最新の観てきた!クチコミ一覧

9201-9220件 / 182924件中
点と線のオブリビオン

点と線のオブリビオン

9-States

駅前劇場(東京都)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 字幕が投影されるようになっていて、この使い方もグー。華4つ☆

ネタバレBOX

 いきなり出てきたのがCogito ergo sum.(Je pense, donc je suis.)、デカルトの有名な「方法序説」(Discours de la méthode pour bien conduire sa raison, et chercher la vérité dans les sciences)の要である。このフレーズこそが中世神学の絶対概念に自我を対置しそれまでの神的絶対に対し、思惟する自分を置くことで、当に時代を画す近代への扉を拓いた。この実に数学的な書物の要諦を単に記憶の有無に置き換えている点で違和感を感じたのだが、まあタイトルのOblivion(忘却・忘れられている状態)が主要テーマとなっている今作であり、近代的自我の喪失が惹起する思考根拠の喪失が今作生成の要ともなっているので良しとしよう。ほんの一例を挙げればCovid-19に対する非科学的で矛盾だらけの対応にも何ら一貫性が無いこと(皮肉なことにその出鱈目だけが一貫して変わらなかったという事実)が我々庶民に強いた不合理を暗に示唆してもいようからこれ以上は言わないが、こういった社会的混乱を招いたのが、本来混乱等を抑制しできる限りダメージを低く抑える為の政治や社会システムが、実際には真反対なことを多くやり(ワクチン開発の為の研究費切り、PCR検査機器はいくらでもあるこの国でその使用を不可能にした施策等、政治的には余りにもアホなことが多すぎたし皆さんが既にご存知だろうから書かない)そこで生じた矛盾を利用する悪賢い連中が最も弱い者たちを餌食にしたという物語(実際に多くの詐欺等があった)を創作することによって世間を炙り出した点を評価したい。
 舞台美術も見事である。


ミュージカル 若草物語

ミュージカル 若草物語

桐朋学園芸術短期大学演劇専攻

俳優座劇場(東京都)

2023/02/19 (日) ~ 2023/02/20 (月)公演終了

実演鑑賞

桐朋学生の舞台を観るのは3度目。前回観た「RENT」と比較してしまうが、楽曲・脚本が持つポテンシャルに左右されるのは否めない。桐朋学園だけに福田善之作品には(指導者にとって)思い入れのあるものなのだろう、と思いながら観ていた。1945年の日本の4姉妹と母(夫は出征か戦死か..)の場面と、その次女が心酔して翻訳を試みている「若草物語」の物語世界(劇中劇)の関係性が、今一つ整理されて見えなかった所、後半を占める劇中劇の方のクライマックスを終えて終局に日本に戻り、その日が1945年8月6日と聞くに及び別の物語性が起動する。そして「その時」が訪れるのである。ここで漸くテーマ性から選んだ演目であったと判る。
学生たちはミュージカル専攻のせいか、あるいは演出の問題か、「演技」面で生白さが目立ち、年齢を違えた役柄とのギャップが厳しかったりする。が、後半それなりに見えてくるのが不思議である。

ネタバレBOX

日曜~月曜3公演の初日2ステージ目を拝見。日曜昼から器材トラブルがあり開演が45分遅れるとの案内があり、なおかつ上演時間は休憩込み2時間45分との事だったが、腹を決めて観る事にした。
カーテンコールでは学生らがこれを最後に私たちはそれぞれの道を行く、と挨拶がある。桐朋学園の卒公は「卒業」のドラマ性に集約される所があるな、と思う。終末論ではないが「最後」というだけで誰もがその中にドラマを見る。役者を目指す訳でない人達が集まって一つの舞台を作った感のある舞台にも、「一期一会」の物語性からか情感が漂うことも。舞台での「事故」も物語性を発動させる事がある。芝居とは不思議なもの。。
15 Minutes Made in本多劇場

15 Minutes Made in本多劇場

Mrs.fictions

本多劇場(東京都)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

6作品のうち、特に好きだったのはオイスターズとMrs.fictions。次いでZURULABOか。「上手も下手もないけれど」は、Mrs.fictionsを知るきっかけになった『再生ミセスフィクションズ2』で初めて観た大好きな演目で、本多でこれを観ることができて嬉しい。

