ミュージカル『パッション』 公演情報 ミュージカル『パッション』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
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  • うーん…
    開幕していきなりのベッドシーンて初めて。シルビア・グラブさんが怖過ぎて魔女にしか見えない。愛されて解き放たれた後の普通の姿が美しい。魔女からのギャップが凄い。愛されることとストーカーは紙一重だということを、改めて思い知らされる。家族のある人との恋。どちらがアプローチしたのかにもよるけれど、「子供が幼い今は無理。時期が来ればどんな犠牲でも払う」という姿勢には誠意を感じるけどな。相手が今すぐ家庭を捨てられないこときっかけで、呪いのようなストーカーまがいの愛に心移りって腑に落ちない。出演者が演劇畑、オペラ畑、ミュージカル畑など、さまざまなバックボーンをもっているようで、何だか統一感がないように思えた。決闘への流れも、決闘自体も急展開で感情がついていけなかった。感情が寄り添える人物も場面も見つけられずに終幕してしまったなぁ。無念。

  • 満足度★★★★

    ミュージカル「パッション」
    題名とチラシ画通りの暗く熱い情熱が満ちてた。シルビア・グラブさんが素晴らし過ぎ!急転直下の展開に驚き、疑問噴出(笑)。穴があくほど見つめて考える時間をもらった。

    ネタバレBOX

    PASSIONは「キリストの受難」の意味もあるんですよね。
  • 満足度★★★★

    なぜその人を愛してしまうのか
    それは、他人にはわからないものである。
    さらに本人もわからないのでせはないか。
    この作品では、それがじっくりとねっとりと描かれていた。

    ネタバレBOX

    情熱的な愛を歌い上げるミュージカルかと思っていたら、かなり違っていた。

    愛し合う美男美女(の設定だと思う・笑)。
    しかし、ジョルジオが国境守備隊への転属することで、それが引き離されてしまう。
    守備隊で出会うのは、上官の従姉妹で病弱の女性・フォスカ。
    ジョルジオは、病弱な彼女に憐れみをかけることで、彼女から惚れらてしまう。
    ジョルジオは、恋人がいるため彼女の愛を受け入れることはしない。
    しかし、フォスカはジョルジオにストーカー的とも言える一方的な愛を注ぐ。
    さらに、ジョルジオには、先の短い彼女に対して会ってほしいと、軍医からのプレッシャーもかかる。
    しかし、ジョルジオが残してきた彼女・クララは人妻であった。
    したがって、ジョルジオはどちらに転んでもいい結末を迎えることができない予感がする。

    そんなストーリー。

    ジョルジオが国境守備隊へ転属して以降、守備隊の食堂には女性(クララ)の悲鳴が響く。
    観客としてはとても不安になる。
    この時点では何が起こっているのかわからない。

    その悲鳴の女性、フォスカが舞台に登場するのだが、これでもか! というぐらいに暗い。
    舞台の雰囲気を一気に暗闇に落とし込むようだ。

    観客の多くは主人公・ジョルジオの気持ちで舞台を観ているだろう。
    そうすると、フォスカの愛情はとにかく恐く感じる。
    「早くきっぱりと断ればいいのに」と誰もが思ったことだろう。

    もちろん、ジョルジオも断るのだが、上司の従姉妹であり、彼女が命が短く病弱ということもあって、彼は完全に振り切ることができない。
    ジョルジオが休暇をとって列車に乗っていると、フォスカもやってくるシーンなんて、恐すぎるし、倒れた彼女を置いていくことができないのも理解できなくはない。
    まさにがんじがらめのジョルジオはどうなるのだろうか、と思っていた。

    一方、ジョルジオとクララとの関係もなんとなく危うくなってくる。
    中盤で明らかになるジョルジオとクララの関係には、驚いた。
    冒頭の2人のラブシーンが皮肉めいて見えてくる。

    不倫関係であって、クララは子どもと別れたくないという気持ちがあるから、もともと無理のある関係だったのが、ジョルジオと物理的な距離を置くことで、さらにそれがジョルジオにとってもあからさまになってしまったのだ。

