最新の観てきた!クチコミ一覧

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ほどける双子

ほどける双子

クレネリ ZERO FACTORY

梅ヶ丘BOX(東京都)

2022/12/02 (金) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/12/02 (金) 18:00

本多真弓の一人芝居。やはり大岩真理脚本はいい!!!観るべし!(5分押し)52分。
 育児ノイローゼの妻を癒すので、オペラを観に行くたベビーシッターを雇う夫婦。そのベビーシッターの独白が続くのだが…、の展開。巧妙な展開とセリフに本多の演技力が加わって、ちょっと切ない物語が迫る。
 1時間という時間はアッと言う間に過ぎるのだけれど、濃密な時間をすごした感触も残る。

2222年の雨宿り

2222年の雨宿り

The Stone Age ブライアント

サンモールスタジオ(東京都)

2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

火星での雨宿りでした。

ネタバレBOX

役者がつなぎを着ていたのが印象的でした。髪の毛の赤が火星である感じが出ていてよかったです。はじめ赤い髪の3人が、たたみかけるように勢いよく始まり、さらなる展開を期待しましたが、音響の効果、暗転がなく、強弱が感じられませんでした。そのため、会話はしんみりと展開されるのですが、冗長に感じました。
夜明けの寄り鯨

夜明けの寄り鯨

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2022/12/01 (木) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

気鋭の劇作家・横山拓也が新国立劇場初登場。演出は初めて見る人だが、いつもの横山作品と比べると、過去と現在をシームレスに語る作劇術が目新しい。その両側を一人だけ行き来する三桑(みく、小島聖)の、はかなげな、思いつめた風情が、何か不穏で謎めいた空気を醸す。過去の、アウティングを含む、互いを意図せずに傷つけてしまう場面を、元鯨トレーナーの相野(池岡亮介)が見つめている。この存在が、客観性を担保し、冷静さを保たてさせる。

床には鯨の泳ぐ海原が描かれ、それを、舞台上に斜めにかかった鏡を通してみることができる。

ネタバレBOX

ヤマモト(小久保寿人)への告白が、その後の展開の発火点になるが、ミクがなぜヤマモトにひかれたのかがよくわからない。ヤマモトはおとなしい友達もいないタイプなのに、なぜ?と。「他に好きな人がいる」と振られたミクが、なぜヤマモトが好きな相手は男では、と邪推に走っていくのか? その辺も少々強引な気がした。小島聖の落ち着いた雰囲気とのギャップもあって、ちょっと乗りづらかった。

これが、軽薄なほどおしゃべりな景子(森川由樹)なら、笑いとともに乗っていける気がする。実際、拡散するのは景子なのだが。

鯨肉を知らずに食べさせられたことから、アンチ捕鯨のボルテージを上げていく紗里(岡崎さつき)の、いかにも思い込みの強い、吊り上がった目つきも怖かった。
少女罰葬

少女罰葬

劇団亜劇

アトリエファンファーレ高円寺(東京都)

2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

申し訳ないことに仕事疲れの悪コンディションでの観劇だったので、薄暗い舞台に闇落ちしないか心配だったが、ダークな展開の中での熱演のおかげで最後まで。どうやって終わらせるのだろうと思っていたが、ラストは解釈云々というよりも、この回があまりうまくキマらなかった印象。

瞬きと閃光

瞬きと閃光

ムシラセ

シアター風姿花伝(東京都)

