満足度★★★★
とても重いテーマを取り扱った作品ですが、演出としてはできる限りポップなタッチで、もしくは前向きに描こうという意志も感じられつつ、でもシリアスに描くべきところは外さないという姿勢が徹底されていたと思います。描かれる問題の大きさに胸が苦しくなりました。それだけ心を動かされた作品だと言えると思います。
満足度★★★
女の身体を持つ者たちによる、三世代の女たちの物語。私も女の身体を持ち女として生きる性だからなのか、私のパーソナリティなのか、女を描く物語や設定には、これまで親しんだ違和感のない手触りが多かったです。そういう意味では真新しさはなかった一方、丁寧に率直に真摯に、女が生きる世界を描こうという姿勢を感じました。
満足度★★★★
亡くなった姉の子を育てた祖母、シングルマザーとして奮闘する母、性暴力事件をきっかけに溝が生まれてしまった双子。女性だけの三世代の家庭を舞台に、性暴力が残し続ける傷、その深さにいかに向き合い、寄り添うかが描かれます。当事者の哀しみ痛みだけでなく、周囲の戸惑いや過ちも静かに見つめ、解きほぐしていく手つき、プロセスが印象的な作品でした。
とりわけ、音信不通となった姉・倫子(西岡未央)と、その心を追って旅することになる妹・結子(滝沢花野)の関係は、少女期の二人のアンサンブルの良さも手伝って、直接の被害者ではない(と思っている)人間が、どのように、性暴力や差別と向き合っていくかというヒントを示しているようにも思えました。