最新の観てきた!クチコミ一覧

17621-17640件 / 183072件中
発明家と探検家

発明家と探検家

Oi-SCALE

駅前劇場(東京都)

2021/12/03 (金) ~ 2021/12/08 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

BGMや光の使い方が不思議な空間にいるようで良かった。答はどれというのを誰かとじっくり話し合いたいと思える作品でした。

異常以上ゴミ未満、又は名もなき君へ

異常以上ゴミ未満、又は名もなき君へ

good morning N°5

小劇場B1(東京都)

2021/11/25 (木) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

また観たくなる・・ラーメンで言うと天一のこってりのような作品です!

オリバー!

オリバー!

ホリプロ / 東宝 / TBS / 博報堂DYメディアパートナーズ WOWOW

梅田芸術劇場メインホール(大阪府)

2021/12/04 (土) ~ 2021/12/14 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

市村正親さんは唯一無二の存在、すばらしかったです。来年も代表作と言える2作品に出演が決まっていて、親の演じる姿を息子に見せておきたい気持ちなのかなあと思ったりします。今回は息子との共演でした。
1番のおめあて、ソニンちゃんは、今回もこれでもかというくらい激しく迫ってきました。期待どおりたっぷり見せてくれました。

海王星

海王星

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2021/12/06 (月) ~ 2021/12/30 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

寺山修司の大人のメルヘン。

再婚間近に事故に遭って死んだはずの男(ユースケ・サンタマリア)が生還してみると婚約者(松雪泰子)と息子(山田裕貴)が恋仲になっていた…というお話。もう少し書くと全部になってしまうのでここまで。それくらい話は単純。

オープニングは銀座のクラブの歌手といった風情の中尾ミエさんがブルース風の歌をしっとりと歌い上げる。おお良い調子と思っているといきなりロックバンドの爆音が響き渡る。こうなると歌詞がまったく聞き取れない。言葉を楽しむはずなのに誰だよこんな選択をしたのはとブチ切れてしまった。そういう気分のせいでもないだろうが皆さんの歌があまりうまく感じられないので困った。音楽以外も特に何かがあるわけではなく印象の薄い舞台であった。

松雪さんは何があってもいつも推しだが、今日の推しは伊原六花さん。やさしくしかも凛とした声に優雅な身のこなし、安定した演技で文句なしである。おっと歌はロックのビートに乗れていない感じがした(私の席がかなり後ろだったせいかもしれないが)。得意のダンスは特別にソロの場が用意されていた。とはいえ主役でもないのであっという間に終わってしまった。これからに期待。

飛ぶ太陽

飛ぶ太陽

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2021/11/26 (金) ~ 2021/12/08 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

敗戦直後の大事故で147人も死んだのに、占領軍案件なので、新聞はどこも沈黙し、被害者住民の訴えに、弁護士たちはこぞって背を向けた。福岡の二又トンネル爆発事故。この事故を、2週間前に復員して火薬処理作業に参加した朴訥な青年与一(古田知生) と、老いた小柄な母トワ(鈴木めぐみ)を中心に描く。戦争末期に陸軍が秘密裏に運び込んだ大量の火薬、担当した占領軍中尉の無造作な焼却処理、興味本位で見物していた住民を襲った突然の悲劇、肉片が飛び散り、呻き声が溢れる地獄絵。医師(斉藤とも子)と元従軍看護婦(もりちえ)の熱く冷静な現場の采配が見事だった。巡査部長の原口健太郎も好演。

さらに、行商仲間の姉典子(板垣桃子)と、国民学校教諭の妹文子(宮地真緒)の姉妹の話がもう一つの柱になる。どんぐり拾いに行った29人のこどもが巻き込まれて死んだ。文子は自分の病気が良くなるようにとどんぐりを拾いに行った子供らの死に、精神を破壊される。典子はその介護に疲れ切り、妹が死んで涙も流さなかった。そんな自分こそ「破壊されてしまった」という典子。しかも典子はトワと、何も知らずに火薬運びを手伝った負い目もある。両腕を失ったトワと、典子に見られる、傷つき生き残ったもののその後の生活をいろいろ考えさせられた。

