満足度★★★
ちょっと難解だけど、レベル高し
ソンドハイムのミュージカルは、元々万人受けするタイプではありませんが、この作品は、特に、玄人受けする演目かもしれないと思いました。
井上さんの演技には、「アンナカレーニナ」を彷彿とさせるものがありました。
和音さんの背中の美しさと、シルビアさんの怪演並の名演ぶりにドキドキすること多々あり。
演技と歌唱力の確かなキャスト揃いで、舞台のクオリティは高いのですが、好みは分かれる演目だと思うし、明るいミュージカル好きな方には、奨めにくい作品かもしれません。
両者にお気の毒な気がしたのは、後方席で車椅子で観劇されていた障害者の方と、一般客の方々。
難解な恋愛哲学のような作品で、ソンドハイムの、人物の心情を音符に還元したような、不協和音的なメロディの度に、障害者の方々の不安を煽るのか、静かな劇場に、度々、雄叫びが響く結果となり、作品に見合わない空気が生まれてしまったのは残念でした。
心から、ハッピーになれるような、スイングできるようなミュージカル作品なら、両者が楽しめたのでしょうに…。