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パ・ラパパンパン

パ・ラパパンパン

Bunkamura / 大人計画

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2021/11/03 (水) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

現実と小説の世界の多重構造の演劇はおもしろかった。

前半はお笑い寄りで、後半は本格ミステリ寄りなのだが、
現実世界で起こった事件の謎が原因はあれしかないだろうな~っと思ってしまい、
それを終盤まで引っ張るのでそれは辛かった。
後半の物語が伏線を回収してまとまっていく展開はよかった。

たか子さんの歌はとても良かった、
序盤の全員で歌っている歌は歌詞が全く聴き取れなかった
同じく、たか子さんと龍之介さんが一緒に歌った時も
違う歌詞を同時に歌っていたのでこれも聴き取れなかった。
ラパパパン~♪という歌詞は観劇後も記憶に残った。

飛ぶ太陽

飛ぶ太陽

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2021/11/26 (金) ~ 2021/12/08 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

主人公が母親に対してへの思いが長年溜まっていたのか
母親の些細なミスで一気に怒りの沸点が達したことに驚いた。

単純なドキュメンタリー演劇に見えないように、あえて芝居っぽい台詞を
盛り込んだのだろうか、そのせいか個人的に先の展開が気になるというより
事故を辿っていくだけの淡々とした芝居を見続けていたような気がする。

見えない何かに対しての怒り、もどかしさ、悲しみは伝わるのだけど
直接のやり取りがないため、いかんせん盛り上がらない、
獣唄は父親とのやり取りがあったから面白かったのだが
今回は特にそういうキャラはいなかったような気がする。

あと、悲しい時に流す曲が毎回、同じで少し乱用しすぎなような気がした。
いい曲だと思うんだけどここぞというというときに使用しないから
安っぽく感じでしまう。

嫉妬深子の嫉妬深い日々

嫉妬深子の嫉妬深い日々

U-33project

王子小劇場(東京都)

2021/11/26 (金) ~ 2021/11/30 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

どこの教室にもいそうなタイプの女子が沢山登場する中、こっこのタイプは流石にいない!?‥燦然と輝く強力キャラ、嫉妬深子。
嫉妬深いというより友人の目が自分最優先に向いていないと我慢できない重度のかまってちゃん。
特に人を惹きつける武器を待たず(見た目の可愛さはスルーらしい)して、とにかく自分の方を見て、見て!って、アンタ・・・という半ば呆れ目で観ているうちに、ひょんなことから自分探しの旅in嫉妬深子さながらの回想シーン。
次々に”嫉妬深子”を巡っていると、やがてはこちらの心の奥をノックしてきて・・・遂には小学1年生まで遡った個人的ワンシーン、思い出が混沌のなか蘇ってきました。
あぁ自分の中にも嫉妬深子がいたんだ。

のほほ~んとした音楽にのせて女子達が集まってくる今日は同窓会。
目立たぬ女子、嫉妬深子の観察者でもあるメイコの立ち位置、独自目線が面白い。

ネタバレBOX

家がはす向かいで同い年、毎日遊んでいたA君。
やがてピカピカの小学1年生、もちろん一緒に登校。
クラスは別々。
初日の授業を終えて、さあA君と一緒に帰ろうかなぁと何気に窓の外を見ると、
校内から運動場へ、新しい友達と楽しそうに遊びに出てくるA君。
何だか裏切られたような地団駄を踏みたいワンシーンはまさに嫉妬深子。
こんな昔の事よく思い出した。
恐るべし嫉妬深子。
物語サーカス

物語サーカス

劇団プレイング

フェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)(大阪府)

2021/11/28 (日) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「物語サーカス」これは、山本知史さんのエッセイを芝居にした こんなのは、初めてです。
これが芝居か? 芝居の形は何でもありですからこの形も良いと思います。
産業革命 世界大戦 ネット、社会の変化 進化。 劇団プレイングを立ち上げて進めてきた 山本知史さんの頑張った歩みと、放心、コロナショックの2年間 社会の行き詰まりを交えた、これからの想いを伝えたエッセイ
スプーンにココナツの香、細かなを仕込が楽しい。 急に倒れる客性の一人

