万能グローブ ガラパゴスダイナモス(福岡県)
作品タイトル「甘い手」
満足度★★★★
とにかく会場が温かい雰囲気で、万能グローブ ガラパゴスダイナモスという劇団が、福岡でどれほど愛されているのかというのをひしひしと感じました。ただ、今回の上演の地、北九州はそこまでホームというわけでもないそうで、彼らが公演をおこなうことが多い、福岡市とはまたちょっと違うと聞き、福岡市だったらもっと温かい(もしくは暑い)雰囲気なのかもしれないと驚きました。いずれ福岡市でも劇団公演を拝見したいものです。
満足度★★★★
ドタバタコメディと言っていいのか……そういう印象を受ける元気の良さ、勢い、キャラクターの濃さ、賑やかさ、コミカルさなどが詰まっており、さらに細部へのこだわりもかなり練られていました。チラシのビジュアルとも重なるパッチワークのような美術が印象的で、サーカス小屋の入口のような、おもちゃ箱のイメージのようなワクワク感もあります。同じく当日パンフレットの顔写真つきの人物紹介も楽しい。音響や照明もベタな挿入だけれど描きたい世界がはっきりしていて思いきりがよく、さらに俳優もふくめて「うちの表現はこうだ!」という自信や信頼も垣間見えました。
満足度★★★★
文化祭前の学校を舞台にしたドタバタ青春群像劇。
若者……に限らず、誰にもある「ほんとうの私」をめぐるモヤモヤを、複数のエピソードを織り交ぜつつ、変に深刻にならず、ラストの盛り上がりへと昇華させていく手つきが爽快で、楽しく観劇しました。一定のテンションを保ちつつ単調にならない演技、スピーディーな場面転換も、演出力はもちろん、劇団力の強さを感じさせるものだったと思います。
俳優の年齢と役の設定のギャップもありますし、これがリアルな高校生活だとは思いませんが、もう少し上の世代によるノスタルジーとして描かれた若者のイノセントさ、呑気さ、右往左往だと思えば、ちょっと甘酸っぱい感慨も湧いてきます。
(ガラパはだいぶ以前に観たことがあるのですが、作り手が若者ではなくなったことで、むしろ、フィクション、エンターテインメントに振り切れた面もあるのかもしれません)
横山祐香里さん演じる堅物先生、椎木樹人さん演じる熱血先生の佇まいも、個性的でありつつ、ちょっと大人の余裕としての重しにもなるような魅力がありました。