沈没のしらぬゐ【池袋演劇祭にて豊島区町会連合会会長賞受賞!!有難う御座いました!!】 公演情報 蜂寅企画「沈没のしらぬゐ【池袋演劇祭にて豊島区町会連合会会長賞受賞!!有難う御座いました!!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    恩師に、時代劇作家中尾ありと報告したくなる
    今でも、心の中に往き続ける、時代小説の大家である、我が恩師に、「知り合いの中尾さんという劇作家が素晴らしい才能なんですよ」と墓前に報告したくなってしまいました。(バックの中の遺影には、早速報告しましたが…)

    旗揚げから、拝見していますが、今回の作品は、今のところ、最高傑作だと思います。

    人物一人ひとりの心情が丁寧に描かれているし、観客に、情報提示する、脚本の頃合が絶妙で、構成の巧みさに感心します。

    舞台セットのセンスも抜群。

    役者さんも、公演の度に、進化されて、有名な脚本家の作品を、商業演劇で上演する時代劇などより、悠にクオリティの高い作品でした。

    ただ、欲を言うなら、髪型と、帯に、もう少し、配慮がほしいと思いました。
    特に、花嫁姿の場合において。

    会話の中に、人魚のたとえ話が出て来ますが、ヨーロッパならともかく、あの時代の日本で、人魚という概念があったかしらと、その部分も、ちょっと違和感を感じました。
    「浦嶋太郎」の方は、似たような伝承が、中世から伝わっていた筈で、OKかなとは思うのですが。

    ネタバレBOX

    花嫁の死因を、関係者が、それぞれ、証言していく構成。

    導入部分から、観客の興味を持続させる、脚本の構成の巧みさに、舌を巻きました。

    何人かの関係者の証言によって、構成する芝居は、ともすると、時間経過が不明瞭になったり、同じような場面が微妙に変化しつつ、何度も繰り返されたりして、観客としては、頭が混乱したり、結局、何が真実なのか見えなくなって難解な芝居になりがちですが、中尾さんの脚本は、その情報提示の頃合や、人物の心情描写の順序設定などが、絶妙で、ストーリー運びとしても、矛盾が一切なく、終始不愉快な気持ちにさせられずに済み、爽快でした。

    登場人物の人数や、性格づけ、エピソード、他の人物との関係性等、全てが、脚本的に卓越していました。

    見終えてみたら、悪人が誰もいなかったなと気づき、その点でも、好感触でした。

    キャストの皆さんも、それぞれ、役をしっかりと生きて良い演技をされていましたが、特に、たつき役の山口さんの健気さが、胸に沁みました。

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    2012/09/06 20:06

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