    互いに都合の良いときだけに逢瀬を重ねていたときには気が付かなかったということだ。
    「目の前に恋の相手がいるときには相手は見えていない」ということなのだろう。

    「(夫と)別れてくれ」と懇願するジョルジオに対しての、クララの回答はジョルジオからすれば、「この女もか」と思ったのではないか。
    ストーカーのフォスカと同じで「自分のことしか考えてない」、つまり「女ってヤツは!」と。

    ここで、ジョルジオはクララとの関係についてようやく“目が醒め”、“現実を見ることができた”のではないだろうか。
    こうなると、あんなに鬱陶しかったフォスカとの関係も改めて別の角度から見ることができたのではないか。
    ただ、ここの彼の気持ちの変化には正直共感できない。

    好きでもなく、逆に疎ましいと思っていた女性からの愛情を受け入れようと思える瞬間はあるのだろうか。
    “気に掛かっていた”相手が急にクローズアップされることはあったとしても、こんなにイヤな思いをしていた相手に対して。

    なので、フォスカの従兄弟の上司が、勘違いによりジョルジオに激怒するときの、ジョルジオの態度はどこかやけっぱちというか、投げやりな感じに見えてしまった。
    「もう、どうでもいい」と。

    にしても、ジョルジオって「恋愛のことしかないのか?」とつい思ってしまった。もちろんそれがテーマなのだから仕方はないのだが。
    それが彼の世界の大半を占めているように見えた。イタリア人の男だからか、というのは偏見か(笑)。

    恋愛というものは、錯覚や思い込み、幻想、理想などが複雑に絡み合ったものである。
    そして、“なぜその人を愛してしまうのか”は、他人には理解できないものであり、本人もわからないのだ。
    この作品では、それが描かれていたのではないかと思ったのだ。
    結局本人にしかわからないものだ。
    それは「恋愛の相手にもわからない」のでもある。

    この内容はどちらかと言えば、ストレートプレイの舞台として、じっくり台詞と演技を楽しむもののほうがよかったのではないかと思った。
    ミュージカルって、たいてい観劇後にはテーマ曲など印象的な曲が頭の中に鳴っていることが多いのだが、この作品にはそれがなかった。シーンとしての印象のほうが強かった。

    舞台セットはシンプル。
    主なキャストの、井上芳雄さん(ジョルジオ)、和音美桜さん(クララ)、シルビア・グラブさん(フォスカ)の3人がとても良かった。

    井上芳雄さんは、優男で折れやすそうな感じのイケメン風が、和音美桜さんはジョルジオに愛を注ぐ恋人から人妻の顔の変化が、そしてシルビア・グラブさんはとにかく暗いのだが、半ば強引であるところや、彼女がジョルジオに対する想いを手紙を書かせるということで表現した歌が、あまりにも強く溢れ出し、それが激しい愛情表現であり、裏返せば“(ジョルジオにとっての)恐怖”でもあることが伝わってきたところなどが良かったのだ。
  • 満足度★★★

    ちょっと難解だけど、レベル高し
    ソンドハイムのミュージカルは、元々万人受けするタイプではありませんが、この作品は、特に、玄人受けする演目かもしれないと思いました。

    井上さんの演技には、「アンナカレーニナ」を彷彿とさせるものがありました。

    和音さんの背中の美しさと、シルビアさんの怪演並の名演ぶりにドキドキすること多々あり。

    演技と歌唱力の確かなキャスト揃いで、舞台のクオリティは高いのですが、好みは分かれる演目だと思うし、明るいミュージカル好きな方には、奨めにくい作品かもしれません。 

    両者にお気の毒な気がしたのは、後方席で車椅子で観劇されていた障害者の方と、一般客の方々。

    難解な恋愛哲学のような作品で、ソンドハイムの、人物の心情を音符に還元したような、不協和音的なメロディの度に、障害者の方々の不安を煽るのか、静かな劇場に、度々、雄叫びが響く結果となり、作品に見合わない空気が生まれてしまったのは残念でした。

