片鱗 公演情報 片鱗」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.9
1-18件 / 18件中
  • 満足度★★★★

    さすがイキウメにハズレ無し
    やっぱりおもしろかった。今回は、ちょっとオカルトというか、怖いお話。
    手塚とおる氏が出るというので、これもたのしみだったのだが…

    ネタバレBOX

    超ベタな使い方というか。でもそれが正解なのかも。手塚さんならではの不気味さを存分に味わえる役。
    「魔」っていうか、「呪」かな? 役名は「男」だけど。
    セリフはひとつもなく、時々呻き声をあげ、手足をくねらせて舞台上や客席を徘徊しているだけ。
    最前列の客席がところどころ空席なので、ああこれは何かに使うんだなと予想したけれど…手塚さんが座るためだったとは。隣に座られた人はちょっと落ち着かないんじゃないかしらん。

    一見平穏な郊外の住宅街に、父一人娘一人の安斉家が越してきたところからソレが始まる。
    まあつまり、ソレってのは「呪い」だったわけだが。
    「男」を目撃した人は、次々とおかしくなってしまう。
    「許さない」のひと言だけを繰り返し、コミュニケーションも取れず、謎の「水」を身体から零す。そして間もなく死んでしまう。
    安斉家の周囲では植物は枯れ、人々は狂い、ついには廃墟と化すという。
    唯一の部外者である蘭の恋人・日比野は、奇妙な冷静さで「水」や安斉の過去に済んでいた町を調べる。(「水」は重水であった。重水ってそういえば何だっけ?と調べちゃったよ。)
    住む町をことごとく廃墟にしたのだろうと咎める日比野に、「私ではなく、娘の体質のせいだ」と安斉は答える。

    大河原家の息子・和夫は安斉の娘・忍とつき合うようになり、忍は妊娠。
    和夫は親に告白し、安斉に謝罪する。堕胎してもらおうとするが、安斉に「君は自分を変えようとはしないのか」「忍を愛していないのか」と問われ、父になる決意をする。和夫役の大窪人衛くんが健気でかわいい。
    布を縒りあわせた太い綱が、水を滴らせ上から降りてくる。臍帯を想起させる。
    忍はその綱を引き絞り、呻き声をあげ、「男」が加勢し、そして出産。
    「よくやった。お前は自由だ」と父は告げ、娘は微笑む。

    制服のブレザーではなく、私服を着た和夫が赤ん坊を抱いている。帰らぬ忍を待っているのだ。
    忍の母は、忍が生まれてすぐ消えたと言う。
    初潮が来るまでは幸せで、以降は苦しみしか無かったと。
    ああやはり。
    和夫の腕の中を覗き込み「もしかして…」と言いかけた日比野を制し、叫ぶ和夫。
    「こんなに可愛いのに!」


    恐ろしいのは、「許さない」と言われた皆が、そう言われたことに対して思い当たる節があるっていうこと。
    独り者の佐久間に「許さない」と言われた蘭には、言い寄った彼をつっぱねたという過去があった。大河原は妻に「許さない」と言われ、蘭との不倫がバレたかと思い自爆。
    町内会を作ろうと働きかけたり、ご近所でBBQパーティーを催したり、うわべは和やかに見えても実は…という。
    でも「呪い」と口に出して行っちゃうと、どうも陳腐に聞こえてしまう。
    そこはもうちょっと、秘すれば花的にやってほしかったかな。


    んでもって、みな安定の役者陣☆どなたも良い!
    伊勢佳世ちゃん、女っぽい~。(キャスト票に「蘭」とあるけど、自分の記憶では「リン」だったんだよね…。「ラン」って言ってたっけ? おかしいなあ~)
    そして!大好きな浜ちゃん、ちょっと嫌味な日比野役もバッチリこなすわー。
    この日はまたまた風邪っぴきで、終演後は直帰。
    できたら感想を語り合いたかったのになあ~。残念。
  • 満足度★★★

