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ゴーギャンおやじ2

ゴーギャンおやじ2

グワィニャオン

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

見応えのあるとても良い劇でした

ネタバレBOX

前半のの1分試合ころから後半ずっと目が熱くなる展開でした
鳥籠が鳥を探す・K

鳥籠が鳥を探す・K

演劇実験室◎万有引力

座・高円寺2(東京都)

2024/11/27 (水) ~ 2024/11/29 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

万有引力とは
ひき合う孤独の力である

宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う

「二十億光年の孤独」谷川俊太郎

先日92歳で亡くなられた谷川俊太郎氏のこの詩から取られた劇団名『万有引力』。

鳥が鳥籠を探し求めているのか
鳥籠が鳥を探しているのか

開幕前、ニーノ・ロータ調のテーマ曲がエンドレスで流れている。時折チェコの首都プラハにあるフランツ・カフカの生家らしきモノクロの写真が明滅する。ヴァイオリン片手にふらりと現れた多治見智高ジーザス氏が舞台を開く。
1912年、オーストリア=ハンガリー帝国(現チェコ)で労働傷害保険局員の仕事の合間に小説を書いていたフランツ・カフカ(小林桂太氏)。フェリーツェ・バウアー(森ようこさん)と出逢い夢中になる。手紙魔だった彼は狂ったように手紙を送り、後に彼女が保管しているだけで500通以上もあった。一日二通送る程の狂熱。二人の共通の知人であるマックス・ブロート夫妻(加藤一馬氏、木下瑞穂さん)が相談に乗る。段々と彼の手紙に夢中になっていくフェリーツェ。カフカは書き始めた『変身』について綴っていく。

グレゴール・ザムザに髙田恵篤氏。だが彼は毛布を引っ被ってほぼ姿を見せようとしない。『エレファント・マン』のようなニュアンス。
父親に今村博氏、母親に伊野尾理枝さん、妹に山田桜子さん、女中に内山日奈加さん(久々の登場!)、雇い主に髙橋優太氏。

J•A•シーザー氏の楽曲の強さが全開。ド迫力で持っていかれる。前半の強さに圧倒された。役者達はまるで人形のように何かに操られているかの如く動く。時折、猿山の猿のようにも。人間を使った贅沢な人形ごっこ。
森ようこさんが光り輝いていた。
凄く面白いので是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

原作をガキの頃に読んだ筈なのだが、全く後半の展開を覚えていなかった。何かグレゴール・ザムザが拳銃自殺したような記憶。こんな話だったのか。序盤の手紙の遣り取りの調子が凄く良かったので『変身』のパートに停滞を感じた。個人的にはもっとカフカとフェリーツェの遣り取りを挟んで欲しかった。

熱烈に恋したカフカだったが、二度の婚約も破棄して結局は別れることに。結婚することによる創作への妨げを恐れたとされる。だが恋して昂揚している自分が好きだったんじゃないだろうか?昂揚する為に相手が必要だった。鳥籠が鳥籠である為に鳥を探すように。

※J•A•シーザー氏は自身の死と劇団の終焉を見据え、カフカの言葉に自らを託している。(カフカは40歳で肺結核で亡くなる)。終わりとはまた新たなる始まりであると。
レットイットビーム

レットイットビーム

コメディアス

OFF OFFシアター(東京都)

2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

RTA(Real Time Attack)のようなライブ感ある公演。確かに「光路を作り出す過程を描いた光学演劇、光VS人間のレーザーコメディ!」という謳い文句の通りなんだが…。
前説の中に設定を語らせ物語が始まる。しかし始まってしまえば設定等 ほとんど関係なく目の前の装置とアイテム入手に集中する。今まで密室や迷路からの脱出劇は観たことがあるが、シャレの意味で古さを省いた<光学>ならぬ<考学>といった公演。色んな意味で評価が分かれそうな気がする。

RTAといっても公演時間内には完結する。ちなみに装置は手動ではなくセンサーで反応させているため、機器の調子と役者の操作の加減によって上演時間が長くなるかも といった情報が前もって知らされた。公演情報では上演時間80分であったが、観た回は90分(途中休憩なし)だった。
全編を通してレーザーのパズルがどのように解決していくのか、その遊び心ある過程には観(魅)入らされた。

