満足度★★★★★
「おしぼり」「お仕事」…
ある閉鎖的コミュニティの異常性が明るみになってゆく過程を観察記録のごとく淡々と描いた密室劇。「おしぼり」「お仕事」…密室内で飛び交う隠語の意味に気づいた時の衝撃たるや! 何度でも再演されるべき傑作!!
満足度★★★★★
7年経っても全く古びない傑作
数年前の作品の再演だというのに、古びるどころか、
ある部分では、現実が劇の世界にゆっくりと近づいていっている。
そんな気配すら感じました。広いと思っていたはずの自分の周りの
世界が、実は閉ざされ切っている、でも、それに気がつかない。
滑稽なようでいて、誰にでも在り得るその恐ろしさに震えが走りました。
満足度★★★★★
閉じた世界
これは他人事ではなくて、誰しもに起こりうる悲しい風景だなと思いました。あまりにも自然に表現されているから、つい笑ってしまうシーンも多かったけれど本当は笑えないようなものすごい怖い風景が繰り広げられている。つながりたい、救われたいという切実な欲求から集まっているのに、どうしてより困窮しなければならないのか。暗鬱とした息苦しい世界が繰り広げられて、ゾッとしました。
満足度★★★★
「地下室」再演
サンプル+青年団となって再演。既にそこにあるアブノーマル(?)な世界、が、たまんない面白さ!俳優も良かった!初演より遠慮なく笑えてしまった。
ある高い完成度に達してる小劇場演劇だと思うので、演劇になじみのない方も挑戦してみてもいいのでは、と思います。
満足度★★★★
おかしな人々
閉鎖的なコミュニティーの中で異常性が肥大していく気味の悪さを、笑いと緊迫感を交えて描いた、奇妙な雰囲気に引き込まれる作品でした。
松井さんならではの変態性がありつつ、物語としては具体的で、取っ付き易かったです。
共同生活をしながら特殊な水を製造して販売する人達や、そこに訪れる客や曰くありげな取引先とのやりとりを通じて、それぞれの人物の異常性が明らかになり、自ら作った決まりに縛られていく人々の病理がグロテスクに描かれていました。
閉じた集団の中で、メンバーだけに通用するルールが設けられたり、性的に乱れている様子が、新興宗教や左翼運動の組織を思わせ、劇団というコミュニティーを自虐的に描いているようにも感じられました。
内容的にはコメディーではなく、寧ろ気の重くなる話なのにも関わらず、笑える場面がとても多く、そのことによって登場人物達の異常性が引き立ち、それが特別なものではなく、誰もが内に備えているものだと思わせました。
どの役もアクが強いながらもリアリティーを感じさせる演技で良かったです。中でも、古舘寛治さんのとぼけた味わいと狂気の紙一重感と、山内健司さんの高圧的で嫌味ったらしい感じが特に印象に残りました。
派手な効果は用いず、ゆっくりと明るさを変化させることによって独特の雰囲気を生み出していた照明の演出が素晴らしかったです。
満足度★★★★
この気持ち悪さはクセになるなあ・・・
この「ちゃんと嫌な気持ちになれる」感じがたまらなく面白かった。
お話自体は小劇場じゃよくあるタイプの「気持ち悪さ」な話だったけど、それを引力やテクスチャーに富んだな台詞や役者でちゃんと新鮮な「気持ち悪さ」に塗り変えていたのが印象的。
ただ個人的な好みとしては、そうした「物語」を食い破って語られる、もっとえげつなくてもっとスケールの大きな「物語」が観たくはあったけど。
“「神様」を擁することで成立する集団”的な面にも、もう少し踏み込んでほしかったかも。
しかしまあ、古舘さん、山内さんはじめ、役者さんたちの醸し出す圧倒的な得体の知れなさはホントにクセになるなあ・・・。
照明が、何気にすごい緊張感を空間に持たせていて印象に残った。
満足度★★★★★
やはり、松井周さんが好き勝手に作った115分
サンプル特有の緩やかな演劇に、青年団の現代口語演劇が融合し、かつ、松井周さんのやはり、好き勝手に作った、大かがりの舞台美術がストーリーを盛り上げる感動さが味わえた、115分でした。