    初イキウメ
    期待をしすぎてしまったのか、ストーリーが自分にはハマらなかったのか、楽しみきれなかった。なんというか、中途半端な後味が残ってしまった。ただ、役者さんはとてもよく、違うお話で観てみたい…と、また期待を膨らませてしまいました。

  • 満足度★★★★★

    ハズレなし
    新潟県柏崎市出身の前川さんのお芝居は、いつもちょっと暗く、不穏であり、私はいつも冬の日本海の暗さを感じます。
    今回の「片鱗」もゾクっとする怖さ。日常の中のホラーが一番怖い。後ろに誰かがいるような…。
    円形劇場の使い方も面白かったです。
    ラストの、出産のシーンも象徴的(昔はたぶんあんな感じで産んでたんでしょうけど)で良かったです。

  • 満足度★★★★

    最終日観劇
    気になっている役者さんに見つめられたら、恋に落ちそうなもんだが、ここに出てくる人達と視線を合わせたら、第六感と薄気味悪さが研ぎ澄まされそうな感覚に陥りそうだ。
    人間関係や日常の因習が構築して破壊して、生み出し増幅し、成長し続けたような展開というか。
    劇場内の空調やスタッフの動きを見ても何かあるのでは、と訝しさが包みこんでそれすらも興味深く、ホラーで不条理世界な舞台だった。
    90年代末期〜00年代隆盛だったJホラー映画を思い出した。
    縦横無尽に這いずり動きまくりながらも存在を消した手塚とおるさんが見事。
    円形であの動きなら他の劇場ではどんな演出になるんだろう。

  • 満足度★★★★

    お隣さん
    隣は何をする人ぞ。そうではなく、日常にあるひとつの風景の中にお隣さんとして生活していた気がしました。あのひとことがいろいろな意味を持ち、いろいろに受け取れる。面白い。

  • 満足度★★★★★

    ホラー作品だとは思わない
    久しぶりに、イキウメの本領発揮の舞台だと感じました。

    思索的、哲学的にして、やや怪奇的味わいが絶妙!

    小泉八雲の怪奇小説を思い出したりもしました。

    現代の怪談的な作りながら、どこか究極の人間賛歌風な後味が素晴らしかった!

    今回、一番驚いたのは、大窪さんの演者としての並々ならぬ躍進ぶりでした。

    かなり、円形劇場の芝居は観ている方だと思いますが、この劇場の使い方も、私のベスト1という衝撃的なセッティングでした。

    それにしても、手塚さん、存在そのものが不気味で、改めて凄い役者さんだなあと感嘆!森下さんも、私が観たこれまでの芝居の中で、一番存在感ある役柄でした。

    今後のイキウメが益々楽しみ。そして、前川作品の演出は、やはり前川さんご自身じゃないとと、改めて痛感しました。

    ネタバレBOX

    等間隔に設置された、4つの黒い箱状の舞台。その間は、十字路を表していたのですね。この十字路に、得体の知れない幽霊のような男が徘徊し、会場をそれとなく怖がらせた後、舞台は一転、陽気な雰囲気で、
    大河原家の3人家族、土地持ちの独身男性佐久間家の一人住まい、若い独身ガーデンデザイナーと半同棲の男性が時折出没する堀田家。この3つの家庭に、安斎父娘が引越しの引き出物を持って挨拶に訪れる場面から、物語が始まります。

    それほどの台詞が交わされるわけでもないのに、このファーストシーンから、登場人物それぞれの性格や関係性が、瞬時に客席に伝わる、前川脚本の巧みさに感嘆します。

    4つの家を表す舞台は、各場面ごとに、住人が入れ替わる仕組も、とても斬新。

    手塚さん演じる得体の知れない男が、撒く水が、何よりも、恐怖心を誘発します。この水は、結局、羊水なのかな?だとしたら、手塚さんの役は、生まれ得なかった胎児なのか?

    高3の和夫は父になる道を選び、これから、安斎父娘と同じ人生を送るのでしょう!

    ホラーと言うより、私は「そして父になる」に共通する、作者の思いを勝手に感じ取ってしまったのですが、解釈間違ってるかな?

