実演鑑賞
満足度★★★★★
80分という上演時間の予告を見て、「短い!」とまず一驚。博士の記憶が80分しか持たないことに合わせたのだろうか。ギター演奏があるのはぜいたくな演出。ストレートプレイでは避けがちなナレーターを使って、短い説明で単刀直入に核心場面に入っていく。無駄のない作劇で、家政婦(安藤聖)と博士(串田和美)の出会いから、成長したルート(井上小百合)と博士の交流まで、小説の見どころはほぼ全部盛り込んでいた(と思う)。悪意のないピュアで美しい原作を、雑音のないまっすぐな芝居にうまく転換させていた。小さいながらもじんわりした感動があった。串田和美の博士が、子供のような無邪気で涙もろい感じが自然でよかった。