白魔来るーハクマキタルー 公演情報 白魔来るーハクマキタルー」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.8
1-20件 / 21件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白かったです。実話ならではの緊張感。ラストの解釈も好きです。目が離せない感じで良かったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/09/28 (土) 18:00

    この作品は2015年3月に初演されたものだが、コアな観劇ファンからは評価が高かったものの、一般の観客からはその残虐性に戸惑いがあがっていたものだ。大正時代に北海道で起こった熊害(ゆうがい)事件として有名なものには「三毛別羆事件」や「石狩沼田幌新事件」などあるが、この作品は日本史上最悪の熊害といわれる前者をモデルにしている。昨年来、熊が人間を襲う事件が頻繁に報じられ、その意味では初演時よりも観客に身近に迫ってくる感があるだろう。

    (以下、ネタバレBOXにて…)

    ネタバレBOX

    暗闇に吹き荒ぶ風の音に獣の声のようなものが混じっている。三味線の音。若い男が2人、女が2人、衰弱しきった様子で休んでいる。と、そっと近づく黒い影…出だしから不気味な雰囲気が横溢している。影はこの小屋に住んでいる老人で、暖かい鍋を持ってきたのだ。水は貴重だからと、洗ってもいない汚れた茶碗に注がれる。若者はスキー帰りに渋滞を避けようと脇道に入ったら、吹雪に巻き込まれ道を見失ったのだった。老人はこの電気もない小屋に冬の間だけ来るのだという。そして老人がその訳を語り始める…。

    大正の初期、開拓しただけ自分の土地になるという話に惹かれて、貞夫一家(貞夫夫婦、その子供の兄妹、貞夫の両親)がこの北海道の村に移住してくる。村長の大本や銀次をはじめとした村の面々は馬も持たぬ極貧の貞夫一家に馬を買ってやるなど、心から歓迎し、貞夫一家もすぐに彼らと馴染むようになる。が、そんな中で銀次の母親と娘が行方不明になる。そして…。
    白魔とは大雪による災害だが、この作品では大雪で食物がなくなった巨大な羆が村を襲ってくる。この羆は最初に女を食べたために、人間の女だけが食物と思い、女しか襲わない。

    ラビット番長といえば、ここ数年は将棋・草野球・介護を3本柱としているが、この作品はそれらとは全く路線を異にする陰惨な舞台で、血しぶきや熊が人間を喰う咀嚼音など、目や耳を覆いたくなる場面が多い。
    ただそれは人間の眼からみて残虐なだけで、獣にしてみれば空腹を満たした結果にすぎない。単にグロでそうした場面を創っているのではなく、「羆と人間とどっちが侵略者だ」というテーマを明確に打ち出すための手段ともいえよう。

    そして、それらの一見グロテスクな表現の底には開拓民たちの人間ドラマが流れている。殊にロシア人に犯されたアイヌの女性が産んだマタギの平吉の差別され続けてきた人生など胸が痛む。その平吉が“白魔の子”として処分されようとした赤ん坊を引き取って村を去るのだが、そこで終わらせずに、さらに衝撃的なラストを準備して、ラビット番長の実力が遺憾なく発揮された観応えのある重厚な作品となっている。ハッピーエンドではなく、肌を泡立たせるこのラストも際立って秀逸だ。

    個人的には今回の池袋演劇祭の大賞最右翼だと思う。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    三毛別羆事件をモチーフにした作品、予告通りのグロテスクがありました。いつものラビット番長とは違うテイストですが、ガツンときましたね。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    あらかじめホラー、スプラッター要素アリってアナウンスあったので、それなりに覚悟して行ったのですが、それでも凄惨な描写に息を飲む壮絶さでした。
    自分は、メルヴィルの白鯨を思い出したりしたんですが。
    生と死、善性って何だろ?、正気と狂気。
    ただ、怖いだけじゃなくて、色んなこと考えられる深みもあると思います。
    凄い芝居だった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    いつもとは全く違く雰囲気でぞわっとし、自然の怖さより人の怖さを感じる舞台でした。
    障子の向こう側は見えないが、咀嚼音や悲鳴、影のみで血の匂いを感じさせる地獄を表現するのは上手いなぁと。
    最前列で見ていたので、色々な感情で体が強張ってしまうほどでした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    初演を観たのは観劇の回数が増え始めた頃だったので、舞台でこんなことができるのだと驚くとともにその恐怖に震えたものです。今回も音、光、舞台美術にやられました。
    いつもはほっこりさせられる井保さんの悲痛な叫びが胸に届きました。

