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透き間

透き間

サファリ・P

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/03/11 (金) ~ 2022/03/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/03/13 (日)

強靭な身体が問う血讐の是非

ネタバレBOX

 透き間風が吹く北の山岳地帯で一組の夫婦が陰鬱な空気に満ちた高地をさまよっている。この地域は血族が殺害された場合その一族の男性が復讐をしなければならない血讐(古代国家の形成過程で出現した復讐制度)が生きている。かき分ける草木やすれ違う馬にはまるで生気がない。

 1980年に発表されたアルバニアの作家イスマエル・カルダの小説『砕かれた四月』をもとに、上演台本・演出の山口茜が自身の生い立ちを反映させて劇化、2021年のプロトタイプ公演を経たうえでの上演である。

 外からこの地域に入ってきた夫妻の考え方は対照的である。妻(佐々木ヤス子)は当初この土地に関心を抱いていなかったが、偶然見かけた歩く人(達矢)に強く惹かれる。歩く人は殺人を犯しており、今度は自分が狙われる番になってしまった。妻は高地の住人である老いた人(高杉征司)に歩く人を助けてほしいと懇願するが、血讐の伝統を盾に頑と拒絶されてしまう。復讐の連鎖をなんとかして止めたいと考えた妻は、歩く人を探して村の塔へと向かう。そこには血讐から身を隠す人々が集っているのだ。

 いっぽう夫(大柴拓磨)は作家であり、この地域の血讐に強い関心を抱いている。いなくなった妻を探そうとするが、血讐を止めることはできないという態度である。むしろ「止めようとすることで反動が起き、私の小説が面白くなる可能性はある」と観察者としての立場を貫き通している。やがて妻と夫は別々に、戦争で負傷した寝たきりの人(芦谷康介)と出会い、そこから大きく物語が動いていくーー部外者である夫婦と血讐にとらわれる高地の人々の交流から、復讐の連鎖がなにを引き起こすかが浮かび上がっていく。

 本作第一の魅力は山口の紡ぎ出した言葉と出演者の強靭な身体の調和である。上演台本はもともとかなりの長編だったそうだが、刈り込んで凝縮させたそうだ(3月11日夜公演後に実施されたアフタートークより)。結果台詞から状況説明が省かれ暗喩に満ち噛み砕くことはなかなか困難であったが、その分言葉の密度が詰まっており味読する愉しみがあった。出演者たちは先に記した本役以外にも馬や草木、高地の人間などを複数役兼ね、マイムや激しいダンスシーンをこなすなど、さまざまな役割を演じ分けていかなければならない。ときには客席の前から姿を消して台詞を音読したり、ギリシャ悲劇のコロスのようにして群読するような場面もある。しかし発話しているときと動いているときのつなぎ方や切り替え方に違和感がなく、すっと物語の世界へいざなう手腕は大したものだと感心した。難解な台詞を演じ手たちが肚に落とし込んだうえで発していたのがよく分かった。

 演技スペースは東京芸術劇場シアターイーストの本舞台を取り払い、正方形の小舞台を16個ほぼ等間隔に配置したもので、高地の高低差を表したものと見受けた(舞台美術:夏目雅也)。出演者たちは床を四方八方歩き回り小舞台に上って演じるだけでなく、床を這った状態で客席から見える位置にまで脚や手を挙げたりして、草木や動物、死体(のように見える物体)を表現していて目まぐるしい。民間伝承や地縁といった土俗的な内容を、多彩な音楽やソリッドな照明で造形する、この対照的なアプローチの調和が耽美的と感じた。この感覚は小説『砕かれた四月』にはない視点だと私は思う。

 印象に残る場面は多いが、中盤で舞台上手から下手まで一列に並んで髪の毛をかきむしりながら怒号を上げ死者を嘆く人々の列や、冒頭と終盤で「人を殺した男に会いました」と告げる人と対峙する異形の怪物を4人の演者が重なり合いながら表現した場面が特に忘れがたい。

