OPUS/作品 公演情報 新国立劇場「OPUS/作品」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    アフタートークの日
    中央正方形のステージを囲むように配置された座席、どこから見ても見やすい。PIT上演作品で、このタイプの配置はこれまでもあったけど、今回は特に適していると思った。
    音楽と人間関係にまつわる題材のシンプルな会話劇。演奏同様、転調や変調が混じり合い、クレッシェンドの効いた見せ方、というか。
    ふとすれば不協和音に陥りそうな人間関係なのに、各人の真面目可笑しな性分が良い個性となっているのか、演奏活動はそれなりにうまくいっている。永年蓄積された鬱憤と崩壊した人間関係と修繕にかかる時間とそれからの事。あの時の演奏者にとって、生身の人間よりも楽器=恋人なんだろうな。
    イキウメとは違う顔を見せる伊勢さん可愛かった。トークショーも含め、相島さんの存在が良い。近藤さん真面目できっちり、段田さんの玄人芝居を間近に見られる幸福、加藤さんは「おじさんカルテット」の中の末っ子メンバーなのでおじさんの部類に入れると違和感あるような(笑)
    ベテラン揃いの余裕の現れか、開始直後に軽く客席を和ませる自然体の軽やかさも楽しめる。約110分。

    観劇日はアフタートークあり、演出の小川さんと芸術監督の宮田さんと役者全員参加、司会が中井美穂さんで約1時間。
    公演チケット持っている人は未観劇でも参加出来た為、ネタばれに気を使いながらのトークに。それゆえ、些か答えるのに苦慮しながら話す事に。観劇直後なので、疑問点等もいろいろと聞きたかったのだが。
    なので、若干消化不良になるのはイナメナイよね!

    アフタートーク覚え書き、一部発言、省略化あり。

    ネタバレBOX

    全ての行為が細かくやや心配性?の第一ヴァイオリンのエリオット、女性には柔らか対応の第二ヴァイオリンのアラン、公私は割り切るチェロのカール、天才肌気質のヴィオラのドリアン、清楚だけど快活なグレイス。
    男優陣、全員適役だったけど日替わりで配役シャッフルして見たい気も。
    全員の正装した立ち姿は綺麗。
    名器を破壊し、その破片が頭上に吸い上がるように視線の先は彷徨う、途方に暮れるようなラストシーンだけど、それほど悲壮感はなく、「ああ、海外戯曲」と思ったりして。
    セットらしいセットや小道具はあまり出てこなかった(楽器、譜面台は除く)、椅子の配置の仕方で各自宅がわかる仕組み、だったと思う。

    以下、アフタートーク覚え書き
    サイドシートをそのまま活用し私服姿の関係者着席、三方囲んで観客。
    登場順(敬称略)/小川、段田、近藤、伊勢、相島、加藤、宮田

    今回の舞台の企画のキッカケは、から質問開始。
    共通質問事項は宮田さんと小川さんが主に説明してもらったような。
    宮田/三角、アングル、3人の30代の演出家でスタートした企画、演出を中心とした3人、第一弾に小川さんを選んだ。
    小川さんを選んだ理由は→人間関係を丁寧に探る、等身大である、戯曲の読み込みが深く、作品と役者に丁寧に向かい合う、基本作業を丁寧にやってくれる。(作・演出等)女性に頑張ってほしいから。(戯曲の選択は)このシリーズでやりたいものを選んでもらい、小川さんが選んだのがこの「OPUS」だった。(比べると)音楽家や演劇だと音楽の関係の方がはっきりしている、音を間違ったら即クビになるし。プライドあるし。
    演出家は良い俳優によって育ててもらうのでは。役者さんの発想や戯曲の読み込みについてや、言葉のリズムとか(動きが入ったり)多角的に作ってもっと人物を自由に設定して、そのうちタフになる。
    小川/新国立に呼ばれるとは思わなかった、(選ばれて)はしゃいだ、劇団持ってないし一人でやっているし、宮田さんと話してこの環境を作ってくれて良かった云々
    この作品を選んだのは→人間関係がよく描かれていた、コミカル・コメディと書いているが(コメディ)強くはない、その要素を今までやっていないので選んだ。
    共演の役者さんについて→伊勢さん(「佳世ちゃん」呼び)だけやった事ある、他の方は歴史上の人物なので。
    楽器演奏のシーン→先生とやりながらどこを選んでどこをやらないか、とか。役者さんが楽器に真摯に向き合ってくれた、舞台がいろんな角度から全て見られるが、戯曲を選んだ時点で四方囲みを考えた。
    日本と海外、演劇の違いはあるか→社会体制の違いはあるけど、作品の作りは同じ。(今回の作品が出来るまで)難産だった、と言っても帝王切開で作品を作った事はないが。構成等スタートラインが弱かった。役者さん各メンバーに奥さず出来るか。ファン目線にならないように。ドキドキしながら作った。(役者さんから得る)人間的にも学ぶ事多かった。
    台本を自分のアイデアだけで(作るわけ)ではない、役者が加わって出来、エゴとの戦いでもあるが今回は沢山良いものをもらって楽しかった。

