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- 応募作品
透き間
サファリ・P(京都府)
公演に携わっているメンバー:7人
- 【団体紹介】
- メンバーは高杉征司、芦谷康介、達矢、佐々木ヤス子、池辺茜、森永恭代、山口茜の7名(2022年2月現在)。パフォーマー(俳優・ダンサー)・技術スタッフ(照明・音響)・演出部(演出家・ドラマトゥルク)からなる劇団。
これまでは主に既成戯曲・小説から作品を立ち上げてきた。物語に底流する作者の生い立ち、時代背景などを重視してテキストを紐解き、その中から選び抜いた最小限のテキストを抽出。パフォーマーに俳優とダンサーが混在していることを活かし、身体と最小限の舞台美術、最小限のテキストのみを使用し、文字だけで立ち上がっていた原作世界の、意外な、しかし間違いなくそこにある要素を立ち上げることを得意とする。
2015年7月、利賀演劇人コンクール2015にて『財産没収』(作:テネシー・ウィリアムズ)を上演。優秀演出家賞一席を受賞。また、FEMART Festival(コソボ共和国)や瀬戸内国際芸術祭でも公演を行っている。
- 【応募公演への意気込み】
- 本作『透き間』はアルバニアの作家イスマイル・カダレの小説『砕かれた四月』(Ismail Kadare, Prilli i Thyer)を出発点としつつ、山口茜によるオリジナル作品として書き下ろされたものです。
『砕かれた四月』に描かれるのは、古からの掟により仇討ちが義務づけられた世界です。仇討ち、すなわち、報復としての殺人を認めるというこの掟が、小説の中のフィクションではなく、アルバニアにおいて現代にも存続しているという事実。このことから受けた衝撃が、本作の出発点にはあります。この掟のモチーフに、本作のリサーチのために行ったコソボ紛争経験者の若者との戦争をめぐる対話、そして傷痍軍人であった山口自身の祖父のイメージが縒り合されながら、『透き間』は執筆されました。
『砕かれた四月 ‐プロトタイプ‐』と題した中間成果の発表も含め、約2年間に渡る準備過程を経ての今回の公演です。一人でも多くのみなさまにご覧いただけることを願っています。
- 【将来のビジョン】
- サファリ・Pでは一貫して、何らかの既存の作品を出発点として舞台を立ち上げるということに取り組んできました。私たちからは離れたところにある他者の言葉に向き合いながら、私たち自身の言葉を紡ぎ出し、その二つを折り重ねていくこと。そうしたプロセスを経ることによって、作品にある種の普遍的な力が宿ると信じています。
こうした方法論を継続しつつ、サファリ・Pは現在、集団としての「協働作業」のあり方に新たな可能性を見出しつつあります。山口のテキストに対して、メンバーが率直に意見を述べ、声と身体で具現化する。それを受けとめて山口が加筆する。これを何度も繰り返すことによって、作品は、山口一人ではたどり着けない場所へと飛び立っていきます。ここには、演劇創作における真の意味での「協働作業」が生まれているように思います。この協働の可能性のさらなる追求へと進んでいきたいと考えています。
公演に携わっているメンバー(7)