満足度★★★★★
伊勢佳世さん好演!ベスト!相島さんの和やかな感じがイイ。
伊勢佳世さん好演!ベスト!相島さんの和やかな感じがイイ。
弦楽カルテットを組む4人の男性と1人の女性の物語。
音楽のプロフェッショナルである4人のメンバーは、
さまざまな問題がありながらも協力し合い、互いを尊重し合い、
しかし肝心な時には、各人のその音楽の能力を純粋に
評価し合う、大人のチーム。
私の大好きな「囲み舞台」!
語り口は、軽妙だが落ち着いたコメディでありながら、
プロの集団であることが、仲間として友情として
ともに組むことより優先せざるを得ない、
決して馴れ合いではない、厳しい択を強いることもある
シリアスな点も描いていることが実に味わいがあって面白い。
このことはどんな仕事でも、クリエイティブな世界でも
身近に存在するすることです。
まず、紅一点のイキウメの伊勢佳世さんの柔らかな物腰、
でも実はスキルもある役柄が、4人の男性と対比されて
とってもいい感じです。
最近はイキウメ意外の客演も多いですが、どれも
出番が少なくて彼女のカラーが今一つ生かされてなかった
感じでした。
本作は、彼女のこれまで見た中でもベスト!と思います。
そして男性4人は当然のように安定した確実な演技。
なかでも私は特に、相島一之さんの明るく和やかな性格、
音楽に対するあったかいやさしい夢をもっている
演技が好きです。
満足度★★★★
見せ方上手な演出
いつもは観難いバルコニー席も、こういう舞台配置ならどこからもよく観えそうと喜んだのも束の間、お隣の巨体女性が終始、前のめりでご覧になっているので、私は、彼女の顔と腕の挟間から、舞台を覗き込む形になり、かなり左肩が痛くなっての観劇体制でした。
もっと環境が良ければ、満点の満足度だったかもしれません。
小川さんの演出は、いつも見せ方が御上手だなと感心します。
カルテットメンバーは、皆さん芸達者揃いで、どなたも演技面で、ベストを尽くしていらっしゃり、見応え充分ですが、個人的には、相島さんの佇まいが一番好きでした。相島さんて、テレビとかだと嫌なタイプの人種を演じられることが多いような気がしますが、こういう、数人のグループの調整役的な役柄を演じられると、とても光り輝く気がしています。
紅一点の伊勢佳世さんも、相変わらず、演技の振り幅が自然で、愛嬌があって、文字通り、舞台に華を添えていました。
セットを特に変えることなく、小道具だけで、部屋を特定する技が素晴らしかったと思いました。
内容自体は、もっとシニカルで、重たい内容かと思いましたが、言ってみれば、どこの誰にも経験ありそうなごく一般的なお話でした。
ですから、クラシック音楽の素養がなくても、全く問題なく、楽しめる作品です。
満足度★★★
楽団という最小単位内での人間模様
観終わって、「100%海外演劇だなぁ」というのが最初の感想。
演出次第によっては、後味の悪い、冷徹でブラックな話に
なっても仕方がない題材ですが、小川絵梨子氏の手になる
それは、違った方向性を求めていたようです。
満足度★★★★
現実的なコメディ
実力俳優5人による見ごたえのあるコメディだった。
まず、舞台構成がいい。
木椅子四脚と譜面台を主体にし、若干の小物のセッティングなどして、人物の部屋を表す。必要最低限の装置で、うまくその都度空気を変化できている。客席に囲まれた舞台なので、客への見せ方に苦労したと思うが、四方へまんべんなく、どの役者も語りかけてくる。背中を見つめながら、良いシーンをむかえることもあるが、逆に私たちがその場に居合わせてしまったような、妙なリアリティがあってよい。音楽も恐らく今回のために収録したのだろう。良かった。
芸術活動に限らないが、人間は時として、名声や金、道具に踊らされ、自身の研鑽には目を向けなくなり、その環境に安住しようとする。
