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笑顔の砦

笑顔の砦

庭劇団ペニノ

吉祥寺シアター(東京都)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

隣り合った二つのアパート部屋。
ストーリーが展開するというより二つの生活そのものが営まれていたと言った方が全然しっくりくる演出。
しかもストーリーよりもずっと強く感情を揺さぶってくるのだから凄い、何なんだこれは!という感じ。

生活の匂い、凍える寒さにとる暖、無遠慮な会話、人と、家族と生きていくという事・・・
観進めるほどに五感が研ぎ澄まされていく様で、皮膚感覚ごと舞台世界へと引き込んでいくなんて相当。

86歳認知症役の女優さんがカーテンコールでシャンとした立ち姿だったのに何だかホッとなる。まるで別人。
フライヤーの人がリリー・フランキーぽいと思っていたけれど、やっぱりちょっと似てた、と言うかちょっとフランキー似の本物の漁師にしか見えなかった。
これは全ての役者さん然りで「あてがき」なんていうレベルを超えていたのも凄いと思った。

コラソンのかぎしっぽ

コラソンのかぎしっぽ

コラソンのあんよ企画

APOCシアター(東京都)

2022/09/09 (金) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

休憩は場面転換風に語りで繋いでのー
休憩ではなかった=感じ的には
主宰さんが説明した通りに
あなたの知らない世界のストーリーテラー的な世界観でした

猫だし短編だしと甘く考えていたら
ものすごく深くてシリアスな展開される話たちでした・・・
2時間でしたなー

ネタバレBOX

OPの猫写真にはBGMがトラブルで付かなかった

#1 騙されてAVに出てしまった姉のせいで
誹謗中傷が向けられた家族に人の良い父が連帯保証人で借金を負わされ
崩壊しているんだが結婚報告で父の元を久しぶりに訪れた姉と
いろいろと許せない長男との関係を描いた話
・・・重いなぁ・・暗いなぁ・・・悲しいなぁの
3拍子揃った暗めの話でした
後天的に曲げられた猫の尻尾話ということなのかなぁ・・

#2 高齢になり結婚に不安を持つものの
式場などを選ぶのに親友と待ち合わせしていた女性が
カフェネコにて大声で言い争い→プロレスに発展しつつ
なんとか収まる話~突然のプロレス技の応酬と背景に
技の説明が写真付きで投影されるのが大変面白かった~♪
キャットファイトの表現かしら?

#3 顎鬚の立派なクオーターさんが
拾った財布で知った同名のリーマンさんと掛け合いする
会話劇=実はリーマンさんは自殺しに来たんだが・・・・・
明るく再会を約束して去ったクオーターさんにラストはからまず
無事?に首を吊れたんだが・・・枝が折れて失敗したよとラスト!
でも またやるかはオープンエンド=観客の想像にまかせますってデス
途中に言い争いで
再びプロレス技展開になるのだがー
自分的には続けて同じ感じにするのではなく
やるなら相撲とかボクシングとかテコンドーとか
別種の格闘技とかにして欲しかったかなぁ と希望
笑顔の砦

笑顔の砦

庭劇団ペニノ

吉祥寺シアター(東京都)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

まず映画のセット並みの舞台装置が凄い。
音響効果も見事としか言いようがない。
舞台上にマイクなかったけど、袖にあったのかな?
あの劇場だと、マイク使うはずだけど、俳優の声が電気的な増幅が感じられないほど自然でした。
かなり腕の良い音響さんみたいですね。
照明も見事。
時間帯がいつだかわかるあの照明は、映像作品的でもあると感じました。

ネタバレBOX

おでんの匂いがしてくるところは、人間が実演する演劇ならではのもの。
映像作品では無理ですものねえ。
Show me Shoot me

Show me Shoot me

やみ・あがりシアター

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2022/09/02 (金) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/09/08 (木) 14:00

漫才を創作することを愉しんでいる社宅住まい夫婦が隣に大阪から転勤してきた夫婦の普通の会話の面白さにショックを受けて……ということを軸に社宅・社内とその周辺の人々を描く。
社宅ベランダでの夫婦漫才から始まり「ショートコント○○!」と宣言して始めるスキットの積み重ねで環境・状況設定を示してその後もスキットのコラージュで物語を進めるアイデアが独特にして巧み。
また、事前情報から客席に入ってすぐに「あ、なるほどね」と納得した背景・前景やキャスターを付けるなどで出ハケを容易にした椅子・机などを駆使してスピーディーな場転を可能にした舞台美術も見事。
なお、大半の人物が会社員であること、劇中での生歌が状況や人物の心情を表すことなど、少し前に観た他の公演と通ずるものがあり、小劇場シンクロニシティがここでも……。

VAMP SHOW【8月8日~15日公演中止】

VAMP SHOW【8月8日~15日公演中止】

パルコ・プロデュース

森ノ宮ピロティホール(大阪府)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

久しぶりに森ノ宮ピロティホールで、久しぶりに三谷幸喜作のコメディを鑑賞。森ノ宮ピロティは9年前の11月以来で、この時は中谷美紀さん主演の「ロスト・イン・ヨンカーズ(Lost in Yonkers)」。ニール・サイモン(Neil Simon)の作品で三谷さんの上演台本・演出だった。