ネタバレBOX

舞台美術はレンガ壁の中央に埋め込まれた電子基板のような装置(当日パンフにも掲載)、その中心に「光の羅針盤」がありレーザーを照射している。他に箱馬が2つ。
この種の公演は、設定と装置が密接な関係にあり 奇知ある驚きが大切だろう。今回は装置の面白さに重きがありドラマ性が弱いような。

物語は1924年。大英博物館で見つけた古い冒険記、そこに記された神秘の装置<光の羅針盤>と<LET IT BEAM>という奇妙な走り書き。その謎を解くため、博士と財団の担当者が やって来たのがリビア砂漠にある古代文明の地下遺跡。神殿への扉(基板)を発見するが、それを開けるには…。ここからがRTAゲームのようなレーザーとの格闘。劇中の台詞でいえば「知育ゲーム」が始まる。これは観ないと臨場感が伝わらない。

終盤、問題をクリアーし 中から出てきた古代人。衣裳こそ それらしいが会話は現代そのもの。レーザーが武器へ利用される恐れ、それを担当者が先の大戦でと口走る。台本通りなのかアドリブなのか判然としない緩い会話。意地悪な見方をすれば、装置との格闘に手間取った時に、この古代人との会話シーンで時間調整をするような。
なお ライブ感を大切にしたのか、音楽で煽るようなことはしない。せいぜい始めと終わりに冒険譚を思わせる曲を流すだけ。
次回公演も楽しみにしております。
青春にはまだはやい

青春にはまだはやい

プテラノドン

「劇」小劇場(東京都)

2024/11/26 (火) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

大変楽しめた作品でありました
細かなところもキチンと
抜けなく出来ていて
心踊らされた105分
全席指定
ただ開演前の場内BGMとかは
あった方が自分は
嬉しいかなと

ネタバレBOX

自分好みのSF青春ストーリーでした
まぁミリミリとした伏線回収とかも巧みで
ホント楽しかった〜♬

アナウンサーを目指すが
NHK杯に出られず
コロナで中止になってですが
失意のまま高校まで中退し
引きこもった主人公が
逃げ場所にしたバーちゃんも亡くなり
遂に首を吊ろうとした時に
上からノートが落ちてきて
から始まるファンタジーな展開です
ひと昔前だと
デスノートですがー
なんとタイムリーに今回は
実写化したドリームノートです
書いたことが現実になるという例のー
さぁみんなで叫ぼう「チェイング」と
ではなくてー
普通に合宿場として使われていた
バーちゃんの家に来た
過去の学生達の寄せ書きノート
なんですが
夢が叶うと書いてあって
そこに主人公は
自分の怒りをを書き込むと
なんとーで始まる
タイムリープでパラドックスな
面白展開が
いやぁ青春してました
群像劇とも言えましたね
『晴耕雨読』

『晴耕雨読』

ウテン結構

六本木ストライプスペース(東京都)

2024/11/26 (火) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

心に残る良作。

ネタバレBOX

てっきり淡々としたオムニバスかと思いきや、衝撃的な結末。死者とコミュニケートできる女が告げます。

ちなみに大地震の読み方は「おおじしん」なので直したほうがいいですよ。
レットイットビーム

レットイットビーム

コメディアス

OFF OFFシアター(東京都)

2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

こんな舞台もありだな…と思える舞台でした。ドリフの「8時だよ、全員集合」とインディージョーンズとピタゴラスイッチを足して3で割ったような舞台ですね。どこまでがアドリブでどこまでが打ち合わせどおりなのかビミョーな舞台だったかなと。古代人が出てきた後半、すごくよかったです。古代人のキャラがめちゃくちゃよくて舞台全体をぎゅっと引き締めていましたね^^ MVPは古代人ですね^^

Day Dream Dance D.C.

Day Dream Dance D.C.