2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#工藤さや #小口ふみか
#辻響平 #輝蕗
#元水颯香 #中野亜美
#土本燈子 #加藤彩
#菊池美里 #つかてつお
#渡辺実希 #松尾太稀
#土橋銘菓(敬称略)
キラキラしてんなぁ……ホントそう。本も演出も良かった上に、キャスティングの勝利。女子高生も教師もハズレ無しの大勝利。
平田オリザ『転校生』や
柴幸男『わたしの星』に
花岡美月『その子17歳』も
みんな女子高生がキラキラしてた。眩しくて凝視できないほどなのだけれど目が離せなかった作品たち。同じキラメキを放つ作品だった。
可愛くて美しい女性が大好きだから、ルッキズムだと叱られてしまうだろうけれど、素直で何かに夢中な女の子たちはみんな美しいと思っている。言い方を変えれば、そうしたキラメキがあってこその可愛いさで美しさだと思う訳で、内面の輝きが無ければ眩しく感じることなんてない。内と外が伴ってこそのルッキズムだと主張したい。
大好きな小口ふみかさんがオトナのポジションにいることも感慨深かった。笑いと涙を両手に持っての二刀流。たくさんの人に味わって欲しい。そして彼女が追いかけるのが工藤さやさんと辻響平さんなのだから堪らない。
そして特筆すべきは女子生徒たち。なんてことだろう。彼女たちみんな、1ミリも個性を失わずに生き抜いて欲しいと切に願う。同時にキャストの皆さんにも明るい俳優人生が広がることを願う。
心にずっと抱いていたい作品とまた出会えた喜びに浸りつつ、幾つものシーンを反芻しながら、長い帰路に身も心も委ねている。

ハムレットマシーン

ハムレットマシーン

LOGOTyPEプロデュース

吉祥寺シアター(東京都)

2022/12/02 (金) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

すごかったです。

2222年の雨宿り

2222年の雨宿り

The Stone Age ブライアント

サンモールスタジオ(東京都)

2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

継ぐ者【3日夜回~4日公演中止】

継ぐ者【3日夜回~4日公演中止】

和太鼓GIG

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2022/12/02 (金) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

満足度★★★

うーん😔色々混ざり過ぎと、相関関係が複雑でおっさんには理解が…
ランタイムは約二時間で、バレエ 和太鼓 絵画そして演劇が楽しめて最初(今回は三部作のラスト)から観てきた人には分かったのかもしれないが…
一粒で四度美味しいにはならなかった…

戦争で死ねなかったお父さんのために

戦争で死ねなかったお父さんのために

一般社団法人深海洋燈

中野スタジオあくとれ(東京都)

2022/12/01 (木) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

戦後30年、戦争に行けなかった父親(いわいのふ鍵)に、突然赤紙が届く。そこから始まる、歌とお色気たっぷりのノンストップショウ。地下の狭い劇場を歌ったりすごんだり。つかこうへい美学の「男のロマン」的長セリフが彩る。

戦争にいけなくて差別されいじめられた悔しさを土台に、戦地でのアバンチュールの妄想や、軍隊ごっこ、出征ごっこがナンセンスの限りに繰り広げられる。女優陣の早替わりに次ぐ早替わりのパフォーマンスが見事。腰巻き姿の現地女、曲線の見事なレオタード姿、中国服の香港、満州の馬賊等々。少尉の警察官(荻野貴継)のキリッとした将校然とした姿も良かった。

ネタバレBOX

ラスト、舞台背後の日の丸の旗が落ちると、後から荻野の操る戦闘機が登場する。骨組だけとはいえ、プロペラも回って、見事な出来だった。
ほどける双子

ほどける双子

クレネリ ZERO FACTORY

梅ヶ丘BOX(東京都)

2022/12/02 (金) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/12/02 (金) 18:00

座席1階

大岩真理の劇作は、グッドディスタンスの「月に座る」がとてもよかったことで今回も期待して劇場へ。本多真弓の一人芝居。劇作の面白さと本多真弓の指先まで震える絶妙な芝居に魅了された。

赤ちゃんをベビーシッターに託して夫婦がオペラに出掛けるという設定で物語はスタート。最初はドレスアップして出掛ける妻を演じるため、ここが軸になって展開するかと思いきや、本多の芝居はベビーシッターに移り、そして…。
「女性に生まれたからには切り離せない事柄が、書いた当時の自分にまとわり付いていて、いろいろな断片と絡まり」と大岩は書いている。舞台を見ると、その意味が分かるような気がする。いろいろな断片を生々しい混沌として、それを本多が次々に演じていく。その断片が客席に突き刺さって怖いような気持ちになる。
1時間の短編だが、十分に堪能できる。繰り返すがこれは劇作の面白さだけでなく、本多の演技にも負うところが大きい。本当に指まで震えているのを目撃した。梅ケ丘BOXという小劇場の空間が震えたと思う。

