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- 舞台芸術まつり!2009春
Little Eyolf―ちいさなエイヨルフ―
shelf(東京都)
公演に携わっているメンバー:7人
- 団体紹介
- ここ数年、shelfは古典作品の上演にこだわり続けています。それはひとえに今の私たちの問題意識――私たちはこの時代の制約の中で今、分かり易いものばかりを称揚する風潮に侵されて、あるいは時代意識そのものの欠落によって、芸術を、ひいては人間を思考することにおいて、視野狭窄に陥っていやしないか――という問題意識によります。
人間と言葉の関係を考えるとき、単に話し言葉のみを念頭においていては十全な検証が出来ないと考えます。人類は言葉との関係において、特に書き言葉を発明することによって、急速に思考を深化させて来たのではなかったか。
書き言葉である台詞を自分の実感にひきよせることで安易に話し言葉とするのではなく、書き言葉としての強さ、濃密さを出来るだけそのままに発話するための方法を獲得する。その上で、発話された声にリアルでナチュラルな人の意識の流れや感情の変化を注ぎ込んで、肉厚なドラマを構築したい。
形式としてフィクスされた"書き言葉"から、如何にして時代を表象しうるような、新しい"話し言葉(=語りの形式)"を構築するか。
あるいは、そのことにより、ただ日常の身体に擬態するのみでなく、よりアクチュアルで豊かな舞台における身体の言語・表現を獲得したい。
shelfはこのことを当面の課題とし、新しく、自分たちにユニークな演技における方法・様式の確立を目指します。
- 応募公演への意気込み
- 一口に再演といっても優れた舞台表現はその時代・空間・場所に合わせて、都度、刷新される表現であると考えます。
初演時は小さなアトリエ(豊島区・atelier SENTIO)、08年8月に上演したときは野外(富山県・利賀芸術公園内特設野外劇場)、10月の名古屋公演では倉庫を改装した小劇場(七ツ寺共同スタジオ)、と、上演の都度、全く異なる空間に(特に個性の強い空間に)合わせて、その表現の強度を醸成してきました。
今回の上演は、8月の改訂後、再び初演時と同じ空間であるatelier SENTIOでの上演となります。
また東京圏においてはこれが、利賀演劇人コンクール2008、<最優秀演劇人賞>受賞後初の上演です。
今回の再演を以て本作品のカンパニーのレパートリー作品化を目指すと同時に、新作初演のみに偏りがちな東京圏の現代演劇の状況下において、舞台芸術作品の"再演"の価値を高めること、よって演劇や舞台芸術一般のより大きな可能性を拓くことを私たちは目指します。
- 将来のビジョン
- 戯曲の真価を舞台で発揮するのは非常に困難とされてきた「私たち死んだものが目覚めたら」。写実主義から象徴主義へと移行するイプセン最晩年の戯曲を以て、近代を超え、現代を照射する作品に再生します。
客演俳優にク・ナウカの阿部一徳、片岡佐知子らを迎え、劇団としては初の三都市ツアーを敢行。(名古屋・七ツ寺共同スタジオ、東京・春風舎、京都・アトリエ劇研)
多くの地域、及びその観客の視線に晒されることで自分たちの表現の深度を検証し、より強い表現の獲得を目指すと共に、地域の拠点劇場との提携を通じて地域間交流の促進も目指します。
作品それのみならず、作品の上演を通じて展開されるshelfの活動そのものが到達する距離。作品を通じて、どこまで遠く飛躍することができるか。そのことについても、ご期待、ご声援頂ければ幸甚です。
公演に携わっているメンバー(7)