これからの歩みが楽しみ。

アルトゥロ・ウイの興隆

アルトゥロ・ウイの興隆

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2020/01/11 (土) ~ 2020/02/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初っ端から爆音のファンク。オーサカ=モノレールの圧倒的な存在感とファンキーな音楽に乗って、草彅・ウイが舌を出し、お下品に踊る躍る。なんだこのグルーヴ感は! 草彅・ウイは、自由に、計算なしに泳いでいるかのよう。でもこの天才役者は瞬発力と地道な積み重ねでできていると思っているから、ある種の計算はあるんだろうな。とはいえ、何かに取りつかれたかのような暴れっぷりは清々しいほど。
舞台の醍醐味が存分に味わえる傑作。草彅剛はじめ、松尾諭、中山祐一朗、関秀人、有川マコトといった芸達者たちのコラボレーションもすばらしい。そしてなにより、中田亮率いるオーサカ=モノレールの音楽に躍らされる。白井晃の鉄板の演出と、取りこぼしなし。必見。

みんなしねばいいのにII

みんなしねばいいのにII

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/11/26 (金) ~ 2021/12/07 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/11/27 (土) 18:00

不条理な設定をリアルに演じる、というのが作風だと思う同劇団だが、2016年初演の作品を大きく改作しての上演で、初演は観てない。面白い。95分。
 ゴミ屋敷だったところに建った女性専用マンションに住む3人の女性と絡む2名の男性、そして、その一人の死んだ母親の物語。ハロウィーンが誕生日だが誰も気づいてくれない女性が家に帰ると、屋根裏に住む(?)死んだ母親が祝ってくれる、というあたりから、不条理な状況に入り、ハロウィーンが終わらないことになって…、な展開。初演の評判は今イチだったようだが、本作は本当に面白い。どう変えたんだろうな、と思う。母親役の小瀧万梨子がニコニコしているのが、とても可愛く、不気味にも思う。

イモンドの勝負

イモンドの勝負

キューブ

本多劇場(東京都)

2021/11/20 (土) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

第一幕100分休憩15分第二幕85分。
プロジェクションマッピングや視覚効果の合成が最先端。リアルタイムの舞台でここまで出来ることに驚いた。オープニングは凄まじい。最早TV番組だ。
主演の大倉孝二氏のキャラがアンジャッシュの児嶋一哉っぽい。常に弄られて怒鳴りツッコミ。三宅弘城氏は終始絶好調、間違いなく面白い。廣川三憲(みつのり)氏の味が要所要所で利いてくる。

近々オリンピックが行なわれる東京、UFOの襲撃で選手団は拐われる。謎の孤児院の地下では何かの実験が行われており、そこに入れられている主人公は日本の代表に選出されようとするのだが···。

小学校低学年の子供二人が多分母親に連れられて観に来ていたのだが、開幕から終幕までケラケラ甲高い声で笑って観劇。きちんと内容を理解している笑いで、「ガキの頃から随分ハイセンスな教育を受けているな」と作品よりそっちに感心した。

ネタバレBOX

結構居眠り率高し。自分も眠気との戦いとなった。
KERAは笑いではなく、不条理文学の人なんだろう。コントのネタ自体は古い。「マカロニほうれん荘」とか70年代のあの頃のギャグ漫画を思わせる、懐かしさすら覚える設定。赤塚不二夫ならすでにどっかに描いてそう。多分根本的に暴力が足りないのだ。大倉孝二氏メインのコントはつまらなく、淡々と観てしまう。

舞台の笑いは飲み会の同調圧力のようなもので、場の雰囲気を保つ為にする愛想笑いが多くなる。そのうち何が面白いのかさっぱり判らなくなり、暗い気持ちの帰り道は皆死にたくなるものだ。
昔、たけしの「みんな〜やってるか!」をテアトル新宿のレイトショーで、しかも立見で観た時のことを思い出した。
マツバラQ

マツバラQ

グワィニャオン

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2021/11/24 (水) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

観客を楽しませる要素がたくさん詰まっていて、とても面白かったです。
出版社の人達と、本の中の登場人物が上手く交錯していました。
出版社の人達の新選組への愛、本を作る情熱、新選組の隊士の思い、色々な事が伝わってきました。
殺陣も観応えがあって良かったです。
大満足の舞台でした!