空想実現集団TOY'sBOX

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2024/11/13 (水) ~ 2024/11/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

さすが!ダンスもキレッキレでめっちゃかっこいい!ラストは観客に委ねるタイプ。いろいろ想像しながら帰りました。良い時間をありがとうございます。

お父さんと漫才(東京公演)

お父さんと漫才(東京公演)

Card Case (宮下涼太プロデュース)

高田馬場ラビネスト(東京都)

2024/11/22 (金) ~ 2024/11/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

めっちゃおもしろかった!芸達者たちと秀逸なセリフ。良かったです!

雲のふち

雲のふち

ゴジゲン

駅前劇場(東京都)

2024/11/20 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/11/27 (水) 14:00

座席1階

コメディ・ユニットとコリッチの紹介文にはあるが、今作「雲のふち」はコメディからはかなり距離を置いた、どこか哀愁漂う舞台だった。

下北沢・駅前劇場のスペースを三つに分けて客席を設け、中央には人工芝とベンチ。入口近くにはマンションの廊下とドアがしつらえてある。丁寧に作ってある舞台美術に好感が持てる。
この人工芝は実は、公園にあるフットサルコートで、舞台は愛娘のフットサルの試合を見つめる父親というところから始まる。説明はないが、どうやらシングルファーザーのようだ。仕事が忙しいながらも娘との時間を持とうと努力しているが、思春期の娘は父親がくっついてきて試合を見たりあれこれ世話を焼いたりするのがうざったいという感じだ。公園を訪れた男性二人が今し方見てきた映画の話をしているのだが、娘との会話の流れから、父親がなぜか強引に男性二人の話に割って入るという、やや無理筋の展開で進んでいく。

舞台を見終わって思うのは、この戯曲は何がテーマなんだろうという感情だ。父と娘、それとも映画や役者さんの話? それは見た人それぞれが受け止めればよいことなのだと思うが、自分には今ひとつ消化不良感が募った。見ていてストンと落ちるものがあると、ぐっと好感度が高まるのだが。
ただ、登場人物が繰り広げる会話劇がつまらないわけではない。話はそれなりにおもしろいし、笑える部分もある。ただ、物語が一直線でなく複合化しているいることもあって、分かりにくいと感じた人もいたと思う。
もう一つ、とてもかわいい女優さんなのだが、さすがに思春期の娘というにはどうなの、と思った。いえ、外見の話というよりは、しゃべり方や雰囲気がとても大人びていて、思春期の女の子には見えない、という意味だ。これもわかりにくさの一因であるかもしれない。

青春にはまだはやい

青春にはまだはやい

プテラノドン

「劇」小劇場(東京都)

2024/11/26 (火) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ブラボー!最高でした。舞台がはじまるまで音楽もなく、軽いナレーションで舞台が始まり、そして最後もさらっとナレーションで静かに終わる…この逆張りの演出が舞台の内容を引き立てていますね。脚本というかストーリ的には宮藤官九郎が考えそうなタイプですが、全体的にわかりやすくすごくよかったです。舞台にありがちな難解さやひねりもなくほんとよかったです。途中、東日本大震災と絡めた「さようなら、きをつけてね」にうかつにも涙腺が8割ほど崩壊してしまいましたが、ま、でも、最後はハッピーエンドでしたね^^ ほんとすばらしかったです。あ、今度は平体まひろさんも出演しているプテラノドンの舞台観てみたいです。プテラノドン最高!すばらしい時間をありがとうございました。

たしかめようのない

たしかめようのない

ブルーエゴナク

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2024/11/26 (火) ~ 2024/11/28 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

同棲していた元彼(増田知就氏)との別れから精神を患い、引きこもった主人公(重実紗果さん)。家から一歩も出られずスマホだけを世界との接点とする日々。元彼を吹っ切ろうと部屋の内装や家具を変え、全てを過去に。後は元彼の置いていった荷物、段ボール箱に入ったそれを処分したい。親友(野村明里さん)が定期的に部屋に飲みに来る。主人公を苦しめるのは自分自身の妄想で、唯一の武器も同じく自分自身の妄想だ。

一度観たいなと気になっていた劇団。
役者陣はそれぞれ独特な味がある。何か不思議な空気感を醸し出す。野村明里さんは何となく坂井真紀っぽくて気になった。表情の変化が印象的。

