キネマの大地―さよならなんて、僕は言わないー
椿組
新宿シアタートップス(東京都)
2025/02/10 (月) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
インフル感染者が出て何公演か中止になったけど、追加公演をやった
内容はさすがは椿組と言いたい
外波山文明最後のプロデュース
満洲映画協会の存在は知らなかった
満州での映画製作を通して強く反戦を訴えながら、それが押し付けではない感じがする
「俺たちの映画に乾杯」
全編笑いがあふれる
そして常に映画を意識
夜の照明などというところで、中学生の頃の映画『アメリカの夜』を思い出した
最高に笑えたのは、役者澤田が寒い中ランニング姿でジョウロで降らす雨の中を、ヒロインの部屋に這い登ろうとするシーンを何度もやり直させられるところ
10分の休憩の間の物販も、踊り子役三人が「左にワンステップ、ツーステップ、ハイこちらの皆様」と言いながら踊ったりと実に楽しく観客を飽きさせない
舞台もさりげなく作りこまれており、特に満映の門のところは良くできていた
音楽が良くマッチして巧みな使い方だった
椿組のために書いた曲は5作目という山崎ハコの歌でのエンディングは、さっと紗幕が降りてそこにコーリャンの畑の写真に映画のエンドロール風のキャスト・スタッフが映し出され、最後は「終幕」が出て止まる
宣伝美術はずっと黒田征太郎
「退館時間の都合で面会はありませんが、外波山は10時頃からゴールデン街の『クラクラ』にいますので、感想などお聞かせください」というのも椿組ならでは
『APOFES2025』
APOCシアター
APOCシアター(東京都)
2025/01/18 (土) ~ 2025/02/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2025/02/01 (土) 17:30
価格1,500円
今井未定×フジタタイセイ『贋物』
一本だけ観劇
ひとり芝居とは難しい
演じる方の気持ちは分からぬが、観る方も結構なエネルギーを要する気がする
言い訳がましくだが、フジタタイセイという人物が創る作品が不可思議でときに迷子になってしまう
これに向き合うとき、役者をとりまくすべてと、役者自身の技量や個性が必然的に求められる気がする
どんな芝居もそうだろう、けど特にね
そんなこんなでこの作品を観たとき、一見面白そうな、それこそ落語を観るかのごとく、言葉が合っているか分からないが、まくり立てながら進んでいく
そこで感じてしまう単調さと、個の表現の難しさが、期待とは裏腹に役者を苦しませるのかなと勝手な妄想ですが、端的にどうかというと、複数の人物を演じるのであれば、すべてが主なのだと
時代絵巻AsH 其ノ拾八『蒼穹~そうきゅう~』
時代絵巻 AsH
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2025/02/06 (木) ~ 2025/02/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/02/07 (金) 18:30
― 蝦夷 ―
原始よりこの国に息づく誇り高き古の民。
彼らは立ち上がる。
まつろわぬ民と蔑み、東北を手中にせんとする大和朝廷の侵攻に。ということで、蝦夷に焦点が当たった歴史時代劇だった。
そもそも大河ドラマ等では、江戸時代だったら○○代目徳川家将軍、もしくは明治の偉人やまれに昭和のオリンピックの群像劇、あとは江戸より前だと、鎌倉幕府、足利家や織田信長、豊臣秀吉、徳川家康らによる安土桃山時代。最近では、紫式部によって書かれた『源氏物語』の元ネタとなった平安時代や藤原道長、藤原不比等と紫式部たちの関係性が描かれた大河ドラマと、余り昭和、明治を描いたもの(昭和、明治を描いたものでは才能はあるかもしれないが、一般人や商才のある人物が主役となることもある)を除き、民衆というか、庶民の側、虐げられる側、少数民族アイヌなどを描いたものは、大河ドラマではない。
時代劇映画では、虐げられた者たち、大衆、被差別部落の人たち、アイヌなどを描いたものはないわけではない。