12人のおかしな大阪人~2021

12人のおかしな大阪人~2021

枚方市総合文化芸術センター指定管理者 アートシティひらかた共同事業体

枚方市総合文化芸術センター/関西医大・小ホール(大阪府)

2021/11/27 (土) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

笑いました。周りの方々も皆さん楽しそうで幸せな気持ちになりました。
陪審員さんたちのイス、1列目の中央ブロックを外してましたが、そのイスを使ってましたよね?
初めて行った枚方の新しい劇場、とってもいいホールでした。傾斜が急で前の人の頭がかぶらず、全体がバッチリ見えました。

異常以上ゴミ未満、又は名もなき君へ

異常以上ゴミ未満、又は名もなき君へ

good morning N°5

小劇場B1(東京都)

2021/11/25 (木) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■105分弱■
数々のバカ話をとある趣向によって一つにまとめ上げた作品。全体的構成は上出来とは言いがたいが、くだらなすぎて愛おしくなるようなお話が少なくなく、あれだけの美人が飽かずバカ演劇を追究しているという、そのミラクル、その奇跡に嬉しくなった。
ブルー&スカイさんご出演ということで、久方ぶりに観たgm5だったが、女優陣が捨て身でバカをやっている感じがかつてより薄まっているように思えたのは、単なる気のせいか、はたまた意図的にそうしているのか、最後まで判じかねた。
開場から開演までの、ほぼほぼ30分にわたる育子さんの前説は作品同様あいかわらずエネルギッシュで、惹きつける。歯切れのよいトークで場を盛り上げながらも、「周りの方がトイレとかで中座しようとした時、『なんだよ。。』って渋い顔をするのはやめてくださいね。同じ演劇を一緒に楽しむ仲間なんだから、そこは和やかにいきましょう」(大意)と不寛容を諫めたりするあたりには育子さんの平和志向が感じられ、その姿勢は、お客様を笑顔にさせるバカ演劇を長きにわたって続けていることと、通底しているようにも思えた。
なお、劇中のセリフのほとんどは早口かつ絶叫調で繰り出され、澤田演劇ならではの諧謔と文学味が、セリフの聴き取りづらさ故に十全には汲み取りきれず、もったいなく思えてしまう。前説で「人間の集中力が続くのはせいぜい90分。だからあんまり長くはしたくない」と演劇の尺について持論を述べておられたが、時間短縮のための早ゼリフなら、少し尺を伸ばしてでも、発話の速度を落とすべき。尺を伸ばすのが嫌ならば、いくつかのシーンを割愛するのも選択肢。絶叫調の早ゼリフは劇に勢いをつけるためなのかもしれないが、釈迦に説法を重々承知で言わせてもらえば、笑いは緩急。じっくり魅せるシーンも増やしたほうが、全体的な笑いの量は増えると思う。

ネタバレBOX

序盤だけ書いてはクシャクシャに原稿を丸めて放り捨て、序盤だけ書いてはクシャクシャに原稿を丸めて放り捨て…を繰り返している、髪の毛までがクシャクシャの、昔の文豪みたいなナリをした和服姿の小説家が登場。自分の産み落としたお話に自由に出入りできる作家は、「続きを書いてよ!」と各話の主人公に迫り、主人公らは作家の産んだ架空世界を生きることで、お話の続きを作っていくという趣向。
中には、作家が間借りしている一家を描いた私小説的な話もあり、30歳も年下の新妻を迎える家主から離縁を言い渡された妻は、「これまでお世話になりました」と間借り人の作家に感謝の思いを込めたお茶を出したりと、ひどい仕打ちに遭いながらも平静を保ち続けて取り乱さず、涙さえ流さない。
出色なのは、その奥さんを泣かせようと頑張るリコーダー集団のくだり。家を追い出されるというのになかなか泣かない奥さんを泣かせるよう先述の家主に頼まれ、金まで受け取った集団は保護色の服(笑)を着て家周りにひそみ、哀愁あふれる楽曲をリコーダーで奏でて奥さんの涙腺を緩ませようと頑張るも、試みはあえなく失敗。これにぶちキレたブルー&スカイ演じるリーダーが、メンバーたちを言葉巧みに激しくなじるシーンには、フルスロットルで悪罵を飛ばすブルー&スカイさんの演技が可笑しく、大いに笑った。
夢を抱いて東京に来るもいまだ何者にもなれず、底辺でくすぶり続ける不良ネコたちが可愛い牝ネズミをいじめたりして暴れる話は、なにかなんだか、よくわからなかった。
マツバラQ

