沈没のしらぬゐ【池袋演劇祭にて豊島区町会連合会会長賞受賞!!有難う御座いました!!】 公演情報 沈没のしらぬゐ【池袋演劇祭にて豊島区町会連合会会長賞受賞!!有難う御座いました!!】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-10件 / 10件中
  • 満足度★★★★★

    素晴らしかったー!
    舞台美術も照明も音響も、
    そしてもちろんなにしろ脚本と役者さんも、
    本当に本当にレベル高くて驚嘆しました。
    こんな素晴らしい作品を
    こんなに目の前で迫力満点に
    しかもこんな価格で観せて頂くのが
    申し訳ないような気さえしました。
    1万ン千円払って1000人キャパの劇場で
    舞台装置と映像演出の方がウリモノっぽくなっちゃった
    オオモノ芝居を観るのが
    なんだかバカらしくなっちゃったなー。(ちょっと毒)

  • 満足度★★★★

    解ききる力
    江戸の風情をそこはかとなく取り込みながら、
    怪談の態で紡がれる物語。
    一つずつの因果が語られる中で
    観る側には恐ろしさより、
    秀逸な悲劇の構造が残って・・・。

    舞台の世界から抜けられなくなりました。

    ネタバレBOX

    物語の外側が観る側に形作られていく前半は、
    夏の江戸の風情や、
    人形の外連が観る側を舞台に引き留めて・・・。
    役者たちが織り上げる雰囲気に
    川風が流れていきそうな感じすらして・・・。

    その舟が三途の川の上流に入ると
    時間の舫いがすっとほどけ、
    顛末とそこにそれぞれが背負う因果が
    ひとりずつ、そしてそれぞれの物語としてほどけていく。
    歌舞伎のような
    大上段での「しかとご覧あれ」みたいな大仰さがないので
    最初は謎解きという印象はあまりなく、
    とてもしなやかに江戸の市井の時間の中に
    重なりあった記憶がひとつずつ、観る側に置かれていく感じ。
    それが次第に冥府との端境を流される舟に乗せられた
    想いのリアリティを順番に剥ぎだしていく。

    役者たちの個性も
    時代の規律にしっかりと染められつつ
    とてもナチュラルに伝わってきて。
    端々に江戸の暮らしの匂いを漂わせつつ、
    ロールが抱く想いのコアを
    観る側の感覚に違和感なく描き出す。
    なんというか、それぞれのお芝居に戯曲との相性の良さがあって
    時代劇というジャンルにどっぷりであるにも関わらず
    観る側にその刹那のキャラクターを
    しなやかに流し込む力を感じたりも。

    で、物語は、狂言回しの人形遣いと
    揺らぎ進む舟のきしみに促された
    いくつもの一人語りの態であけすけに放たれた思いとその重なりに
    綺麗に内までバレきって、
    一人の女性の死を介しての
    絡まる想いは切なく幾重にもほどけ、
    それぞれの糸に正されて観る側に置かれて・・・。
    登場人物それぞれが背負ったものとの足掻きの先に
    一本の首つり組みひもから引き出された
    悲劇の構造が鮮やかに浮かび上がって。

    まあ、しいて言えば、
    初日ということでしょうか冒頭の部分の密度に
    すこしルーズな部分を感じもったいなくも思ったのですが、
    終わってみれば、
    時代劇というキャンバスに書き込まれた
    人が持つ想いのありようそれぞれに
    しっかりとらえられておりました。

    ほんと、面白かったです。


  • 満足度★★★★★

    素晴らしかったです。
    怪談と聞いていましたが、怖さよりも温かさやほんのりした感動が残りました。


    話の作りがとてもうまく、ちょっとした小道具もよくできていました。

    役者さんも皆さんがレベルが高くて、音の使い方光の使い方が効果的で、

    なんとも文句のつけようのないいい舞台になっていました。

    ネタバレBOX




    特に、若旦那と番頭と女の子の洋菓子をめぐるシーンが最高でした。

    しょっぱなの花火と周囲のにぎわいの音がなんとも懐かしい感じでぐっときました。

    シャリーンという鈴の音もいい感じでした。


    いや、なにしろ素晴らしかったです。
  • 満足度★★★★

    あれこれ見事
    沙翁ばりの恋愛悲劇を成仏できない霊による復讐譚で挟み込む構造と明かされる意外な真相が巧み。
    どことなく落語(怪談噺、人情噺)的な趣が漂うところも好みだし、内容に合わせた舟型の主舞台など美術も良く、序盤での堀畑杏奈の「人形振り」も見事。