『Auld Lang Syne』(オールド・ラング・サイン)

『Auld Lang Syne』(オールド・ラング・サイン)

渡辺源四郎商店

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/02/17 (金) ~ 2023/02/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ナベ源で知ってる名前、山上由里子の元気姿を目で探したが見えない。そう言えば「私も出演します」と言って前説から役に入った畑澤氏、実はこの日だけの出演で山上女史の代役であった。(後になって気づいた)
この畑澤氏の熱演は芝居にガッツリ組み込まれ、違和感がない。戦争の時代を生き抜いた擬人化された船たちの口から「時代へのコミットの意志」がこぼれるのを聞いて、早くも涙腺が緩みそうになった。
(今は日本では歴史は軽視され、道具化され、平然と塗り替えられる。墓の奥に押しやられ、偽物が闊歩する・・不遇の歴史たちが今きちんと自らを主張して立ち上がった、そんな風に感じる自分がいた。日本の惨状の裏返しであり、溜飲を下げたわけである。)
時代の移り変わりとともに登場する船たちの友情、反目、そして和解・・・全てが可愛らしく微笑ましく、ナベ源のミラクルにハマった。
(題名は所謂「蛍の光」の原曲、スコットランド民謡のタイトルらしい。)

コウセイ

コウセイ

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2023/02/23 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

実話をベースにしたこの話を、井保さん演じる棋士を絡めて100分にまとめる手腕がお見事。観客に陰鬱な気分だけで帰らせるようなことはしない、この辺の匙加減がラビット番長のいいところ。

​イノセント・ピープル

​イノセント・ピープル

劇団青年座研究所

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2023/02/10 (金) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

畑澤聖悟氏の本戯曲の舞台は初めて拝見。初演は2010年昴でであった模様。ナベ源のお店で戯曲は売られていないので版権は劇団が持っていると思われる。青年座の研究所発表では数年前にも上演。史実を元にし、原子力研究に携わった当事者が登場する、外国が舞台の話(終盤に日本も舞台になる・・ここは畑澤氏の創作なのかどうかは不明)。研究が行なわれた建物(当時は研究所で今は別の用途になっている)に久々に集まった数名とそのパートナーたち。ホストになるファミリーが物語の軸となり、その時点から年齢を更に重ねて行き、主に3つの年代の場面を時系列で描くという、テーマありきの芝居にしてはユニークな手法で、「家族の物語」という構造を取った事が成功した戯曲とも言える。
最初の場面はベトナム戦争の頃。成績優秀でコロンビア大学合格した息子が訪問者からの祝福を受けるが、本人は別の思いを抱いている。海兵隊に入隊したいという願望が、この場面の終盤で明らかにされる。その後の場面で彼は車椅子姿で登場する事になる。彼の妹は日本人の交際相手を初めて親の前で紹介する。広島出身の彼は反核運動の一環で海外にも原爆の恐ろしさを伝えようと渡米し、そこで彼女と出会った。
集った者らの一部は、原爆は狂ったジャップに戦争を終わらせる僥倖であったと信じ、別の者は自分の研究の倫理性に疑問を拭えない(転職して教員になった)。寡黙なホストの一家の長は、自分は原爆の研究には携わったがそれを使ったのは軍人だ(自分は科学者の使命を全うしただけ)、と考える、最も平均的なスタンスである。だが、老齢になった彼が、息子らと共に、彼氏に嫁いで日本で暮らしていた娘の訃報を聞いて日本を訪れ、彼女と共に活動をしてきた仲間からの言葉をもらう。そして、彼の中で頑なに信じていた(あるいはしがみついていた)考えがほどかれる。ラストシーンまでには、彼の妻の死、教員だった男の自死、原爆を善だと信じていた二人の老いと、時代の移り変わりと個々人の中の変化が(まるで季節が移るように)描かれ、そして自然な成り行きであるかのように、父の変化が描写される。
イノセントとは、原爆の正義に対する淀みない信仰を意味するが、ラストでの父の姿がイノセントに見えてくるのは、娘の存在を介して、その友人たちへの素直な感謝の心が、「謝罪」という態度になった、と見えるからだろう。父が関わった「罪」を背負い、米国人という立場で活動を続けてきた彼女の思いに呼応できる(まっすぐな)人間がそこに居た、という事である。個人に焦点を当てた事により、加害とその罪(ギルティ)、その対極のイデアとしてのイノセントが見事に描かれた作品。
若い役者たちは役柄上自然な事として背伸びが見られるが、奮闘していた。