    しかし、この作品で一番怖かったのは、親しかった隣人が発する「許さないからな!」の言葉かも。自分の心の中を前川さんに見透かされた気がしました。
  • 満足度★★★

    やや新味に欠けるかも
    イキウメのホラー作品。閑静な住宅街に起こったある異変、
    それが引き起こす疑念が徐々に大きくなって、やがて崩壊を
    招く、という物語。

    青山円形劇場をああいう形で使う、というのはなかなかない
    感じで、すごい、と思いました。ただ、台本が…最後は多分
    こうなるかな、と思ってた着地点に落ち着いたのが残念。

    ネタバレBOX

    物語自体は、昔の「Jホラー」にいくらでも題を見つけられそうな
    話です。男親とその娘が越してきて以来、近隣住民の住む家の
    芝生は枯れるわ、住民は一人づつ、「絶対に許さない」という言葉を
    残して、常軌を逸していくわ…。

    どうやら、親娘に宿った「過去からの呪い」が原因じゃないか、という
    事までは観ていて分かるんですが、詳細は不明です。最後は近所に
    住む一家の男の子と娘が情を通じてしまい、結果、妊娠。

    娘は女の子を出産後、親と一緒に蒸発し、残された男の子が娘と共に、
    やがては同じ道をたどっていくのではないかという含みを持たせて
    物語は終わります。

    私は熱心な読者ではないですが、鈴木光司氏の作品に同じ内容の
    作品があるかも知れないですね。詳細の説明が無い、という意味では、
    平山夢明氏の不条理系ホラーが好きな人にもお勧めできると思います。

    呪いのかかった人が舞台に残す大量の水。私は、あれ、「羊水」を暗示
    しているんじゃないかと解釈したんですけど、果たしてどうなんだろう。
    自分を妊娠させて、挙句捨てた男の一族への、女の呪いとか?

    あと、この劇、ラスト周辺の台詞の恐ろしさが秀逸過ぎると思います。

    「こんなに可愛い子が…絶対に有り得ません!」

    でも、その子も生理が始まる頃には、周囲への呪いが発動して
    破滅を引き起こしていく可能性が非常に高いわけで…。
    それだけに、ありがちな終わり方だけど、背筋凍りました。
  • 満足度★★

    面白かった・・・かい?
    正直、コレが舞台じゃなくて映像作品だったらもっと怖くて面白かったろうと思わせるのが残念(でも怖いの苦手なので映画だったら観にいかない)。
    生身の役者が目の前で演じるホラー作品は怖がる気持ちに客席の自分を持って行くのが難しいよね。アバンタイトル的なパートが一番怖くて、後はひたすら左脳で観てしまった。

    …まあ、それ以前にハナシも演出、照明、音響の手法もありきたりなホラー映画のソレなので、あのやり方で「ホラー演劇」ってムリあるかもなあ。

    ネタバレBOX

    ほめるところを探すと「水」ですね。水音と飛沫、水溜り。あれは「ナマだからこそのリアリティ」が五感にショックを与えてくれる。
  • 満足度★★★★

    流石前川作品
    イキウメ(前川)のアジが全面に出た良い作品かなと思います。
    得体のしれない恐怖をSFチックに描き出し
    現代に投影した作品に仕上がってます。

    精神錯乱、不安、恐怖、想定外の事態と、通常の世界でなら当たり前のはずのことが
    今現在の恵まれた世界では「ありえないこと」とされ、想定外の事態に誰も対処できず、今ある幸せを手放す恐怖、不安に苛まれ、崩壊していく現実的な恐怖にさらされ、どうしようもなくなっていく仮想現実をうまく描き出しているのではないでしょうか。

  • 満足度★★★

    ひとこと言わせて
    ネタばれにつき BOXをご覧下さい

    ネタバレBOX

    まず 「片鱗」というタイトルの付け方が憎いです。黒い舞台に、さらに黒光りして拡がる水の質感、音 昔観たガジラの世界にも似て、何より手塚さんの存在そのものが 黒、ノアール。

