最新の観てきた!クチコミ一覧

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雨の壜(アメノビン)

雨の壜(アメノビン)

空の驛舎

布施PEベース(大阪府)

2023/02/17 (金) ~ 2023/02/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「非日常」が、重なり、それはやがて「日常」になる。
病院 一階のロビー 看護師の気持ち 患者の気持ち 家族の想い
コロナで面会人数の制限 面会禁止
年配の入院患者が言う 今日が息子が来る 孫が、息子の嫁が来る
入院している父に会わない。
看護師 患者 家族の想い 話して 分かり合えるのか その先
それぞれの想い、心、
その後また日常は変わるのだろうか。

咎人の刻印

咎人の刻印

High-position

紀伊國屋ホール(東京都)

2023/02/16 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

世界観の面白い作品でありましたが、登場人物の心情の変化が速すぎて・・・原作読んでないので、何とも言えないけれど、人の心はこんなにもあっという間に変化してしまうのかと、違和感を感じました。
舞台セットシンプルでしたが、照明効果が変化に富んで魅せるものだったと思います。が、真正面からの風景しか意識していないような気もします。もう少し広がったものであれば劇場全体を惹き込めたであろうと思わないでもないです。
出演者、脇役が魅力的でした!貫禄の中村誠二郎さん、綺麗な動きとクールぼけキャラの伊勢大貴くん、演技のふり幅が増えた杉江大志くん、また一段と動きに磨きがかかった川隅美慎くん、しっかりキャラ成立の古賀瑠さん、アンサンブルの方たちも芝居良し動き良し!対しメインの二人が演技者としては幼い。その為の周り固めだったのかなとついつい思ってしまいました。しかし、このメンバーでシリーズ化していけば、二人の成長も楽しめるのではないかと思います。続編希望です!

生者に梔子

生者に梔子

牡丹茶房

高田馬場ラビネスト(東京都)

2023/02/15 (水) ~ 2023/02/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

難しかった。最後のほうよくわかんなかった。

博士の愛した数式

博士の愛した数式

まつもと市民芸術館

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2023/02/19 (日) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

原作を読んでいないが、原作の魅力があまり伝わってこなかったのではないかと感じる。80分に収めるためだったのか、筋を追うだけで終わってしまったような印象。おそらく原作では、数学の深遠な無限の世界から語りかけてくるような魅力があるのだろう。

桜姫東文章

桜姫東文章

木ノ下歌舞伎

ロームシアター京都サウスホール(京都府)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/23 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/02/22 (水) 18:00

木ノ下歌舞伎×岡田利規(作・演出)興味深く観る。前半はチェルフィッチュのような演出になかなか馴染めなかったが、後半がぜん演出と芝居がうまくコラボして面白く観ました。

なるべく派手な服を着る

なるべく派手な服を着る

MONO

AI・HALL(兵庫県)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

満足度★★★★

素直に面白かった❗
題目に最初はピンとこなかったが、途中でああなるほどとくる
なんとも言えない、血のつながりのない男兄弟の話で、父親母親がどんな人生を送り、兄弟のポジションを与えてきたのか
母親は本当はさみしがりやだったんだけど、本当は…
考えれば考えるほど、奥が深い

入管収容所

入管収容所

TRASHMASTERS

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/02/17 (金) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしい作品だった。
実際に起きたことを基に書かれた作品で、冒頭からずーーーっと憤りでいっぱいになる。日本人の恐ろしく醜い部分を見ることになる。
近くで観ていたお客さんは、途中で大きなため息とともに、抑えきれない気持ちを身体で表現していた。めっちゃ気持ちがわかると思った。客席から飛び出して、目の前で演じているヤツらに殴りかかりたくなるくらい、やりきれない想いでいっぱいになった。
1人でも多くの人に観てもらいたい作品。