長期にわたり、説明するだけでも一苦労の話を、母子と姉妹の悲劇を中心に、心揺さぶるドラマに仕上げた。背景から現場の混乱、事故後の補償裁判闘争、現在の駅舎状況までを、ぐいぐい引き込んで見せた。コロス的住民たちの言葉が、ナレーションでもあり、叫びと訴えでもあって、効果的だった。冒頭12分で崩れ落ちる橋と紅葉🍁のセットも見事。1時間55分

ネタバレBOX

事実を報道しようと奮闘する地元の小さな新聞(筑豊新報)記者(大手忍)の記事を、西日本新聞が掲載し、三日間の続報を行う。占領下の新聞の気骨を示した話だ。また、東京の弁護士が一人だけ「長い戦いが考えられますが、信念を持って取り組みたい」と、住民代表の典子の手紙に答えてくれる。ここで目頭が熱くなった。理不尽を許さず、困難に立ち向かう人の凛々しい姿こそ感動を与える。
わたくしたち、人中短ガールズです!!

わたくしたち、人中短ガールズです!!

東京E-Do motions.

新宿眼科画廊(東京都)

2021/12/03 (金) ~ 2021/12/08 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/12/06 (月) 19:00

初見のユニットだが、若手の女優のみ7人というので、思わず行ってしまった(^_^;)。学園モノのコメディだが、大いに笑い、そして、いい話だった。観るべし!100分。
 今年度いっぱいで廃校になる学校の職員室が舞台。手違いで取り壊し工事が始まり、てんやわんやの教員たちが不平を言いつつ授業やあれやこれやを扱うが…、の物語。ありえない展開だが、そこはコメディということで許容されるギリギリかと思う。女優陣が巧みで、無理筋な展開を、なるほどと思わせる説得力がある。子育て中の主婦で急遽副理事長になったという設定の池田恵子の終始の笑顔からは、知らない世界に入ったワクワク感を見て取れて好感を持った。先月のJACROWでハードな政治劇を演じてた福田真夕の落差にはビックリ。人中短という聞き慣れないキーワードは、あまり活きていなかったと思う。


 生配信の回だったのだが、開始して何故か音声が3秒ほどディレイして会場に流れ、23分経ったところで主宰が止め、調整して45分遅れで最初からやり直すアクシデント。それでも面白く観せてもらったし、ストレスだっただろうに、きっちりやり直してくれた女優陣に感心させられた。

ただし、学校関係者として見ると、教育実習を2ヵ月もやらないよ、「新任教育」って何だよ、今は「歴史の先生」っていないんだぜ…、と、突っ込みたくなるところもあった。ご愛嬌か。

彼女を笑う人がいても

彼女を笑う人がいても

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2021/12/04 (土) ~ 2021/12/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

及ばずもその志やよし。60年安保の学生運動と、福島の原発事故による避難者を重ねている。それぞれを取材する新聞記者(祖父と孫、瀬戸康史が二役)を中心に、権力の監視・告発の役を投げ捨てた大手メディアを批判する。
メディア批判というテーマは鮮明だが、それが具体的な人間ドラマして描ききれなかった。60年安保の学生の暴力批判の「7社宣言」をめぐる、記者吾郎と主筆(大鷹明良)の対決が、この劇の要になっている。ここは両者の熱演も相まって、迫力ある、考えさせる場面だった。
1時間45分

