天守物語 公演情報 天守物語」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★★★

    素晴らし過ぎる
    何もかもが 素晴らしい。
    このような舞台について感想を、言葉で汚すことは出来ない。

    以下はメモ程度に。

    夜、日本平という原生林の闇を前にして行うという
    絶好のロケーション。雰囲気抜群。

    mover speaker の熟練。
    踊りの面白さ。
    衣装のユニークさ。

    富姫には最初違和感がつきまとうが、
    ある時点からピッタリはまる。
    それも芝居の設計らしい。恐ろしい人達だ。

    なお、
    図書之介はテライケメン、マジ爽やか青年に見える。
    あれが大高浩一さんだったとは夢見も思わず。
    演技が冴え渡ってた!!!


  • 集成
    一人の演劇人、一つの集団の創る作品の中に、
    これほどの多様な要素が収斂していった事に驚きと畏怖を感じました。

    こうして、この更に先が観たくなるのです。

  • 満足度★★★★★

    圧巻の出来栄え
    期待に違わぬ完成度の高さ。野外劇場「有度」での舞台は、完璧な美しさです。「二人一役」の手法により、「天守物語」の幻想的世界観を見事に表現していました。他の方の高評価の通り、演劇ファンなら一度はこの野外劇場での公演を観てみて損はないと思います。
    来年はどんな演目が上演されるのか―。

  • 満足度★★★★★

    宮城聰の演出が冴える
    SPACの野外劇場はいつ来てもその景観とすがすがしい雰囲気に感動する。
    演劇ファンを自認するかたには、一度は体験をお勧めしたい。


    背後に迫る夜の森が幻想的な雰囲気を醸し出し、吹き渡る風も天然冷房のように涼しく心地よい。
    今回の「天守物語」にふさわしいロケーションであった。

    コロッセウムのような階段式の客席通路を花道のように使い、舞台との高低差を生かした演出。

    宮城さんが好む民族調の打楽器の演奏で始まるのが祝祭的でよかった。

    一部カットして1時間5分にまとめあげているが、原作の世界はじゅうぶんに堪能できた。

    小劇場で古典をモチーフにした作品は上演時間が長いものが多いが、長いことが必ずしも作品の価値を高めるとは限らない良きお手本のような公演だった。

    「天守物語」のファン必見の贅沢な舞台だと思うので、ぜひまた再演してほしい。


    ネタバレBOX

    棕櫚を編んだような傘を差して、富姫が客席上段から現れる。いかにも、妖怪らしく効果的な演出だと思う。

    おどろおどろしい朱の盤坊がなまはげのように客席になだれこんで、客を驚かせ、怖がらせ、笑わせる。

    俳優はスピーカーとムーバーに役割分担し、動いて演技をする俳優と、セリフをしゃべる俳優、2人で1つの役を演じる手法が文楽のようで面白い。

    女性の役はムーバーが女優で、セリフは男優が、男性の役はムーバーが男性で、セリフを女優が担当する逆転の妙。

    「天守物語」は舞台化が難しいとされ、「お金を出してもよいから上演してほしい」と鏡花が切望したにもかかわらず、
    長く上演されなかったことで知られる作品。


    歌舞伎や新派などで腕がある俳優が上演する分にはあまり問題がないが、最近、小劇場で上演された作品などを観ると、鏡花の独特の台詞の魔力に完全に負けてしまう俳優が多いようで、
    力量不足を感じていた。

    その意味でも、今回の演出は非常に効果的で成功していたと思う。

    男女で1役を受け持つことにより、富姫の魔性や怪しい迫力と、図書之助の清冽さがよく表現されていた。

    富姫と亀姫のドレスは、鯉のぼりの生地を縫ったようなどこか京劇やアジア風の個性的な扮装。
    特に後ろのフォルムが、俳優が動くと可愛らしい。

    眼目となる獅子頭が獅子というよりデザインが「龍」に見えたのも面白い。

    桔梗が舌長姥の役も兼ねている。
    播磨守の手勢を桔梗が覗き込む場面、位置的に舞台中央後方で、俳優が後ろ向きになり、語りのスケール感が伝わらなかったのが惜しく感じた。

    やはり正面を向き、城を見下ろすように語ったほうがよかったように私は思う。


  • 満足度★★★★★

    泉鏡花の挑発
    最高でした。これぞ総合芸術。
    泉鏡花の集大成的作品で、上演ができるものならしてみろ的な、演劇人を挑発しているようにさえ思える原作品。時を超えて、これでどうだ、とSPACが見せつけた感じ。
    白鷺・姫路城が舞台。ただ、姫路という具体性よりも、アジア的神秘、泉鏡花の神秘の世界観が、静岡の夜空、野外劇場のムードにピッタリ。
    抽象化、様式美も堪能、特にラストのツーショットの絵は、なんとも言えない美しさ、儚さ。

  • 201106181930
    201106181930@舞台芸術公園 野外劇場「有度」/終演後アーティストトーク有

  • 満足度★★★★★

    夜の野外にふさわしい美しい舞台
    山の中にある夜の公園は、ときどきパラつく雨や、あるいは濃霧のように身体にまとわりつくような雨によって、しっとりとした色と香りをたたえていた。

    その中にある野外劇場は、物の怪たちが主人公の、この舞台にふさわしい場所であった。

    ネタバレBOX

    太鼓の音に導かれて始まる舞台は、極彩色の衣装と相まって、プリミティブな力が強く出ていた。
    それは、しっとりした森に響き、共鳴するような様だ。
    暗闇の中の、物の怪たちの姿は美しい。

    女性の肉体に男性の声、男性の肉体に女性の声を配し、異物感のぶつかり合いで、一種異様な世界と、男女の情念を描く。
    演じる者(ムーバー)と台詞を言う者(スピーカー)が異なるという、人形を人に替えた文楽のようで、朗々とした台詞も物語にマッチしている。
    さらに歌舞伎の要素も垣間見られる。

    太鼓を中心にした音楽の中に、フォークソング調のテーマ曲の入り方(重ね方)も独特であり、男女の使い方を含め、違和感とその化学反応が素晴らしい。

    役者の身体のキレがとても美しい。カタがビシビシと決まる。脇の役者を含め、隙がない。常に全体の美のバランスを保っている。

    さらに、衣装の美しいこと! それが舞台に見事に映える。
    身のこなしもいいからだろう。

    和のテイストを響かせながら、それだけにとどまらない生演奏の音楽もいい。

    すり鉢状になっている客席の通路を花道に見立てて、役者が登場し、退場するのも楽しい。劇場すべてが「舞台」になっていた。

    雨天決行ということで、観客のほとんどは雨合羽で客席にいた。てっきり舞台の上には(例えば、日比谷野音のように)屋根があるのかと思っていたら、まったくなかった。舞台裏で演奏している場所にもなさそうだった。
    屋根がないので、舞台裏の正面にある木々が美しい。

    この舞台で雨天決行ということは、雨が本降りになったとき、あの衣装でずぶ濡れになって演じるつもりだったということなのだ。
    上演時には、雨は止み、よかったと思ったのだが、自分もずぶ濡れになってもいいから本降りの雨の中で観たかったな、と勝手なことをちょっとだけ思ってみた。

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