誕生の日 公演情報 ONEOR8「誕生の日」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    田村孝裕のOne Or 8は昔のトップス時代から見ている。小劇場時代も無鉄砲に突っ走ったりしないで、よく、時代と人を見てきた。ちょっと前の世代になる鈴木聡のラッパやの世相喜劇の21世紀版、といった感じ。その田村もそろそろ50才。芝居の素材は困ったら30年前をやれ、という説もある。これは40才の誕生日を迎えた独り身のバーのマスター(山口森広)の誕生日を廻るその世代の人たちの物語である。
    田村が最初に本を学んだ向田邦子も、素材は30年前の自分の少女時代の一般サラリーマン家庭をよくネタにしている。「誕生の日」は向田とも鈴木とも違う、いま世代の中軸を担う40才年代の哀感を巧みにすくい取って時代の姿を舞台にして、見事な現代世態喜劇になっている。
    舞台は独身のバーテンが経営するバーの一杯セット。ここに現代の映像機材を操る自己しか主張しない口の利きようも知らない若者があらわれて、と言うところから始まる。この主人公の性別がホントは男性か女性かなかなか解らないところがミソだ。上手い!ここでバーテンの40才パーティを同窓会でをやろうと言うことになる。ここまでが1時間半ほどあって、現代風俗はそれなりに面白いが良くあるような話、だがこの後、終わりの30分がよくできていて、現在のジェンダー問題、職業差別、人口のいびつな構造問題など、現代社会の基本課題をひろく踏まえて大詰めに持っていく。上手い!!笑えるし、今の人らしい感動もある。田村だてに年を食っていない。それぞれの人物がさり気なく暮らしているようでも、生活の苦しさや孤独を抱えこんでいる今の世態を見事に描ききっている。笑ってはいるが、引きつりがちな現代人たちである。
    主役の山口森広は後になるほど良くなる。それは本がそうなっているからであるが、前半良く押さえた。登場人物はそれぞれ説明が付くように台詞があるが、ここにもう一段の円熟があれば、もっと芝居は面白くなる。役の押さえ方がいささか単調なところが残炎なところだ。2時間。補助席も出て満席。


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    2025/01/26 12:10

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