森ノ宮ピロティホールは大阪市の中央区森ノ宮、1997年に閉場され取り壊された日生球場(日本生命球場)の東隣りの北側に、大阪市こども相談センター(当時は大阪市立労働会館)に併設する形で1979年に建てられた多目的ホール。大阪市の財政改革の一環で市の施設としては2008年3月末に閉館し、その後イベント興行会社のキョードー大阪が定期建物賃貸借契約を結び、2010年に再オープン。

敷地の周辺一帯にある森ノ宮遺跡の保存のために、特殊梁による高床式(ピロティ)構造を採用した珍しい建築様式でホールの名前の由来にもなっている。収容人員は1036人で、コンサート、オーケストラ、演劇、落語などのイベントが開催されている。2020年4月から改修工事が行われ、2021年9月にリニューアルオープンした。

今回の公演はパルコ・プロデュース2022の作品。パルコ・プロデュース作品はパルコがPARCO劇場を中心に、全国の劇場で演劇、ミュージカル、ダンスなどのプロデュース公演を展開しているもので、2020年には25作品の公演を行っている。

パルコは国内外の主に大都市中心部でファッションビル「PARCO」などを展開する日本の企業。1957年開店の池袋の東京丸物を前身として、1969年に1号店の池袋PARCOを開店し、現在は18店舗を有する。かつては旧セゾングループ(西武流通グループ)の一員だったが、現在は百貨店の大丸と松坂屋が経営統合したJ.フロントリテイリングの100%子会社。

PARCOはイタリア語で公園を意味し、「人々が集い、時間と空間を共有し、楽しんだりくつろいだりする場(空間)」と云うことから名付けられた。

パルコは文化・ソフト事業も幅広く手がけており、その一つが渋谷パルコにあるPARCO劇場。1973年に西武劇場として開場、1985年に現名称に改称した。現在の劇場は2020年1月に建て替えられた渋谷パルコに再オープンしたもの。旧劇場の約1.5倍となる636席を有する。建て替え前の劇場に1回行ったことがある。

さて、今回公演の「VAMP SHOW」は1992年に鴻上尚史主宰の劇団、第三舞台などを運営するサードステージのプロデュース公演として新宿のスペース・ゼロで初演された三谷幸喜作のホラー・コメディ。2001年にパルコ&サードステージ提携プロデュースとしてPARCO劇場と大阪梅田のシアター・ドラマシティでキャストを一新し再演され、今回21年振りに復活した。上演時間は前半が1時間5分で、20分休憩の後1時間10分の合計2時間35分。

三谷さんは、今年(2020年)のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の脚本を担当している売れっ子劇作家、脚本家、演出家。映画監督も務めるほか、自身が俳優やコメディアンも務め、最近は情報番組のメインキャスターも担当している。

1961年7月生まれ、東京都世田谷区出身で世田谷学園高校を経て日大藝術学部演劇学科を卒業。大学在学中の1983年、劇団「東京サンシャインボーイズ」を結成。その後劇団と並行して放送作家としても活躍、1989年から放送されたフジテレビ系のコメディドラマ「やっぱり猫が好き」の脚本で注目を集め、1994年のフジテレビ系のドラマ「古畑任三郎」でブレイクした。以後、多くの舞台、テレビドラマ、映画などで活躍されている。

1997年には映画「ラヂオの時間」で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞、2017年には紫綬褒章を受章している。1995年に女優の小林聡美と結婚したが、2011年に離婚、2013年に元女優yumaと再婚し、2014年に男児を設けている。

私は彼の作品は結構好きで、大した本数ではないけど10本以上は見ているが、このところはちょっとご無沙汰で、2014年4月に見たシアター・ドラマシティの「君となら」以来。ああ、竹内結子さん・・・

なお、この作品はオーストリア(Austria)のミュージカル「ダンス・オブ・ヴァンパイア(Tanz der Vampire)」に触発されて書いたものとしている情報もあるが、その初演は1997年で三谷作品より遅く、もしも影響されてるとしたらその元となった1967年公開のロマン・ポランスキー(Roman Polanski)監督作品「吸血鬼(The Fearless Vampire Killers)」か?

いずれにせよ、吸血鬼が出てくるコメディーと云うことしか共通点はない。ちなみにタイトルのVAMPはVampire(吸血鬼)のことと思われるが、魔性の女(妖婦)と云う意味に使われたこともあり、それも意味深。

主演(最後の挨拶が彼だったし)の島寿男役の岡山天音(あまね)君は1994年6月東京国立市生まれ。2009年にNHKの中学生日記シリーズで俳優デビュー以来、個性的な顔立ち、優れた演技力により、数多くの作品に出演している。私が最近見たドラマでは菅田将暉君主演の「ミステリと言う勿れ」の下戸陸太役は印象に残っている。この役は初演では京晋祐さんが、再演では堺雅人さんが演じた。