みんなしねばいいのにII

みんなしねばいいのにII

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/11/26 (金) ~ 2021/12/07 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ヒロインの看護師役清水緑さんがえらくアイドル顔。たかみなに水島裕子と池脇千鶴を足したような雰囲気。「へえ、こんな娘いたんだ」と思ったらイキウメの『外の道』にも出ていた。「ちょちょちょちょ」「ムリムリムリムリ」。
ヒロインの死んだ母親役小瀧万梨子(こたきまりこ)さん、マンションの天井裏に幽霊として棲み着き、いつもニコニコしながら毛糸で編み物をしている。
ファミマの店員役、伊藤毅氏はリアルな狂気。多分誰もが思い当たる日常生活に順応しながら確実に狂っている奴を的確に表現。異常にナースに執着している。

舞台は女性入居限定のマンション、その近くのファミマ。何故かハロウィンが終わらず、延々と規模を拡大して続いている。コスプレ警官や医療従事者、血塗れの人々が路上に溢れ返り、本当だか嘘だか判らない騒乱が繰り広げられている。マンションでは心霊現象が続き、そこの三部屋にそれぞれ住む女性のエピソードが語られる。それぞれのキャラクターが魅力的なのでずっと観ていられる。

ネタバレBOX

開演前SEのセンスが良い。アンニュイ・ポップな雰囲気。小瀧さんが歌う「心底心底お前に惚れた」もラストの『サニー』も決まる。

設定は多分『パージ』シリーズを意識しているのでは。年に一晩だけ全ての犯罪が合法化される「パージ(浄化)」の日。ありとあらゆる鬱憤を晴らす為、暴徒化する群衆は店を襲撃し気に入らない奴を殺し、快楽と欲望の限りを尽くす。

ラストが何か物足りない。これでは店員のストーカー話になってしまう。幡美優(はんみゅう)さんの膨れたお腹から何が産まれるのか?三池崇史の『牛頭』では吉野きみ佳が哀川翔を出産するのがオチ。何かしら期待していた。
ダウト 〜疑いについての寓話

ダウト 〜疑いについての寓話

風姿花伝プロデュース

シアター風姿花伝(東京都)

2021/11/29 (月) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

英語戯曲作品の翻訳・演出を得意とする小川絵梨子女史は本作でも本領発揮、題名が示すように疑惑の真偽を探るミステリーでもある本作の持つポテンシャルを最大限に引き出し緊迫感十分であった。主役、と言って良いだろうシスター(学校長)役・那須佐代子と、神父役・亀田佳明が疑惑を巡って火花を散らし、新人シスター(教師)役・伊勢佳世、生徒の母親役・津田真澄の貢献も目に焼き付いた。
映画版を観た印象というのが今一つであったので、それほど期待はしていなかったが収穫であった。

ネタバレBOX

元々舞台のたに書かれた脚本で、映画版は作者自身が脚本化・監督し、脚本は映画仕様に随分書き直したらしい(web記事より)。ラストでどんでん返しがあったと記憶するが、それがうまくハマらず「おや?」と寒くなった。「破線のマリス」という邦画のラストで感じた論点ずらし(感動話にシフトしてしまい肝心の謎が置いてけぼり)に似た・・。
だが舞台は微妙なニュアンスも含めて細やかに整理された演出で、ストーリーが明快に伝わった。
ただし観客が最終的にシンパシーを寄せる校長の信念が果して「正しい」と言えるものか否かについては、多様性が言われる今は少数派にならざるを得ないのかも知れぬ。存在の承認こそが成長と発達の起点である、という私も信じている視点からすれば、校長の方針は「時代遅れ」とも。もっともこの芝居に関しては校長の判断が正しいとの仮説をとるが、ミステリーとしての面白さとは別に、ドラマは一つの問いを投げている。

他の学校から転任(転職)してきた新人シスター(教員)に対し、校長が掌を加えず厳しく対する芝居冒頭のやり取りから見事で、「教え」「愛する」教員の仕事にやり甲斐を見出だす新人に校長は「要は注意深くある事」と言う。そこには万人に対する「疑い」が込められているが、今その最大の的が神父であり、中盤、そして終盤での校長による追及と反論する神父の厳しい応酬から「真相」が少しずつ浮かび上がる。
ワクチンの夜