 いっぽうでこれだけ多彩な内容を1時間に凝縮させるにはあまりに惜しいと感じたことも事実である。観賞に際し極度の集中を要したことに加え、馴染み深いとは言い難い題材に作者個人の体験が反映されたという作品の成立ちに対し、敷居の高さや距離感を抱く観客もいたであろうことは想像できる。『砕かれた四月』の映画化である『ビハインド・ザ・サン』のような翻案をしてほしいとまでは言わないが、状況設定や台詞をもう少し具体的にしたほうがより作品に奥行きが出るのではと感じた。

 そして私が最後までわからなかったことは、血讐を止めたいと奔走する妻の行動である。彼女の選択が歩く人に救いをもたらしたのかは明示されず、彼女自身も血讐の連鎖のなかに飲み込まれてしまったような印象を受けた。ややもすれば近代主義者のエゴのようにも取れる彼女の行動について賛否は分かれることだろう。そして本編の終幕が何を意図しているのか私はまだ考えあぐねている。
 “Na”

“Na”

PANCETTA

「劇」小劇場(東京都)

2022/03/10 (木) ~ 2022/03/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/03/10 (木)

巧みな身体表現がかもしだす「かわいげのある不条理さ」

 「名前」をテーマにした7本の小編を、ピアノ(加藤亜祐美)とチェロ( 志賀千恵子)を伴い4人の演者(佐藤竜、はぎわら水雨子、山﨑千尋、一宮周平)が次々に演じ分けていく。2020年3月に上演予定だった作品の2年越しのリベンジ上演である。

ネタバレBOX

 本作第一の魅力は作劇の秀逸さである。作中では数や名詞、代名詞が導くミスコミュニケーションが巧みに表現されていた。それが顕著であった「Called "Sensei"」では、医者と弁護士、ダンススクールの講師がそれぞれを「先生」と呼び合うことで誰が誰を呼んでいるのか次第に混乱していく様子がコミカルに描かれていた。別役実の作品に出てくる、品詞の誤解でドラマを転がす手法で、大人から子どもまで楽しめる「かわいげのある不条理さ」とでもいうような作劇が脚本・演出の一宮周平の眼目だろう。

 定評のある身体表現の巧みさも本作の特徴である。「Ko・So・A・Do」では暗闇のなかさまよう二人の人物が電灯を片手にして闇を掻き分けていく。道中に出現する水の流れや焚き火の炎も演者が表現する。その手付きの鮮やかさ、仕草の丁寧さが目に焼き付いた。 

 ピアノとチェロの伴奏は作品に豊かな彩りを与えた。特に劇中音楽の曲名を観客に考えてもらうくだりでは、コロナ禍で絶えて久しい劇場の一体感を味わう貴重なひとときとなった。この場面を収めた一幕「No name」は、終盤で王様が家来に命じ恋文を認め、思いを寄せる他国の女性とやがて結ばれる「Number」と「Named」の連作の間に据えられほどよいブリッジであった。

 他方で芝居のパートと身体表現のパートがうまく融合できておらず、ぶつ切りになってしまっている印象を受けた。観客に台詞をわかりやすく伝えようとする俳優としての身体と、人にも自然にもなれる変幻自在の身体を同じ舞台の上に上げた点が目論見なのかもしれないが、私は観ていて混乱を覚えた。また演者たちの巧みさには感心したが、作品が変わると前作とはまるで別人のようになる変身の驚きを感じるまでには至らなかった点は残念であった。

 また作者の生真面目さゆえなのなかもしれないが、各エピソードをきれいにまとめようとしすぎていると感じた。登場人物たちが皆いいひと過ぎて食傷気味になったのも正直なところである。「Become a King」で必ず王様になる男の図太さ、「Blue Goat」でみんなから疎まれる青ヤギの鬱屈さといった側面をもう少し深く掘り下げたほうがドラマに厚みが出てくると感じた。
電鉄