演劇ではどうかというと、忍者の郷を描いた者や桃太郎伝説に則りながら、朝敵とされて鬼にされていく過程を描き、桃太郎が利用されていく様を描いた作品などもあり、大河ドラマよりはある気がするが、純粋に事実に則った形で緻密に人間の心理描写を描き、単純な対立軸や平安時代だからといって平安貴族全員が浮世離れして、和歌を嗜んだり、庶民感覚が一切ないというような典型的に描かず、また終盤場面も判官贔屓になり過ぎてないところなど、さらに割とタブー視しているところまで切り込んでいる時代劇演劇は今回の『蒼穹』を除いて、今のところはないと感じた。
ただし今回の劇は、他の時代劇演劇や殺陣が入る劇、大河ドラマや時代劇映画と比べて、殺陣の場面は人物の心理描写や駆け引きの場面、桓武天皇の冷徹な野心や藤原家が朝廷に取り入ろうと四苦八苦する場面などは丁寧に描かれているものの、殺陣に関しては迫力とリアリティに正直言って欠けていた。
頭が良くて気が利く万能で父親である桓武天皇から信頼される弟の伊予親王と和歌などの才能はありつつ、貴族から影で馬鹿にされ、親である桓武天皇からも我が家の恥だと思われている安殿(あて)親王との確執が丁寧に描かれ、武官一つとっても、一人ひとりが全然違う性格で、さらに蝦夷に対する思いや蝦夷征伐において行う作戦も全然違って面白かった。
また、桓武天皇が武官大友弟(おと)麻呂の失言に対して激昂した際に言う自身のルーツが渡来系であることを明かしたり、天皇家が近親相姦で家系の血統を守ろうとしていること(今は違うが)を話す場面など、世の中でタブー視されるような事実をさらっと登場人物に言わせていて、かなり大胆に切り込んでいて、ヒヤヒヤしつつも、こうやって忖度せずに言えるところが、大手スポンサーが一切付かない小劇場演劇ならではだし、それぐらいの、最低限の表現の自由があってこそ演劇だと、しみじみと演劇の良さを痛感した。
陰謀渦巻、政争だらけで、隙を見ては相手を追い落として這い上がろうとする宮廷貴族たちや野心の塊の武官、冷徹な野心があり、蝦夷を同じ人とみない桓武天皇などの朝廷側に対して、それぞれの族が緩やかにまとまって一つの村を形成し、それを取りまとめているのが阿弖流為(あてるい)で、普段は呑気に楽しく唄って踊って酒飲んで暮らしている野心や政争とは無縁で、思いやりもあり、時々喧嘩もするけれど、基本的に包み隠さず言い合えて、卑怯な事は好まず、お互いを信頼していると言ったふうに蝦夷側は描かれており、その対比が一つのセットで、小細工を少し加えたり、加えなかったりと言った微々たる変化で差を表しており、演劇のなせる技だと感心した。
朝廷側だけでなく、蝦夷側、それに加えて途中から蝦夷のことをよく理解して平和的に解決しようと奔走する坂上田村麻呂など時代劇演劇だからかかなりの人物が出てきたが、一人ひとり個性や性格、考え方に至るまで違って、その違いが劇中において丁寧に描写され、蝦夷征伐における考え方の違いなどもきめ細かく、台詞一つ一つにその人物の価値観が浮き彫りになっていて、理解しやすく、俯瞰的に観ることができた。
日本政府与党(自公)が現代において、裏金問題発覚等で庶民を軽視している姿勢が目立ち、政策ごとに与党(自公)に擦り寄ったり、離反したりしようとする国民民主党のあり方が少し藤原摂関家的であり、都政や府政では、社会的弱者であるホームレス等の立ち退きやコロナ渦には夜の店や居酒屋等に都職員が立ち入り圧力をかけたり、海外ではイスラエルとパレスチナの人たちが住むガザを(先にハマスがテロ行為を仕掛けてきたとはいえ)虐殺と言っても大袈裟ではない、罪のないガザに住む民間人を大量に殺したり(まるでガザに住む民間人全てがハマスに深く関わっているとでも言うかのように)と今でも、醜い政争もあるし、社会的弱者を差別したり、人と思わず殺したりといったことが行われている現実が、昔も今も変わらないと、この劇を観て感じた。
ただし事実に基づいたこういった時代劇演劇等を観ることで、少しずつそういった偏見や差別、圧力といったことに意識的になり、少しは変わることが出来るんじゃないかと感じた。
『パラレルワールドより愛をこめて』 『パラレルワールドでも恋におちて』
ザ・プレイボーイズ
シアター711(東京都)
2025/02/02 (日) ~ 2025/02/09 (日)公演終了
実演鑑賞
「愛をこめて」観劇。受付でまごついて冒頭を見逃し、急ぎ入場するとシンプルな装置、カラフルな空間で「突如の異変」後のやり取りが始まっている。ただ、二人の関係性にいまいち自信が持てず宙ぶらりんな時間が過ぎる。65分の芝居では開演には間に合いたかった。