ワクチンの夜

城山羊の会

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2021/12/03 (金) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

前作は映像で観てこれも独特であったが、今回も共通するものがあった。というより、恐らく内田ケンジの狙う世界が、一度(氏の領分である)映像表現で鑑賞した事で、よりその意図を汲んで見れるようになったのかも知れぬ。
コロナ・ウイルスのワクチンを今日打ってきた夫婦、その息子、その祖父(夫の父)、息子の大学の後輩の男女が、夫婦の家のリビングを入ったり出たり。下手が玄関への廊下、上手に二階へ行く階段(結構な高さまで作られている)、正面奥の中央が台所へ行く出口、その下手寄りに祖父の部屋に続くらしい廊下が奥に消えている。
前作(映像)では主人公の主婦の妄想と、現実との境界が溶解していたが、今回「妄想シーン」は出てこないもののワクチン熱で熱い吐息をつく妻は、既に妄想(発情?)モードの中にあると読めたりする(しかも後にその対象となる若い男に曰く、実は今日注射をした若い医師を「ある人」と見紛って体が熱くなった)。発情モード全開になるに従い照明が落ちるのも主人公の見ている風景という解釈を誘う(「日暮れ時」は後付け)。

約1時間半、言ってしまえばどうでもいい類の話なのだが、あんな事も(こんな事も)普通しやしないが、わざわざエロ要素を盛り込んでたりもするが、期待に応えつつ予測を裏切る展開から目が離せない。
大昔読んだ筒井康隆だったかの小説に、人の行為全てがリビドーに裏付けられている描写があったような。この芝居の人間の行動も全てそれである様を、皮を剥ぎ取って「ばぁぁ」と開けてみせるので笑いになる。ショーケース(文字通りの)の外から人(観客)が覗き見してると気づいたら「きゃっ」とめくれたスカートを直す訳である。

みんなしねばいいのにII

みんなしねばいいのにII

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/11/26 (金) ~ 2021/12/07 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/12/06 (月)

価格3,500円

ひょっとしたら16ヶ月ぶり?のこまばアゴラ劇場で、「空想科学II(2018)」以来の、うさぎストライプの舞台を6日19時半開演回で拝見。

様々な事情や感情を抱えながらも、それでも生きていたいと願う、生者に死者!のエンドレス・ハロウィン。
今回もまた、この団体独特の"ふんわり鋭角"な語り口に乗せられ、不条理かつ不可思議な世界に引きずり込まれた79分だった。

ネタバレBOX

【配役】
あき(仕事で心身共に消耗している、ハロウィン生まれの看護師。母の死に悔いを抱いている)
…清水緑さん
橘(製薬会社のMR。ハロウィンの日に坂本に殺されるも、縫いぐるみに生まれ変わる)
…亀山浩史さん(うさぎストライプ)
ゆきえ(あきと同じマンションの住人。常識人)
…あやかんぬさん(2019年の渋谷・伝承ホールでの「かもめ」公演以来!)
なつみ(あきと同じマンションの住人。素気無い坂本から縫いぐるみ橘に心変わり)
…幡美優さん(演技+コスプレショー♪で魅せてもらった)
響子(あきの母親。生前はゴミ屋敷の住人、今はあきの住むマンションの地縛霊?)
…小瀧万梨子さん(うさぎストライプ)
坂本(コンビニ店員。好意を抱いていたあきにしつこく付きまとう橘を、斧で殺してしまう)
…伊藤毅さん(青年団リンクやしゃご/青年団)、
咎灯の環

咎灯の環

劇団ZTON

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2021/12/03 (金) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

