故に無限を作りうる演劇の王道を知る。言葉を立体化する作業をつねに演劇はするわけだけれども、しかし今作の、寄る辺ない空間にゆるぎない世界を作り上げるその匠の技は必見。
満足度★★★
確かな舞台
「宇宙みそ汁」は戯曲ではない詩をテキストにした舞台とのことなので、ともすればリーディングになってしまいかねないと思うが、これは立派に舞台作品として成立していた。何も知らなければちょっと前衛的な戯曲だと思って観ただろう。体力勝負に近い演出をこなしきった役者陣に拍手。
満足度★★★★
魔法のように立ち上がる時間
この劇団、本当に久しぶりに観ましたが、
あらためてその芝居力に驚嘆。
シンプルな舞台に
立ち上がるイメージが深く透明感があって豊か。
重ねられるエピソードが、
様々な色や濃淡、そして物語に変化していくのが
わくわくするほどに面白くて。
同質の手触りとともに演じられた2作品それぞれに
シーンの重なりから現れるイメージや物語の解像度の高さがあり
ベテラン役者たちの描きだすものの瑞々しさや
カジュアルで上質な時間に捉えられ
強く心を惹かれ続けました
満足度★★★★★
メチャクチャ良かった!
テキストは詩なのに、
会話が聞こえ、
ドラマに見えて、
ストーリーを感じた。
テンポも良く、
心地好く胸に響いて来た。