デラシネ
鵺的(ぬえてき)
新宿シアタートップス(東京都)
2023/03/06 (月) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
大仰な音とか若いとは言え作家になろうとする人がそこまで率直な意見を思いついたまま言うものかと疑問は残りましたが、大変面白く拝見しました。
芸術と商業のバランス的な。
大谷がダルビッシュの言うままメジャーでは打者に専念していたらと思うと背が寒い、、、みたいな。
Dramatic Jam 5
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2023/03/10 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
コントとあったが、感性または感覚の寸劇「演劇ワークショップ」といったところか。演劇ワークショップ…失礼な表現になるが、全体を通してのメッセージ性ではなく、演劇の色々な描き、観せ、伝え、感じ方などを9作品に分散し詰め込んだみたいだ。
そこには逆転の発想と思い込み、一瞬の閃きとアドリブ風、古典戯曲を通しての新旧の間(ま)、現代的な切り口、早口言葉のような台詞、言葉遊びといった演劇の魅力的な要素を連想させる内容だ。
キャストの衣装は、全員 白ブラウスに黒ズボンというシンプルなもので、外見でコント内容の違いを表現しない。また舞台美術はテーブルと椅子、または素舞台で簡素、舞台技術<音響・照明>も印象付けない。すべては表現力で対応す(観せ)る。そんな状況の中でどれだけ観客の心へ”何か”を届けることが出来るか、それを試しているかのような…。
(上演時間1時間弱)
鉄音、轟然。
M²
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2023/03/10 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
とても面白かったです。応援してる中根さんが出演と言うことで拝見したのですが、実際に今も続いている事柄を本当に状況豊かにみせてくれて、声をあげることのいろんな意味を考えさせられるお話だったと思います。役者の皆さんのお芝居も心に響く素晴らしいものでした。とても有意義な時間を過ごせました。
Laghu prarthana
中央大学第二演劇研究会
ザムザ阿佐谷(東京都)
2023/03/09 (木) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
若いパワーあふれる舞台でした。
内容は、分かりにくい部分もありましたが、怪しさやサスペンス要素があり、面白かったです。
早口と発声の仕方のせいか、全体的に台詞が聞き取りにくいと感じましたが、一生懸命さが伝わってきました。
良い舞台でした!
マギーの博物館
劇団俳小
サンモールスタジオ(東京都)
2023/03/03 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
俳小さんの舞台は何度も観ているが,今回も役者さんが演技に真正面から取り組んだ,素晴らしい出来映えの芝居だったと思う。物語の内容も考えるものがあり,最後はちょっと背すじが寒くなったが,奥深いものでもある。そして,やはり役者さんの演技,舞台映えして素晴らしい。舞台装置,照明,音楽すべてが質が高く,満足できる内容。オススメの舞台です。
デラシネ
鵺的(ぬえてき)
新宿シアタートップス(東京都)
2023/03/06 (月) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
いや、参った。高木登氏の才能にひれ伏す。これを否定するのは嘘になる。メチャクチャ好きな話。
2012年指原莉乃主演の『ミューズの鏡』という深夜ドラマがあった。福田雄一作品で『ガラスの仮面』を大映ドラマ調に展開。ツッコミのない笑い(ツッコミは視聴者各個人の裁量)。このスタンスが受けて福田雄一は成り上がっていく。竹熊健太郎✕相原コージの『サルまん』信者の自分としてはこの手の作品には弱い。今作は美内すずえや梶原一騎の大真面目にイカれているスポ根漫画風味。(『男の条件』なんかも機会があれば読んで貰いたい)。脚本家養成ギブスなんか着けてもよかった。海原雄山のようにがなり立てる佐瀬弘幸氏が痛快。これだけ怒声を上げる舞台もないだろう。弟子が全員若い女というところも素晴らしい。
才能を認められ大御所脚本家(佐瀬弘幸氏)の内弟子に抜擢された木下愛華(まなか)さん、声が魅力的。屋敷に住み込みとなる。憧れの先輩、とみやまあゆみさんに挨拶。このクールな眼鏡の天才脚本家(師匠のゴースト)は無機質な抑揚のないボカロのような話し方。とにかくキャラが立っている。アニメだったら同人誌が放っておかないだろう。松井玲奈みたいでカッコイイ。
才能もないくせに脚本家の愛人になって成り上がった高橋恭子さん。この人も魅力に溢れている。おっとりした上品な雰囲気。
才能はないが毒舌でゴシップ好きな小崎愛美理(えみり)さん。
マネージャー役の田中千佳子さん、ドラマのプロデューサー役の川田希さん、時々丸い内窓から顔を覗かせる奥さん役は米内山陽子さん。(本物の脚本家、『インディヴィジュアル・ライセンス』が素晴らしかった)。
時折、客席に語りかけもする娘役は未浜杏梨さん。コスプレ三昧。
亡くなった天才脚本家役は中村貴子さん。
ドラマのトップ女優役は堤千穂さん。
女性の描き方、筆運びにセンス有り。キャラ一人一人が立っている。ちゃんと内面があり、自分なりの哲学で生きている。
ある企みをもった木下愛華さんが奇妙な屋敷に潜入する様子は『青ひげ公の城』。一体そこで彼女は何を体験するのか?