  • 満足度★★★★

    バランスのとれた作品
     芝居自体は、バランスも良く、シナリオが推理仕立てになっていて、ぐいぐい観客を引っ張ってゆくので飽きない。更に神霊の依代として用いられた人形と隗儡師を配して狂言回しと怨霊怪異とを巧みに結びつける手並みは鮮やかだ。
     怪奇現象を顕在化させるのに用いられる方法としては、時空の歪みがあろうが、ここでは、依代としての人形を利用して輻輳化された空間が、必然的に時間を歪ますことを利用している。具体的には、フラッシュバック的手法を用いながら、怨霊の無念を明かし、死の原因を追及してゆくのだが、この辺りが推理小説のように巧みな展開を見せる。
     舞台美術も左右シンメトリカルに舞台の上手、下手の縁に蜘蛛の巣を配置することによって空間の結界を作り、あやかしが成立する舞台を現出せしめている。と同時に蜘蛛の糸に絡まれた因果律をも暗示していよう。音響、照明も効果的である。欲を言えば、和服姿の江戸時代の女性であれば、歩き方はもう少し内股になるのが自然なのではないか、ということだ。膝までを締め、膝から下を内股に歩くのである。すると、和服の裾さばきがより美しくなるはずである。

  • 満足度★★★★

    沈む
    面白い。

    ネタバレBOX

    お吉(堀畑杏奈)の失踪から1年。結婚相手だった鶴屋二代目の孝之助(斉藤太志)や迷子のお吉を引き取った善蔵(ヲギサトシ)や善蔵の実娘・お燐(島田紗良)が屋形舟に集まっている。そこに人形師(安田徳)と善蔵の紐結いの弟子であった伊三次(浅倉洋介)が乱入。お吉が死んだことの真相に困惑をみせる面々。そして、気づくと舟は三途の川についていた…。

    お吉の死んだ真相を、人形師が中心となって各人に回想させる構成。善蔵の紐で高官が首吊り自殺をして借金まみれになり酒に溺れる善蔵。二代目になってすぐにお吉と結婚をしようとする孝之助。その孝之助に想いを寄せる番頭・彦七(中村史輝)。借金返済のためお吉を遊郭へ売ろうとする善蔵。お吉と密かな恋心を共有する伊三次。そして、美人で気立てもいいお吉への劣等感と伊三次への恋心をひた隠しにするお燐…数奇な運命と人間の弱い心が折り重なって生前のお吉を美しく儚く描き出す。
    回想が進むにつれ、善蔵や孝之助は身投げし、孝之助は彦七を刺し殺す。三途の川を走り続ける舟は、彼らの薄暗い力とお吉の呪いで動いているようでとても不気味。

    角隠しで表情の隠れたお吉を堀畑が好演してた。舟の上にも時たま現れ、見えない紐で面々を縛るなど、存在感も抜群。ここのとこの、照明や演出もとても良かった。彼女のいいひととその裏の弱さが舞台の中心にあって、心震える。

    伊三次と一緒になることもできず、父を見捨てることもできずにいるお吉と、伊三次に受け入れてもらえずお吉への劣等感を爆発させるお燐の取っ組み合いの末、お吉は入水したことが分かり、現の世界へ戻る面々。善蔵とお燐とお吉の三人で花火を観た幸せな時間をラストに据え、それまでの悲劇(それから起こる悲劇)に心がギュッとなる。

    怪奇な空気感を終始濃く保ち、登場人物の関係性を最大限に活かして、人間の業を描いた秀作。紐がその人の人間性が出るらしいが、人と人の太くて細いつながりがどこか怖くて寂しいのだけど、それでもすがりたくなるような気持ちになった。それで人間いいんだろうけど。
  • 満足度★★★★★

    恩師に、時代劇作家中尾ありと報告したくなる
    今でも、心の中に往き続ける、時代小説の大家である、我が恩師に、「知り合いの中尾さんという劇作家が素晴らしい才能なんですよ」と墓前に報告したくなってしまいました。(バックの中の遺影には、早速報告しましたが…)

    旗揚げから、拝見していますが、今回の作品は、今のところ、最高傑作だと思います。

    人物一人ひとりの心情が丁寧に描かれているし、観客に、情報提示する、脚本の頃合が絶妙で、構成の巧みさに感心します。

    舞台セットのセンスも抜群。

    役者さんも、公演の度に、進化されて、有名な脚本家の作品を、商業演劇で上演する時代劇などより、悠にクオリティの高い作品でした。

    ただ、欲を言うなら、髪型と、帯に、もう少し、配慮がほしいと思いました。
    特に、花嫁姿の場合において。

    会話の中に、人魚のたとえ話が出て来ますが、ヨーロッパならともかく、あの時代の日本で、人魚という概念があったかしらと、その部分も、ちょっと違和感を感じました。
    「浦嶋太郎」の方は、似たような伝承が、中世から伝わっていた筈で、OKかなとは思うのですが。