スプリング・スプリング

スプリング・スプリング

yoowa ユウワ

王子小劇場(東京都)

2023/02/23 (木) ~ 2023/02/28 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/02/24 (金) 19:00

初見のユニット、と言うより、事実上の旗揚げ公演らしい。ミュージカル・ファンタジーとでも言おうか(^_^;)。138分。
 重い心臓病で入院した青年の物語と、彼が書く「劇」の物語が絡み合う、やや複雑な展開をミュージカル仕立てに。技術的な高さは分かるのだが、終盤になっても新たなエピソードが出て来る感じがしてしまい、物語に入り込めないのは私がミュージカル好きではないからだろうか。老人という設定のナカザワ役がそう見えないのも勿体ない。

15 Minutes Made in本多劇場

15 Minutes Made in本多劇場

Mrs.fictions

本多劇場(東京都)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

参加団体の出来にも依存する本企画を折節に開催して16年、改めてMrs.fictionsというユニットの独特さを感ずる。ラストは必ず同ユニットの作品が締める。本多劇場での開催について「漸く・・進出」と前説今村氏が口にしたが、名のみならず実も、スペースに見合う堂々たるもので、久々に観客と同じ感覚を共感した気になれた「劇場」の時間であった。
個人的にはオイスターズが一番の目当て。期待に違わずであった。

ネタバレBOX

舞台の背面に格子状の線が渡され(装置にグラフィックを重ねたような)、演目の間にそこがぼうっと光って(暗転明かり)、「これなんだろう」とぼんやり観劇中は眺めていたが、終演後劇場の階段を下りる時に「あ、本多劇場の玄関口のデザイン」と気づいた(遅い)。そう言えばチラシの写真もそれであった。

さて観劇の方。必ず一度は襲われる睡魔は二作目が始まって程なくやってきた。しかも芝居といのが間断なく早口で台詞を連打し合い、音を意味に転換する速度が眠気で落ちている所へ、それより少し先を行くスピードで喋るので、意味を持たない「音」が脳内に積み上がり、終いに追いつかなくなり、ついに寝落ち。途切れなく続く「意味なし音」が、非常に心地よい眠りを確保する。そして芝居が終った静寂で目が醒める。完璧だ。おかげで他の演目を全て晴れ渡った頭で観ることができた。
(割と最近あった例外は、鹿殺しの最新公演にて、体は休息を欲しているのに目を閉じさせない=それだけ観客を飽きさせない。それで段々と気分が悪くなり、青ざめてきた。やはり寝たい時に寝るのが健康のコツ、健康コツである。)

オイスターズは大いにツボであったが、予期せず秀逸であったのはラストを飾ったMrs.fictionsの二人芝居。
スター気取りの主演俳優の楽屋に入ってきた、田舎出の新人女優。稽古初日に遅れてきた上に女性楽屋は一杯なので、空いた席を貸して下さらない?・・・無遠慮というより鷹揚でしかしソツがなく相手との距離の取り方が絶妙。自頭の良さに男が次第に惹かれて行くような、そういう女性(というか男にとってのそういう存在)を形象し、男の方は相手に翻弄されているのか守ろうとしているのか、曰く言い難い関係性が続いて行く時間経過が描かれる。
「気取り」、と書いたが、最初そう見えたのは二人の演技スタイル?というのが米産ドラマの吹替バージョン(昔友近となだぎ武がやってたコントのような。といってもこちらは茶化してはいない。時々笑いにはなる)。この喋りが合う芝居である。
初日以来二人はずっと隣同士でメークをし、「結局ずっとこの楽屋に居ちゃったわね。迷惑じゃなかった?」。最初が良かったからゲンを担ぐっていうか・・。競争の激しい中で女はうまく生き残り、男とコンビで主演を張るようになる。数年が経ち、また時間が経つ。二人は一方を袖から舞台へ送り出し、また自分が去る。女が俯いている時、男は済まないと言いながら「出番だから」と出て行く。
時間経過の目印はなく、台詞の様相の変化で大きな時間経過を伝える。本番に備える楽屋(舞台袖)を比喩的に用いた一組の夫婦の物語のようであり、また疑似夫婦のように長い付き合いとなった男女の俳優のようでもある。
ある時、後輩が入ったと語る女優はナイーブになるどころか「可愛がり過ぎてしまいそう」と嬉々とはしゃぐ。観客の心も洗われるのであるが、程なく「彼女、いなくなった」と落胆する。後輩とは、二人の間の子供であった(あるいはそれほどの大事な存在を失った)と知れる。
話す内容も風貌も、齢を重ね、老境に至って二人の間に信頼、安心がようやくのこと、芽生えている事が見える。袖へ向かう女優が「私、今日が最後だから」と言い、「あ、そうだった。」と男。何かを言わなければと探す男は、自分は相手が最も必要とする時にその事を与えてやれなかった、と長年積もった思いを吐き出す。その埋め合わせもしない内に去って行くのか、と泣きそうになる男に女は、「いつか来る日だから」と男を慰める。
言葉の妙で、両義的な場面をその曖昧なままに心地よく見せる磨かれた舞台。
コウセイ