とみやまあゆみさんが最高!
ひとり語り芝居『土神ときつね』他
お茶祭り企画
あさくさ劇亭(東京都)
2023/03/10 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
朗読劇ではなく、語り芝居。よだかの星から、約3年ぶりの観劇でした。前回同様、第一部としての宮沢賢治のエピソードもとても面白く、分かりやすく、宮沢賢治のことを誰かに話したくなりました。
二部としての本編、土神様ときつねも一人とは思えない、動きのあるお芝居、語りで素晴らしかったです。今後も頑張ってください
Dramatic Jam 5
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2023/03/10 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
珍しくコントのような作品がかなり多い。全9作の内、短編の劇作は2本。コントと捉えた作品が5本、曖昧なのが1本。何れにせよ全体の作品を拝見した印象は、舞台から客席へのメッセージが送られているということであった。(追記3.12)
「君といつまでも~Re:北九州の記憶~」
北九州芸術劇場
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2023/03/03 (金) ~ 2023/03/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ユニークな企画。面白い。個人的には懐かしい地名や北九州弁を楽しみにしていたが、大いに聞けた。
元々方言じたいが芝居に一定の効果をもたらすが、耳に心地よく、倍加である。そして、地元の言葉でしか出せないニュアンスもしばしばあり、ほくそ笑む。女性が夫を諫める光景も。この距離感、東京ではお目にかかれそうもない。
占領の囚人たち
名取事務所
「劇」小劇場(東京都)
2023/02/17 (金) ~ 2023/02/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
同日午後に観た別の芝居が「鬼気迫る」人間ドラマを狙ったものだったので、リアリティの圧倒的なギャップに愕然とする。こちらは実話(現在進行形)を元に構成された、「刑務所」の話。パレスチナ自体が「刑務所」と言える実態に、改めてこの事実の性格(無関心でいる事は重罪であること)を突きつけられる。演劇としての面白さと、感動がありつつも、見せられているのは現在進行形の現実、という得難い感覚は、しかし演劇の本質に触れてもいるのかも。「今ここ」を離れた演劇ほど感動のないものはないのだから。
アプロプリエイト―ラファイエット家の父の残像―
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2023/02/16 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
配信が無かったと気付いて慌てて予約し観劇した。作品に関心あり。ワンツーの翻訳劇は(ドキュメンタリーシアターを除き)初めて。
緻密に作られている程、その細密度に見合う正確さを求める。(つまり、小さな綻びや違和感にも敏感になる。)
今作はよく出来た戯曲であるが、一つにはその正体や行方に観客を引き込んでいく「問題」が、各場面に仕込まれている。もう一つは言葉の応酬の鋭さ、特に「姉」の徹底して弟らに「折れない」態度は、弟とその妻にも「毒を吐く」と言わせる内容。
緊張感を持続するテンションとテンポは見事、と思う。
ただ・・最終的に見えてきたかった人物像、とりわけこの「姉」とは何だったのか。これがよりクリアに見えて来るべき余地はあったのでは、という思いが過ぎった。要は「頑として譲らない」という所に合わせたのか、喋りのトーンが一色。私の印象では、どんな手を使ってでも自分が(悲劇の、であれ)主人公である地位を譲らない、もっと言えば自分こそ「自分を語る」事の許される資格を持つ、という(裏の)主張を貫く人物。それは弟らへの「攻撃」にも表れるが、見方によっては(というか姉の側に立つなら)弟らのエゴ、不甲斐なさ(次男に至っては性犯罪の経歴がある)にめげず父の面倒を見てきた「耐える人」である、とも。。
だが姉の決定的な欠陥は、己の正当性を主張しながら、他者の変化の可能性を認めず、一縷の望みをせせら笑うように潰し、それが現実だとばかりに他者の改心を否定する。「見てきた」から分るのだ、という言い分は、結局のところ「そういうダメな人間の相手をさせられて来た肉親の自分」を被害者としてアピールする以外の意味を持たない。