    コロナ下で中止になってしまった『闇の中』も観てみたいです。

    ネタバレBOX

    しかし、初演の時も思ったのですが学生たちを熊の餌にしようとしている老人は、あの人食い熊の難を逃れ平吉に育てられてたと思うのですが、何故あんな風になってしまったのでしょうか。平吉は子熊は殺さない=無駄な殺生はしないと言う考えの持ち主だったと思うのですが、あの老人はそんなことも伝わらないような悲惨な育ちをしてしまったのでしょうか。熊の怖さばかりが記憶に残っていたのでしたが、開演直前にこのラストがフラッシュバックして「あああ、今回もそうなるのか・・・」
    そしてやっぱりそうなって、人間の方がよっぽど怖いと思ったのでした。

    舞台セットが初演よりこぎれいになった?と感じたのは私の思い過ごしでしょうか?
    また、お菊さんの食いちぎられたお腹って、あんなにリアルでしたっけ?
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    28日観劇

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    今までに何度か拝見している「将棋」をモチーフにしたハートフルなお話から、よい意味で裏切られビックリです。説明にもグロテスクな… という記載もありましたが、舞台でそこまで…なんて思っていたらなんともリアルに表現されていて凄かったです。それら演出に応えるような役者さんの演技、素晴らしかった。ラビットさんでこんなお話もするんですね。時々みられるといいかも。でも、またハートフルな作品もお待ちしています。本作は、リアリティーのある素晴らしいお芝居でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    初の生ラビット番長。
    名を知ったのはもう十年前。自分的に「見分けが付かぬ」劇団名3つ(はらぺこペンギン!、ぬいぐるみハンターと)の一つだったが、かねて未見だったコチラの生舞台を漸く目撃した訳であった(どーでも良い前置きだが)。
    ハートフルストーリーを演るとの先入観で観ると一見異質な作で、持ち味であろう群像劇の要素はあってもタイトルが匂わす「恐怖」の物語となっている。脚本上の苦労が見られ、辻褄の点では序盤で(演出的に)躓きがあったのだが、終ってみれば骨格が明瞭な舞台。劇空間には蠱惑的空気が残り、心地良い感触があった。
    歴史に名も残らぬ人々の開拓期北海道を舞台としたと覚しい劇世界は、史実や歴史考証を踏まえたのでは辿り着かなそうなフィクショナルな世界だが、架空の物語にしてはある種の、固有のリアルがある。

    ネタバレBOX

    子役を二人も登場させ重要な役で健闘させていたのは感嘆物だったが、それに比して年寄りの役は(語り部の役を除き)若い役者の老け造りが少々惜しかった。
    物語については今少し記したし。

    と書いて日が過ぎた。
    この芝居は劇中劇構造になっていて、冒頭は現代の若者らしいグループが吹雪の北海道平原に取り残され、囲炉裏以外に何も無い家屋に逃げ込んでいる。そこへ家の主のような風情の老人が現れ、殺気立っていた若者らを宥めつつ、夜伽に昔ここであった話でも聴かせてやろうと話し始めるのだが、劇中劇が開拓時代のものだとすれば、「現代」は戦後の経済成長期くらいの設定になるか。
    ともかく、中の劇の引きがえらく強く、現代から始まった事をすっかり忘れている所へ、殆どが眠ってしまって一人女の子だけが起きて爺の話を聴いている風景が現れる。やがて話を終える老人であるが、なぜ彼女だけが起きているのかが、冒頭あったくだりから類推され、物語は実はまだ続いていた、、思わずキャーと言わせる展開は怪談の作りそのものであるが、後を引く余韻が蠱惑的である。
  • 実演鑑賞

    すごく怖くて、背筋が寒くなりました。
    衝撃が強いし、役者さん達の演技力の高さも加わり、観劇して数日経つ今も、残虐な場面や咀嚼音を思い出すだけで、胃が気持ち悪くなります(実力を褒めてます)
    ラビットさんの舞台は優しい系が好みですが、この舞台により、更に劇団の実力を再認識しました。
    本当に、何とも言えぬ凄い舞台でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    人間讃歌が多いと
    作品の方向性を思ってたら
    こんな怖い話を出してくるとは
    なかなか驚かされました

