満足度★★★★★
宮城聰の演出が冴える
SPACの野外劇場はいつ来てもその景観とすがすがしい雰囲気に感動する。
演劇ファンを自認するかたには、一度は体験をお勧めしたい。
背後に迫る夜の森が幻想的な雰囲気を醸し出し、吹き渡る風も天然冷房のように涼しく心地よい。
今回の「天守物語」にふさわしいロケーションであった。
コロッセウムのような階段式の客席通路を花道のように使い、舞台との高低差を生かした演出。
宮城さんが好む民族調の打楽器の演奏で始まるのが祝祭的でよかった。
一部カットして1時間5分にまとめあげているが、原作の世界はじゅうぶんに堪能できた。
小劇場で古典をモチーフにした作品は上演時間が長いものが多いが、長いことが必ずしも作品の価値を高めるとは限らない良きお手本のような公演だった。
「天守物語」のファン必見の贅沢な舞台だと思うので、ぜひまた再演してほしい。