「怒りと恫喝」で被害者ぶる論理は、中国も北朝鮮も「変わらない」から「常に脅威であり続ける」(引いては攻撃を仕掛けて来る以外の可能性はない)、と軍備増強を正当化する主張のニュアンスによく似ている。相手の非への批判と被害者アピール。
こう考えると「姉」が終盤に「いかにも本心を打ち明ける」ように自分の苦労をこぼし、「ここまで苦労を重ねて生きてきて、それで皆から非難されるだけ」という現実を受け止め、受け流すという表明をする。よくある芝居のように、ヒールの心の内を開陳し観客の共感を得る、という「謎解き」的決着を狙ってしまっては、外すと思う。といって姉を悪役で終わらすのも違う。姑息に被害者を演じてまんまと弟らを丸め込む、という姑息さがきちんと表現されれば、「そういう姉もひねくれるだけの理由があった」という次の人間理解に進める。安直にシンパシーを勝ち取ってしまっては、どうもうまくない。
雲雀温泉遭難記
さんらん
アトリエ第Q藝術(東京都)
2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
長尺短編、硬軟様々な作品を生み出すさんらん。今回はやや薄味であったが締める所は締め、可愛らしく、うまい。話の舞台も人物も(勿論筋も)違うのだがさんらん(尾崎氏)らしい筆致があるな、と感じた所だ。ラーメン屋の話だが、「ラーメン業界」のディテイルや、ラーメン屋を目指したその人間の内面が想像されるリアリティの担保を押さえている点に作家の力量を見る。(先に別の芝居のコメントに書いたが)山に入った男が亡くなった妻の霊としばしの時間を過ごす、その結末にはやはりギルティを持て余す生者(夫)への妻からの贈り物がある。現実世界で共に過ごした相手からの言葉として過不足ない(甘すぎもせず冷淡でもなく)。つくづく演劇は失った時間を生き直す芸術と思うこの頃。
騒音。見ているのに見えない。見えなくても見ている!
地点
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2023/02/16 (木) ~ 2023/02/23 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「ノー・ライツ」(旧演出では「光のない。」)を見逃したので今回は、と足を運んだ(同じイェリネク作品)。モノローグ台詞がずーっと続くイェリネクの御多分に漏れない作風だが、今作の注目は「コロナ以後」の作である点だ。連綿とリレーのように続く、継がれる言葉は様々な感情や状況やニュアンスを脳内に生起させるが、暫くの間、イメージは一つところに集約せず、俳優の身体は大きな舞台装置(台)の上で、あるいは台を下りた周囲で、ねり歩いたり一斉に同じ動きをやったりと忙しい。(※装置は広い円形の台で、人が乗るとその重さで傾き、その動きに連動して台の辺縁に付いた裸電球が点滅したり光量が増減、また音が鳴る・・等オートマティックに反応する。)
断続的にやっている動きがある。それは終盤に至り、皆が台上に乗って頻回になるのだが、その動作の合間に一人が台詞を言う。この台詞が、コロナ禍に生きる人間の葛藤を突き抜けた意志の表明、不服従宣言に聞こえてくる。自動機械のような「動き」はコロナに関連するワードをきっかけに為され、私にはメディアを通じて思考停止・自動機械的反応へ人々を誘導してきた「信号」の比喩に感じられ、おちょくったような動きは痛快であり、憤りに近い民の声にもシンクロするものに思われた。
中盤掴みづらい時間があり、寝落ちしてしまったが、終盤の畳みかけは気持ちよく、安部聡子の発語のニュアンス伝達力に改めて感じ入った。
み とうとう またたきま いれもの
関かおりPUNCTUMUN
シアタートラム(東京都)
2023/03/10 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
コンテンポラリーダンスはいろいろ観てきたが、この振付家の作品を初めて鑑賞。こういう作風なのだろうが、あまりに動きが少なく観ていてつらかった。
東京ミュージカル
ミュージカル座
光が丘IMAホール(東京都)
2023/03/08 (水) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/03/10 (金)
IMAホールにてミュージカル座『東京ミュージカル』を観劇。
何ともシンプルでド直球なタイトルに加え、高層ビル群と華麗に踊るダンサー達が描かれたデザインのフライヤー。そこには「関東大震災から100年!絶望と再生を繰り返してきた東京。過去と未来の物語」とも書かれており、その情報量の多さから、観る前から様々な想像が頭の中を駆け巡っていました。一体どのような作品なのだろうかとワクワクしながら劇場に向かいました。