時間よ止まれ

時間よ止まれ

東京タンバリン

小劇場B1(東京都)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/28 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#谷川清美 #森啓一朗
#遠藤弘章 #青海衣央里
#萩原美智子 #大田路
#木林優太(敬称略)
初日。最初に言っておきたいのは、映画関係者の方に観て欲しい。コレ、監督なら撮りたくなるはず。プロデューサーとかなら撮らせたくなるはず。ちょっぴりCGなんかも使ってイイ画が撮れるよきっと。誰か下北沢に連れてきて欲しい。
サイズの違う二つの長テーブルを上手く使った楽しげな舞台にはミヒャエル・エンデがいて、後半の不穏な空気には喪黒福造がいた。そんな気分。
タイトルからは矢沢永吉を思うのは世代として致し方ない。
床の模様も含め、セットが美しく、転換の流れもスムーズで美しい。複数の役を演じる方たちの衣装を含めた切り替えも見事。
時を止めるとか、タイムリープするとか、時間をコントロールすることは人間にとって永遠のロマン。 浦島太郎の玉手箱や若返りの泉から、銀河鉄道999の機械の体だってそう。不老不死は憧れても、大人になるにつれ、大切な人とのことを考えるようになると、だんだん恐ろしいことだと分かってくる。竹取物語では既に帝が言っていた。「かぐや姫のいない世界に生きながらえても意味がない」と。そうして不死の薬を駿河国の高い山で燃やさせた。命は限りがあるから美しい。
キャストもみんな美しい。可笑しくて愛おしい。
三世代が見事に絡むファミリードラマとしても美しかった。大人の皆さんが上手いわ。
娘と息子も良かったなぁ。
大田路さんは2016年に明石スタジオで観てた。あの時の女学生役にも増してキラキラした綺麗な目をしていた。張りのある声も素敵だった。木林優太さんも味のある二役を見事に立ち上げていた。大人の役を観ながら、胸に込み上げてくるモノを抑えるのに苦労した。
演劇未経験の方の初体験にお薦めしたい。ウイルス感染の脅威で観劇を控えていた方の観劇再開にもいかがでしょう。楽しい演劇体験ができるはず。時間を割き、足を運んで、そこで起こることを同じ空気の中で味わう贅沢を味わえる。たくさんの方に観て欲しい。

15 Minutes Made in本多劇場

15 Minutes Made in本多劇場

Mrs.fictions

本多劇場(東京都)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

憧れの本多劇場で、照明が綺麗で、ハッキリよく聴こえて素敵な時間を過ごせました。
主催のかたの当日受け取ったパンフのコメントにもありましたが、是非本多劇場でやりたくて、とありました。
とても良かったです。
贅沢な時間が過ごせてオススメです。
6つともそれぞれ味があり、甲乙がつけられません。
どれがよいかは個人の好みですね。
私は一番目の作品が特に良かったです。
次は2番目の作品かな?芥川の作品というのが、魅力でした。
コント風の作品も笑えました。(5番目の作品)
[なんでやねん] のセリフが帰りの電車の中で、声に出てしまいました。


博士の愛した数式

博士の愛した数式

まつもと市民芸術館

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2023/02/19 (日) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「た組。」の第七回公演(2015年)の再演。ずっと観たかったので嬉しい。
原作も映画も知らなかったのだが、それが良かった。ある意味、自分の理想の作品。観るチャンスがあったなら、是非観て頂きたい。『博士と彼女のセオリー』なんかを思い出す。

事故で記憶が80分間経つとリセットされてしまう元数学の大学教授、通称“博士”の家政婦に派遣された女性。皆記憶がすぐに初期化されることに付き合い切れず逃げ出してしまうらしい。博士と家政婦の数学だらけの日々。家政婦はシンママで、家で留守番中の10歳の息子を心配した博士は「ここに連れて来なさい。」と告げる。

時間の砂に塗れた砂丘のようなステージが幻想的。上手に腰掛けたギターを爪弾き続けるUNCHAINの谷川正憲氏!この感覚、懐かしい。語り手の近藤隼(じゅん)氏は開演前から舞台をうろついていて和やか。背後には巨大な窓ガラスが斜めに突き刺さっている。そこに何やら数式を書き込んだり。

家政婦役、ひたすらハンバーグを捏ねる安藤聖さんが美しい。随分綺麗な女優をキャスティングしたな、と感心した。こまつ座の『貧乏物語』が素晴らしかったが、同一人物とは気付かなかった。何処の誰の役でもこなせるであろうキャパの大きさ。