役者は「間」を使う芝居を展開。途中イイ話系の気配も漂う。キャラと容姿がまるで違う二人は、タイトルが「パラレル」なら同一人物だろうに「俺たち」って言っちゃってるし(別人の二人、という風にも聞こえる)、暫く人物設定が判らなかった。女子がコロス的に男役やったりと、「ちょっとお粗末様で失敬」が通るコントを幾分拡大した感じで(リアクションに間があるのもお笑いの「察して、笑って」からか)、私はと言えば「いい話系」のお笑いが嫌いなのである。
細部を埋めてくれる演劇でならイイ話は辛うじて受容するが、結論(感動)先取りでリアリティ無視でも感動してくれちゃう観客ばかりと思うなよ・・等とまァ無気になる事もないけれど、斜に構えてしまう。これは失敗だったか・・とつぶした別用が頭をよぎるも、後半は盛り返し、ストーリーを追う構えにはなった。AI風マネージャーの「効率優先の仕事は一流だが生き方ド素人」というイノセントなキャラが恋バナに発展。シリアスな場面はリアル(現実)を仄めかす。大御所に気に入られた相方のお陰で「向こうの世界の俺」は仕事が入って順風満帆。相方は元々高校時代、大笑いさせる台本を見せてくれた「俺」に付いてきた優さ男、「俺」の望みならやろうとする相方の内面に気づかず(あるいは内心気づいて?)、「俺」は世に出る将来像に舞い上がって(相方の「犠牲」で実現する)夢を脳天気にも語る。煮詰まった相方は破綻をきたして入院。ジャニー・Kを想起させるお誘い、また今カノと別れる選択肢まで提示された結果であった。(芸人というよりアイドルの話のようだが..。)
一方「パッとしない」こっちの「俺」は相方に無理させる事はなく、売れないままである。
パラレルの同一人物が人生展開の分岐する時点ですでに「全然違う」ので、「パラレルワールドの話である必然」が揺らぐ。とりわけ俳優としての見た目に準じた「対女子アピール度」の違いは、ネタとしても私には笑えず、フィクションが「素」に戻る(見た目いじりかよ..。と)。そもそも「容姿で変わる」ならずっと前から運命は変わってるはずで、生まれた時点で二人が「同一人物」であるかどうか等分からんし、その前提で物語を語る必要性もなくなる。そこはできれば、「本来同じはずだが内面のどこかが違った故に見た目も変わっている」くらいに見せてほしいわけである。
大御所に気に入られた相方が仕事をもらって成立していたなら、世間から「あいつらそんなに面白んないのにテレビによく出てんな」くらいの齟齬が生じかねない。また、相方がいなくなったのに仕事はもらえてるのか? だったら元々実力はあった。であれば「こっちの世界の俺」も売れてておかしくないのに売れないのは? 何か別の要因(コンプラが厳しくなって・・とか)が説明として加わる必要が出て来る。
感動の場面はある。向こうの「俺」が、こっちの「元気な相方」と対面する。自分の世界に戻って相方と向き合う覚悟をする、という変化がドラマである。
同一人物と勘違いする相手の反応を楽しむ構造は沙翁「間違いの喜劇」の昔から演劇のテンプレだが、王道な展開は良き哉。
全体に演劇的ポテンシャルを高めているものがあり、空気感としては脇の女子二名の活躍が「気持ちの良いスタッフの居酒屋」にいる気分。
スタッフ・ワークはしっかりしている印象だった。後で見ると音楽が「虎に翼」の森優太、耳に心地よく芝居に寄り沿った劇伴は確かに好印象。
デマゴギージャズ
MONO
ABCホール (大阪府)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/02/15 (土) 13:00
座席1階A列12番
観終わったあと、過去、現代のストーリー運び、それぞれのキャラ設定とかもろもろ巧みやなぁと感心するんだけど、観てる最中はただただ面白い。やっぱ、この劇団好きやなぁと改めて思ふ。。
キロキロ
ストスパ
「劇」小劇場(東京都)
2025/02/12 (水) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
高校の同級生が結婚し、式を終えた出席者たちが二次会としてカラオケボックスに集う。そのカラオケボックスで働いている主人公も同じ高校出身で、実は同級生のひとり。案内状は実家に届いたのか、主人公は式の存在を知らず、結婚の事実も知らなかった。35歳を迎えた登場人物たちは、各々の生活事情を抱え、それぞれの「人生の岐路」を意識せざるを得ない状況に陥っていた。
トウカク
ラビット番長