人の怨念は、どこまで繋げたら消えるのか?
怨む者には安らぎは訪れるのか?
難しいです。
カチカチ山の狸は、冷酷な殺人狸なのか?
人の行為と内にある真実は同一なのか?
作者が咎灯の環の作品に込めたものを考えます。
一つだけ、悲しいシーンより楽しげなシーンのほうが泣けて泣けて仕方なかった

どいつもこいつも

どいつもこいつも

三栄町LIVE

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2021/12/02 (木) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

彼女達の希望はどこにある?
大人達の正義はどこにある?
この国の現実を突きつけられて、ずっと胸が締め付けられた作品でした。
凄くインパクトありました!
一番印象に残ったのは、古志柚香さん。子どもにとって親は、どこまでも親なんだと。捨てられないんだと。

獣唄2021-改訂版

獣唄2021-改訂版

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2021/05/25 (火) ~ 2021/06/07 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ずーと観たかった作品!震える舞台でした。迫力のあるセットと照明と出演者の熱。
刺さるようなセリフが沢山ありました。大満足。

発明家と探検家

発明家と探検家

Oi-SCALE

駅前劇場(東京都)

2021/12/03 (金) ~ 2021/12/08 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

自分好みで面白い! お薦め。
3つの物語。2つの例題と1つの問い。あなたの答えが真実であります様に…掘っても掘っても底深い人の心に迫ろうとする。
脚本は、オムニバスと言うか小説の連作集のような構成で、先々の展開を予測するのは難しく、というよりは予測不可能で、ミステリアスなところが魅力的。この物語を支えているのが圧倒的な演技力と存在感を出している村田充さんと林灰二さんの2人。
ちなみに自分が観た回は満席で、増席していたほどの人気ぶり。
(上演時間2時間弱 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台セットは少し高くした板(実験的で独特な世界観の表出)。その板を電飾したポール数本が囲み 同じように裸電球を吊るし舞台枠を表す。しかし基本は素舞台。その外側に半周するようにパイプ椅子が役者分 置かれている。上演前は空席だが、徐々に役者が現れ着席していく。上演前の薄暗い舞台、点灯した裸電球、中央のパイプ椅子の上にあるメトロノームの刻む音をスタンドマイクがひろう。同時に音響としての波音を流し耽美と静寂さを漂わす。この舞台雰囲気に飲み込まれる中、林さんが登場し前説、その巧みな話術に引き込まれたまま物語は始まる。先の2人以外、基本的に役者は黒衣装。そして物語に応じて小道具等を運び込み、衣装も変えて登場する。薄暗い中での場面転換は、役者の動きを観せることによって物語の分断をしない妙。

物語は、評判の占い師カワクボケイジ(村田充サン)のもとへやってくる客のそれぞれの相談事、占ってほしいことを通して展開していくスタイル。客ごとに内容が異なるが、3つの物語に共通した観せ方は同じ。人生の岐路に立ち大きな選択を迫られた登場人物が、何を信じるべきか悩み もがきながら下す決断を描いている。3つの物語から浮き彫りになる “真実をそれと裏付けるもの” を挑発的な内容を通して実感してほしいと…。

物語の具体的な構成は・・・
 第1話は、或る医師が妻の実家の援助で医院を開業しないかと持ち掛けられているが、それを受け入れると身持ちの良くない自分が縛られるような気がし、この話を受諾すべきか。
 第2話は、1冊で売れっ子作家になったが、2冊目が書けず編集者から、彼が尊敬する作家のある部分を模倣してはどうかとアドバイスを受け、困惑している。その尊敬していた作家は、複数の作家が作り上げた虚像であり、自分が目指す(書きたい題材)は何なのか。
 第3話は、オリンピックに出場出来そうだった有名なフィギュアスケート選手、妊娠しているが 同時に子宮癌にも罹患している。第1話の医師は癌手術の必要性を説明するが、彼女はどうしても子供を産みたいと。そこで医師は或る老人ホームに入居している先輩の元女医を紹介しアドバイスを求めるよう勧める。
 これら3つの話は、客から占い師に相談話をし将来を占ってもらうという共通の展開。占い師は、結論めいたことは言わず逆にどうしたいのか本音を聞き出そうとする。
 そして最後の話、精彩のない男が自身の身の上話を始め…。今まで占い師が出会った客とは違い、今度は占い師自身が身の上話をし、その結果招く悲劇。しかし精彩がなかった男が行動を起こし、罪を犯し肉体的な拘束、逆に精神的な自由を手に入れるという皮肉。こうしたらという命題めいたものが提示されるが…。3つの話と命題は、それぞれの内容が深く、考えさせるもの。自分に向き合い本当の自分とは、という自分探求ーそれが自分自身にとって一番つらく怖いことではないかーを描いている。ラスト、比喩的に用いられた”鏡に映る自分”は本当の自分ではない、という台詞が心に響く。