マツバラQ

グワィニャオン

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2021/11/24 (水) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

20周年にして今回がグワィニャオン初観劇。細かなところまで作り込まれた、とても楽しい舞台で、前作を観ていないのが悔やまれた。

雉はじめて鳴く

雉はじめて鳴く

劇団未来

未来ワークスタジオ(大阪府)

2021/11/19 (金) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

大満足。あるある話ですが、演技力が凄い。最後のシンクロさせるところなんて神業的な展開。言うことは完璧過ぎて、何もありません。

雉はじめて鳴く

雉はじめて鳴く

劇団未来

未来ワークスタジオ(大阪府)

2021/11/19 (金) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最後まで目が離せない見応えあるお芝居でした
会話はテンポよく、小気味良い台詞
笑いを誘うところもスルッとこなしていく
安定した演技が面白いストーリーを魅せてくれます
キャスティングも良かったと思います
中でもカウンセラー役の肉戸恵美さんとお母さん役の前田都貴子さんはキャラを引き立てる演技が素晴らしかった!

嫉妬深子の嫉妬深い日々

嫉妬深子の嫉妬深い日々

U-33project

王子小劇場(東京都)

2021/11/26 (金) ~ 2021/11/30 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

皆さんは何作品か前のむむちゃんから拝見。今回も3作とも拝見しました。難しいテーマを独自の視点、演出で見せてくれてる気がしますが、少し難しい感じです。でも3作では今回が私的には一番わかりやすかったかな。最後のシーン好きでした。色々感じ方はありますが、自分の欠点をちゃん気がついて付き合えられれば…なんて思いながら拝見してました。役者の皆さんもみんな個性があって可愛らしく良かったですね

マツバラQ

マツバラQ

グワィニャオン

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2021/11/24 (水) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

20周年おめでとうございます❗前作も拝見していて今回作品最高でした。前作も含めて皆さんの作品を続けて拝見してますが外れなし、必ず面白いそんな団体さんです。色々拝見しますが、間違いなく上位です。今回作も今のお話と別のお話うまく完璧に繋がってて、役者の皆さんもそれを違和感なく見事に演じてすばらしかったです。次回作品も楽しみにしてますね‼️

月の記憶

月の記憶

下北澤姉妹社

シアター711(東京都)

2021/11/24 (水) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

コロナ過のなかのお話として、謎めいた内容もあって、とてもよかったです。
ちょっと悲しい内容もありましたが、最後、なんとなく心が暖かくなる未来に繋がるような感じです良かったです。とても良いお芝居でした。ありがとうございます。

愛するとき 死するとき

愛するとき 死するとき

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2021/11/14 (日) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

YouTubeで映像を次々と拾って見ている感覚の1部。若者、はじけてるなー。楽しい後に、ほろ苦さが残る。2部、3部も全く違う見せ方で、若者、若くない者の生活に、じわじわと余韻が残っています。小山さんの演出に脱帽しました。7人の役者さんと演奏(音楽も)に絶大な信頼を寄せて、舞台を任せている感じ。曲が、セットの一部になっていてとても良かった。

イモンドの勝負

イモンドの勝負

キューブ

本多劇場(東京都)