電鉄

第2劇場

大阪大学(豊中キャンパス)(大阪府)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

満足度★★★★

引かれたレールをどうするのかは、自分次第。そもそも引かれたレールなんて有るのかも…。気がついた本人はどんな行動をとるのか…😒
予約客が来ないので上演を送らせたが、結局来なかった。時間どおりにお願いしたい。制作も大変だと思うけど…😢

ミュージカル「弥生、三月 -君を愛した30年-」

ミュージカル「弥生、三月 -君を愛した30年-」

エイベックス・エンタテインメント/クオーレ

サンシャイン劇場(東京都)

2022/04/21 (木) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

映画は未見ですが、このミュージカル版はシンプルできちんとした出来で、グッときましたね。

無人有人

無人有人

劇団ちゃうかちゃわん

大阪大学(豊中キャンパス)(大阪府)

2022/04/21 (木) ~ 2022/04/23 (土)公演終了

満足度★★★

オムニバス。今回はらしさが出ていなかった気がする。らしさとは、主張したいことがあるなかで、笑いとダンスを融合させる感があるのだが、出しきれていなかったような…。人間は誰しも一人でないのだが…😓 

水の中の狸

水の中の狸

ツツシニウム

バルスタジオ(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★


 若い人達の公演なので、脚本の質を高め、また自分達お作品の質を上げる為の勉強の成果が多くの引用となって脚本中に挿入されているが、こういった作業を通して段々本質や普遍性を獲得してゆくものだし、今作の作品創りそのものが普遍性を目指して努力していることも明らかなので好感を持った。役者陣の力演もグー。(追記2022.4.24 )華4つ☆

ネタバレBOX

 お伽噺の「かちかち山」をベースにした作品で兎は思春期の若い♀に、狸は原作通りの畑荒らしの食いしん坊。太宰の解釈を援用しながらワークショップの卒製として上演された。未通女の高慢・傲慢と残酷性を強調した作品となっている。板上はフラット。各壁面天井部から紐を束ねた長短のオブジェがぶら下がっている。板表面には逆三角形の手前側頂点に接する線分が一直線に引かれている。演技で気に入ったのが、他の演劇部から移って来た姉弟役の2人、狸役、そして涼介役。
ムーランルージュ

ムーランルージュ

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

斎藤憐の80年代後半に発表された戯曲。「ムーラン・ルージュ」とはフランス語で「赤い風車」を意味する。19世紀末パリに誕生したキャバレーでフレンチカンカンなど扇情的なショーで大人気となった。今作の「ムーランルージュ」は「ムーラン・ルージュ新宿座」のことで、戦前から戦後まで存在した大衆劇場のこと。

戦後、廃墟と瓦礫の焼跡の中で「ムーランルージュ」は再建される。幕が開けば橋本愛奈さんのレヴュー。流石に歌が上手い。オーナーの青山雅士氏は彼女を口説き続けている。
そこにニューギニアで戦死した筈の彼女の旦那である松浦慎太郎氏が生環。彼は座付きの構成作家であった・・・。長身で端正な顔立ちの松浦慎太郎氏はいずれ映像方面で成功することだろう。

戦時中は内務省や警視庁の検閲で何度も上演不許可を受け、戦後もGHQの検閲で何度も書き直しさせられる台本。レヴュー一座の群像劇でありつつ、敗戦直後の日本人が共有していた気分が見事に醸成されていく。

米兵達にレイプされていたところを救われる石森咲妃さん。
GHQの検閲官である日系人を怪演した如月せいいちろー氏。
必ずねづっちのようななぞかけで事態を比喩するベテラン大道具役佐野眞一氏の名演。
空襲で亡くした赤子の亡霊と共に生きる篠田美沙子さん。
役者陣は皆魅力的で各々見せ場がある。

阿佐田哲也の『麻雀放浪記』なんかを思い出す、捨て鉢でニヒルな魂の抜け殻、アプレゲールの無頼派。生と死、恋と嫉妬、アメリカと日本。アメリカに敗戦し占領された現実から目を逸らし、悪い軍部から解放して貰い救われた善良な民衆の振りをする日本人の変わり身の早さ。大勢に迎合することを美徳とした全体主義。太宰治の懊悩。「愛する者を食べさせてやること以上に価値のあることはない。」との真理。

