満足度★★★
優れた商業演劇
秋元松代が蜷川幸雄のため80年に書き下ろした作品の上演。物語は一定程度壮大ながら、極めて分かり易く、ある意味でそれほど感動的ということではないのだが、これだけの達者な役者陣を集めて演じると、芝居として非常に完成度の高いものになる。商業演劇というのはこうあるべき、と思えるような作品であるとは言える。
大衆演劇とは
こういうものなのだろう。物語も解りやすい…というかベタな作品なのだけれど、お客さんは(特に、ややご年配の方は)充分に楽しんでいらっしゃるご様子。席が前方のセンターブロック下手の通路脇だったため、目の前でいいシーンを拝見できて「ごちそうさま」という気分。ただ、猿之助さんの唄は、お疲れなのかちょっと高音が伸びず残念。
満足度★★★★
蜷川演出、三作目。
全体に判りやすさの中に何がしかの趣向を持ち込む演出家、との以前持った印象を思い出した。客席の通路を出ハケに使い、盲目の二人のみとなった女連れ(猿ノ助と宮沢りえ)の道行き、両名とも目を瞑って・・という演出かと一瞬思いきや目を見開く方。表情を見せたかったためだろう。そうした効果や、プロセミアムの枠を覆い隠す程の、椿の緑は故・朝倉摂の美術、故・猪俣公章の音楽、故・美空ひばりの歌・・。もちろん亡き秋元松代の戯曲は、ギリシャ悲劇張りに、大舞台に見合う物語を紡いでいた。興味深い作家の上演はまだ二作目。蜷川氏の発掘(又は復刻)仕事に今後も期待。
満足度★★★
立ち見で観劇
千秋楽前日になんとか時間取れ、立ち見観劇。
絶え間なく椿が降り注ぐ中、瞽女と時代の禍々しい格差にアホボンな上方色男。
終始落下してくる椿の音が時に耳障りだったり、小説の章段落のように各場面の恋路や生き方を区切って展開させていたような印象を持った。その流れか、段田さんの役柄は年齢的に見合ってないんではと、思ったが、能楽堂の山場からの巧みさに引込まれた。
瞽女二人が瞬きせずに花道歩く姿、能を舞う、三味線旋律、などなど役者の力量を目の当たりにし、凄いなーと改めて感心。
カテコの猿之助丈の堂々たる姿は女座長のような存在感だった。
満足度★★★★
今年の初観劇は蜷川作品!
芸達者な出演者、美空ひばりの歌、蜷川演出で観る、究極で普遍の愛の形。
上演中、常に落ち続ける牡丹の花も、もの悲しくも強烈な愛を語る。
泣けました。
新年一発目でした。