2021/11/20 (土) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

時代の先端を行くナンセンスで不条理(absurd)な唯一無二の舞台。ケラリーノ・サンドロヴィッチが日本演劇に独自の世界を開いて見せて30年を超える。
戯曲作家としてだけではない。その舞台表現のために意中の俳優を集めたナイロン100℃を率いて座頭としてのリーダーシップ。正直に言って、「フローズン・ビーチ」のころまでは、真価がよくわかっていなかった。ほかにないというが、別役実があるじゃないか、日本の喜劇にはナンセンスの伝統があるじゃないか、だが、そんなことを言っているうちにケラは小さな演劇社会の俗論を振り返りもせず、さまざまな演劇の世界に自らのナンセンスを持ち込み、検証し(岸田國士からカフカ、オールビーまで)、ケラならではの世界を創り上げたのだ。この三十年、ケラが作った作品と、その出演者たちの演劇経験は、教条主義が主流だった日本の演劇の地殻変動を深いところで促してきた。
最近の例をあげれば、阿佐スパの「老いと建築」の村岡希美、長塚圭史にその影響を濃く見ることができる。すごいとしか言いようがない。
そのナイロン100℃の47回目の公演。出発の原点に戻って、ナンセンスを描くという「イモンドの勝負」は本年掉尾を飾る秀作だった。
この舞台、ストーリーは、もちろんある。しかし、ストーリーの役割は普通の演劇作品と違って、多義的で漠然としている。不幸な家族環境から、孤児院(院長・犬山イヌコ)で育ったスズキタモツ(大倉孝二)が選ばれてスポーツの世界選手権に参加する、というのがメインの筋立てだが、タモツの不幸な肉親関係の葛藤とか、探偵が政府高官に依頼されて四つの謎を探るとか、それぞれに結構波乱万丈の脇筋のストーリーが組まれていて、それが複合的にナンセンスな笑いとともに展開する。タイトルの「イモンド」というのも結局なんだかよくわからない。(戯曲で調べて見ればどこかで言っているのかもしれないが、そんなことはどうでもよく客が勝手に想像して、誤解すればいいのである)
舞台では様々なナンセンスな警句が次々に放たれ、笑っているうちに忘れてしまうが、私が気に入ったのは「ミステリの犯人は必ずしも登場人物である必要はない」、ミステリにとっても演劇にとっても、チョー不条理でナンセンスなテーゼである。通りがかりの町の人がみな尾行していることを知っている探偵(山内圭哉)が、犯人を尾行する、とか、話としてはクライマックスになる世界選手権の競技がじゃんけんで、タモツはどこまでも勝ち続け,相手は後出しをしても勝てない。万人熱狂の勝ち負けを笑い飛ばす。一方では「生きていて仕方のない人なんか、二割くらいしかいませんよ」と平然と言ってのける。
出演者は長年のナイロン100°Cnのメンバーに、赤堀雅秋、山内圭哉 池谷のぶえの客演。客演と言ってもこの劇団とは共演も多かった俳優たちだから今回はすっかりケラの世界になじんでいる。
ケラの舞台が時代を超えても古びない要因に、前世紀の後半から、大衆の支持をえて、表現文化の底流を形創るようになった音楽、映像表現を巧みに舞台に取り入れていることがある。もともとミュージシャンだったから、音楽のカンがよく、映像も、上田大樹という個性的でケラと合う作家と組む。今回もそこも鮮やかに決まっている。連鎖劇のようなタイトル映像が出てきただけで観客は嬉しいのだ。変な被り物の動物も、出てきただけで可笑しいが、なんだかわからない。これで、一幕1時間45分。15分の休憩をはさんで二幕1時間20分。3時間20分がダレない。ひょっとすると、これ以上はないかも、と思わせる充実した公演だった。
ケラも作品数の多い作家だから、井上ひさしと同じですべてが成功とは言えない。だが、後年(それがはるか先の時代であっても)ケラを再発掘しようとすれば、必ず「イモンドの勝負」は再演の候補になるだろう。この作品にはケラのナンセンスが集約されている。