リーダー的役割の坂東正勝役は平埜生成(ひらの きなり)君。1993年2月生まれ、東京出身。2007年の日本テレビ系のドラマ「セクシーボイスアンドロボ」でデビュー(懐かしいわ、このドラマ。彼のことは全く覚えてないが)。2021年度下半期のNHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で、最後のひなた編に登場した映画村の社員でひなたの友人の一恵(三浦透子演)と結婚した榊原役は注目を集めた。この役は初演では西村雅彦さんが、再演では佐々木蔵之介さんが演じた。

一番賑やかし的役割の丹下和美役の戸塚純貴君は同じ学年の1992年7月生まれ。盛岡中央高校を卒業後第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストにて「理想の恋人賞」を受賞し、芸能界入り。2011年フジテレビ系のドラマ「花ざかりの君たちへ」で俳優デビュー。現在(2020年9月)放送中のテレビ朝日系ドラマ「遺留捜査」で刑事役を演じている。この役は初演では古田新太さんが、再演では橋本潤さんが演じた。

一番落ち着いた感じの佐竹慎一役の塩野瑛久(あきひさ)君は1995年1月生まれで神奈川県相模原市出身。2011年のジュノン・スーパーボーイ・コンテスで、審査員特別賞およびAOKI賞を受賞、2012年のフジテレビ系ドラマ「GTO」で俳優デビュー。彼の出演ドラマの中には見たものあるが、彼は全然覚えてない。この役は初演では池田成志さんが、再演では河原雅彦さんが演じた。

数字やルールに細かい野田英介役は尾上寛之さん。彼はちょっと年で、1985年7月生まれで金光大阪高校出身。1994年にはNHKの朝ドラ「ぴあの」で子役として俳優レギュラーデビュー。もう中堅なので出演作はムチャクチャ多いが、うちでは彼が出る作品では多くの人が死ぬと認識されている。2018年のTBS系のドラマ「アンナチュラル」の犯人役はえげつなかったし、同年フジテレビ系のドラマ「モンテ・クリスト伯」も続いたしね。この作品でも・・・ この役は初演ではまつおあきらさんが、再演では今は亡き伊藤俊人さんが演じた。

彼らが駅で出会う少女、小田巻香役は久保田紗友さん。彼女は若い。2000年1月生まれで札幌出身。2013年のBS-TBSのドラマ「神様のイタズラ」の主演に抜擢され、2017年には映画「ハローグッバイ」で初主演。最近私が見たドラマでは今年(2020年)1月の永瀬廉主演のNHKドラマ「わげもん」を覚えてる。この役は初演では藤井かほりさんが、再演では松尾れい子さんが演じた。

そして駅員役の菅原永二さんは1974年10月生まれで東京都出身。元劇団「猫のホテル」「表現・さわやか」メンバーで多くの舞台作品に出演されている。2020年のNHK朝ドラ「エール」にも出てたんだ。全く覚えてない。この役は初演では三谷幸喜さん本人(一橋壮太朗名義)が、再演では手塚とおるさんが演じた。

演出は河原雅彦さん。1969年7月生まれで、福井市出身。北陸高校から明治大学文学部を卒業。元嫁はともさかりえで、現在は女優の安藤聖と再婚し、女の子の双子がいる。前回の公演(2001年)では佐竹慎一役を務めた。テレビでも2000年のTBS系ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」などに出演している。2002年から多くの作品で舞台演出も手掛け、2014年の林遣都主演テレビ東京系ドラマ「玉川区役所 OF THE DEAD」も監督している。

ストーリーはうっそうとした森に囲まれた山間の寂れた駅で、5人の青年と1人の女性が出会うことから始まる物語。明るく楽しい旅行者の青年たちが実は吸血鬼で・・・って話。いい加減な駅員としりとり歌合戦をする5人が登場し、だんだん正体が明らかになって行く。後半には次々と・・・。ホラーと云うほどの怖さはなく、全編にわたって楽しく見ることが出来る。岡山君に戸塚君、尾上さん、ピッタシのイメージやわ。紗友ちゃんは、実は・・・ それが一番怖い!


以上

13日のかめはめ波

13日のかめはめ波

関西大学演劇研究部 学窓座

関西大学・千里山キャンパス内有鄰館1階多目的ホール(大阪府)

2022/09/13 (火) ~ 2022/09/14 (水)公演終了

満足度★★★

今の若い人で13日の金曜日を知っている?僕は知っているけど、周囲の反応は…。
それにしても、時間が短い…。時間を裂いて行った人には…。学生が対象かもしれませんが、開始時間も…。
内容はそれなりでしたが、トータルでは、評価は…。

笑顔の砦

笑顔の砦

庭劇団ペニノ

吉祥寺シアター(東京都)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ペニノ~っ、あのポップでアバンギャ...るらぁ? いつの間にやら岸田戯曲賞、、、戯曲? ってんで、久々行ったらば、ちと観ないうちにヒアイの分かる大人なパフォになってたんね~、おいしゅうございましたっ。

ネタバレBOX

期待膨らむ芝居前の緞帳ってば、蒸気アイロンかけとくといいかもめ~。
青ひげ公の城

青ひげ公の城

Project Nyx

ザ・スズナリ(東京都)

2022/09/08 (木) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/09/13 (火) 14:00