残念だったのは、この劇場ゆえの外部の音だ。ちょうど交差点の近くにあり、バイクや車の音が劇中の音に混じる。まったく関係のない音なら気にする必要もないが、劇作の要素としての音だと思っていると外の騒音だったりして。やはり、下北沢の小劇場で上演すべきではなかったか。

アベベのベ 2

アベベのベ 2

劇団チャリT企画

駅前劇場(東京都)

2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/12/02 (金) 15:00

久しぶりにチャリTを見た。前作のアベベのベを見ておけばよかったと後悔した理由は二つある。今回のチラシにある「風刺か?冒瀆か?」に釣られてしまったこと。つまり、前作の方が強烈ではなかったか、という後悔。もう一つはやはり、安倍元首相が存命中に見ておくべきだったという後悔である。

チャリTの強烈な風刺力を知っていたために過剰な期待をしたのかもしれない。亡くなってしまった人を風刺するのはやはり、難題なのかもしれない。結論から言うと、冒瀆ではありません。風刺でないかというとそこまでではないが、かなり穏当な作品という感想だ。
舞台は安倍元総理が夕刻、演説をする予定地近くのコンビニ。埼玉県の大宮というところがおもしろい。都合が悪いと簡単にシフトを抜ける学生バイトに「店長候補」は頭にきている。この人、大学時代にコンビニでバイトをして卒業後に就職をするもやめてしまい、またコンビニに戻ってきた。と言っても正社員ではなく、バイトなのだ。こんな設定が安倍政権も引き続き踏襲した新自由主義的な施策の落とし子だと言えなくもない。
奈良の銃撃事件、宗教2世の話など、今風の時事ネタも入ってはいる。しかし、安倍政権に向かって「こんな世の中に誰がした」と異議申し立てをするような場面は、店長候補にため口をきく男性バイトと店長候補の迫力満点のけんかの場面くらいだ。この男性バイト君が叫びまくるせりふが、ああ、そうだそうだと共感できるところだろうか。

勝手に期待して申し訳ないのだが、「風刺か?冒瀆か?」はちょっと誇大広告。でも、コンビニバックヤードの群像劇としては秀逸だ。冒頭で出てくる廃棄弁当の山は、さもありなんという感じでおもしろい。コンビニ同士の競争もリアリティ満点だ。やっぱりチャリTはおもしろい。

回人回 父母と三姉妹

回人回 父母と三姉妹

回人回製作所

シアターウィング(東京都)

2022/12/02 (金) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

演劇パートは正味40分位。わかりあえない家族がバラバラになるコトが自立なの?終始、気味が悪かったなぁ。

触れただけ

触れただけ

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2022/11/16 (水) ~ 2022/11/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/11/20 (日) 14:00

三人芝居・二人芝居・二人芝居の短編三本。
そう思って観ていたせいもあろうが何度か観たらまのだのテイストを感じつつ秋葉演出なのでSPIRAL MOONの味わいもあってまさにいいとこ取り。さらにラストシーンの美しさよ!
また、手話通訳付きの回だったが、3編それぞれに付け方が違うのも興味深かった。
なお、3編の中ではコミカルな2編目が一番好み。

アベベのベ 2

アベベのベ 2

劇団チャリT企画

駅前劇場(東京都)

2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

コンビニ店員さん達の世知辛い日常生活の中にうまいこと世相を盛り込んだ「アベベのベ」は2016年版を拝見していましたが、はたして 今作もしっかり面白かったです
ファーストインパクトの分、前作の方が有利ではあったものの時代背景が変わって、描かれるは2022年7月 安倍元首相が銃撃された、あの日
舞台上に存在するコンビニ店特有の人間関係から生まれる会話と、おそらく日本中いたるところで取り交わされた類の会話、この二つが混ざり合った末の不協和音の様な流れ
シニカルな目線で描かれる日常に思わず笑っていたのに隠れていた狂気がひょっこり見えてしまった様でゾクッとします

