実演鑑賞
満足度★★★★★
ひと言でいうと、とある危うさをはらんだ家庭を舞台とした「不条理演劇」。
本作の特徴は、主要な登場人物が「軽い認知症の気がある祖母」「アルコール依存症気味な家父長にして母」
「正体がつかめない息子と名乗る男」と、全員が信頼性に欠ける“語り手”という点で、誰をどのくらい
信用するかで受け取り方も結構大きく変わってくるかなと思います。
実演鑑賞
満足度★★★
チラシの表面に「三月の冷たい朝、消えた息子が立っていた」とコピーが大きく書いてある。ハハァ、これは別役もどきか、と当てをつけて見はじめると、予想は当たり、いかにも中流の夫を亡くした老婦人(赤地まり子)の前に、次々と、自称親族、(息子、妹、その夫、息子の未知の嫁、親族ならぬ不動産屋、老人介護業者)が現われ、老婦人の大好きな夫が残した家からの転居を勧める、これはかなり現実を踏まえているが、家族にドントンはいってくるあたりほぼ、安部公房風、「友達」である。なーんと思っていると、最後はちゃんとミステリ風なオチまで付いていて結局はミステリ劇になる。それはそうだろう、別役風、も安部公房風も、ケラから加藤拓也まで、いろいろな劇作家がやり尽くしている。
しかし、ミステリ風のオチではこのドラマは何も物語らない。所詮ミステリの謎解きに終って、1時間40分面白く見てもで、そうだったの、と言うだけになってしまう。
このドラマの構造ではどこかに、何か別の画期的な工夫がないと、折角の新人作家起用もアトリエらしくなくなってしまうい。
先般、この作者が新宿のトップス上演の劇壇ガルバにかき、この演出家がまとめた作品〔ミネムラさん〕はなかなか面白かった。こちらは無茶ぶりの仕掛けがあって、そこは必ずしも成功とは言えないのだけど、結果、面白かった。この演出家はあまり沢山見ていないからなんとも言えないが、文学座ガールズの中では、手堅く商業作品もまとまられそうな演出家と思った。むしろ無茶ぶりのトップスのような小劇場の方が、演出家も作者のウデの振るいようもあるのではないか。理に落ちてはつまらない。
それにしても、やはり、文学座の役者たちは上手い。久し振りの俳優も出ているがちゃんとアンサンブルがとれていて、過不足なくちゃんと役を拡げている。
実演鑑賞
満足度★★★★
最初、どうも辻つまが合わないので、不条理劇か、3年前に俳優座で観た「ムッシュ・シュミットって誰だ?」みたいな路線かと思わせたが、かなりシリアスで答えが見えそうで見えない不思議な作品。迷路の中を彷徨っているようで、混乱させられ不安な気持ちにさせられる。最後で一つだけ解決が提供されるが、他は混沌のまま観る者の想像力に任される。こういうストーリであるゆえ、俳優陣の安定した演技が際立つ。
実演鑑賞
満足度★★★
知らない男が家の中にいる事の不自然さ(防犯上、現実味がなくて)から抜け出せないまま、この家で起こることをしばらく目撃していた。誰かの頭の中の妄想か記憶なのか。この家はタイムマシンの入口なのか。少しミステリーっぽくて引き込まれた。後半、主役が見えてきて、この作品の構造がパッと見えてきた。
暗転だけでほぼ同じセットで意味が正反対の部屋を見せるのはうまい。初めての脚本家さん、少々不自然さもあったが、今後も観てみたい。