満足度★★★
独り芝居の『審判』といえば…
カトケンさんがライフワークとして何回も上演しているのが有名だとおもうが、重い話だと判っているので観たいとおもったことは無く。しかも翻訳物だし。
なのに観に行ったのは、つまり演者が多田くんだからだ。
独り芝居だし、すごい大作だし、彼にとっては大きな挑戦なはず。
多田ファンとしては、こんな機会を見逃す手は無い。
満足度★★★★★
名作……
言語に絶する体験を語り続ける1人の男。
ときに激し、ときに涙ぐみ、ときに冷笑し、しかし、揺れ動きながらも務めて平静かつ理性的であろうとする。
久しく感じたことのない緊張感と集中力。
張り詰めた空気が会場中を支配し、200人近い観客が、眼をそらすことも身じろぎさえできずに、
ただただ息をひそめて1人の男の言葉を受けとめ続けた2時間15分。
壮絶な内容以上に、それを語る男の意志と、演じる役者の覚悟に圧倒された。
満足度★★★★
観客もまた誇りを持って
「観劇してきた」というよりは、「陪審員として裁判を体験してきた」という方が相応しいでしょう。
敵軍の捕虜となったロシア軍の将校7人は、地下牢に閉じ込められ、水も食料も与えられないまま置き去りにされてしまいます。60日後、ようやく味方に救出された生存者は2人。彼らはいかにして生き残ったのか。生存者の1人ヴァホフ大尉の証言によって、仲間を1人ずつ殺し、その肉を食らって生き延びてきた様子が、時に生々しく、時に激しさを持って語られます。
人が人を殺して肉を削ぎ、貪り食う極限状態の描写。そのあまりの凄惨さのせいでしょうか。途中退席する人や、体調を崩して倒れてしまう人が現れるほどでした。今後の上演に当たっては、そうした描写が苦手な人のケアや事前の注意は必要かもしれません。
セットも小道具も最低限に抑えられたシンプルな舞台でたった一人、2時間強の間、一瞬も緊張感を落とす事無く訴え続ける気迫には圧倒されるばかりでした。
多田直人の演劇人生のターニングポイントになるだろうというこの舞台。観客もまた近い将来、本作品を観たことを誇りを持って思い出すことでしょう。
満足度★★★★
生きることと人間であること
重かったし辛かった…が、すごかった。
多田くんの顔が、どんどん多田くんに見えなくなっていきました。
鳥肌立ちましたし、鳥肌以上に、身体が震えました。
怖かった。
多田くん以外では、この演目を観たいとは思わないだろうなと思いました。
「私は皆さんの審判を待っています。」と言われても、私には裁けません…。
ただただ、この戯曲を知ったことが、観に行ったことに意義があるようにも思います。(参加することに意義がある。)
アンドレイ・ヴァホフになった、多田直人さんは、すごいと思いました。
満足度★★★
これは凄い
演目については超有名戯曲で
わたしの好き嫌いなどあまり関係ないので置いておくが、
感想としては「多田くん凄い」につきる。
何かが憑いたように語っていた。
時には冷静に、時には感情を爆発させながら。
そして最後は本当に別人のように観えた。
顔がね、全然違っていて驚いた。
縷々として語られる台詞は、
変なたとえだけど落語の語りのようにも思えた。