誕生の日 公演情報 誕生の日」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.6
1-5件 / 5件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

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    ONEOR8の『誕生の日』を観劇。

    あらすじ:
    バーを経営している加寿美の店では様々な客が訪れている。
    人生の話し相手として客の悩みを聞いたりして、流行っているようだ。
    そこで高校時代の友人たちが、店の10周年を記念してパーティーを開催するが、記念のビデオを作成するフリーディレクターが、加寿美と友人たちの関係を暴露してしまい、混乱を極めてしまうのであった…。

    感想:
    小さい頃から男性のような成り立ちをしているから、恋愛をすることを諦めてしまい、自我を殺したまま40歳まで生きてしまった加寿美の人生に、疑問を呈する闖入者に唖然とした観客は全員であろう。
    誰にでもある淡い高校時代の思い出が挿入されながら、彼女が何故?このような生き方しか出来なかったのかが描かれている。性同一障害の悩みを抱えているからか?と勘繰りながらも、成長と共に生きていく難しさに焦点がゆっくり合っていく。
    少年時代から青年、大人になり、自我の成長と共に他者との関係を築きながら、上手くいかない箇所は諦め、都合よく生きてしまった人生。己の生き方を振り返りながら観劇している観客の心理と物語の構成の流れが見事なまでに合致しているからか、闖入者の暴露に加寿美と共に反応してしまう我々はそこにいるのだ。劇作家の狙いに「お見事!」なんて言っている暇はないほど混乱してしまったのは確かだ。
    見事な作劇であった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/01/29 (水) 13:00

    座席1階

    まず、開幕前からじっくり見ることのできる舞台セットが美しい。こんな本物のバーがあったら一度は行ってみたいと思わせる。前回は日暮里のd倉庫という小さなところでやったというが、その時のセットはどうだったのだろうか。スズナリだから、これだけの舞台セットを用意できたのかもしれないが、細部まで作り込んであると思わず期待が膨らむ。

    主人公は、山口森広演じる39歳の女性バーテンダー。トランスジェンダーでもなく本物の女性なのだが、高校時代から声も外見も完全におじさんということで、恋愛ははなからあきらめてここまで年を重ねた。控えめで、思いやりがある人柄。バーの常連たちは、こんなマスターに話を聞いてほしくて通ってくる。ただ、女性客の中にはマスターが男だと信じ込んでいる人もいた。
    そんな中で、高校の同級生たちがマスターの40歳と店の10周年を祝うパーティーをしようと計画する。

    舞台は、高校時代の彼らと、現在、バーを客として訪れている状況が交互に演じられる。驚くべきは山口の早変わりだ。バーテンダースタイルからあっという間に女子高生に。これには注目したい。
    このバーに不遜な男が訪れることで物語は始まる。言いたいことを言い放ち、空気をまったく読まない言葉を弾丸のようにぶつけてくるのだが、こうした物の言いようが、実は重要なカギを握って後段に移っていく。
    途中までは、単なる高校の同級生たちのトークなのかと飽きが来るような感じもあったが、不遜男がマスターの記念動画を撮る役割で来たことが分かり、その動画がパーティーで披露されるころからは舞台から目が離せなくなっている。ラストシーンの歌唱ではうるっとくるし、本気のドタバタは非常に迫力がある。田村という人は、演出には全く手を抜かずに切り込んでくる。
    舞台のテーマは性の多様性ではなく、「分かり合う」ということの本質だと受け取った。お互いが「自己開示」をして飛び込んでいく重要性。いくら相手がそのままを受け止めて共感してくれる人であっても、分かり合うためにはお互いのストーリーを見せ合うことだと舞台は訴えているようだ。このあたりを「不遜男」に語らせているのはある意味すごい。舞台を黙らせる迫力があった。

    人気劇団だけに、多くの若いお客が大半でほぼ満席。でも、矢部曰く、まだ席に余裕があるとのこと。人間と人間の付き合い方の微妙さ、小さな気持ちの交差など、多くを考えさせられる。いい芝居だった。チケットがなくなる前に、見に行った方がいいかも。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    観てきました☆ 舞台セットがとても雰囲気良く出来ていて始まる前からワクワクでした☆
    初演も観たのですが、ずっと良くなっていたと感じました☆ 最後の歌のシーン感動でした☆
    終演後の矢部さんの挨拶、らしさが出ていてほっこりしました☆

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    田村孝裕のOne Or 8は昔のトップス時代から見ている。小劇場時代も無鉄砲に突っ走ったりしないで、よく、時代と人を見てきた。ちょっと前の世代になる鈴木聡のラッパやの世相喜劇の21世紀版、といった感じ。その田村もそろそろ50才。芝居の素材は困ったら30年前をやれ、という説もある。これは40才の誕生日を迎えた独り身のバーのマスター(山口森広)の誕生日を廻るその世代の人たちの物語である。
    田村が最初に本を学んだ向田邦子も、素材は30年前の自分の少女時代の一般サラリーマン家庭をよくネタにしている。「誕生の日」は向田とも鈴木とも違う、いま世代の中軸を担う40才年代の哀感を巧みにすくい取って時代の姿を舞台にして、見事な現代世態喜劇になっている。
    舞台は独身のバーテンが経営するバーの一杯セット。ここに現代の映像機材を操る自己しか主張しない口の利きようも知らない若者があらわれて、と言うところから始まる。この主人公の性別がホントは男性か女性かなかなか解らないところがミソだ。上手い!ここでバーテンの40才パーティを同窓会でをやろうと言うことになる。ここまでが1時間半ほどあって、現代風俗はそれなりに面白いが良くあるような話、だがこの後、終わりの30分がよくできていて、現在のジェンダー問題、職業差別、人口のいびつな構造問題など、現代社会の基本課題をひろく踏まえて大詰めに持っていく。上手い!!笑えるし、今の人らしい感動もある。田村だてに年を食っていない。それぞれの人物がさり気なく暮らしているようでも、生活の苦しさや孤独を抱えこんでいる今の世態を見事に描ききっている。笑ってはいるが、引きつりがちな現代人たちである。
    主役の山口森広は後になるほど良くなる。それは本がそうなっているからであるが、前半良く押さえた。登場人物はそれぞれ説明が付くように台詞があるが、ここにもう一段の円熟があれば、もっと芝居は面白くなる。役の押さえ方がいささか単調なところが残炎なところだ。2時間。補助席も出て満席。


  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    今回も素敵な公演でした

    ネタバレBOX

    おもしろかったです!
    前回公演ではじめてONEOR8を観て、次回も必ず来ねばと思ってました!
    今回も期待に違わぬ素敵な舞台でした。

    店を中心に、気心知れた同級生、飲み仲間と円満な人間関係を構築できているようであったが、小宮山が第三者の視点からその関係性を指摘したことでひずみが可視化された、という構造が面白い。
    それぞれに事情を抱える点が人間くさくて良かったです。

    鶴町さん、どこかで見たことある、と思ったらゴッドタンのコントに出演されてましたね。
    お目にかかれて嬉しいです笑

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