村上春樹の文体に村上龍のエッセンスを振り掛けたような。テーマは『妄想』。主人公はすぐに何でもスマホで検索しようとする。スマホに表示される正しさ=不特定多数の集合知性。現実感のないもやもやとした真実はどうにも掴みようがない。会ったことも話したこともない誰かとネットで繋がっている時代。本当も嘘も妄想もふわふわ浮遊して漂っている。自分の自分自身だと捉えていた意識の境界線が曖昧になっていく。デマが流布され意見がコントロールされていく。自分が考えて選んだ筈の答は本当に自分が考えたものだったか?誰かのコントロール下に立っているのではないか?会ったこともない人間と出会い何も確かめられないまま別れた記憶。それすら初めから妄想だったのか?主観だけの世界をそれぞれの『妄想』で繋ぎ合わせて暮らしている。無理矢理辻褄を合わせる言い訳をまぶしストーリーの形にしていく。それも嘘だろう。

ネタバレBOX

荷物を取りに元彼は家に来るがトイレが変わったことに不満、荷物も持ち帰ろうとはしない。スマホで通話しながら家を出て駅前の裏通り、怪し気な饅頭屋で遊び心で注文してみる。渡されたのは何かの薬物だろうか?売人でないことに気付いた店の男(加茂慶太郎氏)に殴り倒され引きずられていく元彼。偶然その場に通り掛かった親友。彼女をごまかすためにでまかせでファミリーマートの店長だと嘘をつく。親友はそのファミマで最近までバイトしていたので逆にその嘘に食い付く。店の男は仕方なく適当に話を合わせる。スマホから聴こえる音で事件に巻き込まれたことを知った主人公は元彼を探すために到頭家の外に出る。
3年後、社会復帰している主人公。元彼はあれから見付からずどこかに監禁されているようだ。何故かそのままウミヘビになってしまった。親友と店の男は今では付き合っていてドライブしている。だがそんな男、実はそもそも存在していないことを知っている。海岸をずっと歩き続けた主人公は早朝漁師相手の店で海鮮丼を御馳走になる。家に帰ると親友は眠っていた。(アフタートークで作家が交通事故死の話をしていたがよく判らなかった)。

うさぎストライプの『あたらしい朝』や阿佐ヶ谷スパイダースの『ジャイアンツ』などこの系の演劇は多い。やはり記憶と妄想の中を彷徨っていく物語。それだけに今作のスタンスは中途半端に感じた。例えば押井守の作品はほぼ全て「果たしてこの世界は本当にオリジナルだろうか?仮想空間でないと誰が言える?」がテーマ。だが毎回話がそこ止まりなのが気に食わない。この世界が作り物だとしてそれを押井守がどう受け止めるのかが語られていない。今作に感じるのもそれと同じで「皆妄想をぶつけ合って手探りで生きている」止まり。まあその通りだろう。そこからもう一歩踏み込んで欲しかった。
お父さんと漫才(東京公演)

お父さんと漫才(東京公演)

Card Case (宮下涼太プロデュース)

高田馬場ラビネスト(東京都)

2024/11/22 (金) ~ 2024/11/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ポジティブさせていただけるお芝居でした。ちょいちょい繰り広げられるお笑いネタ、ダジャレにクスッと笑いラストまでほっこりさせられて良かったです!

寸劇の庭

寸劇の庭

渋谷コントセンター

ユーロライブ(東京都)

2024/11/20 (水) ~ 2024/11/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

アンパサンドとテニスコートはおもしろかったが
最後の組だけ70分あり、おもしろければ苦にならなかったが
どうも合わず、しんどかった
公演時間は均等に分配して欲しい、全体で130分なら各劇団40分ずつにわけてほしい

平坂村事件

平坂村事件

十七戦地

新宿眼科画廊(東京都)

2024/11/22 (金) ~ 2024/11/26 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/11/26 (火) 14:00

詐欺って心理戦だ。警戒心が強い人々は簡単には騙されない。
そう思って観ていたら、騙されていることに最後の最後まで気づかない者もいた。
出ハケも難しそうなあのスペースを上手く使って、凝縮した人間関係が渦を巻く。
詐欺師、誠実そうな座長北川さんが演るからますますそれっぽくて良い。