    終盤 「呪い」って言葉が出てきましたが あの言葉は 敢えて使わないほうがよかったって思います。言葉にしちゃったら、あ、呪いなのねで片付けられてしまって せっかくいいタイトルつけたのに興醒め。重箱の隅をつつく感じでごめんなさい。でも一番言いたいことです。
  • 満足度★★★★★

    「いい仕事してますねぇ」
    ・・とは、劇場を出る人波の中でおばさんが関係者らしい男性に嘆息まじりにかけていた言葉。この声に私もつい共振してしまった。
    円形劇場は3度目。本谷有紀子、鹿殺し、で今作。一番良かった!(さんぶんのいちかよっ) ・・の意味は円形劇場の空間処理がうまい。
    ほぼ腰の高さの四畳半大、リノを敷いたような台(下は空いている)が四つ並び、その間は十字の通路となり、台は登場人物(世帯)の家となり、シーン転換ごとに所有者が変わるのもめまぐるしい。代替可能性は、ああ多分この話が「誰にでも起こり得る事」の暗喩となってた、と思う。この装置のシンメトリー、あるいは点対称が「円形」にマッチしてるし、通路は各出口へと繋がっていて、怪しげな「侵入者」がいつ現れてもおかしくない「不安定」を醸してる。後付かもしれないが、案出した方の直感の源を手繰れば、あながちはずれでないようにも。。

    ネタバレBOX

    さてお話だが、伏線が的確な演技でしっかり提示され、しっかり次に引き継がれる、時間・空間ともに凝縮されたドラマを構成していた。その芯は、冒頭登場する不審者という「ナゾ」(後に「許さない」と突然叫ぶ行動に発展する)の正体への接近に他ならない。だが、このナゾ解きの周辺のドラマが見事なスピードで展開するため、実はなかなか進まず放っておかれる「ナゾ解き」のテンションは維持され、緊迫と弛緩の境界ギリギリをさまよう。そして最後の最後に、私達の日常の思考の延長に語られる事実が、幕が落ちるように現われる。。
    正しく言うならナゾの本当の答えはわからない。「恐怖」は、そのわからなさにある。シンクロニシティではないがこの世界にある偶然性の説明不能な法則が、男の痛切な叫びの後ろに「あるのかも知れない」と、観客に考えさせる迫力、あの場面がこのお話のクライマックスだ。
    呪いと妊娠のからくりはナゾに対する答えの例示に過ぎないんで、「なるほどオチを付けたな」と怖がりつつほくそ笑めば良いように思えた。
    この作品の男の呪われた(ような)人生は「徹底した不平等」を象徴していた。その不条理を受容した男の姿は、彼の娘に惹かれた青年に呪いを全て引き渡す「非情さ」を正当化し、なおかつ彼の、青年への深い愛に等しい心情を観客に想像させもする。ここに至って人生への諦観は、逆説的だが人類の憧憬の一つの極と見えてくる。ユダヤ民族の事が今よぎった。
    初投稿長すぎたか・・
  • 満足度★★★

    久々に
    後味の悪いイキウメだった。
    この内容ならもっと恐くしてもいいんじゃないかな。
    円形もあんまり活きてなかった。

  • 満足度★★★

  • 満足度★★★★

    ネタばれ
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    イキウメの【片鱗】を観劇。

    ある地方の住宅街で、不審者がうろついていると目撃情報が寄せられる。
    その不審者の影響かどうか分からないが、近所の男性が突然「許さない!」と言葉を連発して、精神に異常をきたしてしまう。そして段々と周りの人達も同じ様な状態になっていき、街の風景が少しづつ変わって行ってしまう。