座席1階

ニクスの寺山作品はおもしろい。今回はマジシャンの妙技をふんだんに取り込んだゴージャスの一言に尽きる「美女劇」だった。一見の価値はあります。

物語は青ひげ公の七番目の妻になるために城を訪れる女性をメーンに展開していく。妻になるためには、順番が前の妻たちが死ぬ、つまり殺されなければならない。そんな展開の中で、芝居に関する名言が披露されたり、「台本を人生でけがすな」など演劇の根本を考えるようなテーマが登場する。
そして、冒頭やつなぎの場面、そしてラストなど、ここぞというところでマジックが登場。最終盤のマジックは拍手喝采という大技だった。これだけでもこの舞台は十分に楽しめる。私が鑑賞した日は、親子連れの姿もあった。

ロボットの動きをする妻など、新体操のアスリートのように鍛え抜かれた女優たち。天井からぶら下がったつり輪をたぐって披露された宙空の演技は、もう、拍手するしかない見事さだ。ニクスの美女劇もここまで進化していると実感した2時間だった。

コラソンのかぎしっぽ

コラソンのかぎしっぽ

コラソンのあんよ企画

APOCシアター(東京都)

2022/09/09 (金) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★


 短篇オムニバス3部作と題された公演で、共通項はトラウマと謂えよう。当パンを拝見すると3年ぶりの公演ということである。3作品何れも重いテーマをかなり軽やかに仕立て、而も登場人物数に無駄のない事、脚本に於ける性格描写や仕草態度に現れる状況への反応を含め極めて本質的且つ丁寧な表現に達している点に感心させられたのは、この3年のたゆみない努力と集中の結果であろう。各々30分程の作品であるが、筋の展開も滑らかで自然であり、同時に登場人物達の傷が観客に問い掛ける問題はキチンと我々を立ち止まらせ考え込ませるに充分である。作品のあらまし、舞台美術等については以下に記す。
 舞台美術の基本形は下手にある階段を登り切った所からが板である。板上は、階段に平行するように黒幕で覆われた一角が袖として機能するが、出捌けは階段と客席側通路の2カ所。これが3作に共通する構造である。各作品によって用いられる小道具は異なるので作品毎に大方を説明する。オープニングではコラソンのかぎしっぽや、他の様々なにゃんこが登場する動画が流される。にゃこの世界にも色々あるにゃ、と観て居れば良いにょら! にゃ。この主宰なら、何をやっても良い作品を創るだろうにゃ。今後も楽しみにゃ~~~~。

