Le Petit Prince -わたしと小さな王子さま-

THEATRE MOMENTS（東京都）

公演に携わっているメンバー：9人

【団体紹介】

「日本発信のワールドスタンダード演劇」 を目標に、２００４年、俳優座養成所出身の佐川大輔 と宝塚歌劇団出身の中原くれあ により設立。原作となる小説や戯曲（シェイクスピア作「マクベス」、深沢七郎作「楢山節考」など）をベースに、俳優とアイデアを出し合うデバイジング手法で、普遍的強度のある舞台芸術を創作しています。トイレットペーパー、ゴミ袋など、作品ごとにテーマとリンクする日常生活に身近な「小道具」を設定。それらを自在に活用するオブジェクトシアター手法が特徴で、批評性、現代性を内包しながらも、想像力を刺激するビジュアル性の高い演出で、海外でも高評価を得ています。

海外公演は延べ10回以上、レパートリーは6本に増え、昨年は全国6都市レパートリーツアーを行いました。また、小劇場としては希少なバリアフリー対応にも力を注ぎ、2018年以降の東京公演では、必ず外国語や日本語の字幕、音声ガイドなどを取り入れ、幅広い層を受け入れています。

第４回せんがわ劇場演劇コンクールにてグランプリ、演出賞、オーディエンス賞を受賞。

【応募公演への意気込み】

「星の王子さま」は、砂漠に不時着した飛行士が、王子とのやり取りで、失った何かに気づいていく物語。しかし終幕では王子も消えてしまう･･･

コロナは多くの分断、孤立を生み出しました。その根には「喪失」があると思います。
喪失を何とか埋めようとし、他者攻撃に走る。一方、弱者は、他者との関わりをやめ、孤立する。多様性という複雑さに縛られ、簡単に答えが出ない今、私達はこの作品を通し「喪失」について皆さんと考えてみたいと思います。

《演出の試み》
① テーマ小道具はどこの家にもある段ボール。平面にも立体にもなり、中は空っぽ。しかし、何か入っていると想像することもできます。段ボールを表現の一部として使い、観客の想像力を刺激し、「大切なものは目に見えない」という主題を立ち上げます。
② 原作ビジュアルをあえて踏襲せず、王子役や飛行士役を場面により変更することで、自分の物語として感じてもらえる効果を狙います。
③ マイノリティを意識した演出をあえて入れることで、「多様性社会の課題」を表現し、観客に新たな発見をしてもらえる場となるよう考えてます。

【将来のビジョン】

演劇は持続可能とは程遠いアナログ芸術ですが、私達は「再演による収益化」「創客」の2本柱で、「サステナブルな劇団」となることを目指します。

まず、「新作は全てレパートリー化し、再演ツアーをする」創作サイクルを実践します。そのために、テーマ小道具の見立てとアンサンブル力で、ミニマムから最大限の効果を上げる演出を売りに、「演劇が本来持つ貧しさ」を武器に観客の想像力を刺激することで、ツアーにより適したスモールパッケージな創作をします。

創客として「観劇初心者が演劇の魅力を発見し、友人を誘いたくなる」そんな体験共有をしたくなる演劇を作ります。つまり、対象は幅広く、しかし、クオリティは高い創作で、「観劇の入口に最適な劇団」を目指します。その意味で俳優との集団創作手法も、多様な視点から検証し、普遍性を獲得する役割も担っています。また、バリアフリー、国際交流、アウトリーチなど、開かれた演劇活動を行い、国境や世代、文化を超え、世界巡演できる国際派劇団となることが目標です。