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/18 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
江戸時代末期の将棋指しの天野宗歩の話ということだが、現代の人達と絡めた事でより面白くわかりやすくなったと思います。
毎回、舞台を見ると将棋をやらない私でも夢中になってしまうほど面白い!
開演15分前から始まる初心者将棋講座はへぇとなることがあるのでぜひ見たほうがいいです。
アナタがピンクの似合う子だから
怪奇月蝕キヲテラエ
新宿眼科画廊(東京都)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/02/16 (日) 17:30
価格3,000円
昔赤が好きだった
今でもそんな気持ちはある
実はクールな青も好きで緑はそうでもなかった
青と緑のリュックがあったとき、同年の親戚と選択を迫られ、むこうが青を好きだったのを知っていたじぶん、緑を選択していたな。ということをふと思い出してしまった。
何かに憧れている自分がいて、こうしたいと思う自分がいる
仕事でも日常でもそんな場面てあるあるだと思うんだけれど、あのセリフは響いたな
あの静かな空間に台詞と場面が交錯して、好きだな
ちょっとセリフで?なところもあったけれど、作品としてはとても素敵かと
純正な人生とお取り替えください
劇団ハルガネムシ
大阪大学(豊中キャンパス)(大阪府)
2025/02/15 (土) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
内容は良かったです!学生演劇と思えないクオリティー 言葉の大切さ パクリではない創造等々
しかし、ランタイムが80分がなんと120分に… ハシゴが… できずで
千秋楽だからかもだが スタートも遅れ嫌な感はしたけど…
デマゴギージャズ
MONO
ABCホール (大阪府)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
MONOは一幕ものの作品に慣れていたため、今回は同じ舞台セットで時代が令和と明治を行き来しながら展開するので、少し戸惑いながら観劇しました。小さなイタズラが後に伝説となる。都合の良い事しか受け入れない人達。今の偏ったSNS情報収集につながる。笑いの中で芝居は展開。楽しくも考えさせられる時間でした。
蒙古が襲来
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2025/02/09 (日) ~ 2025/03/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/02/16 (日) 13:00
当日券を求めて電話をかけて、結局キャンセル待ち。
それでも12人は当日券が回って来て、観劇出来た。
当時の生活を想像しながら、面白おかしく楽しめました。
女子らのまつり2025
知らない星
ブルースクエア四谷(東京都)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ここ1年くらいで一番ぐっときました。
過労死とか就活とか見栄とかテーマとしてはベタっちゃベタですが、朝井リョウとか好きな人には刺さるんじゃないかなぁ。
あと、個人的にはやっぱり音楽の使い方が好みですね。音楽大音量でかけて音に併せて動く系のオープニングは好きですし、選曲がマッチしてます。
花と龍
KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2025/02/08 (土) ~ 2025/02/22 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
転球さんがめっちゃかっこいい。ストプレで3時間を超える上演時間なのに長さを感じさせない。そのうえ開演前には舞台上でリアル縁日が開催されていて、開演前の舞台上及び1階客席では飲み食い自由!見に行くとハレの日になること間違いなし。
デマゴギージャズ
MONO
ABCホール (大阪府)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
2プロットコメディ
安定感ある演出で、年齢層は高目だが、若い人にでも楽しめる内容
噛んだ?と思う場面も実は役者の旨さで、全てにいたるまで精密に出来上がっていたと思います
楽しめました!