ネタバレBOX


1:「ユンタン、故郷に帰る」
 設定はマンションの一室といった趣。ドアは役者陣の演技で表現するので実際に造作は無いがドアの場所は階段を上がり切った直ぐである。室内は奥に、上部にTV等の載った収納用家具、板中央にテーブル、その奥に座布団、部屋の上手には予備の座布団が重ねられている。暗幕内側はキッチンと仏壇の置かれた部屋があるという設定だ。
 初老の男(父)が独り居る。チャイムが鳴るが、何故かその後の反応が鈍い。漸くドアを開けると女性が独り立っている。何となく入りづらそうだ。だが、親子である。久しぶりに帰郷した娘であるにも関わらず不自然な動作は、勘当されていた娘だからであった。父は許していたのだが、娘は母が亡くなった後も母は自分を許していないと信じている。それで態度がぎこちないのだ。娘には自分の所為で父の経営していたタクシー会社が倒産したのではないか? と内心忸怩たるものがあった。娘の過ちとはAV女優をやっていたことであった。信州の某所が舞台として設定されているのだが、矢張り地方では、社長令嬢がよりによってAV女優として有名になってしまえば、父の経営する会社や従業員迄、悪口雑言をぶつける対象になる。一家の評判はがた落ちだ。それは娘として痛い程分かるから、友人から最近聞き知った会社が他人の手に渡った話もそれが原因で破綻したのではないか、と娘は気に病んでいたのである。にも拘わらず存命中、母には決して許して貰えず実家に戻ることも出来なかった。だが会社破綻の原因は父が連帯保証人になった相手が経営に行き詰まり失踪してしまったことが原因であった。また彼女がAV出演したのも騙されてイキナリ書類にサインさせられ、而も撮影は既に現場も決まっていて直ぐにそこへ連れて行かれ契約に違反すれば数百万の違約金支払い義務があると脅されての出演であった。契約期間は2年、現場スタッフは皆感じも良く、手荒なことをされることも無かった為、また彼らも家族を抱え、生活をする為に関わっていることを思うと自分が出演することで金になり彼らの生活が保障される構造を思えば仕事をキャンセルすることも出来なかった。
 この事情の詳細が判明するのは、人手に渡った会社の旧従業員リストラ回避の為に兄が奮闘して一部の従業員は新会社での再就職が決まったことや、権利移転後の種々の雑用や人間関係に今も多忙を極める兄と妹を会わせて驚かそうと考えた父の「兎に角寄れ」の号令に兄が従ったからである。妹を見るや否や、兄の怒りが炸裂、妹がAV出演した結果家族や会社、従業員の被った被害の実情が暴かれ観客に分かる作りになっている訳である。兄は結局、形としては怒って直ぐ帰ろうとするが、父に久しぶりに来て母さんに挨拶もせんのか! と怒鳴られ仏壇で祈ると直ぐ次の仕事に戻ってしまうが、残った父と娘の対話の中で、母や兄の家族としての深い念をも父が説明し、娘を肯定することで傷ついた娘の魂に射す一条の光が見える形で終演。
 By the way,今作の効果音に都会でも良く鳴き声を聞く鳥・シジュウカラの鳴き声が用いられているが、彼らは20以上の単語を持ちそれらを組み合わせて文章を175以上駆使することができる、との解説もしてもらえた。自分も鳥の鳴き声や虫の鳴き声等を日常的に観天望気に応用しているので納得がゆく話であった。
2:「ディック・マードック」
 来日したこともある、プロレスラーのディック・マードックのファイトシーンや、一度リング用パンツをずらされてお尻が見えてしまったことが観客に受けて以降、わざとパンツの紐を緩めにしてずらされるように仕組んで居たお茶目なマードックの紹介映像が映された後、作品が始まる。板上は喫茶店内部。丁度奥と手前の中ほどに丸テーブルと椅子が距離をとって配置されている。上手丸テーブルには、男性客が1人、観客に背を向けて腰掛け、下手丸テーブルには、芙由美が観客の方に顔を見せて座っているが、雑誌を広げて読んでおり、途中から彼女の親友・遥が登場、右隣に座る。下手客席側に接するように参加した観客が喫茶店の客として座っている所にも小型丸テーブル。
 芙由美と遥は既に37歳、未婚であるが、芙由美は近々結婚の予定で式場を選ぶ参考にする為ブライダル関係の雑誌を読んでいたのである。遥は積極的で気が強く、芙由美が子供の頃苛めを受けていたのを助けて以来の親友である。芙由美は、内攻的なので全く他の客の迷惑になるようなことは無かったが、遥到着後、静かだった喫茶店は俄かに騒々しい喧騒の場に早変わり。その様たるや式場選びでも恰も主役は遥の如き勢いで他に客がいるにも拘わらず大声で話す。だが、それだけならまだしも若い頃から2人であちこちに外遊した思い出を語るうち、ブラジルでナンパされた男達を相手に乱交紛いの饗宴を楽しんだ下ネタを大声で話すものだから、客が喫茶店のマスターに注意してくれと頼み、一度目は何とか収まったものの、直後トルコでも矢張り男達と致した下ネタを大声で騒ぎ立てたものだから先程の客が再びマスターを呼んで注意して貰っていると、女2人が逆切れ。大人しいハズの芙由美は殊に激しく切れて凄い啖呵を切り、女2人で客に乱暴狼藉を働き、様々なプロレス技でさんざん痛めつけたのみならず、客席に居た観客の方に彼を放り出す、そこへ棍棒型の器物をフルスゥイングされてかっ飛ばされた後、一斗缶で頭を強打された客はKOされてしまう。この被害者役を主宰の西山氏が演じている。作・演・役者3役をこなして一番物理的に痛い部分迄請け負っている点に、主宰としての覚悟を感じた。
無論、遥は芙由美に先を越され、自分独りが独身であることを今更乍ら悔しいとも、惨めとも淋しいとも思い、本来ヘテロであることもあり、このような展開の中独り取り残される身になると、ずっと共に過ごして馬鹿なことも一緒にやった友への羨ましさが内側から沁み出してきたのであろう。この辺り、伴侶を得て強くなっている芙由美と遥の心理的優劣の関係がほの見えるようで興味深い。
3:「かつおの玉子焼き」
 玉子焼きは定番メニューのそれである。かつおが平仮名表現なのは、無論、言葉遊びだろう、板上基本的なレイアウトは下手に斜めに置かれたベンチが1つ。これだけである。階段を上がってきた酔っ払い男・日系4世のミゲールはベンチの傍に財布が落ちているのを見付けた。拾おうか、そのままにしておこうか逡巡しつつ、財布の周りを何度も周回した後、財布を拾い上げ中身を確かめたりしている。ミゲールの服装は半分路上生活者のようである。髭もぼうぼうだ。そこへ身なりのパリっとしたサラリーマン風の男・勝男が現れ財布を返してくれ、と言う。勝男はミゲールが財布を盗もうとしていたと勘ぐり、見付けて直ぐに普通は警察に届けると主張、これに対してミゲールは中身を確認して持ち主が分かったら直接連絡して返す方が相手も助かるし手っ取り早いから中身を見て居たのだと返し、免許証を見て財布が勝男の顔写真と同一なので正当な持ち主として返そうとしていると互いのやり取りが暫く続くが、ミゲールは犯意の無い自分に疑いを掛けたり、その上で自分に失礼な態度を取ったことを詫びろ、と迫る。その際、ミゲールが子供の頃、悪いことをしたと分かった時にはキチンと謝ることを母から教えられた話と共に、母の作ってくれた世界一おいしいペルーの玉子焼きの話が出る。まず、トマト、玉葱と少々の大蒜を微塵に刻んでソテーしそれに溶いた卵を加えて軽く塩を振り掛ける。こうして作って貰った玉子焼きの数々の思い出を語ってくれるのだが、この話実に心に沁みる。一方、勝男はミゲールに早く立ち去って欲しい。様々な対話が他にもあるが、最終的にミゲールが2千円をくすねていたことを指摘する。万札も入っていたのに2千円しか盗らなかった理由も一連のの対話の中で納得させられるが、何れにせよ財布からくすねた2千円は、見付けてくれた礼として目を瞑る。と言ったりもするのだが、ミゲールは、返金しようとして一悶着。寧ろ彼はもっとフレンドリーで自分の住む部屋へ一所に行き飲もうと誘う。然し勝男はガンとして受け付けない。勝男は、貧しかったミゲールより更に不幸な育ちをしていた。それでも何とかミゲールと仲直りしてミゲールはこの公園を離れた。そして今、彼は自殺しようとしていた。公園の木の枝に買って来た紐を何重にも掛けいざベンチから飛び降りると、枝が折れて勝男を死なせなかった。死ねずに我に返った時、不幸な子供時代にも母が作ってくれた甘くふっくら焼かれた玉子焼きは世界一であったことをしみじみ思い出して幕。
 今作の中にも2と同じように主宰が酷い目に遭うシーンが挿入されて笑いを誘うが、本当に西山氏の体当たり演技にも励ましを頂いた。感謝したい。言う迄も無いことだが、味わい深いシナリオに無駄の無いキャスティング、役者陣の力、舞台美術の合理性、動画の使い方の妙、劇場の使い方、音響・照明も良いバランスで生の舞台の良さを堪能した。観客への心遣いも有り難い。今後の作品にも期待している。
笑顔の砦

