『水はけのよい土地』 公演情報 『水はけのよい土地』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★

    台風の時に思い出す水はけ
    以前水はけの悪い・・というか水がよく上がる土地に住んでいた。台風の季節になって天気予報に「台」の字が出ると、「あ(面倒だ・・)」、と思い出す。
     この芝居は「水はけの悪い土地」の話だ。悪い場所から、良い土地のことを思い描く。女二人、男二人の二組の交わらない物語が最後に「場所」で繋がることで閉じられる。女の過去、暗い出来事の起きた場所=空き家も、水はけの悪い(不人気な)土地柄に連想が繋がり、ブラックバイトの典型であるコンビ二も然りだ。なおコンビ二のある場所が「水はけが悪い」事実が、その夜来た台風の話題から派生して言及される。が、それだけだ。
     二つの物語が接点を持つラスト・・・ただ通過する一瞬の光景に過ぎない可能性の方が大きいが、この瞬間に幕を下ろす事で、「未来」が開かれたように感じる。水はけのよい未来への時間が。
    無隣館若手との事で「期待感」を抑えて観劇したが、役者も含めて思いの外出来がよい。 女の「罪意識」が、相手との遭遇によって解消する事にならない・・・時のほうが先へと進んで行く、この視線が印象的だ。

  • 満足度★★★

    深夜コンビニバイト
    面白い。70分。

    ネタバレBOX

    仲良しのいち子(永山由里恵)とミカ(北村汐里)。真面目で友達のいなかったいち子にミカが話しかけ仲良しになり、二人学校帰りに寄り道したり「鏡の家」を見つけたりして、思い出を作る。私立中学受験に失敗し同じ中学校に入学するも、ミカはいじめられいち子は、あこがれの先輩と付き合うなど微妙に距離ができ、とあることでミカは足を負傷、転校することとなり、いち子は罪の意識を持ちながら人生を歩む。そして二人再開するが…。
    台風の晩、コンビニでいい加減な店長(船津健太)と入店して間もない店員の松田(小田原直也)の二人は、四苦八苦しながらも業務を続け、明け方、年老いたいち子が、店を訪れる…。

    いち子とミカの思い出の場所である鏡の家のあった場所がコンビニになってたという話。別々のような話で、演劇的にクロスさせつつ、いち子らの子供から大人になりつつスレ違う寂しさと、妙なテンションで台風の晩を過ごす店長らの抜けた話のバランス感覚はよかった。やや退屈に感じるシーンもあって、もっと濃密なシーンがあるとよかったかな。
  • 満足度★★★★

    若者とは

    既にして恐るべき老人である。
     かつて、リルケは言った。

    ネタバレBOX


     苛めを受け、たった独りだった少女に友人ができた。誰にも気付かれない廃屋での冒険や大きな犬が居る為に通れない近道の謎を解明するなどの子供らしい冒険を共有するが、隠れ家のような廃屋に置きっ放しにしたコンパクトは、貸してくれた友人の宝物だった。ひょんなことで喧嘩をした台風の夜、その宝物を探しに行った友人は、足に大けがを負って引っ越してしまった。ところで、友人を傷つけた責任があった少女は、その後数十年の時を経て徘徊するボケ老人となり、かつての廃屋を何度も訪ねようとする。然し、辿り着けない。一方その場所には現在コンビニが建っており、そのコンビニの状況と老婆の幻想とが入れ子細工で描かれるという構成の作品だ。ラスト徘徊を繰り返す老婆が、漸く辿り着いたコンビニは、足に大けがをして転校した友人の店で、苛めを受けていたのは徘徊する己、総てに成功していた若いころの自分は単なる幻想でしかなかったことが明らかになる。ちょっと残酷な童話のような作品だが、若い人が書いている所をみると上に挙げたリルケのフレーズに思い至った。
  • 満足度★★★★

    約75分
    観たひと誰もが少しだけ立ち止まって人生を見つめ直したくなるような、人生ダイジェストといった趣の一作。
    若い脚本家と演出家による作なのに、生を達観したかのようなわびしさがあって、もう枯れかけの私はその淋しさに琴線を震わされた。
    某シーンにおける、北村汐里さんの生き生きした演技に好感。

    ネタバレBOX

    通学路を外れた女子小学生二人が「小さな冒険」を生き生きと楽しむ冒頭部は楽しく鑑賞。
    それだけに、その一人が、施設に入れられたボケ老人として登場する終盤のワンシーンには戦慄!
    人生のはかなさが身に沁みました。。。
  • 満足度★★★★

    作り込み
    やや盛り過ぎの感あり。

    ネタバレBOX

    少女の頃の心の棘を抜こうと、今は介護を受けている女性が友達との思い出の地、鏡のコンパクトがあった場所を毎晩妄想の中で探し続け、現在コンビニになっているその場所に妄想の中でようやく辿り着くとともに、コンビニの現在の人間事情を描いた話。

    過去と現在、異なる空間がステージ上で交錯し、本と弁当、バイトと猛犬など小道具を共有する工夫が見られました。虐められていたのが自分だったとか、過去の真実も明かされました。友人はコンビニのオーナーになっていました。

    策士策に溺れる、やや盛り過ぎの感がありました。
  • 満足度★★★★

    眠れない夜は、
    記憶を徘徊。台風の中、コンビニに辿りつけたら懺悔しよう。

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