衝撃が走った日、あの時感じた事を今一度振り返ってみる感慨深さ
もちろんそれも肝ではありましたがコンビニ内での人間ドラマ性めっちゃ強し、
あれから5カ月、このコンビニ店の現在にも思いを馳せてしまうのでした

真夜中の影法師

真夜中の影法師

十七戦地

ギャラリー&クラフト杜(東京都)

2022/12/01 (木) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
本来、真夜中に影法師を見ることはないが、そこに現代的な問題の数々を絡ませて 表現し難い世情を浮き彫りにした公演。厳密にいえば「現代」ではなく「今」を鮮明に切り取った珠玉作。
コロナ禍の三蜜には注意が必要だが、この公演の物語の緊密な繋がり、濃密な会話、そして綿密に計算したかのような舞台環境が素晴らしい!

物語は説明にあるように大括りでは、父が倒れ遺産を巡るトラブル、主人公夫妻が経営するギャラリーを巡る中傷誹謗、そしてコロナ禍におけるアートイベントの開催が危ぶまれる、といった問題が次々と起こる。それが個別の問題でありながら密接に繋がっていく巧さ。登場人物はわずか5人、それぞれのキャラクターと立場を立ち上げ、登場しない人物の姿や意見まで代弁するかのような濃密な会話。そして先に記してしまうが、セットはほとんどなく 素舞台と言ってよい。しかし、この会場ギャラリー&クラフト杜<もり>の構造・・客席正面にある 大きな一枚硝子窓を通して外景が見える。借景を活かした演出が、現実の世界と舞台と言う虚構の世界を巧く融合させている。まさしく虚実綯い交ぜの極みを観せる。

副題「芸術とお金、あと色々」は、芸術文化の世界、もっと言えばコロナ禍における小演劇界の実情をまざまざと見せるようだ。同時に表わし難い不安、焦燥そして今後も透けて見える。その”ぼんやり”とした感覚こそ、真夜中に薄く見えるかのような影法師を暗示している、と思う。
(上演時間1時間)追記予定

少女罰葬

少女罰葬

劇団亜劇

アトリエファンファーレ高円寺(東京都)

2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「罰葬」という言葉が何を表すのか、それが物語の肝になっている。そのまま解釈すると、犯した罪〈罰〉を葬ることになるが、描かれている内容からするとニュアンスは違う。少しネタバレするが、表層的には訳ありな全寮制の女子高イメージであるが、ここは異世界である。舞台美術は怪しげな雰囲気を醸し出し、物語の概観を表している。
ラストの解釈は 観客に委ねたかのようで、受け止め方によって印象が異なるかもしれない。同時に気になることも…。
(上演時間1時間40分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術…剝き出しの鋼板のようなものを幾何学的に張り合わせた壁、それによって廃墟イメージを作り上げる。全体は黒色で、中央部分だけが赤く塗られている。黒いパイプ椅子が数脚。舞台と客席の間に血塗られたようなシーツがライトに被せられている。照明は薄暗く、その中を物語で重要な役割を果たす小道具ーランタンの灯が妖しく光る。

学舎〈オールドスクール〉のような場所に生徒4人スカーレット(真田うるはサン)、タニア(奏愛サン)、オレン(種村愛サン)、ルイ(岡本尚子サン)と女教師1人(関口秀美サン)、そこへ新たに生徒1人が加わり、「アカリ」(長月翠サン)と命名される。ここに居る者は、黒い修道服のような衣装、そして夫々の回想シーンで現れる人物は白衣装と独特な動きで 場景の違いを表す。「罰葬」は夫々が犯した罪に対する贖罪かと思っていたが、実は真に自分自身と向き合うことが出来ず、「業<ごう>」に縛られたままの閉じられた世界にいることを指している。人は自分の醜態や醜聞を認めず、言い訳と逃げることで不自由な世界で生きている。それは異世界へ行っても同様、そんな心の彷徨を描いている。あかりが照らすランタン、その不思議な力で生徒たちの苦悩を強制的に浄化させる。心の解放がかなった時に永遠の安らぎが得られる。リトルシスターと呼ばれる不可思議な存在が噎び泣き、穏やかな光が射す。そう、アカリが現れるまでは堂々巡りの旅路、死ぬことすら出来なかった。

