OPUS/作品 公演情報 新国立劇場「OPUS/作品」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    感情の対位法
    弦楽四重奏団の人間関係をユーモアと緊張感を盛り込んで描いた作品で、クラシック音楽を演奏する人や聴く人は勿論、そうでない人でも楽しめる作品でした。

    ある出来事がきっかけでヴィオラ奏者を解雇して新たに若い女性奏者が加入し、ホワイトハウスでベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番を演奏するまでの物語が、前任者がいた頃の回想シーンを挟みながらテンポ良く描かれ、色々な思いが交錯する様子が鮮やかに表現されていました。
    ショッキングな行動による痛々しい破局の後に優しい雰囲気のコーダが続き、ハッピーエンドではないものの温かみのある後味を感じました。

    客席が四方を囲む正方形の舞台の上で、譜面台と4(+2)脚の椅子の配置だけで異なる場所を表していたのが良かったです。
    キャップを被ることによって、野球の話題と、がん(抗がん剤による抜け毛)の予感を重ね合わせていたのが印象に残りました。

    5人の役者がそれぞれのキャラクターを感情豊かに演じていて、丁々発止の演技に引き込まれました。
    演奏家達の物語なので当然ながら演奏シーンが多いのですが、左手のフィンガリングは潔く切り捨てて全く動かさず、右手のボウイングはかなり忠実に弾き真似をすることによってあたかも本当に弾いているようなリアリティーが出ていて良かったです。

    作家がヴィオラ奏者とのことで楽曲構造と脚本の関係に凝ったものを期待していたのですが、それほど関連させていない様に感じられ、少々残念に思いました。

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    2013/09/26 23:21

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