コルバタ友池組 「画素数の低い愛」
コルバタ
シアターブラッツ(東京都)
2025/02/13 (木) ~ 2025/02/27 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初見の劇団さん。思ってた以上に素敵な良い芝居だったので,とても嬉しくなりました。主人公の子供でも言わないような言い訳?や父親への対応はどうかとも思いますが,それを取り巻く家族や周囲の人間の気持ちが理解でき,そしてヒロインがとても魅力的で,最終的に落ち着くところに落ち着き,温かい物語となっています。爆笑というものはないのですが,微笑ましい笑いもあり,安心して観ていられた観劇時間でした。
カリギュラ
カリギュラ・ワークス
サブテレニアン(東京都)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。満席
未見の演目「カリギュラ」、本来であれば上演時間3時間位の作品らしいが、それを1時間35分に凝縮したという。事前に難しそうな戯曲だと分かっていたが、本公演は 分かり易さを目指し、創意工夫を凝らし新しい翻訳で挑んだとある。不条理劇は、今まで何作品か観てきたが、本作は その中でも重厚にして濃密 そして心に響く秀作。
説明にもある「どうしてカリギュラが月を手に入れたいのか」「その宣言が自分の名なのか」という根本的な疑問、それを漂流するような会話(言葉)から だんだんと浮かび上がらせる。自分の解釈が正しいのか否か、少なくとも その入り口までは導いてくれるような。そこから先は、観客の想像力・感性に委ねられるが、舞台という虚構にも関わらず 激しく心が揺さぶられる。そんな 力 のある公演。観応え十分。
自分なりの解釈では、不条理 対 不条理 その捉え方 考え方の違い。その相容れない溝に横たわる得体の知れないもの、それは本能なのか感情なのか、いずれにしても 理性を飲み込み良識や常識を殺してしまう怖さ。それは誰が誰をという対立のように見えて、実は…。そもそも良識や常識といった条理とは何ぞやという根本をも問う。
「月を欲する」「宣言が自分の名」の疑問以外に、「正邪」「孤独」「生死」等の命題というか意味を投げかけてくる。その議論が広く深く考えさせる。抽象的とも思える内容、その議論の積み重なりを象徴するかのような舞台セット。そして音響・音楽(上演前の重低音の曲 含め)そして照明が効果的で印象に残る。勿論、俳優陣の演技は確かでバランスも良い。
なお、自分の勝手な思いが1つあるのだが…。
(上演時間1時間35分 休憩なし) 2.17追記
キャッツ・ザ・ライフ
劇団ミックスドッグス
王子小劇場(東京都)
2025/02/12 (水) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
アルジャーノンに花束を
劇団まっコイ
表現者工房(大阪府)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
コルバタ友池組 「画素数の低い愛」
コルバタ
シアターブラッツ(東京都)
2025/02/13 (木) ~ 2025/02/27 (木)公演終了
デマゴギージャズ
MONO
ABCホール (大阪府)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
土田英生は正統派演劇者である。個性的である。ユニークすぎます。面白い。独自のお話を築いている。ほかの劇団にはない地味目だが何より孤高路線を走っている。
これらが僕の土田論であります。なんといっても、今回、明治初期と現代とを血縁だけで辿るその見事さ。いやあ、感心いたしました。これぞ土田の魅力なんですね。こんな変な、不思議なことを考え、それを脚本にする作家は他にはおらんだろうと思います。すごいです。
関西の星である。また次作も早く見たいよ!