歌われる楽曲のセンスが良く、1933年のアメリカのヒット曲、『イッツ・オンリー・ア・ペーパームーン』が作品のキーとなる。
「これはただの紙の月
段ボールの海に浮かぶだけ
でも君が信じてくれたなら
それは本物にだってなれる」

ネタバレBOX

第一幕は東宝調、第二幕では一座に拾って貰った石森咲妃さんが見事な歌い手に開花、日活調で堂々と歌い上げる幕開けが見事。
ホンの完成度が高く、これを岡本喜八や深作欣二なんかのジャズのリズムで細かくカットを刻める監督が映画化したら傑作になっただろう。ちょっと今回の演出では力不足の感も。複数の登場人物達のエピソードがうねりを打って、ラストのレヴューに集約されていく。薬で狂い滅び朽ちていく松浦慎太郎氏。皆、袖で彼の苦悶を心配しつつも幕は上がる。ショーは始まり、彼女達は笑顔で踊り出す。
ムーランルージュ

ムーランルージュ

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

歌、ダンスありの華やかな舞台と裏側のそれぞれの事情や、悩みの対比を楽しめた。
個人的にちょうどいい感じでのところで休憩をはさんでの二時間半で助かりました。
休憩なしの場合は、一時間半前後だとありがたい。
日系アメリカ人役の役者さん、かたことの日本語大変でしたね。
本当に日系人ぽくて、インパクトアリで印象に残った。
ひとりひとり、役者さんの個性がよく表現されていて、良いお芝居でした。

秘密

秘密

劇団普通

王子小劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

鑑賞日2022/04/21 (木) 19:00

この劇団は2作目。いたたまれない気分になってしまう115分。
 老いた母が入院したということで東京から戻った娘。父と同居しつつ、母を見舞ったり広い庭を片付けたりするが…、の物語を、淡々と丁寧に描く。冒頭で、同じ言葉が何回も繰り返されるのを観て、あー私はこの展開が苦手だったんだ、と思い出す。老境に達した父と母を用松亮と堤千穂が、実にリアルに描く。作る側は意図していないと思うが、客席から老いることを嘲笑するような笑いが出て、個人的に痛々しくて、生まれて初めて途中で退席しようかと思ったが席の関係でできなかった。隣席の客がマスクを下ろして大声で笑うのもちょっと…。事前に徹底したアナウンスを希望したい。

ムーランルージュ

ムーランルージュ

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

斎藤憐のムーランルージュを初めて観劇。上海バンスキングと同じ匂いが感じられ,とても懐かしく楽しむことができた。ことのはの演技も益々洗練されてきたようで,感心しながら観劇できる。休憩をはさんで2時間半の舞台ではあるが,集中が切れることなく,満足の観劇時間であった。

ムーランルージュ

ムーランルージュ

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

板の上の二人と三人そして一人

板の上の二人と三人そして一人

映像劇団テンアンツ

小劇場B1(東京都)

2022/04/22 (金) ~ 2022/05/05 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/04/22 (金) 18:00

 かつての人気漫才コンビ「ナマセン・ヤキセン」は相方の悪口を公の場で言った芸人に暴行を加えたことから、そのトラブルから解散。「ナマセン」こと矢澤洸介は家賃滞納・求職中と落ちぶれ,一方の「ヤキセン」こと野島友作はTVで人気爆発……住む世界が対照的に違ってしまった。そんな或る日,友作は洸介の元を訪ね“コンビ復活”の話を持ちかける。
 人気女性漫才コンビ「ナインティワン」のメグミとミカは,かつての“もう一人のメンバー”チーコが交通事故で瀕死の重症である知らせを受ける。
 コンビ別れした、かつての人気漫才師、トリオからコンビになった女性漫才師、ワケありの2組の元に、何故か天使が舞い降りてという、全然性別も含めて違う2組の芸人に焦点を当て、それを主軸に物語が同時進行で進んでいく。かつての相方の野島友作は実は、心臓病を患っており、医師からは、無理をしてはいけないと言われ、そういった事情を知らなかった矢澤洸介は野島を突き放し、やさぐれきった自分を自嘲し、素直になれなかったが、そういった事情を奥さんから知り、野島の最後の晴れ舞台のために人肌脱ぐことを決意するといった劇の展開に涙し、その後野島が心臓病で亡くなり、しかし野島の亡くなる間際に幽体となって矢澤に約束させたことを矢澤は守り、50年間野島が近くにいるつもりで、ピン芸人を続けてきて、50年ライブを演る際に野島が上級天使となって、天から舞い降り、ボケ、ツッコミを演るシーンで終わっていく、その終わり方に感動した。