コウセイ

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2023/02/23 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今年初めての観劇。このような素晴らしい芝居に出会えてとても嬉しい。
ラビット番長さんの定番の芝居ももちろん好きであるが,「虹の人」のようにラビット番長さんの別の顔を観れたようで,幅広く奥が深い劇団さんと,改めて感心させられました。
まず井保さんの脚本が良い。問題提起した視点が良いし,重くなりすぎず適度な人の温かさが保たれ,観劇後感も心地よい。そして役者さんの表情や演技も素晴らしい。もうケチをつける余地なんてないんじゃないかと思えるほどでした。総じて,安心して観劇出来,期待以上の満足感を得られた芝居。
やはりラビット番長さん,この劇団,この芝居は絶対おススメである。

点と線のオブリビオン

点と線のオブリビオン

9-States

駅前劇場(東京都)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

前回作品に続き拝見。とても面白かったです。セットもしっかりしていて。モニターの使い方も良いですね。前回は少し戸惑いましたが今回は、慣れました。内容もとてもドラマチックで、見ごたえがあり2時間があっという間でした。役者の皆さんの演技も素晴らしかったです。次回も期待です

15 Minutes Made in本多劇場

15 Minutes Made in本多劇場

Mrs.fictions

本多劇場(東京都)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/02/24 (金) 19:00

 15 Minutes Made(フィフティーン・ミニッツ・メイド)はMrs.fictions(ミセス・フィクションズ)が2007年の旗揚げ当初から継続的に開催しているオムニバスイベント。
 6つの団体(Mrs.fictions含む)がそれぞれ約15分ずつの短編作品を一挙に上演することで、多様な舞台表現をより身近に、手軽に楽しんでもらいたいというコンセプトの元、これまでに東西ツアー等を含め延べ17回開催されているということで、今回は、このイベントの主催劇団も含めて6団体が参加しており、そのなかには緒方恵美が設立した声優事務所や、女性お笑い芸人を迎えての劇団など特殊な団体も混ざっており、それぞれの個性が存分に発揮されていて、全体として良かった。

 最初のロロという劇団による『西瓜橋商店街綱引大会』という劇では、よくありそうな平凡なタイトルとは裏腹に、実際には寂れた商店街の端から端までを使って行う綱引大会というぶっ飛んだ設定の上に、俄然乗り気の中年夫婦の夫モダが綱を引っ張ると、綱を引っ張り合う相手がなぜかエイリアンで、しかもグイグイと捕食しようとしてくる上に、その状況の中でゆったりと妻ずみがしょうもない理由で離婚を切り出してきたりと、奇想天外で、不条理で、ブラックユーモアに富んでいて、ポップでサブカルな要素もあって、大いに笑え、時に背筋が凍りつき、気付くとそのどこか噛み合わない世界観に引き込まれていた。
 モダ役の亀島一徳さんとずみ役の望月綾乃さんの絶妙に噛み合わない会話と独特な喋り方、身振り手振りに強烈な個性を感じ、これから俳優としてもっとグレードアップしていけると感じた。