    実話の人食い熊の話を
    巧くまとめてたなぁと
    思った作品でした

    ネタバレBOX

    映画のグリズリーより怖いわー

    プロローグは
    スキーに行く途中で
    渋滞避けて脇道にそれた
    四人が避難した山小屋で会った老人から
    この辺りの昔話を聞き
    本編は回想で
    永代開墾法に望みを託して
    引っ越してきた家族が
    巻き込まてる壮絶な悲劇を
    障子とかを上手に使った
    ホラー描写が凄かった
    エピローグは
    話を聞いてた四人のうち
    三人までが寝てしまいー
    本当に怖いのは
    人間でしたって結末

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    お初の劇団さん

    ネタバレBOX

    とある農村における人と熊との戦い。
    三毛別羆事件や福岡大学ワンダーフォゲル部ヒグマ事件を思い出した。実際に三毛別羆事件が元になっているとのこと。
    三毛別羆事件はウィキペディアで経緯などを読んだ程度だけだが、ウィキペディアだけでも当事者の村民の恐怖が感じられた。
    その点で、本作はある種私にとってネタバレになってしまっており、事件を初めて知ったときの衝撃を超えてこなかった。

    ラストシーンで「誰も寝てはならぬ」を使うのがオシャレすぎてとても好き。
    帰宅後に歌詞の和訳を見てみると、ラストシーンの状況をうまくなぞっている。
    素晴らしい。

    貞夫とお菊の第三子は平吉に育てられたが、熊を恨み大量に熊を殺している。
    平吉は、人を襲っていない熊は撃たない、と言っていた。
    なぜ熊を殺すようになったか、解釈が難しい。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ずっと観たいと思っていた作品。
    いつもとちがう空気感に、開演前から少しずつ物語に引き込まれていく。
    自分も村人になったかのような錯覚。恐怖と怒りと悲しみに押しつぶされそうになった。
    心して観るべし。
    名作です。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    同劇団の「将棋物」に親しんでいた自分にとって、良い意味で衝撃の舞台でした。開演前に少し時間がありましたので、「三毛別羆事件」を調べてから観劇に望んだのですが、文字で知るのと、実際に舞台で体感するのでは全く別物でしたね。凄惨な描写と登場人物達の葛藤が、深く胸に刺さり、何度も息を呑む瞬間がありました。また舞台の構成も素晴らしく、障子の開閉や光と音を駆使した熊の描写には、思わず目を奪われ、まさに傑作と言える舞台でした。

    ネタバレBOX

    一つだけ残念だったのは、観劇の最後に「また逢う日まで」を聞けなかったことですかね(笑) まあ、今回の舞台には合わないですが。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)
    大正4年、北海道で実際に起きた事件をモチーフにされたとの事ですが、よくぞここまで見応えある作品に創り上げたものだと感動!
    動物パニック映画に通じる恐ろしさは舞台で体感すると、生で感じる防衛本能なのか注意力(集中力)がグングン上がってのめり込んでいくこと必至
    登場人物に対しての感情移入にも熱が入って一分一秒に息を呑む展開
    野生の脅威、それがどんなに血生臭く残酷な物語であっても、やっぱりラビット番長さんが描き演じられる人間ドラマは秀逸
    ただ「怖かった~」の枠に決しておさまっていない
    恐怖しながらも人間ドラマとしての完成度の高さに感動したのでした
    やはり語り継がれている名作で間違いなかった
    これで自分も語り継ぐ事ができる一人になれたのはとても光栄だと思いました

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ラビット番長は将棋ものばかり観てきたが、こういう世界もあるんだと驚く
    大正4年に北海道で起こった日本最大の獣害事件である三毛別熊事件を下敷きにしている
    巨大な熊に次々と襲われる村の人々の恐怖
    惨劇の有様はなかなか生々しくおどろおどろしかった
    下手なホラーよりはるかに背筋が寒くなる
    途中失神した観客がいてしばし中断
    この恐るべき自然の驚異に「差別」「侵略」といった社会派的要素が加わる
    キャストは皆好演だったが、子役二人が可愛い
    今回も松沢英明がいい味を出していた
    元キーチェーンの北澤友梨枝の「死に方」も凄かった
    障子が実にうまく使われていて、その開け閉めで場面の切り替えもスムーズに行われていた

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    滅茶苦茶面白い。
    タイトルだけでずっと観たかったのは今作と鵺的の『悪魔を汚せ』。全く情報を入れずに観たのが正解。ラビット番長は再演を度々行なってくれるのが本当に有難い。
    ホラーなのかと思っていたらガッチリした人間ドラマ。改めてチラシを見るとよく出来たイラストだ。まさにこれ。場面転換に使うのは土間と板の間を遮る障子戸、左に3枚右に3枚。