 劇団主宰者兼演出家、劇作家であり、前説も担当する主役の上西雄大さんの、的確なツッコミ芸や、自虐ネタ、ボヤキ笑い、顔芸、執拗で鋭い客席イジリと、止めども無く終始大笑いさせ、シリアスな場面や、感動場面もありつつ、そういう渦中にさえ、笑える場面が展開したりして、観ていて飽きるどころか、大笑いし、時に感動し、いつの間にか劇世界に没入し、観客の心を鷲掴みにするのが上手いと感じ、これぞプロの俳優だと感じた。

 チャップリンをパロったスベりネタや、加藤茶の笑いを演るスベりネタ、大家さんのお母さんによる、トンチンカンな勘違いネタ、フレディ·マーキュリーをパロったネタや、山口百恵ネタに、仮面ライダーV3ネタなどの特撮ネタ、体型や容姿いじり、しつこいドタバタギャグなど、コアなものから分かりやすいネタまで、俳優たちが役になりきり、それでいて、主役や主役級さえ喰いかねないほど、存在感を発揮していて、常に笑わせられ、さらに3時間弱の長い芝居なのに、役者個人個人が息切れしたり、声が枯れたりすることなく、台詞を喋り、時にまくし立てたり、強弱をつけたりして、落ち込んだり、葛藤する場面さえ見事に演じきり、こちらの心を引きつけ、舞台のそれぞれの役者に釘付けにさせられ、脇役含め、役者一人ひとりに舞台俳優としての才能を感じた。

 
 ドSな女性の上級天使を演じた役者の古川藍さんは、スリッパで、かなり本気で相手の顔や腹を思いっきり引っ叩いたり、そんなに手加減しているようには見えない平手打ちをしたり、強気な関西弁で口汚く相手をボロクソに罵ったり、タンカを切ったりと、肉体全身を使ったアクロバティックで過激な体当たりな熱演に、他の俳優も男女を問わず、かなり演技が上手く、存在感を放っていたが、その中でも古川藍さんは尋常じゃない存在感を放ち、主役をもある意味凌駕した存在感を出していて、演技の極め方が徹底していて、これぞ、俳優の鏡、何千年、いや何万年に一度かも知れない、俳優の中でも優れた逸材だと感じ、自然に備わった古川藍さん自身の天賦の才を感じた。

秘密

秘密

劇団普通

王子小劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/04/22 (金) 19:00

120分。休憩なし。

安心して狂いなさい

安心して狂いなさい

中野坂上デーモンズ

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2022/04/17 (日) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/04/22 (金) 14:00

100分。休憩なし。

かえりにち

かえりにち

ゴジゲン

ザ・スズナリ(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/29 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/04/21 (木) 14:00