博士役の串田和美(かずよし)氏、80歳!名優が演じている感じが一切しない。本当にそんな感じの人なんだろうな、と思わせた。(数式をよく聴くと結構適当だったりするが、その感じこそ正解だと納得させる役作り)。

息子、ルート役の元乃木坂46、井上小百合さん。絶妙なキャスティング。泣かせてくれる。

博士の義理の姉役の増子倭文江さんはヤバイ。数シーンの出番ながら、強烈なインパクト。市川崑の金田一耕助シリーズ、真犯人役の大女優を思わせる貫禄。事故で足を引き摺る後遺症。登場で空気が変わる。

いろいろな役を受け持つ草光純太氏も軽妙なフットワーク。

数学の世界、崇高で底知れぬ数字の魅力に人生を捧げた博士。彼との生活の中、家政婦と息子も数字の面白さに取り憑かれていく。数字は人類の誕生前から存在していた宇宙の法則。モノリスのように人類はそこに秘められた謎を、手探りで何千年も掛けて解いてきた。宇宙からの巨大ななぞなぞ。
優しさと正しさに全力な人達。出来る限りシンプルに人生を解いていく。

ネタバレBOX

1975年に交通事故に遭い、脳を損傷した博士。同乗していた義理の姉も片脚に障害を負う。博士の兄であり、義姉の夫はとうに亡くなっている。
現在は1992年であるが、新しい記憶を上書き出来ない博士にとっては1975年のままである。

余りにも素晴らしいシーンが二つ。
一つは風邪を引き熱を出した博士を独り置いて行けず、家政婦とルートは泊まって看病をする。朝になって甲斐甲斐しく世話を焼きリンゴジュースを勧める家政婦に、博士はさめざめと泣く。涙の理由も説明もなくそれは誰にも分からない。けれど凄く伝わるものがある。(勝手に家に泊まり込んだことで家政婦は解雇されてしまう)。

二つ目は、家政婦が解雇された数ヶ月後、ルートが博士に読ませたい本を持って遊びに行く。解雇された家に息子を送り込む行為に不審を抱いた義姉は「目的は金か?財産目当てか?」と家政婦とルートを呼び出して問い詰める。ショックで泣きじゃくるルート。その状況が耐え切れなくて、博士はメモに何かを書いて机の上に置く。
「e^πi+1=0」
それを目にした義姉ははっと全てを理解したように話を終える。そしてまた家政婦を雇い直す。
書かれた公式は『オイラーの等式』と呼ばれるもので、「数学史上最も美しい等式」とまで言われるもの。全く無関係に存在している筈だった複雑な数字に一つ足すだけで完璧な調和が生まれることの発見。矛盾なく美しいものの存在に全てが抱き留められること、そう造られたこの世界の不思議さ。

「義弟は、あなたを覚えることは一生できません。けれど私のことは、一生忘れません。」
博士と義姉の、物語では語られない関係性。『オイラーの等式』を一瞥しただけで全てを読み取る知性。

ラストの語り手の現在はルートが中学の数学教師に採用された11年後、多分2004年。原作の小説が発表されたのは2003年である。
終演後、原作を買い求める人が多数いた。

ちなみに自分の「た組。」BESTは花奈澪さん主演の『惡の華』。小説でも映画でもない演劇の面白さに満ち溢れていた。
アプロプリエイト―ラファイエット家の父の残像―

アプロプリエイト―ラファイエット家の父の残像―

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2023/02/16 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
父が亡くなり、財産分与・遺品整理に集まった姉兄弟が繰り広げる罵倒合戦、その正面から衝突しマウントを取り合う様子が見どころ。そして登場しない人物、つまり亡くなった父の呪縛から いまだに逃れられない怖ろしさ、同時に滑稽とも思えるアイロニーが透けて観えてくる。この公演が面白いのは、父という見えない存在、父が遺したと思われる×××を連想させる資料、そして家の近くにある墓地、そこに眠る<無念>霊、その登場しない姿なきモノの 力<雰囲気>によって支配されているかのような言動や行動、それを圧倒的な迫力をもって描いている。