    ネタバレBOX

    花嫁の死因を、関係者が、それぞれ、証言していく構成。

    導入部分から、観客の興味を持続させる、脚本の構成の巧みさに、舌を巻きました。

    何人かの関係者の証言によって、構成する芝居は、ともすると、時間経過が不明瞭になったり、同じような場面が微妙に変化しつつ、何度も繰り返されたりして、観客としては、頭が混乱したり、結局、何が真実なのか見えなくなって難解な芝居になりがちですが、中尾さんの脚本は、その情報提示の頃合や、人物の心情描写の順序設定などが、絶妙で、ストーリー運びとしても、矛盾が一切なく、終始不愉快な気持ちにさせられずに済み、爽快でした。

    登場人物の人数や、性格づけ、エピソード、他の人物との関係性等、全てが、脚本的に卓越していました。

    見終えてみたら、悪人が誰もいなかったなと気づき、その点でも、好感触でした。

    キャストの皆さんも、それぞれ、役をしっかりと生きて良い演技をされていましたが、特に、たつき役の山口さんの健気さが、胸に沁みました。
  • 満足度★★★★★

    真っ向勝負
    半端じゃなく思い入れのある劇団さんなので、
    観る前からちょっと緊張したりしましたが、
    すごく面白かったです。

    蜂寅企画の魅力といえば、
    中尾さんが繰り出す、気風のいい江戸言葉の決め台詞、
    役者の皆さんが放つ劇場が焦げ付くような熱い情念、
    そして毎回お客さんを「ハッ!!」とさせる演出ギミック、
    かなあ、と観劇前にぼんやり思っていたのですが、
    今回はいつもの蜂寅企画の面白さに加え、
    会話の繰り返しの中から忍び寄ってくるような
    じわじわっとやってくる面白さがありました。

    時代劇、というジャンル。
    お芝居を作る上では
    確かにかなり制約の多い「縛り」ではあります。
    立ち振る舞いやしゃべり方はもちろん、
    衣装や小道具のひとつひとつにも
    「時代」というディティールが必要になってきます。
    ですが、そういったディティールの丹念な積み重ねによって、
    演劇の役割のひとつである
    「観客を今、ここではない、どこか遠くへ連れていく」
    という面でとてつもない威力を発揮する、
    そんな難しくもあり、面白くもあるジャンルであるとも思います。

    蜂寅企画さんの一番の魅力は
    「私たちは、時代劇と真っ向勝負する!」という気概が
    舞台の上にいつも立ち昇っていて、
    そのエネルギーを一身に受けて前を見据える役者さん達が
    なんとも、恰好良いです。うん、恰好良いんですね。これが。

    蜂寅さんには、これからも時代劇というジャンルで
    ガンガンやりたいことをやりたい放題にやっていってほしいなあ、
    と思いました。

  • 満足度★★★★

    切れのいい
    江戸弁で始まるパンチの効いた時代劇。怪奇と推理の要素もたっぷりあってすっごく楽しかった!幻想的な美術も舞台がそのまま部屋になったり屋形舟になったりと、上手いな~と感心。他にも人形振りや、時間のループなど、エンターテイメントとしても一級品でした。怪奇物からだんだんと心理劇の様相を呈してくるのも脚本の凄みを感じた。役者さんの演技も熱の入ったきれいな台詞回しとクリアーな発音で時代劇の醍醐味を満喫しました。ただ、初日のせいか、明らかな台詞の間違いがいくつかあり 残念至極。また、小劇場で本格的な日本髪などは難しいことと思いますが、あの髪ではやはりちょっと残念感が残った。でも人形師の衣装は素晴らしかった。怪しく、それらしい感じがよく出ていて、美しかったです。まさにジャパネスク!

    ネタバレBOX

    髪、特にお吉の髪がもう少し何とかならなかったかな、と残念に思うのは、花嫁衣裳を着たときに頭のバランスがいかにも悪いから。あれはもう少し前後左右に張りがないとシルエット的に美しくない。花嫁姿が貧相に見えます。それと女性陣はみんな半幅帯でしたが、これもお吉だけでも袋帯で本格的な文庫結びか何かにしないと、やはり花嫁姿になった時背中のシルエットが美しく出ません。お吉は何度も花嫁姿で舞台上を横断する。その時のお吉のシルエットが完璧であったら、どんなにか美しく、そして怖さも悲しさも倍増したことかと思います。う~ん、このお芝居、間違いなく星5個をつけたいところですが、人形師の衣装が良かっただけに、お吉の帯や髪ももっと何とか出来たのではないかと残念なので星4個になってしまいました。←私は視覚記憶がいいので、衣装にうるさい。すみません。
  • 満足度★★★★

    初日、伺いました。
    この世界観、音と照明、さすがです。怖くないので苦手な方も大丈夫です。むしろ切ないかなぁ。こんな本が書けるなんて、中尾さんすごいなぁ。

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