笑顔の砦

庭劇団ペニノ

吉祥寺シアター(東京都)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

リアルな生活感溢れる、ちょいと野暮でグッとくる舞台でした。介護問題なんかは実に考えさせられます。介護で学校を休学したりすると復学がかなり難しいので、可能な限り行政に頼りましょう。

夜明け、踝、泣け -2022remix-

夜明け、踝、泣け -2022remix-

劇団milquetoast+

スタジオ空洞(東京都)

2022/09/09 (金) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/09/10 (土)

久しぶりのスタジオ空洞
スタジオだから舞台面を自由に作れる。入るなり生演奏が響いてた。
内容的にはかなり入交じりな家族劇。ちょっと忙しめだったかなかなり
主役を演じていた、かくたなみさんがすごい!はまり役っていうのかな?

笑顔の砦

笑顔の砦

庭劇団ペニノ

吉祥寺シアター(東京都)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

舞台「学徒隊」

舞台「学徒隊」

NPO法人文化活動支援会まつり

南大塚ホール(東京都)

2022/09/09 (金) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

A4サイズの当日パンフの縦半分いっぱいに「この物語はフィクションであり、実在の人物 圑体 事件とは一切關係ない。現実はより過酷 で凄惨であり 再現など到底出來ない。」という言葉が書かれている。この言葉(特に後段)と舞台序盤の展開から、この作品は沖縄戦における少年・少女たちのことを描くのだと思っていたのだが…。

(ネタバレBOXへ続く)

ネタバレBOX

第一部は華やかな結婚式の場面から始まり、一転して少年・少女たちの、次第に戦争が迫ってくる緊迫感も秘めた日常の描写であり、15分の休憩を挟んだ第二部では「本土決戦に備えて」という台詞からもわかるように、本土から離れた島における日本で唯一の地上戦(厳密には「唯一の」は正しくない)での目を背けたくなる悲惨な状況を描き出す。

ただ、沖縄で少年・少女を動員して作られた部隊で「学徒隊」という名前が付くのはひめゆり部隊として有名なものを含む「女子学徒隊」(従軍の看護助手として配属)のみであり、少年たちのものは「鉄血勤皇隊」「防衛隊」「護郷隊」などである。だから正確には題名は「学徒隊」ではなく「学徒兵」とすべきだろう。
また、やたらと「帝国軍」「帝国」という言葉が発せられるが、当時の沖縄では「大日本帝国陸軍」「大日本帝国」でなければならないし、「帝国の国民として」という言葉も「大日本帝国(もしくは天皇陛下)の臣民として」でないとおかしい。最初は「スター・ウォーズ」の影響かと思ったほど耳障りだ。
避難壕というのもお墓(実際に見てみるとよくわかるが、本土のものと異なり、かなり大きい)かガマ(自然洞窟)であろうが、そういった説明もない。

が、冒頭に書いた当日パンフの言葉からてっきり沖縄の地上戦を描いているのだと思っていたのが、次第にこれは沖縄のことではないのかもしれないと思い始めたのは、沖縄の地名が一切出てこないし、「敵」というだけで「米軍」とか「鬼畜米英」なんて言葉も一切用いられないからだ(沖縄に上陸したのは米軍のみではなく、英国軍も加わっている)。また「天皇陛下万歳」と叫んで死ぬ者もいない。
そして終盤の少年兵が振る旗が赤白が反転した日章旗であることで、これは沖縄に模した架空の場所での戦闘の話なのだと確信した。
だから結婚式の場面で(冒頭の場面が、死にゆく直前の仲宗根の妄想だったという形で終盤にうまく結びついているのではあるが)純白のウェディングドレスだったのだ。当時の沖縄ではそんなものありえないし、いくら仲宗根の妄想だとしても純白のウェディングドレスなんて知りもしないのだから思いつく訳がない。少年兵が履いている靴がマジックテープ式の黒いスニーカーなのも気になる。マジックテープが発明されたのは第二次世界大戦後のことだ。