ミュージカル座さんの作品を拝見するのは先月の『スター誕生2』以来、1ヶ月ぶり通算10作品目。毎回見応え十分なのですが、やはりそれは今回も同様でした。そして、観る前に感じていたワクワク感が最後まで続きました。
「壮大」「圧巻」「斬新」「感動」「希望」・・・そんな複数のキーワードが出て来るような今回の作品。何と表現すれば良いのか、上手くまとめることが難しい気がします。それくらい目まぐるしい変化がある、詰めに詰め込まれた作品であると感じましたし、だからこそ、常にワクワクが止まらないような感覚が終始続いたような印象です。途中の休憩時間を挟んで2時間20分程。あっという間でした。
というのも、全編が歌で構成された珍しいスタイルの作品であったからというのもあるかもしれません。本来は会話劇で進むようなシーンにおいても、とにかく歌・歌・歌。計38曲にも及ぶミュージカルナンバーには驚きました。これまでに観てきたミュージカル作品とは一線を画す斬新な作風。時間を掛けてゆっくり見たいシーン、シリアスなシーンなどもあり、正直ここまで全編歌で構成する必要もないのでは?とも思いましたが、パンフレットに記載されていた脚本家・演出家のハマナカトオルさんのコメントを拝読して納得しました。なるほど、ベートーベンの第九交響曲がベースになっているのかと。。
いつの時代も苦難はあり、これからもそれは続くと思いますが、忘れてはいけないのは常に希望を持って生きていくことかもしれません。今の平和な東京があるのも、過去に生きた人々が希望を持って築いてきた歴史があるからだと思います。そして様々な悲しい事実も一つ一つが教訓になっているとも感じます。第二楽章から第三楽章にかけて時代が一気にワープしたような印象を受けたこともあり、現代社会の礎になっている戦後の高度経済成長期、古き良き昭和の時代を描いたシーンがもう少し描かれていると尚良かったようにも感じますが、東京を舞台とした斬新なミュージカルの初演は十分に見応えのある作品でした。
蜘蛛巣城
KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2023/02/25 (土) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
シェイクスピアと黒澤明という二大ビッグネームをふまえつつ、現代の舞台化に当たってどう新味を出すか。この舞台への関心と評価はその一点にかかるだろう。結論として言えば、見事な再創造だった。忠君・小田倉(長塚圭史)一家の悲劇をマクベス夫人とつなげる新たな副筋をもうけ、雑兵・百姓に重要な役割を負わせて武将の戦いを相対化する。
小田倉の妻・若菜(新井郁)が、マクベス夫人・浅茅(倉科カナ)の妹にした。したがって小田倉一家の不幸が、マクベス夫人へ罪の報いとして降りかかる場面は重層的で、哀れさが増した。これを見ると、「マクベス」ではマクベス夫人は自滅するだけで、少々肉付けが弱い気がしてくる。
雑兵・百姓に戦のむなしさを語らせたのは、ウクライナ侵略のいまに響いた。それはただの言葉だけでなく、鷲津武時の最後とも絡むことで、作品の奥底の主題として強く打ち出されていた。それとは別に、次々の暗殺によって、場内が疑心暗鬼になるさまを見ながら、スターリンの粛清政治を思い浮かべた。「マクベス」「蜘蛛の巣場」を見て今まで思い浮かばなかったが、初めてだ。これもロシアの侵略の情勢の影響と、この舞台のシンプルで力強いメッセージのせいだろう。
俳優でいえば倉科カナが印象的だった。かわいい顔をしていても女は怖い。怖いけれど、狂っても美しく魅力的。どこまでも男を狂わせる存在である。
優れた舞台機構を生かし、かなり頻繁なセット転換が迅速。英語でも日本語でもない人声が響く不気味で迫力のある背景音も効果的だった。大劇場ならではの贅沢な舞台だった。私が教えて、1週間前にチケットを買った女性の観劇友も「面白かった。見逃さなくてよかった!」と大満足だった。
2時間20分休憩なし
デラシネ
鵺的(ぬえてき)
新宿シアタートップス(東京都)
2023/03/06 (月) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
カミサマの恋
ことのはbox
萬劇場(東京都)
2023/03/01 (水) ~ 2023/03/05 (日)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★
初日に観劇する予定が直前にポシャり、同ステージの配信を最終日に駆け込みで購入して鑑賞。(23:59でキッチリ終了だといけないので帰宅途上スマホの小さい画面で視始め、帰宅後PCに切り替えて全編が観られたが予想当たってキッチリ終了。同時配信プラス1週間をパッケージにしてる業者のそれだろうがもう少し期間が長いと良いのだがなぁ..)
