満足度★★★
中盤あたりから失速気味?
時は昭和40年代の早春、信州の高校で季節外れの大雪により校舎から出られなくなった生徒数人…という状況の物語。
木造の旧校舎でやっと油の入っているストーブがある教室を見つけたという設定だし、置いてある椅子や机も当時の木製のものだし、交わされる会話も最近のコギャルからは考えられないウブなじょしこーせーだし、レトロな感覚満載。
ただ、相米慎二監督の『台風クラブ』(84年)にも似た昂揚感(あるいは小学生の頃、外が暗くなるまで居残っていた時のトキメキとか?)の中、卒業を目前にした不安をつい吐露してしまうという前半はなかなか良いが、中盤あたりから失速気味で中だるみ、というか坂を転がり下りていた球が登りに差し掛かって次第に速度を落として止まってしまうような感覚で、なんだかもったいないような…。
そういえば、オリジナルである男子高校生版は出演者が1人多いようで、どう違うんだろう?
満足度★★★★
余韻…
悩んだ末に、同性である女子高生バージョンを観劇。
タイニイアリスの濃密な空間で、役者さんひとりひとり、お互いの台詞の間を確かめ合うようにじっくりと大切に繰り広げられる物語。
丁寧な目線での作品作りに、好感。
私も高校生までを田舎で過ごし、今は東京で生活している身であり、しかも、エンジのラインのセーラー服が自分の母校(中学ですが)の制服によく似ていて。なんだか、登場人物たちの顔が友人の顔と重なるような…。
ただ、方言のイントネーションが強すぎ、「自分」と重なってどっぷりと浸りきれるところまではいけなかったのは、個人的には残念でした。
男子高生バージョンも観たかったなぁ。
満足度★★★★★
甘酸っぱい、あの頃の記憶
女子高生バージョンを観劇。
1970年代の、長野県の片田舎にある高校での一晩を描写。
高校生特有の、将来に対する不安と期待を地方伝承を絡め、見事に表現。
観劇中、観劇後、心がポッと暖かくなる舞台であった。
今年101本目の観劇作品となったが、年間のトップ10に入る秀作であった。
満足度★★★★★
なぜかふるふると涙が出て止まらなかった
男子バージョンを観劇。宮沢賢治の世界感を彷彿とさせた作品だったと思う。オープニングとエンディングがお見事。このエンディングで泣けた。泣いた。
雪深い山間の高校の教室が舞台。雪が降り初めて止む気配がなく、教室に閉じ込められてしまった高校生らの話。
以下はネタばれBOXにて。。
満足度★★★★
懐かしい椅子や机が見れました
言葉使いや方言が、地方色よく出してました。自分が何の卵かわからず、何にでも成れそうな、それでいて何も出来なさそうな。不安・期待が入り混じった時期の高校生を良く描ききっていました。田舎から出る事、出ない事。人より秀でているところの有無。それぞれの立場から出る言葉の積み重ねが、心に残る作品でした。
満足度★★★★★
純な演劇
笑いで観客の心をつかもうとか、テレビ的な演出で斬新さを狙おうとか、そういったギミックは全部排除し、愚直なまでに直球勝負で挑んだピュアな演劇作品でした。それが社会の荒波にもまれる直前のピュアな若者たちの姿にもマッチしていたと思います。狭い教室の中のごく普通の高校生という設定であるにもかかわらず、生徒ひとりひとりの言動の中に、保守的で民話の残る田舎の村が徐々に変わって行く予感や、後戻り出来ない時代の流れのエネルギーも感じられました。
個人的には、1970年代という比較的最近の時代の物語であるのに、日本の原風景的なものが見えて来てビックリしました。