    北海道の北西部苫前(とままえ)郡を旅行していた2組の大学生カップル(宇田川佳寿記氏&鈴木彩愛さん、金田央〈ひろと〉氏&青山真梨さん)。渋滞を避けようと脇道に入ったところホワイトアウトに遭い車の中で暖を取る。ガソリンも底を尽き救助を呼ぼうと外に出、一軒の建物の灯りに辿り着く。廃墟のような小屋には老人(松沢英明氏)が独り、一晩泊めて貰うことに。「何でこんな廃村に一人でいるのか?」皆が不思議に思う。「それを伝えるには長い昔話が必要だ」と老人はゆっくりと話し始める。時は1915年(大正4年)、日清日露戦争に日本が勝利し第一次世界大戦に参戦した時代の物語。

    ラビット番長オールスターズ、皆適材適所に適役でハマっている。
    鈴木彩愛さん、江崎香澄さん、流石の見せ場。
    子役の酒井碧葉君、大崎嬉(うれい)ちゃん、プロの仕事。
    MVPは傲岸不遜の陸軍隊長・宮沢天氏。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    一人、女性が途中退席したが駄目な人には本当に駄目な話なんだろう。かなりグロテスクなスプラッター・シーン。小道具の完成度には感心。見せ方も練りに練っている。サウンド面もガッチリ。スピーディーな障子の張替えも見事。この劇団の最大の武器が映画のようなカット割り。パッパッパッと絶妙に切り替わる。

    物語は三毛別羆(さんけべつひぐま)事件。口先から後ろ脚の踵までの長さが2.7メートル(立てば3.5メートル以上)、体重340kgのエゾヒグマが開拓村を襲い、2日間で死者7名重症者3名を出した。日本史上最悪の熊害(ゆうがい)と呼ばれている。吉村昭が書いた小説『羆嵐(くまあらし)』が有名。木村盛武が調べて著した「獣害史最大の惨劇苫前羆事件」が基になっている。味を覚えた人間の女性の肉だけを執拗に狙い喰らう化物。

    当時、村長の息子だった大川春義(6歳)は幼いながらにヒグマに対し激しい復讐心を抱く。「殺された村民一人につき10頭のヒグマを殺す」と犠牲者の霊前で誓った。マタギになり、1977年(昭和52年)、102頭目のヒグマを殺したところで引退。8年後、事件の70回忌法要の記念講演の壇上で突然死。

    思い出すのは千葉真一の初監督作品、『リメインズ 美しき勇者(つわもの)たち』。人食い熊に復讐を誓ったマタギの物語。JAC創立20周年記念作品でメチャクチャ気合が入ったアクション、濃密な脚本、大傑作になる筈だったが・・・。肝心の熊のシーンがモロ着ぐるみでどうしようもなかった。いや、これ何とかならなかったのか・・・。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    しっかりのめり込んで観た2015年の作品、ストーリー知っているはずなのに今回は前回より、怖さというか血生臭いと言うか"妙に恐怖映画的な雰囲気"が漂い、障子越しに血の匂いがドクドクと溢れ出しているような感覚がした。ほんの少し覗く断末魔の見せ方も上手過ぎた。加えて、あの熊の咀嚼音!あまりの生々しさにちょっとウっとなってしまった。しかし、恐怖だけでなく切なる人の想いを感じさせる辺りは井保三兎ならでは!また、小劇場あるあるになるが、役に対してキャストの年齢がかけ離れていて"これは無理があるなぁ"と思わされることが度々ある。この舞台ではそういう違和感は感じられなかった。長年同じ舞台を踏んでいるキャストたちのチームワークは半端なく流れも良かったと満足させてもらった。やっぱりラビット番長は外せない!

  • 実演鑑賞

    ノワール系じゃなくてホラー?

    ネタバレBOX

    と思いきやノワール。
    おだやかに始まり、進む。
    おばけ屋敷的演出へ。
    熊撃ち名人のバックグラウンドが明らかになるあたりから急激に演劇的な面白さが上がる。
    最後は思いっきりノワール。

    普段のラビット番長のほうが好きですが、これはこれで面白いし、好きです。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    家屋の前方が緩めのV型になっていて何だろうと思っていたら、左右から出てくる障子がセンターで止まるようになっていて成程と。羆の恐怖表現に、小劇場の狭い空間を最大限に工夫していて見応え充分。

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