ワクチンの夜 公演情報 城山羊の会「ワクチンの夜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    前作は映像で観てこれも独特であったが、今回も共通するものがあった。というより、恐らく内田ケンジの狙う世界が、一度(氏の領分である)映像表現で鑑賞した事で、よりその意図を汲んで見れるようになったのかも知れぬ。
    コロナ・ウイルスのワクチンを今日打ってきた夫婦、その息子、その祖父(夫の父)、息子の大学の後輩の男女が、夫婦の家のリビングを入ったり出たり。下手が玄関への廊下、上手に二階へ行く階段(結構な高さまで作られている)、正面奥の中央が台所へ行く出口、その下手寄りに祖父の部屋に続くらしい廊下が奥に消えている。
    前作(映像)では主人公の主婦の妄想と、現実との境界が溶解していたが、今回「妄想シーン」は出てこないもののワクチン熱で熱い吐息をつく妻は、既に妄想(発情?)モードの中にあると読めたりする(しかも後にその対象となる若い男に曰く、実は今日注射をした若い医師を「ある人」と見紛って体が熱くなった)。発情モード全開になるに従い照明が落ちるのも主人公の見ている風景という解釈を誘う(「日暮れ時」は後付け)。

    約1時間半、言ってしまえばどうでもいい類の話なのだが、あんな事も(こんな事も)普通しやしないが、わざわざエロ要素を盛り込んでたりもするが、期待に応えつつ予測を裏切る展開から目が離せない。
    大昔読んだ筒井康隆だったかの小説に、人の行為全てがリビドーに裏付けられている描写があったような。この芝居の人間の行動も全てそれである様を、皮を剥ぎ取って「ばぁぁ」と開けてみせるので笑いになる。ショーケース(文字通りの)の外から人(観客)が覗き見してると気づいたら「きゃっ」とめくれたスカートを直す訳である。

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    2021/12/07 01:29

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