この占い師、実は悪友 眞一郎(林灰二サン)がおり、その助けを借りて、よく当たるという評判を得ている。見料が5分10万円、誰かの紹介がなければ予約できない。この予約という一定の時間稼ぎがポイント。そして悪友と知りあった所が…。
内容は思索的で少し小難しいと思われたが、2人の台詞のやり取りにクスッと笑える、ちょっとポップさも感じる仕上がり。しかし「真実」に目を凝らし、様々な「真実」を逆(嘘・虚)から捉えた剥き出しの人間の底を描いた作品、観応えがあった。
次回公演も楽しみにしております。
『元禄バロックロック』『The Fascination(ザ ファシネイション)!』【1月8日~29日公演中止】

『元禄バロックロック』『The Fascination(ザ ファシネイション)!』【1月8日~29日公演中止】

宝塚歌劇団

宝塚大劇場(兵庫県)

2021/11/06 (土) ~ 2021/12/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

プロジェクションマッピングが多用されて、花火や雪が美しかったです。衣装も色や柄が華やかでとてもよかったです。クロノスケの刺しゅう入り黒マント最高でした。トップさんのピンクの羽もキュートでした。いつもB席でチケットが取れるなら見ようかなくらいでは、なかなか名前と顔と声が一致しませんが、花組トップの柚香光さんのお顔はよくわかります。

AI懲戒師・クシナダ

AI懲戒師・クシナダ

株式会社CREST

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 舞台はホリゾント中央に出吐けを設け、両端を手前に引いて150度くらいの角度をつけた壁に連なる側壁とぶっちがえになって上手・下手の袖から延びる短い壁の間を若干開けて上手側・下手側の出吐けとするがこの壁面は折り紙を内側に織り込んで層をつけたような意匠に形作られ中ほどにドアを設けたもので出吐け通路は3つ、出入り口は5つという面白い作りだ。基本的に板上はフラットであり、箱馬を物語の展開に合わせて設置・撤去する。音響や映像は非常に良い装置を使っており、各々の担当者たちの操作レベルも高いので脚本・舞台美術と並び大人の技量を見せてくれる。