舞台美術が秀逸で、部屋の真ん中に父の肖像画<残像イメージ>が飾られ、冷徹に見つめているのか嘲笑しているのか、はたまた睥睨しているようにも思える。それは子供たちの凄まじい罵り合いの場面によって、見えざる力を発揮し楽しんでいるかのようだ。また音響だけでその存在を主張している蝉の鳴き声が印象的である。<13年>蝉の生態を通して人の生き様を準える様な、それはある一瞬で燃え尽きる。そこにあるのは論理や理屈ではなく、人の本能というか根源的な行為でもある。

罵り合いと独白を巧く織り交ぜ、会話劇としての厚みを持たせている。勿論、ちょっとした仕草で、その人物の精神状態や性癖を表現するなど、確かな演技力ー熱演で物語を支えている。登場する人物の性格や立場、今 置かれている状況は、それぞれが抱えた問題ー子供との関係や経済的なことを垣間見せることで説得力を持たせている。姉兄弟という家族ゆえに逃れられない悲哀、だからこそ理屈ではない感情を剥き出し 爆発させる。それをワンツーワークスらしいムーヴメントをもって効果的な観(魅)せ方をする。フライヤーの絵柄がその光景を見事に表している。

ラスト、暗 明転を繰り返し照明を諧調させることで時の経過と状況の変化を表す。その光景は、人々のこれからの関係性を暗示しているようにも思えるが、逆に父の存在、その象徴でもある屋敷<肖像画=残像>や周辺に彷徨う怨嗟の魂、その呪縛からの解放をも表しているようだ。その意味でラストシーンは印象的で余韻が残る。
(上演時間2時間40分 途中休憩10分)追記予定

見醜顔

見醜顔

劇団光合聲

表現者工房(大阪府)

2023/02/21 (火) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

約60分の上演だが、内容は濃い
題目の男性の過去~現在を、三人の会話劇で進めていく
三人で複数の人物を演じる為、今は誰かな?と考える場面もあったが、概ね理解できる
女性バージョンもあるので、また違ったテイストで観れそう‼️女性バージョンも観たくなる内容でした❗

入管収容所

入管収容所

TRASHMASTERS

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/02/17 (金) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ぜひ観て下さい。
合わせて「ルボ入管」、映画「牛久」を読んで観て頂ければ嬉しいです。

アプロプリエイト―ラファイエット家の父の残像―

アプロプリエイト―ラファイエット家の父の残像―

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2023/02/16 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

家族って厄介なものですね。生前父が、分けるような財産なんかないのは幸いと言ってました。負け惜しみだろうと思っていた悪い娘ですが、ドラマしかり、知り合いのお宅の様子みたりしているうちに、父は正しかったと思いました。でも・・・(以下ネタバレ)

アフタートークも楽しかったです。え!そうだったの?時間があったらもう一回見て確かめたいです。

ネタバレBOX

今回のお話で、分けるような財産がなかったらフランツは帰ってこなかったかもしれませんものね。
ラストシーン、暗転、明転するたびに朽ち果てていく屋敷が象徴的でした。実家が心配になりました。
入管収容所

入管収容所

TRASHMASTERS

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/02/17 (金) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/02/21 (火) 14:00

辛い内容なので観るのにかなりの覚悟がいりましたが、観てきて良かったです!!もし躊躇している方がいたら「ぜひ観てください!!」と背中を押したい気持ちです。
この作品で1番評価したい点は、単純にウィシュマさんの死に憤る側と入管側の意見の対立に、安易に二極化していない点です。個人支援者、支援者団体、入管の現場の人々、入管で決定権を持つ上位者、それぞれがけして1枚岩ではないことが伝わります。さらに被収容者とその家族の姿、入管行政に疑問を感じている記者の視点が描かれていて、台詞の情報量もすごかったですが、なにより描き方に作品を表現する際の思慮(考えた量が透けてみえるかのような思慮深さ)や配慮が伺えました。脚本に大拍手、大満足です。もちろん役者さんの技量や演技にも大拍手です。特に入管側の役者さん達は演じる方も辛いだろうなということを感じました…もう観てるときはひたすら憎っったらしい!と思うのですが…一筋縄ではいかない、「この表現はすごい」と思わせる仕掛けがたくさんあります。入管問題に関心を持ってる人も、そうでない人にも、ぜひ多くの人に観ていただきたい作品です。

