満足度★★★
一人のジャーナリストが20年前に事故として処理された少女の死亡事件の再検証に踏み込むというストーリー。
単なる「事故死」として片付けられたかつての事件を現在の角度から紐解く記者側のパートと、追憶のような手触りで当時の様子を再現する当事者側のパートを行き来する形で次第に真相が詳らかになっていきます。俳優は複数の役を演じ、時系列は交錯するも整理され、導線が敷かれた演出や俳優の技量、照明や美術の効果も手伝って、混乱することなく観ることができました。
満足度★★
実際に起きてしまった痛ましい児童殺害事件を下敷きにしており、観客の注目度も高い一作だと思います。該当事件に関する知識の有無で作品の評価が変わる上演ではなく、全ての観客へ丁寧に情報を伝えようとする意思を感じました。その意味で、いま舞台上で起きている事柄を、観客が受け取りやすい状況と言えるでしょう。ただ、僕個人は、今作で過去の実在事件を取り上げた創作上の意図を明確に感じ取れず、少しモヤモヤした気持ちになりました。実際の事件を取り上げることで「これは他人事ではない」という凄みを増幅させる効果はありました。そこから更に、一歩、二歩、三歩、踏み込むことで、物語は劇的に広がりを見せると思います。(←勿論高いハードルであることは承知していますが、期待を込めて)。
満足度★★★★
世間の耳目を集めた事件を総括し未来を見据える討論劇
新型コロナウイルスの流行前から日本社会が直面してきた諸問題について、少し先の3年後の時点から先取りして観客に提起する意欲作である。