ネタバレBOX


 シブゲキの上演作品は大人が担当する脚本、照明、音響、舞台美術は優れているが役者はアイドル的な若手が多い為演技レヴェルがイマイチ、落ちがちだ。無論力量のある役者が肝要なパートに入っているから要所要所はキチンと締めているが、楽日の最終公演1回を残す段階になって、オープニングでヒロインが吐く台詞の~千という所で膳に近い発音をさせているようでは演出に問題ありと指摘する他無い。また中盤の群衆シーンで場面を横切る女学生3人程の歩行シーンでその歩き方は変に無機質で初期AIでもなく役柄はヤマタが経営する学園の生徒とみられる所から普通の人間の歩行をすれば良いのに役作りも何も考えずに唯動いているというのが明らかであった。観客は不自然に役者が動けば直ぐ勘付く。キチンとダメダシをしておくべきである。殊に役者経験が浅く演技の何たるかを理解していない者と演技をキチンとこなす役者が同時に登場するシーンでは猶更演出は気を入れてダメダシをすべきだろう。箱馬の設置・撤去シーンが結構多いのだが、1回だけ偉く目障りに感じたシーンがあった。中盤の終わりに近い辺りだったと思う。こういった点にも注意して欲しい。
 とはいえシンギュラリティ―の危機を目前に控えた時代を背景として働く国際IT防護機関と資本家を利用し体制転覆を図る革命グループ、天才プログラマーとして手腕を発揮し亡くなったヒロインの母、唯一の形見として残したペンダントの秘密、資本家父子の相克に多角的な恋の在り様が絡み、更にAIと人間との因縁と戦闘、それを抑える為の唯一の方法としての対話等。適度に錯綜した物語は楽しめた。通常シンギュラリティ―が起こればディストピアに行きつく物語になることが多かろうが、争いを対話によって収めるという発想は実際に行われている対テロ戦争の失敗を逆照射していて面白い。
スペキュレイティブ・フィクション!

スペキュレイティブ・フィクション!

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

マニアックな設定はさておいて、とても丁寧な作りの学園ラブコメですね。グッときました。用語解説は大変勉強になりました。どんな分野でも新規ファンの参入障壁はウザい古参ファンだと納得。

さいはての街の塵の王

さいはての街の塵の王

尾米タケル之一座

ウッディシアター中目黒(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

こんな話だったとは、驚き。妄想と現実(?)が混在したリアルな(少なくとも自分にとっては)世界観。休憩をはさんで2時間半の長丁場でしたが、大いに楽しめました。

彼女を笑う人がいても

彼女を笑う人がいても

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2021/12/04 (土) ~ 2021/12/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

表題の「彼女」というのは60年安保闘争で亡くなった樺美智子さんのことだが劇中では名前は出されず姿も声もない。そういう手法なのだろうが、他の人が語る彼女のことから彼女の存在が強く浮かび上がるということは私にはなかった。

舞台は安保闘争で学生たちに取材する新聞記者の話とその孫がまた新聞記者になり原発事故被災者の取材をする話との二つからなり交互に展開される。私には無関係な二つの話にしか見えないのだが、政府とその監視の役目を放棄したマスコミが悪いということを言いたいらしい。私が二人の記者について共通点を探せばどちらも取材対象にのめり込んで社会全体が見えていない(あるいはわざと見ないでいる)ということだ。

内容はともかく俳優さんたちの演技は緊迫感があってすばらしかった。

ネタバレBOX

後日追記
この作品では7新聞社の共同声明が言論を封殺したように描いているがそれは間違いだ。戦時中でもあるまいし、主義主張の異なる新聞社が揃って政府に忖度する必要なんてなかったのだ。右でも左でも新聞社も政党も選挙による多数派の獲得によって政治を変えるという議会制民主主義を守る点では一致していた。それくらい当時は民主主義が希望の星だったのだ。それに対して、過激な行動で社会に混乱をもたらし革命の起爆剤になろうという一部の勢力は共通の敵なのだった。

更に後日追記
安保反対を叫ぶ人に代案があるはずもなく、反対するだけで目的は政権の交代であった。朝鮮戦争(1950/6/25-1953/7/27)があったりしてアメリカとソ連の冷戦の真っただ中ではどちらかに付くしかなかったのである。(旧)条約を廃棄して非武装中立にするなどということは大多数の人はありえないと分かっていたので、新条約が成立し、岸首相の退陣というガス抜きが行われると運動も雲散霧消してしまった。マスコミが政府批判をしなくなったからではなく多くの人が落としどころを探っていたのだ。
 国会を取り巻いた人もほとんどは社会党や共産党の影響下の穏健派であった(共産党はすでに暴力革命派とは決別していた)。国会に突入したのは対立する一部の過激派であり、樺美智子さんもそちらの活動家であった。

このページのQRコードです。

拡大