日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『老花夜想』  公演情報 日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『老花夜想』 」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★★

    今更すみません。でもすばらしかった。
    若さを失った娼婦が月蝕の夜に見た儚い夢を描いた作品。
    8人の俳優陣が白シャツ、黒ボトムスで現れて椅子に座る。抑制された"身体"をちゃんと認識していることが見て取れる。やはり、身体を操ることに長けている演出家は、そのあたりに敏感なのだ。リーディングの"制約"を正しく意識して魅力に転化できていたし、これは普通のストレートプレイとして上演するより絶対良かったと思う。
    朗読の中から、月光と水底と人魚のモチーフがゆらゆら見えてすごくロマンティック、かつ、しめつけられるほどせつなかった。

  • 満足度★★★★

    リーディング演出
    太田省吾戯曲が性に合わず途中何度か寝そうになったがなんとか堪える。
    本を開く、背もたれから背を離す、身体の向きを変える、といった朗読の邪魔をしない最小限の動きだけで演劇的な空間の移動が見えて見事。今回の企画が自分にとっての初リーディング体験だったので、なーるほどなこれがリーディングで演出するということかと興味深く観させてもらった。
    最後の今回の演出3名が揃ったアフタートークも、小劇場演劇の今後に対しての3様の意識を聞けて大変有意義だった。
    ところでリーディングと朗読の違いってなんなのだろうか。

  • 201005091400

  • 満足度★★★★

    見事に演出
    難解な作品をうまく紐解き、
    リーディングで世界観を出せてたように感じました。

    演出家としての腕の見せ場があった作品ではないでしょうか。

  • 満足度★★★★

    難しい作品を見事に演出!
    太田省吾という、リーディングとはもっとも離れたところにいる作家の作品を与えられ、中屋敷法仁がどう料理するのかと楽しみにしていたが、今回のリーディング三作品の中ではもっとも演出されている気がした。あらゆる箇所で演出家が指示した内容がわかり、限られた時間の中で、しっかりとこだわりを見せていると感じた。

    公演が立て込んでいるにもかかわらず、手抜きが感じられないところがうれしかった。

  • 演出という仕事
    若手演出家によるドラマ・リーディングの3本目は中屋敷法仁の演出で、太田省吾の作品を。上演時間は約90分。
    今回は登場人物が多いこともあり、ほかの2本ではあまり感じられなかった演出の仕事ぶりがちゃんとわかった。一つは戯曲の登場人物12名に対して、役者を8名にしたこと。アフタートークによると、これは戯曲で指定されたものではなく、演出家の判断でそう決めたものだという。登場人物が多いと混乱を招きやすい。観客の理解を助けるという配慮から出演者を8名にするのがベストだと判断したそうだ。
    もう一つ、ト書きの扱いについてもほかの2作と違いがあった。役者それぞれが、自分の役について書かれたト書きを基本的には自分でしゃべっていたというのが特徴的。また複数の役に向けてのト書きでは、その複数を演じる役者がユニゾンでト書きを読んでいた。たとえば「AとB、退場」というト書きがあったとすれば、そのト書きをAとBが声をそろえて読むわけだ。いっぽうまた、役者個別のト書きではなく、全体的な状況説明のような場合は、出番が後半にしかない役者が主にそのト書きの読み手を担った。そんな具合で、ト書きの読みにも独特の割り振りがあり、そこにも演出家の創意工夫が感じられた。

    アフタートークによると、中屋敷はこの日の午後にトルコからもどったばかりとのこと。イスタンブールで例の蛇使いを上演してきたわけで、考えてみればずいぶん無茶なスケジュールだが、トークによるとリーディングは基本的に稽古を2~3回やっただけで本番に臨むそうなので、だからこういう綱渡り的なことも可能だったのだろう。

    太田省吾の作品はこれまでまともに見たことがない。劇団地点がやったのは全テクストからの抜粋だし、晩年の作である「ヤジルシ」は途中で興味をなくして席を立ったのだった。
    「老花夜想(ノクターン)」という作品は太田が沈黙劇を始める以前に書いたもの。月食の夜に老いた娼婦の思い出が幻想的に花開く。月が人間に特別な影響を与えるファンタジーといえば「月の輝く夜に」という映画を思い出すが、この作品もそういう系列の物語のようだ。この戯曲は面白かった。

    役者では老いた娼婦を演じる内田淳子の演技が飛びぬけてすばらしい。ほかの出演者だって全然悪くないのだが、彼女の演技力はなんだかものすごく特別なものに思える。

このページのQRコードです。

拡大