ネタバレBOX

ウィシュマさん死亡事件について、多少は知識がある(入管関係の本を読んだり、ネット上の報道記事を読んだりした)側からすると、入管職員の葛藤について「こんな風に思ってたらあんな酷いこと出来ないだろ」という気持ちにもなったんですが、大なり小なりウィシュマさんの死に対して思うところがあった職員が居たということも報道で知っているので、特に首席処遇担当の藤枝役がウィシュマさんの死に対して(支援者の警告をことごとく無視せざるを得ない果ての死に対して)支援者に土下座した場面には入管側を単純な「悪」として描かない思慮を感じました。
上意下達が徹底した組織であること、権力がある側ほど「本庁」の意向を気にする描写も見事でした。作中ニシュマさんに接していた処遇の女性2人の対比も見事だったと感じます。上位者ほど、入管の使命である「国へ帰らせること」の使命を語ることの、それが国家のための崇高な目的であり、それに逆らう奴らは悪い奴なんだ、と断定するような物言いに、戦時中の軍部の上層部めいたものを感じて心底ゾっとしました。「想像力の欠如」についてすごく考えさせられる作品です。
入管問題に詳しい人ほど(内容の辛さがわかっている人ほど)観るのを躊躇う気持ちもあると思うのですが、この作品のメッセージ性に私は希望を感じられました。1人でも多くの人に、この国で暮らす当事者として観ていただきたいです。
ケンジトシ

ケンジトシ

シス・カンパニー

シアタートラム(東京都)

2023/02/07 (火) ~ 2023/02/28 (火)公演終了

実演鑑賞

北村想は前回のシスカンパニーの「風博士」は、具体的な日本軍の慰安所をバックに、歌もふんだんに使ったわかりやすい芝居だった。このように難解な前衛劇だけではないのだけれど、今回は抽象度の高い詩的演劇ど真ん中。疲れていたこともあって、かなりうとうとしてしまった。残念。

石原莞爾(山崎一)がトシ(黒木華)に賢治のことを聞き、それをランニング姿の屈強な青年ホサカ(田中俊介)が記録する。変な設定である。賢治(中村倫也)は、ダービーハットと外套の得意の姿でうろうろする。

ケンジとトシの関係は恋愛関係ではないか、という疑問に、トシが「兄は大人の恋ができません。アドレッセンスの人なのです」「アドレッセンスとは思春期……」という解釈が、妙に納得できた。ケンジの一風変わった童話も大人になり切れない魂が書いたと思えばわかる気がする。
ケンジとトシが楽しく過ごす時間はすぎ、トシの死を嘆くケンジの慟哭は見事な感情表現だった(らしい)

カニのような手をした河内大和はじめ、ムシのようなシカのような恰好をした3人のコロス。楽器はバイオリンかと思ったらヴィオラだった。道理で少し低い音が出ていると思った。冒頭は「セロ弾きのゴーシュ」のようだった。
隣の40代くらいの男性客は、終わると、とりわけ目立つ大きな拍手をいつまでもしていた。熱心な宮沢賢治ファンなのだろうか。1時間35分。

アプロプリエイト―ラファイエット家の父の残像―

アプロプリエイト―ラファイエット家の父の残像―

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2023/02/16 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

熱の入った会話の応酬に目が離せなかったです。

ネタバレBOX

登場人物の誰もが、人格が際立っていて、ぐいぐいと引き込まれました。罵り合い、罵倒の連続は、息もできないほどの壮絶さでした。ただ、最後の家が廃れていく場面は冗長に感じました。
博士の愛した数式

博士の愛した数式

まつもと市民芸術館

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2023/02/19 (日) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