冒頭は、女子高生の あるある会話、血塗られたシーツというアンバランスな感じがしたが、授業と称した回想シーンによって異様な世界へ誘われる。同時に一人ひとりが この場所にいる期間が違うといった台詞から 時間という概念が存在しないループする異世界を表す。人(アカリ)は海から生まれて…ラストは もう一人、言葉を発しなくなった生徒ルイと海を待つような呟き。そこに赦しがあったのか否か…それは観客が思い描いた胸の内にあると。

気になるのはラストシーンではなく、導入部である。ここに居る者は、どうして ここに来ることになったのか?「何故」という起こりの説明がない。回想シーン…共通しているのは、犯した行為に対して、自分は悪くない 自分のせいではないと思っていること。その思い(念)が強い者が、この「罰葬」を受けることになるのだろうか?さすがにこの世界観への入り口は想像できない。原因・理由で謎を深め、本編で解き明かす、その過程を描くことによって物語の印象度も違うと思うのだが…。
次回公演も楽しみにしております。
夜明けの寄り鯨

夜明けの寄り鯨

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2022/12/01 (木) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/12/01 (木) 19:00

iakuの横山拓也の書き下ろしを大澤遊の演出で上演する。横山らしい作品だが、ちょっといつもと違う感触もある。97分。
 和歌山県の捕鯨で有名な(太地町がモデルの)港町を訪れた真知子は、25年前の大学生の時にこの町を訪れた時に消えた友人の男性が書いた手書きの地図を元に、その男性についての記憶を辿りつつ探す。出会ったサーファーの若者に励まされ、記憶を辿るが…、の物語。回想シーンを交えるなどの丁寧な物語作りで知られる横山だが、嫌な人が出ない、という特徴が今回はちょっと違って、鯨に関する議論の部分で紗里がちょっと嫌な人になっていたように思ったけれど、それは私の価値観からで、多様な考え方を提示する、横山らしい劇作だったなと思った。美術が素晴らしく、終盤は照明と相まって美しい舞台を作っていたと思う。

テアトリアンナイト

テアトリアンナイト

演劇実験室◎万有引力

座・高円寺2(東京都)

2022/11/30 (水) ~ 2022/12/02 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

第二夜《地下水道をいま走り行く暗き水のなかにまぎれて叫ぶ種子あり》

昨夜も観るべきだったと痛切に後悔。どうでもいい舞台を選んだ自分を責めた。これぞ自分が観るべき世界。

髙田恵篤氏が現れ、挨拶をするとステージを降り、無人の一列目センターに腰を下ろす。そこから始まるJ・A・シーザー氏(歌&ギター)のLIVEと寺山修司作品の名場面の切り抜き。ピンク・フロイドの初期衝動。背景に映し出される天井桟敷の鮮烈な日々。小山由梨子さんのソプラノのコーラスが効いている。個人的にはパーカッションではなく、強いドラムのリズムが欲しかった。ゲストの根本豊氏が語る『奴婢訓』世界ツアーの思い出。伊野尾理枝さん(世界中誰もが知っているTVから這い出してくる貞子役!)の貫禄。髙橋優太氏と三俣遥河(みつまたはるか)氏の定番の掛け合い〈寺山問答〉。毛皮のマリー役の飛田大輔氏の美しさ。下男役にステージに上がる髙田恵篤氏。森ようこさんのコミカルな舞踏、よくもあんなに動けるものだ。