だが、そうしたことも含めて全てが沖縄ではない架空の場所なのだとしたら、当日パンフにああも大きく誤解を招くような言葉を書くべきではないし、そもそも沖縄として描かなかった理由は何なのか。役者陣は熱演だったのだが、どうにもスッキリしない。
気づかいルーシー【8月3日~14日公演中止】

気づかいルーシー【8月3日~14日公演中止】

東京芸術劇場

パルテノン多摩・大ホール(東京都)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/10 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初めてのパルテノン多摩訪問で、再々演にして漸く初お目見えの「ルーシー」を観劇(ちょっといい旅気分)。松尾スズキ原作、ノゾエ征爾脚色演出。ノゾエ氏は松尾氏と浅からぬ縁らしいが、舞台人の中では芝居で「うんこ」と言える人種、で括るも可だろうか。
都心でやるより子ども率(親子率)高めと見受け、地方公演の風景だなとワクワク。明らかに子どもに向かって前説するノゾエ氏が子どもモードになっている。
後方席からは俳優の判別が困難だがノゾエ氏と川上友里氏は声で判る。最初コロスのように立ち回る三人の内、舞踊的な動きは女性が引っ張っており、振付の人?等と一瞬思ったが川上氏であった。身体の切れもあるのだなと改めて。
終演後の「答え合わせ」では、おじいさん役に小野寺修二氏、馬役に大鶴佐助、王子役に栗原類、ルーシー役は岸井ゆきの、結構美味しい座組であった(調べりゃわかるつうの)。
「気づかい」がキーにはなっているが、話そのものは物質的にグロい。(登場人物の皮を剥ぐ、糞をポロポロと出す、馬の前と後ろで人格(馬格)が分かれる、等。)
ただ、話が大団円へと向かうあたりでナレーターの馬が、「気づかい」を奨励するような事を言う。シュールな話に真っ当らしいオチを付けなくても・・とは正直な思いであったが、私は子どもがどう受け取ったのかと、それを思いながら観ていた。「言っちゃいけないこと/やっちゃいけないこと」に次第に包囲されて行く社会(その最大の被害者は子ども)の中で、「何でも言っちゃっていいノダ」の世界に触れているかな??と。

Show me Shoot me

Show me Shoot me

やみ・あがりシアター

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2022/09/02 (金) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かった!けど今ひとつ突き抜けず!構成の巧さとか場転の面白さとかはすごかったんだけど結局会話一つ一つの積み重ねかなあ。いろんな形式を使ってるけどそれぞれでちゃんと会話できてるかどうかが結局最後まで生きてくるんだと思う。中心の夫婦二人は結構そういうシーンが多いこともあって健闘してたけどそういう人になりきろうとしている感があって、うーんなんか、何をしてほしかったり何を葛藤してたりするのかがわからないところがあった。関西弁の夫婦はそのあたりすごく会話になっていて、面白かった聞いてるだけで。やっぱ空気読める人って面白いんだな俳優として。聞けているというか。同じことはしてないんだろうなと思った。
ゆっくりのところあんま聞き取れなくて、重要なシーンだし後ろ黒かったからあそこに字幕投影してほしいと思った〜。
最後夫婦が笑うところ、お互いにちょっとベタベタしすぎててそれはちょっと違う気が、、、って思った。
しかしあの場転、私だったら絶対こんがらがる笑。すごい練習したんだろうなあ〜尊敬する。体力にも。全員すごく真面目なんだろうな。
序盤のコントが後半に効いてくる感じすごく好きだった。コントもう少し面白くなるといいなあ!すごく難しいけど。なんかいかにコントらしさから抜け出すというか、面白いでしょ!みたいな感じをなくすというか、テレビで見てるやつからどう離れられるかというか、そういうのが大事な気がした。もう演劇なんで!って開き直っちゃったほうが逆に面白いと思った。コント部分も脚本はすごく面白いと思うので。そういう意味ではOLのやつとかすごいよかったなあ。

笑顔の砦

笑顔の砦

庭劇団ペニノ

吉祥寺シアター(東京都)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

すごい。究極なくらいの具体。ちょっと引くくらい。具体だからこそちょっとした所作が気になってしまったりするのは損なのかもしれないけど汚しとかすごすぎて圧巻。あの美術だけですごい情報量。物語の進みはゆっくり。両者の問題?というか寂しさ?みたいなものの浮きぼらせ方はお見事という感じ。個人的には解決方法が今ひとつピンとこなくて、まあ解決させているわけじゃないのかもしれないけど。とにかく食べる食べる、いい匂いまでしてきて。体験でしたまさしく。
人の作ったご飯って美味しいし、元気出るし、希望だよなあ。朝。生きるってつらい。つらくて嬉しくて寂しくて笑えて。続いてく。くりかえす。