たまたま畑澤聖悟作品を3つ立て続けに観たがやはり良い脚本を物する作家である。本作は「イタコ探偵・・」を思い出させる。他にも「もしイタ」などイタコ、及び死者にご登場いただく作品があるが、地元青森の「名物」であるこのイタコのドラマ上の威力は絶大だ。それを存分に発揮せしめた作品とも言える。
幽霊が媒介者となるドラマは掃いて捨てるほどありそうだが、うまく使えば優れた作品になる。井上ひさし作「父と暮せば」、畑澤氏が脚本化した「母と暮せば」も堂々と幽霊が登場する。生者のサバイバーズギルティを死者が解き、生へ向わせる。やはり私の中の最高作の一つ「HANA」も、妹の幽霊が(こちらはいかにも幽霊然と)姿を現わすが、犯され惨殺された妹が死の瞬間を知らない前の状態で佇むだけで媒介者としての機能を舞台上にもたらす。
イタコは死者の言葉を取り継ぎ、悩みを抱える来訪者に「あなたの言い分はもっともだ、と亡くなった〇〇さんは言ってなさるよ」と肯定し、苦労を労う。「だが」と釘を刺す。「かくかくこうでなけりゃならんのではなかったか?」辛口コメントを言い、「・・と、〇〇さんは言ってなさる」と付け加える。
時に死者の心を代弁し、こう言う。「心配は要らん」「むしろ私ぁ感謝しとる。ありがとう」そして「私の分まで生きてくれな」。。
「イタコ探偵」でもイタコ”業界”の内側に触れる箇所があるが、この「カミサマの恋」は若い修行者の目を通して「裏側」を描いてる点でとりわけユニークだが、多様な問題群が見事に織り込まれ、入り組んだ話が最後には大団円に収まる。
個人的には嫁姑のいがみあいを短いやり取りの中に凝縮したくだりがツボ、その前に両者個々からの話を聞いており、それぞれのギャップに唖然とし、笑える。この解決のために旦那を丸めこむ手管も美味しい。
遺作
藤原たまえプロデュース
ABCホール (大阪府)
2023/03/10 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
めちゃめちゃ面白かった☆チラシの雰囲気で勝手に重くリアルな会話劇やと想像してた自分のアホさ加減が腹立った位に最高やった☆僕の大好物の何も考えずただただ笑ってれば良いアホフルスロットル全開のお馬鹿ショータ~イムで大満足☆個人的にはカトウクリスさんにドハマリして後半は何喋っても大笑いしてました♪我らが袋小路林檎さん丹下真寿美さんの存在感も言わずもがな☆そして全員当て書きちゃう?と思わす位全キャストハマリまくってました♪こういう高級割烹料理よりB級グルメをたらふく食べたような演劇がホンマ大好きです♪☆
掃除機
KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)
2023/03/04 (土) ~ 2023/03/22 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
掃除機の1人ごとから始まり、セリフはほぼモノローグ。独り言の連続である。「これから……という芝居をやろうと思うんですが…」「という感じの…」等々、だらだらとつながるチェルフィッチュ語を久しぶりに聞いた。だらだらと語り、何も起きない、反演劇、アンチドラマの芝居。それを演劇としてやるというのはそもそも無理があり、好きな人は好きだろうが、ついていけない人はそっぽを向く。そういうタイプの芝居である。
最初掃除機(栗原類)が人間は床なんて全然見てないじゃないか何でこんな大きいものを掃除機が吸い込むまで気づかないんだよとぐちる。二階には 引きこもりの中年の姉(加納ジュンコ)がいて、時々 床を力いっぱい叩いて「私がこうなったのはお前のせいだっ」とわめく。 下の階に父親(モロ師岡)がいて、「あの『お前』っていうのは死んだ母親のことなんですよ」と、顔に貼りついた笑顔で言い訳する。 兄(山中崇)は家を出てゆく。音楽担当の環ROYがラップしながら語るが、これが多少批評的なことを言う。「世の中全部クソじゃないですか。くそくそくそって言われて、なんて答えると思います。そうその通りって。だから出てかなくていいんです」。ここに言いたいことがある気はした。こんなよくない世の中に出ていかない引きこもりの気持ちはわかると。
一度だけ、父が娘を無理やり連れだそうとする「太陽に当たらないと体に悪い」。娘は「私に太陽なんていらねえんだ!」とふりほどく。
転げ落ちそうなベッドの美術、父親が3人で演じられる演出は奇抜で、この反演劇の「前衛劇」にふさわしい
他に覚えてることがあまりない。90分と短いが、それでも集中力を保つのが精いっぱいだった。