『巴里寒身(スーザン・フェリア、サジャよ永遠に)』が今回の核。『奴婢訓』世界ツアー、貧乏旅行。電熱器と鉄板だけを命綱に食材を炒めては口にする日々。小銭稼ぎに大道芸宜しくジャパニーズ・アングラで盛り上げるも、成果は電話を掛けるコイン一枚。芸術も糞もなく、皆ただただ腹が減っていた。シーザー氏の異国の女との仄かなロマンス。蚤の市で仕入れた仔犬が鳴いている。
「パリさみ パリさみ パリさみさみさみさみさみ」

キング・クリムゾン、筋肉少女帯、言葉と想像力だけを武器に新たな世界を創造していくルサンチマンの系譜。
J・A・シーザー氏と高田恵篤氏の間に“世界”は存在す。

ネタバレBOX

筋肉少女帯に『風車男ルリヲ』という名曲がある。ホスピタルの上で観覧車みたいに巨大な風車をぐるぐると回し続ける一人の男、ルリヲ。回しているのは“時間”である。ギリシア神話の天空を支える巨人アトラースの如く。この世の条理である“時間”の支配から逃れる為に主人公はルリヲを殺す旅に出る。だが、ルリヲは殺せない。彼にはそもそも首がないのだから。
そんな事を思い出させるかのように役者陣は何かを引っ張り続けるマイムを繰り返す。目に見えぬ何かを手繰り寄せようとして足掻く。

開演前と終演後の「らりるれり」みたいな曲が良かった。
少女罰葬

少女罰葬

劇団亜劇

アトリエファンファーレ高円寺(東京都)

2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

カーテンコールであかりちゃんが本編とは全然違う(いや、違わないのかも)キャラで「解釈は皆さんにお任せします」というような事を言っていましたが、まさにそんな感じです。
「少女罰葬」というタイトルと・・・以下ネタバレ

チケットがあまりに小さくて無くしてしまいそうでした。
簡単で良いのでキャスト表が欲しかったです。

ネタバレBOX

「少女罰葬」というタイトルと舞台セット、開演直後の血塗れ?のシーツからおどろおどろしい物語なのかなと思ってしまいました。昨日アマプラで弾みで見てしまった映画が怖かったので、そのショックが抜けないままの観劇で気が重くなりました・・・が、違いましたね。私の解釈は罪を犯してしまった人たちの救いの物語。罰葬は言葉は怖いですが浄化されて別の世界へ旅立つということ事でしょうか。最後は海へ向かったので、生まれ変わるのかもしれません。不思議なお話でした。
長い墓標の列

長い墓標の列

明後日の方向

王子小劇場(東京都)

2022/11/22 (火) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/12/01 (木) 13:00

価格4,000円

 個人的には、今年観た小劇場系の中でかなりの当たり!!
 表面的なリアリズムを排した舞台美術・衣裳・小道具(スマホやPC)・キャスティングによって、かえって台詞の内容や起こっていることの意味がよりダイレクトに現代の観客に伝わります。逆に、この戯曲を今の日本でト書きの指定通り従来のリアリズムで上演するというのはあまりに楽観的すぎるかも。
(アンケートに書ききれなかったこと、ネタバレBOXにだいぶ書きました↓)

ネタバレBOX

 先生は理想主義的すぎるけれどその高潔さにはやはり惹かれるし、でも、ついていけなくなるキザキさんの気持ちもわかる。しかしその結果日本がどうなったかを考えると何が正しい態度だったのか? 客席の自分自身が試されている感覚(それが優れた演劇の条件の一つだと思います)。
 また二人の女性キャラクターが男性によって演じられますが、それにより当時の日本女性が異様に地べたを這いつくばっていた事実をグロテスクに再認識させられました。そんな中で、お嬢さんが手渡された日記を「もう愛していない」と突き返し、男側の感傷を踏み潰すくだりが際立ち、この戯曲の卓越性を感じました。
 私は、生き続けねば。進み続けねば。長い墓標の列を越えて。

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