みんなしねばいいのにII

みんなしねばいいのにII

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/11/26 (金) ~ 2021/12/07 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#清水緑 #幡美優
#あやかんぬ #伊藤毅
#小瀧万梨子 #亀山浩史
舞台美術を見た瞬間に作品が蘇る。あの大きな窓のブラックホール。今更ながら #みんなしねばいいのに というタイトルが秀逸だと感じ入る。それはディスったり吐き捨てたりしているというより、ちゃんと天に召されて欲しいという願いに思えた。その効果の最大の要因は天井裏のスナフキン……いや、座敷童子……いや、編み"もの"だババア……の小瀧万梨子さんの眼差し。本当は小瀧さんのナース姿に拡声器で『ナマで踊ろう』が聴きたかったけれど、配置換え(敢えて配役ではなく配置)で新しい作品に生まれ変わった。
亀山さんのイケメン度も増してた。
これで金澤昭さんの弾き語りがあったら……天井裏に登場されたりしたら……妄想だけで鼻血が出る。
うさぎストライプへ二度目の出演となる幡美優さんが、ノビノビと楽しんで演じられている感じも印象的だった。
同じ場所が瞬時に、時には同時に別の部屋として成立するのが如何にも演劇的でオモシロイ。全ての演劇好きに届け。

ザ・ドクター

ザ・ドクター

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2021/11/04 (木) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

カトリックと国教会、白人と黒人、ユダヤ教とキリスト教、男性と女性、性的マジョリティとマイノリティなど3時間余りの戯曲にありとあらゆる立場の対立が描かれており、イギリス社会の複雑さがあらわれていました。

「日本の極端とも思える同質性」と比較して語る向きあったけど、討論番組のパートでのパネリストたちの会話見ていると、各自が各自のアイデンティティを背負って話しているのにちっとも前向きじゃなくって、

コミュニティが多様なのも一長一短だなと当たり前のところに落ち着いた気がする。

ネタバレBOX

国立最高の医療機関の所長を務めるユダヤ人白人女性のルースは、自身が受け持つ中絶失敗で死の瀬戸際にいる「形だけ」カトリックのティーンエイジャーが特に秘跡を望まなかったことから、

その両親が送り込んだ黒人牧師・ジェイコブを押し問答の末、病室から排除。

しかし、カトリックコミュニティの中でこの一件が大きく知れ渡った結果、世間の一部は沸騰し、
ユダヤ人が医療機関内部を支配してキリスト教徒を追いやっているのではないかという陰謀論じみた話まで飛び出す中、ルースは機関内のキリスト教徒メンバーの策謀もあって所長の職を追われることになる…。

イギリス社会の難しさは、各人の持つアイデンティティがそのまま「政治」「陣取り競争」につながっていることで、日本で考えられているように「相互理解」「配慮」で済む話ではなく、ある陣営の失点がそのまま別の陣営にとっては勢力拡大と発言権強化になるので、みんな必死だなと。

コメントで触れた、ルースを囲んで各市民団体の代表(中絶反対の右派からカトリック側、果てには黒人やユダヤ教のマイノリティなど)が問い詰めに走る場面、「こんなことして1人を論難して何になるんだろう?」と思ったけど、

これテレビ放送されてるから、ルースに頭を下げさせることが自分たちの陣営の「勝利」「布教」になるんだなと気づいた時、正直なんか冷めたのは否めないかな…。

同性愛者のルースがトランスジェンダーのサミを指して、「ある時は女の子で、今では男の子です」「新しい世代の生き方ってこんなに縛られず、自由なんですよ」みたいな文脈で話したら、討論から帰宅した先で激怒したサミに「私はそんな洋服を替えるみたいな感じで自分の性自認をやってるわけじゃねぇ! 知った口利いてんじゃねぇ!」と絶好状態になるの、この作品では一番刺さった。

マジョリティはマイノリティのことを理解できない、とは昨今よく言われるけど、「マイノリティもマイノリティのことを理解できない」という一歩踏み込んだものを提示しているな、という意味で。

ルースが「私は医師です」とかたくなに言い張るの、自分のアイデンティティをそこに一つ置いているというだけでなく、その言葉を外部からの「強固な鎧」にしているんだなと感じました。

登場人物の1人から言われたように、「医師」も広い意味では幅広くあるアイデンティティの一つに過ぎないんだけど、ルースにとっては「誰かのための利益を代表しない」「純白清廉な」唯一の証何だろうなと思うとグッときますね。。。

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