都合の悪いことを受け入れるのは難しいが、その人間の弱さを描いた、現実的なコメディであった。
満足度★★★
感情の対位法
弦楽四重奏団の人間関係をユーモアと緊張感を盛り込んで描いた作品で、クラシック音楽を演奏する人や聴く人は勿論、そうでない人でも楽しめる作品でした。
ある出来事がきっかけでヴィオラ奏者を解雇して新たに若い女性奏者が加入し、ホワイトハウスでベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番を演奏するまでの物語が、前任者がいた頃の回想シーンを挟みながらテンポ良く描かれ、色々な思いが交錯する様子が鮮やかに表現されていました。
ショッキングな行動による痛々しい破局の後に優しい雰囲気のコーダが続き、ハッピーエンドではないものの温かみのある後味を感じました。
客席が四方を囲む正方形の舞台の上で、譜面台と4(+2)脚の椅子の配置だけで異なる場所を表していたのが良かったです。
キャップを被ることによって、野球の話題と、がん(抗がん剤による抜け毛)の予感を重ね合わせていたのが印象に残りました。
5人の役者がそれぞれのキャラクターを感情豊かに演じていて、丁々発止の演技に引き込まれました。
演奏家達の物語なので当然ながら演奏シーンが多いのですが、左手のフィンガリングは潔く切り捨てて全く動かさず、右手のボウイングはかなり忠実に弾き真似をすることによってあたかも本当に弾いているようなリアリティーが出ていて良かったです。
作家がヴィオラ奏者とのことで楽曲構造と脚本の関係に凝ったものを期待していたのですが、それほど関連させていない様に感じられ、少々残念に思いました。
満足度★★★★
笑う人の隣で戦慄する人もいる芝居
グラミー賞を受賞した弦楽四重奏団(カルテット)の会話劇。ほぼ正方形の舞台を客席が四方から囲む。これまでの小川絵梨子演出作品より、比較的軽やかで柔らかだった。弦楽四重奏っていいな~!って素直に思った。音楽は美しい。そして嘘をつかない。残酷なほど。
音楽好きの観客が多かったのか、初日は終始温かいムードだった。芸術に魅了され、翻弄される人々を優しく見守るような。実際に弦楽器をやってる人にはたまらないお話なんだろうな(笑)。伊勢佳世さんがハマリ役!清らかで素直でとてもよかった。1時間55分。
満足度★★★★
アフタートークの日
中央正方形のステージを囲むように配置された座席、どこから見ても見やすい。PIT上演作品で、このタイプの配置はこれまでもあったけど、今回は特に適していると思った。
音楽と人間関係にまつわる題材のシンプルな会話劇。演奏同様、転調や変調が混じり合い、クレッシェンドの効いた見せ方、というか。
ふとすれば不協和音に陥りそうな人間関係なのに、各人の真面目可笑しな性分が良い個性となっているのか、演奏活動はそれなりにうまくいっている。永年蓄積された鬱憤と崩壊した人間関係と修繕にかかる時間とそれからの事。あの時の演奏者にとって、生身の人間よりも楽器=恋人なんだろうな。
イキウメとは違う顔を見せる伊勢さん可愛かった。トークショーも含め、相島さんの存在が良い。近藤さん真面目できっちり、段田さんの玄人芝居を間近に見られる幸福、加藤さんは「おじさんカルテット」の中の末っ子メンバーなのでおじさんの部類に入れると違和感あるような(笑)
ベテラン揃いの余裕の現れか、開始直後に軽く客席を和ませる自然体の軽やかさも楽しめる。約110分。
観劇日はアフタートークあり、演出の小川さんと芸術監督の宮田さんと役者全員参加、司会が中井美穂さんで約1時間。
公演チケット持っている人は未観劇でも参加出来た為、ネタばれに気を使いながらのトークに。それゆえ、些か答えるのに苦慮しながら話す事に。観劇直後なので、疑問点等もいろいろと聞きたかったのだが。
なので、若干消化不良になるのはイナメナイよね!
アフタートーク覚え書き、一部発言、省略化あり。