    段田/この並びで話すのは恥ずかしい、と言いつつ。本を読んで面白いと思った、それが良い、役は元々決まっていた、クビになる結末は笑ってもらうのが良い、コメディとは思っていない、真剣なんだけど笑えるところがいい、(今回のメンバー)舞台の共演は初めて、テレビでは何回かある。(演出の経験はあるが)バトルになったり、はなかった。色々試すの大好き。
    近藤/(段田さんとは)テレビ出始めた頃「私の運命」で共演した、それ以外だと段田さんの野球チームに所属している、(この作品の印象)面白い、人間関係がよく描かれていると思った(役柄について)ガンにかかる役だがやせた方が良いの?と聞いたが病状発症する前なのでそのままで良いと言われた、チェロの先生が22歳の学生さんで怒られながら練習した。→ここら辺は笑いながら話していた。何か楽器弾けるのか、という話題になり相島さんはハーモニカ、段田さんはギターと。
    伊勢/伝説の方々と一緒にやるので(笑),本読みで初めてあった時、震えて、噛んで、ちゃんと出来なくて、もう夢じゃないかと稽古中とか泣きそうになった。(その後、ちゃんとなった模様)お客さん違うと毎回こんなに反応あるのかと、驚いている。今までも本番中「ひー」ってなったりした時もあったが今回はそんな事もなく、客席も素敵なお客さんばかりです、と。
    相島/近藤君とは色々やっている、(初共演の方)とても刺激的で面白い、(小川さんの演出は)日本とアメリカで経験あって、半々の演出経験ある為か言い方も違う「ダメだし」とは言わない「ノートを出します」と、(今までの演出家とは言い方が)違うのでちょっと嬉しい。宮田さんは「チェック」というので救われる、とも。(苦労した事は)楽器の扱い、お客さんの反応についてとか。(最後の終り方について)日本だとドライな感じなのに、ちゃんと終らせて良いと思った。
    加藤/(役柄について)難しい。なんとなくですが。頑張ってます!質問が難しい!ドリアンぽさはない、と答えに困る(小川さんについて)丁寧で夢のような時間を〜、と答えたら「嘘ばっかり(笑)」と返答される。(好きなシーンは)全部好きです。大好きです。(心がけている事は)一日一日頑張ろう、です。すいません。との事。(一人一人の印象は)相島さんとは出の前にストレッチやってるそんな仲、佳世ちゃんは「妹」しっかりしている、近藤さんは「お父さん」近藤さんは息子って言ってた。(その流れで、じゃあ段田さんは?に答えにつまり)段田さん自ら「おじいちゃん」で。本人は「末っ子」加藤さん発言時、隣の相島さんがアシストしながら答えてたり。かわいがられてた。

    話が佳境に入るも「これから見る人もいるので、全部は話せない」という前提で話が進む。
    近藤さんの役柄が重要な役。台本に役柄振り分け書いてあった。まさにチェロ的な存在。台本上場面16場あり、ベートーベンの曲も16曲ある。なんとなく曲と本の中身がリンクしている。戯曲の作家がビオラ奏者なので各場面タイトルもあった。グレースが入ってくる場面のタイトルは「挨拶」、ビオラ、バイオリン、チェロ等出てくる舞台なので映画「25年目の弦楽四重奏」の話題もちょっとだけあり。
    楽器所作の指導はプロについてもらった、段田さんの担当の方はセカンド。サッカーのMF?みたいなパス廻しな存在だけど、それに喜びを感じるそうだと。
    (グレースとリンクする部分はあるか)あんなに天才的じゃない〜、似てますかね〜、とも。初々しい反応に、でも佳世ちゃんいると明るくなる、相島さんが野球見に行ったよねーと。(ここら辺になると陽気に喋りまくる。さすが徹子の部屋で黒柳さんを黙らせた男というべきか。)

    客席の質問
    最後の楽器は予め作られたもの?毎回作るのか。
    小川/小道具です。ネタバレになるがスタッフさんが毎回良いもの作って用意している。
    演奏に費やした時間は?
    近藤/せっかちなので早めに。2ヶ月くらいやった。
    段田/稽古40日位の期間。蓋の開け閉め、楽器の扱い方とかに気をつけて、弾けたらいいという気持ちで。
    伊勢/稽古入る前から練習。足の開きが日に日に大きくなって注意したけど、最終的にはでも良いやと思うようになった模様。
    相島/40日くらい
    加藤/曲にあわせて弾いているシーンがない。チューニングの場面はあるけど。エアーで。音が出るようになって嬉しかった。力の入り方は頑張りました。
    他、加藤さん集中質問
    ドリアンの役柄のように、気持ちを犠牲にしてもいい?→ないです
    エリオットへの気持ちは→自分の半身と思っていたのでは。追いつめるエリオットに、恋愛と自分の音楽に対する見切りをつけたが、そこまで気づいていないのかも。云々

    最後に各自挨拶抜粋
    宮田+小川/感謝の言葉と各次回公演の告知。近藤/違う角度から見るとまた違った見方も出来る、友人知人にも紹介して。伊勢/虎さんがいったように1日1日大切にやっていく。加藤/最後の日まで全員と手を取り合って前へ前へと進んでいけたら、と思う。

    質問事はあったんですが、時間とネタバレに通じる事になるので質問自粛。でも、和気あいあいとした雰囲気で楽しいアフタートークでした。

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    2013/09/19 03:11

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