90分。休憩なし。

5月35日

5月35日

Pカンパニー

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

北京の公営住宅のようなフラットで、日常茶飯の小事で老夫婦が睦まじく争っている。だが、夫(林次樹)は大腸がんの術後の人工肛門の装着者だし、妻(竹下景子)はコロナで受けられなかった定時検診のために脳腫瘍が手遅れになっている。導入部の、争いながらもこの状況でいたわりあっている老夫婦の日常の二人の演技でまず、惹きこまれる。テレビの知名度目当てのキャスティングかと思っていた竹下景子がなかなかいい。そんな老夫婦に残された願いは、天安門事件に巻き込まれて高校生の時に亡くなった息子を現場で弔いたいという願いである。天安門事件を歴史から消し去りたい独裁政権はそういう夫婦の願いを許さない。
独裁政権の嵐を直接受けている香港の作者の上演できない劇と言えば、政治色は鮮明で、以後は、昭和二十年代から三十年代にかけて、さんざん見てきたわが国の左翼シンゲキ風の展開になる。息子の遺品を若者に与えようとネットで募集してやってくる若者(小谷俊輔)とか、軍に就職して出世していく夫の弟(内田龍磨)とか。そういう中で妻の病は進み、夫は最後の決断をする。
あまり飾りもない単刀直入の政治劇だが、異国の日本で見ると、こういう事態はさけるべく自由と平和のために戦え!というスローガン・メッセージだけでなく、過酷な隣国に生きる庶民のまるで「東京物語」のような哀歓が伝わってくる。そこが面白かった。演出(松本祐子)が手練れで、プロバカンダ劇の力学を生かしながら、緊迫した家庭劇を作っていたことも大きいだろう。そっけない色調の部屋を組んだ美術(杉浦充)もうまい。
東京芸術劇場の地下。数日前に見たイーストの若者ばかりのロロの客席とは打って変わって、こちらウエストは平均年齢七十歳かと言う観客で9割がた埋まっていた。

ネタバレBOX

ロロでは真ん中あたりでも聞き取りにくかったセリフがほぼ最終列の席まで、はっきりとニュアンスも含めて聞き取れる。やはり新劇団系のPカンパニーは違う。
だが、その客席の観客は日本のシンゲキのその後を知らないわけではないだろう。
この芝居のフィナーレ、出演者がステージに並んで、中空にこうべを上げて自由と平和をと合唱する。シンゲキ定番の終幕を迎えるのだ。よくやるよ!と思う反面、つい懐かしくなる。しかし、それは、あえて言えば何も果たせなかった夢への追憶と取り返しのつかない後悔でしかないだろう。それは社会にも個人にもいまもどこかに残っているに違いない。この劇団の新作に「罪と罰」と言うシリーズタイトルがついている。そういうことか。
画廊にて 他3篇

画廊にて 他3篇

日本のラジオ

新宿眼科画廊(東京都)

2022/04/22 (金) ~ 2022/04/26 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

浦田すみれさん一生好きです。

ロマンティックコメディ

ロマンティックコメディ

ロロ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/04/15 (金) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

口コミで評判が良い劇団のようだったので、初観劇。
劇場に入ってすぐに目にしたセットは、とてもオシャレで可愛くて素敵なセットだった。大掛かりなセットではないけれど、アイデアとセンスが光るもので、こんなセットでお芝居をするのは役者さんは嬉しいだろうなぁと思った。
でも、お芝居自体はちょっと僕には合わなかったかな。作品自体もとてもオシャレな感じで、意味深げなセリフや、奥の深そうな関係性を感じるんだけど、正直、あまり心が動かなかった。

ウソをつく。本当のことを、

ウソをつく。本当のことを、

関西大学演劇研究部 学窓座

関西大学千里山キャンパス内凜風館4階小ホール(大阪府)

2022/04/22 (金) ~ 2022/04/23 (土)公演終了

満足度★★★★

人間十人十色で、自己中の人や相手のことを考え過ぎる人等々…。生きて行くことの難しさを、とても上手く表現してたと思います。今後も頑張ってください!

ロミオとロザライン

ロミオとロザライン

学園座

関西大学・千里山キャンパス内KUシンフォニーホール(大阪府)

2022/04/22 (金) ~ 2022/04/23 (土)公演終了

満足度★★★★

ロミジュリは不朽の名作だから、何度も拝見したが、ロザラインの存在を知らなかったので、新鮮でした。大道具なんかも素晴らしく、カンパ金額少なくて申し訳ない気がした。学生演劇としては、大満足です!

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