ネタバレBOX

開場して中へ入るとウナギの寝床のようなスペースが奥の方へ広がっている。
奥が舞台スペース、演者の出ハケは客席の横を通るしかない。
正面黒板の前に横長の机、古びた木の丸椅子が点々と置かれている。
詐欺師佐宗がカバンを持って現れ、化学や技術で皆を煙に巻く詐欺の幕開きだ。

斜陽産業石炭、その燃えカスである灰から再び石炭を作り出す技術を開発した、
という触れ込みで詐欺師佐宗が化学者を連れて平坂村へ乗り込んできた。
昭和38年、エネルギー政策は石油への転換期を迎え石炭はもはや見向きもされない。
石炭を掘って運んできたこの村は今、存続さえ危ぶまれる危機に瀕していた。
やがて平坂村は一丸となって、夢物語のようなこの話に乗ってくる。
だが詐欺師も予想しなかった事態が起こる・・・。

詐欺の話でまず重要なのは、騙し騙されるその状況設定だろう。
社会的・時代的に追いつめられた村・・・ひとりや二人ではない、
この”村”規模がそのまま金額のデカさにつながる。
キーマンとなる土地の有力者三姉妹が、所謂世間知らずでもただのお嬢様でもない
知識も社会性も持った女性であることが、騙されるプロセスをリアルにする。
ダイナミックな展開と繊細な人物像が相乗効果を生んでいる。

そして騙される人間の心理が刻々と変わっていく様が面白かった。
一転して状況が良い方向へ変わると見た時の我を忘れるような高揚感、
合意が集団になった時のうねりの大きさ、暴力的なまでのエネルギー。
結局詐欺計画がほころびるのも、それら騙される側の熱い心理が原因か。

だが本当にびっくりしたのはラストのどんでん返し。
詐欺がばれて逃げるとかいうよくある展開ではない。
詐欺師自身が騙されていたということ、
そして何より、詐欺師を騙していた者の深い思いだ。

伏線をこんな風に回収するところが、サスペンスを得意とする柳井さんの持ち味。
「戦争が終わって、騙されていたことに気づいてから、みんな元気になった」
と言う言葉が、唐突ともいえるラストに不思議な明るさをもたらす。

三姉妹のキャラが鮮やかで、騙されたと知ってからの行動も力強く素晴らしい。
気弱な科学者がラスト、情熱と自信を取り戻して吠えるところがとても好きだ。
詐欺師が必要以上に饒舌でなく、むしろ個別に女性たちと話す時には物静かで
ひょっとすると改心して計画を断念するのか?と思わせるところが絶妙過ぎる。
北川さんのたたずまいが詐欺師に見えないので、逆に詐欺師にぴったり。

詐欺師を騙した”すごい策士”の心情をもう少し聞きたい気がした。
それとも語らせないからこそ、私は終演後こうしてずっと考えているのだろうか。
十七戦地の舞台はいつも、後から反芻せずにいられない。

SEXY女優事変ー絶頂作戦篇ー

SEXY女優事変ー絶頂作戦篇ー

劇団ドガドガプラス

浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)

2024/11/24 (日) ~ 2024/11/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/11/26 (火) 19:00

価格5,000円

役者、台本、演出、どれも良かった。
魅力的な女優陣に、つい目がいってしまうが、個性爆発の男優陣もすごく面白い。

ネタバレBOX

始まりの、アダルト配信の人、長いモノローグを見事に語って、引き込まれました。
丸山さんは、本当に見事。若い時の同棲生活を、相手役の女優さんと、素敵に切なく演じていて、このシーンが、強烈なイメージとなって、全体を引き締め、いろいろと考えさせてくれる。
投獄されているナンバーワンAV女優は、AVらしさは希薄だが、それで良いと説得する力のある美貌とリンとした演技。
自殺か他殺か、その事件が、政府の検閲から国際政治の話まで、ぶっ飛んでいくのが、すごい!面白い。
所々の、歌とダンスが、楽しい。
虫さされジョアンナ

虫さされジョアンナ

浅川さんの企画

studio ZAP!(東京都)