    心から、ハッピーになれるような、スイングできるようなミュージカル作品なら、両者が楽しめたのでしょうに…。

    ネタバレBOX

    冒頭、いきなり、濃密なベットシーンから始まるので、ドキドキものでした。

    後方席で構えていた双眼鏡を慌てて下ろすほどでした。(笑い)

    和音さんの背中の美しさにはクラクラしました。

    シルビアさんのフォスカが、まさにストーカーのようで、観ていてかなり怖いです。

    でも、夫と子供がありながら、都合の良い時にだけ、自分との情事を欲する美しいクララへの欲情ろり、病弱にも関わらず、身を呈して付き纏う、フォスカの濃い愛情にやがて、靡いて行くジョルジュの心情は、やはり、女の私には、ちょっと共感し辛い部分がありました。

    出演者の力演を堪能したい方にはおススメですが、あまり、演劇に精通していない観客には、少し、苦痛かもしれないステージでした。
  • 満足度★★★★

    好き嫌いが分かれる作品かも・・・。
    久しぶりのミュージカルでした。
    私はストプレは結構暗かったり、ドロドロだったりも好きなんですが、ミュージカルはわかりやすいのが好きなので、物語的にはちょっと苦手でした。
    でも、生演奏は素敵だったし、出ている役者さんたちが皆さん美声で、大型ミュージカルにありがちな大人の事情的なキャストがいないので、作品としてのクォリティーは高いと思いました。
    自分の残り少ない命をジョルジオへの愛に全て使ったシルビアさんが、素晴らしかったです。でも、正直、ちょっと怖くもあり、ラストのジョルジオの気持を理解するのは、私にはちょっと難しい・・・・・。
    でも、不倫にあそこまで純粋な愛を求めたジョルジオだから・・・とも思うのですが。

  • 満足度★★★★

    愛されて死ぬことこそ生きた証(喜び)!
    ソンドハイムの感情の起伏にあわせ、同じ曲の中で拍子までもが変わるという難曲を歌いこなす井上芳雄、シルビア・グラブ、和音美桜の3人のキャストが素晴らしい!
    約30曲の中で3曲しか明るくなるような曲がないという。
    いわゆる東宝系などの商業ベースではやらないであろう新国立劇場ならではのミュージカル。
    フォスカ役シルビア・グラブは”レベッカ”と共に代表作になるでしょう!


  • 満足度★★★

    至上の愛に泣けるか
    ミュージカル界のプリンス井上芳雄の登場に、女性客で埋め尽くされた新国立劇場。すべて与えるだけの無償の愛を知ることになる主人公の兵士ジョルジオを演じた、井上の熱演に最後はスタオベだ。さて、あなたはこの至上の愛に涙することができるか。

    ジョルジオに一目惚れをするフォスカは不治の病に冒されている。それでも執拗に追いかける姿ははっきり言ってストーカーだ。ジョルジオは、フォスカが上官のいとこゆえ、むげにもできず困り果てているが、常軌を逸するストーカー行為はどう見ても迷惑千万。さらに、「私なんか死んだ方がいいと思っているんでしょう」と言うフォスカは、その迷惑行為を自覚している。

    だが、ある瞬間から、その形勢は逆転する。ジョルジオが「無償の愛」に気付くからだが、これに心を動かされるかどうかで、この物語へのめり込めるかどうかが決まるのではないか。

    個人的には、フォスカを演じたシルビア・クラブが歌唱よりも演技で舞台を席巻したと思う。宮田慶子演出で大きな期待があったが、その演出も評価が分かれるところかもしれない。ツボにはまった人は、至上のミュージカルとなろう。

    ネタバレBOX

    ジョルジオが当初から熱愛していたクララには妻子がいて、つまり不倫関係だということで、どっちもどっち、と感じる向きがあるかも。舞台では、不倫関係にあるということが途中で分かる。有名な物語だから筋を知っている人も多いだろうから問題はないかもしれないが、この時点ですっと我に返るお客さんもあるではと思った。

    だから、本当に評価は分かれる。「パッション」すなわち熱情というタイトルにすら。

    それにしてもやはり。女性は現実的なのか。至上の愛に目覚めて人生を変えてしまうのは男なのか。

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