80分という上演時間の予告を見て、「短い!」とまず一驚。博士の記憶が80分しか持たないことに合わせたのだろうか。ギター演奏があるのはぜいたくな演出。ストレートプレイでは避けがちなナレーターを使って、短い説明で単刀直入に核心場面に入っていく。無駄のない作劇で、家政婦(安藤聖)と博士(串田和美)の出会いから、成長したルート(井上小百合)と博士の交流まで、小説の見どころはほぼ全部盛り込んでいた(と思う)。悪意のないピュアで美しい原作を、雑音のないまっすぐな芝居にうまく転換させていた。小さいながらもじんわりした感動があった。串田和美の博士が、子供のような無邪気で涙もろい感じが自然でよかった。

ネタバレBOX

小説の印象は強く、よく覚えているつもりだったが、冒頭から博士の義理の姉(増子倭文江)の存在をすっかり忘れていた。読んだのはもう20年も前だから仕方ない。博士が熱を出したので、看病するために家政婦は息子と泊まる。それがもとで義姉から首になるが、ルートが博士宅に遊びに行ったことで義姉は不審を抱く。母子を呼び出し「縁が切れたのに? ねらいは金?」と問いただしてくる。この険悪な状況を、博士がオイラーの公式を示して解決する展開も、妙に納得させられた。(オイラーの公式も忘れていた。後で調べたら、本当にあんな等式があった。驚き)

最後、ルートの11歳の誕生日。ろうそくを書い出しに行った間に、博士はルートのことを忘れてしまう。劇的な幕切れ。そして家政婦の通いの仕事は終わった。博士の入った施設に、母子が時々通う。「息子は今度、中学校の数学の先生に決まったんですよ」という言葉に、いつしか10年以上たったことがわかる。博士との出会いが息子の歩む道に深く影響した。この最後は、小説同様、やはりジーンときた。誕生日のプレゼントのグローブを砂山から掘り出すのもよかった。
ジョン王【1月3日夜~1月8日昼、1月22日昼公演中止】

ジョン王【1月3日夜~1月8日昼、1月22日昼公演中止】

彩の国さいたま芸術劇場

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2022/12/26 (月) ~ 2023/01/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

シェイクスピアって難解なイメージだったけどだいぶ分かりやすくしてくれている。
でも。。現在の戦争にもからめて反戦メッセージを織り交ぜてくるのが不要だと思いました。まずはその時代のストーリー丁寧にお願いします。後で感銘を受けたりするのは人それぞれなので。その時代のその世界観に純粋に没頭したかったですね。あと演者全員男性なのは当時の慣習に習ってなんだろうけどSDGs的にはそこ?と思いました。吉田さんの声はさすがのレベルで聞き取りやいのですが貴族の人たちががなって何いってるのか理解不明なくらいのセリフ回しでした。そこは誰が演出しているのだろう。私の勉強不足もあるかもしれませんが。。
あと小栗旬目当てのお客さんがほとんどなのか途中寝ている人もチラホラ。。主役誰だったんろうか。。ジョン王も最後あっさりしてて悲劇な感じがしなかったです。そう誰に感情移入していいかわからず。あの最後におらがおらがとか言ってる人はよくドラマで見ますが彼がマンオブザマッチかな。

咎人の刻印

咎人の刻印

High-position

紀伊國屋ホール(東京都)

2023/02/16 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

令和の切り裂きジャックと吸血鬼との出逢い、やがて火花散らし合う異能の者達
キ上の空論 中島庸介さんが脚本・演出であったのが心強かった
耽美の迷宮に置いてきぼりにされる事もなくその世界観を着々と楽しむことができました
ゾンビ映画にも通じる哀しい残酷味、刑事役のヤングダンディーっぷりに可笑し味が含まれていた事も見逃すまい

ただ馴染めなかったのが主人公の設定
連続殺人犯と心揺れ動く綺麗な青年との両立が自分的にはどうもしっくりこない
ファンの人から「そこがポイントだよ、ダメじゃん」と言われそう、ガ~ン

なるほど「咎人の刻印」は シリーズものだったのですね
目一杯盛り上がった後でのお楽しみはこれからだ!感が上手い

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