2024/11/14 (木) ~ 2024/11/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/11/17 (日) 14:00

事前に目にした感想通り「バカだな~♪」「何やってんだアイツら?(笑)」だらけの90分、いわば「長編ショートコント集」みたいな?
そんな中「あ、そういう連想をしたのか」「この状況ならそれに行くよね」など首謀者・浅川さんのアタマの中が見えるようなところが多々あり、発想の跳び方/跳び具合がオカしかった(←ダブルミーニング(爆))。
あと、カーテンコールでのちょっとした趣向もオマケっぽくて良かった。

歓喜の歌

歓喜の歌

劇団扉座

紀伊國屋ホール(東京都)

2024/11/26 (火) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

随所に笑いどころがあり、歌ありダンスあり
ホロリとするところあり、とってもお得感のある舞台でした。
脚本は3本の落語が元になっているとのことだったけど、わかりやすくて年末に楽しんで観るにはピッタリだと思います。

大きな銀杏の樹の下の小さな泉

大きな銀杏の樹の下の小さな泉

座キューピーマジック

「劇」小劇場(東京都)

2024/11/20 (水) ~ 2024/11/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

感想文『Vol.78 大きな銀杏の樹の下の小さな泉』
https://gen11.blog.ss-blog.jp/2024-11-26

お父さんと漫才(東京公演)

お父さんと漫才(東京公演)

Card Case (宮下涼太プロデュース)

高田馬場ラビネスト(東京都)

2024/11/22 (金) ~ 2024/11/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 楽日、ソワレ公演を拝見。華5つ☆。世話物の持つ柔らかな感性を見事に描き観客を自然に巻き込む手腕が素晴らしい。ベシミル! 
 ネタバレでも内容についての詳述はしていない。何故なら会場に出掛け、実際に舞台を観ないとこの一体感は味わえないからである。

ネタバレBOX

 敢えて「世話物」という言い方を採る。無論、このような言い方は現在の日本では浄瑠璃と歌舞伎で用いられる以外には余りあるまい。だからこそ、こう言いたいのだ! 最早、現代日本社会でこのようなタイプの人情は完全に滅びたと感じざるを得ない日常を経験し続けていることがその理由だ。少なくとも東京の街中、公道、電車車内、公共施設、大型の販売店等で人々の行動を見る限り公共マナーは完全に地に落ちた。洋の東西を問わず、外国人の方がよほどまともである。これに対し現代日本ではディスコミュニケーションが当たり前で、何か起きた時、状況に応じたコミュニケーションができる人は稀になった。誰も自分でことに当たろうとせず、知らんぷりを決め込み誰かが何かを始めるのを待っている。失敗でもすれば冷笑、嗤笑、憫笑、忍び笑いの嵐だ。こんな具合に笑っている連中その者たちが考えていたことは明らかである。自分がしゃしゃり出て失敗したら・・・。である。
 今作の登場人物にそんなキャラは幸いなことに一人も居ない。そのような老若男女が紡ぐ庶民の人情譚である。今作が凄いのは、脚本、演出、キャスティング、演技、舞台美術や照明、裏方さんの対応総てが混然一体となって表現しているもの・ことと、その実現である今公演が実に自然に観客を巻き込み演劇空間を成立させていることだ。
 重複にはなるが、世話物とは庶民つまり我々と同じ町場の人々の話であるから、最も大切なことは観客に自然に感じられることだ。言うは易いが舞台でこれを実現することは極めて難しい。冒頭に上げたような日々が今や都市部の日常となる中、今作に描かれるような人間らしく温かい人情のある、そしてそれが通用する世界へのノスタルジーでは無いことを今後の日本で尚生き続けねばならぬ総ての人間の為に願う。
真夜中の戦士

真夜中の戦士

株式会社NLT

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/11/23 (土) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

'74年に短編として発表した原作は、当時筒井康隆が高く評価していたのを覚えているが、この舞台は、'81年に始まった(短編のその後を描いた)連載版の設定の一部を加えて構成。映像を組合せた戦闘シーンなど、なかなか上手く作っていたが、個人的には、短編の内容だけでまとめた方が良かったんじゃないかと。

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