ネタバレBOX

娘が休学するのはやっぱり犠牲に見えちゃう、本人のその決断は素晴らしくても。蟹をあげることくらいしか支援?ができないのはすごく繊細な描き方だなとは思うけどもう少し関わり合いたかったフィクションとしては。漁師さんも一時的な解決にしか見えないしまああれが生活というものなのかもしれないなあ。最初はやなやつに見えてた娘が、おばあちゃんの行動を見て自然なものだと知る。家族やんか!に自分で傷つく父。家族もつらいよな。
笑顔の砦

笑顔の砦

庭劇団ペニノ

吉祥寺シアター(東京都)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

駅前劇場・KAATでも見ているけど、今回のツアーで国内最終公演ということで。ただ、どうしたって初演の印象が強い。The 生活ってカンジの作品だから、小さい劇場の方が似合うのよね。客席にも食べ物の匂いが充満しないと、ちょい物足りない。

青ひげ公の城

青ひげ公の城

Project Nyx

ザ・スズナリ(東京都)

2022/09/08 (木) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

芝居は虚構だ、ごっこ遊びだということを前面に、おもちゃ箱をひっくり返した(そういうセリフもある)ような芝居。「台本を人生でけがすな」のセリフも。この美しい(そして儚い)ウソに現実の塵埃など持ち込むなということだ。女性の脚線美と、あらわな姿もたっぷり見せて、芝居を使って遊び倒した寺山修司の満足げにニヤリとする顔が浮かぶ。

青ひげ公の7人目の妻になるために、やってきた少女ユディット(今川宇宙)、舞台監督(小谷佳加)の指図で、まずは出番を待つ。それは、6人の妻が殺されるのを待つこと。浴室ので全裸の第一の妻(日下由美)、太ってギラついた第二の妻(のぐち和美)…空中の輪に宙吊りになって新体操のような妙技を見せる第四の妻(若林美保)、「ひばり」のジャンヌダルクを演じ、古今東西の芝生についての名セリフを披露する第5の妻(水嶋カンナ)などなど。アリスとテレスの双子や、アコーディオンとバイオリンで音楽を添える二人。そして何より、見事なマジックで舞台回しを務める奇術師の渋谷駿。

羅列的な紹介になってしまうけれど、マジック、ダンスレビュー、歌、エアリアル芸、半裸ショー(人魚姫も)、大仕掛けのマジック、地下からの花吹雪と、グロくて華やかなパフォーマンス次々繰り出す。見事な演出、サービス精神だった。スズナリの狭い舞台を目一杯に広く使うスペクタクル(見世物小屋)だった。

青ひげ公の城

青ひげ公の城

Project Nyx

ザ・スズナリ(東京都)

2022/09/08 (木) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

主演の第七の妻、今川宇宙さんが可愛かった!流石に西郷輝彦の娘、清涼感溢れる美人。若い頃の藤圭子っぽくもある。

魑魅魍魎跋扈する虚構の世界に単身乗り込んだヒロイン、失踪した照明係の兄を捜して。芝居なのか現実なのかそのグレーゾーンを彷徨い歩く。舞台裏は魔窟で心の臓も凍る。最後までその感覚は拭えず、高田馬場のアパートに帰っても誰かを演じ続けているまま。この世は全てが芝居で、自分は客であり演者でもある。そこで何を為すべきか?答えなき問い掛けは虚しく、何の意味も持たない日々に押し潰されていくだけ。自分だけの言葉が見付からない!

MVPは文句なくマジシャンの渋谷駿氏。ネタ割れしている古典的なマジックなのだが、それでも圧倒される。彼は超能力者だと思わされる程。いや、そうであって欲しい。彼が青ひげ公であるべきで、そのぐらい作品を浸食している。
舞台美術が素晴らしく、これぞ『青ひげ公の城』。発泡スチロールでここまでやられたらひれ伏すのみ。
第一の妻、日下由美さんはヌーブラが悩ましい。
第二の妻、のぐち和美さんはそのまんま。
第三の妻、浜田えり子さんは死者。
第四の妻、若林美保さんはサーカス団並みの宙吊りの踊り子。物凄いインパクト、暴力的な表現。
第五の妻、水嶋カンナさんはそのまんま。
第六の妻、河西茉祐(まゆ)さんは人形。
第八の妻、浅井香穂さんもマジック・アシスタントも兼ねて素晴らしかった。

黒色すみれはアコーディオンとヴァイオリンで歌い踊り酔わす。BUCK-TICKのLIVEで観た以来。B−Tなら『キラメキの中で…』を聴きたい気分。

次回公演のチラシのイラストを今川宇宙さんが描いていて、凄く魅力的。

ネタバレBOX

作品は何か寺山修司感が足りなかった。戯曲の面白さを読み間違えているようなテキレジ。これじゃ物足りない。これを観て深みに嵌まる奴はいないだろう。ぬるい。
待ちぼうけの町

待ちぼうけの町

劇団俳優座

シアターX(東京都)

2022/09/02 (金) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

リアルで情感深い舞台でした。グッときましたね。

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