    平和な日常が、ちょっとした出来事が起きた事によって、個人のアイディンティティーが少しづつ崩壊していく様がゆっくりと描かれていく。特別な事件があったわけではなく、各個人の思い込みから発した事で己自身を崩壊させていき、更に社会そのものを壊してしまうという恐ろしい現代社会の縮図を描いている。その人間が崩壊していく様をややホラー仕立てで描いているせいかゾッとしてしまう。
    今作で感じられた事は、個人が他人との間に必ずある相いれない部分こそが、全ての出来事の発端だと言っているようにも感じられる。たがそこまでは明確に戯曲には書かれてはいないが、そんな事を考えながら登場人物の関係性を観てしまう事で、己の普段の日常生活に寒気を感じてしまう事が今作の狙いではないだろうか。
    そしてこれこそが作・演出の前川知大の得意とする非日常へ誘ってくれる上手さであろう。

    前作同様、見応えがある作品だ。

  • 満足度★★★★★

    素晴らしい。
    話のすじはありふれた感じがしました。でもベタをきっちり押さえた上でキャラが精密に描かれ、作り込まれた感情表現があれば、一流の作品です。SF的な、今現在は起こりえないのだけど、近い未来に起こったらと想像出来るくらいのリアリティがある。絶妙だと思いました。

  • 満足度★★★★★

    さすがです
    手塚さんをこんな贅沢な使い方をして、役者が『ゆるさない』とか言い出して病院行きにならないか心配です。冗談はさておき、舞台自体は本、演出、役者の演技とも素晴らしく、さすがイキウメさんという舞台でした。

  • 満足度★★★★

    初青山円形
    初イキウメ、おもしろかった。ホラーなんですね。髪の超長い細面の若い人はみな蒼井優にみえてしまう。

  • 満足度★★★★

    “怖いは面白い”を実感
     面白い。なのに4つ星にしたのは、この劇のことを人に話す時、素直に「面白かったぁ~!」と言う自信がないからだ。というのも、バルブは話の呑み込みが悪く、結末の解釈に自信が持てずに終演後、自分の見立てが合っているかをスタッフの方に尋ねに行ったという体たらく。「合っている」とのことでホッとしたが、やはり自力で理解できなかった作品に5つ星はつけづらいものである。
     とはいえ、分かりづらさが怖さを生むという側面もあるはずで、分かりやすくしようとバルブ基準に合わせて説明過剰にしていたら怖さが損なわれて本作は台無しになっていただろう。
     やはり、当方のような物分かりの悪い人間は度外視して製作にあたるのが恐怖モノの作り手としての正しい態度なのに違いない。
     ところで、ここまでに「怖」という字が繰り返し出てきたのは本作がホラー演劇として一級だったからに他ならず、ホラー慣れしてない当方は本作を観て“怖いは面白い”ということに気づかされ、今後はホラー演劇にも手を広げようと思った次第。
     それくらい怖かったし面白かったのだが、それは演出や人物造形、さらには人物造形を支える演技に負うところが大だったと思う。
     というのも、本作のストーリーだけを怪談話として人に話してもあまり怖がってもらえなそうな気がするのである。こう言ってはなんだが、筋だけに着目すると同巧の話を過去にも何度か聞いたような記憶があるのだ。
     なのに本作が“一級のホラー演劇”と形容して差し支えない怖さを持っているのは、やはり演出、とりわけその大きな仕事の一つである人物造形の賜物だと言えよう。
     冷淡な人間性がひしひしと伝わってくる長身の男も本作の不気味さを高める上で大きな役割を果たしているし、社交性に乏しそうで何を考えているのか分からないアフロヘアの独身男も同様だ。
     しかし最も恐怖感を高めているのは、なんと言っても、本作の鍵を握る人物の家族だろう。
     この者が時を追うごとに薄気味悪く見えてくるよう前川氏が演出したことにより、本作は“じわじわ、ひたひた怖くなる”というホラーの醍醐味をかち得たように思う。

    ネタバレBOX

     呪われた者たちが体から漏らす水は何を意味するのか?
     なぜ呪われた者たちの口癖は「絶対に許さない」なのか?
     これらを含め本作はいくつかの謎を残したまま終幕するが、恐怖感を高めるためにはおそらくこれくらいの不思議は残しておいたほうが良いのだろう。

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