 演劇集団キャラメルボックスは、芥川龍之介作の『魔術』を息のあったボディーパーカッションと、台詞をもあくまで語り手の延長線上で話していく実験的な朗読劇の手法をとっていて、『魔術』という妖しくも摩訶不思議な掴みどころのない作品に合っていて、聴き惚れ、その完成度の高さに眼を見張りました。

 ZURULABOという団体の『ワルツ』という作品では、最初のうちは交通事故で亡くなった父親が娘のピアノの発表会に行って娘に会いたい未練を謎の声が叶えてくれる所までは、どこかの少し不思議で最後は幸福になれる感動話として、映画や演劇、小説などでよくありがちだ。しかし、そこから先が予想を遥かに裏切って、露骨な下ネタ満載、余りにくだらなく、しょうもなく、シュールな内容に、思わず吹き出し、少し考えさせられた。


 休憩明けは、声優緒方恵美が設立した声優事務所BreatheArtsによる朗読劇『真夜中の屋上で』から始まった。
 声優さんたちだけあって朗読劇が下手ではないのだが、演劇的要素0で、声優が生で朗読している感が強かったのが非常に残念だった。つまり、キャラに特化しすぎていて、更に内容が少し不思議ではあるが、ボーイミーツガール感が露骨過ぎるのも気になった。

 オイスターズという劇団による、女性お笑い芸人を役者に迎えての『またコント』という劇では、職を失った会社員が無気力に踏切で飛び降り自殺しようとしているところへ、お笑い芸人を目指し、相方探しに邁進する素人の女と、あまり乗り気でない男が飛び込んできた。
 そして、その男と女に振り回され、自分が思い詰めていたことなんかどうでも良くなり、ひたすら慣れず息の合わないツッコミをし、多少滑っていることに気付かない元会社員の男とイビツで噛み合わないが、凸凹コンビで、女役の女性お笑い芸人安田遥香さんの軽妙だけれどマイペースで、鋭い毒のあるツッコミと大いに楽しめた。

 最後のMrs.fictionsによる劇『上手も下手もないけれど』では、どこかの国のどこかの街のどこかの劇場、楽屋の鏡前に座り化粧をする二人の男女という設定で、子役上がりの男優初舞台を控えた新人女優に訪れる開幕と閉幕を描いた物語。
 人生は演劇のようだとはいったもので、まさにこの劇を言い当てるのにぴったしな言葉だと感じた。最後、女優が舞台に向かって去っていく際に紙吹雪が飛んでくる辺り、人生の終着点と重ねているようにも思え、深く感動した。
 また清水邦夫の名作『楽屋』にインスピレーションを経て、またすごくリスペクトしてできた作品のようにも思えた。

15 Minutes Made in本多劇場

15 Minutes Made in本多劇場

Mrs.fictions

本多劇場(東京都)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

6団体それぞれの個性と持ち味があり、幕の内弁当的に楽しませてもらった。15分という区切りも飽きが来ずちょうどよい。

ネタバレBOX

個人的評価(★5個で満点)
①ロロ「西瓜橋商店街綱引大会」★★★★
ファンタジーと日常の混ざり具合が秀逸。あのエイリアンの衣装、どこから調達してきたのだろう?とてもリアルだった。

②演劇集団キャラメルボックス「魔術」★★
活舌は素晴らしいけど台詞が一本調子であまり内容が入ってこなかった。ドラムもさほどうまく機能していなかったように思う。

③ZURULABO「ワルツ」★★☆
アルコ&ピースのネタ「受精」を思い出した。わざとオフビートにしたのかもしれないけど今ひとつテンポが悪く間延びしていた気がした。

④BleatheArts「真夜中の屋上で」★★★☆
声優による朗読劇ということであまり期待していなかったけど思いのほかよかった。大林監督の「異人たちの夏」や「ふたり」を彷彿させる死者との束の間の邂逅にグッときた。

⑤オイスターズ「またコント」★★★★
ともすれば関西の大学生がコンパで「そこボケるとこやろー」とか「今のボケやねんからツッコめやー」などと言うような薄ら寒い「お笑い芸人ごっこ」に終わりそうなところ、ギリギリで回避しきちんと笑いに持って行っていた。女優さんの間とテンポが上手。

⑥Mrs.fictions「上手も下手もないけれど」★★★☆
トリにふさわしい盤石の内容と演技。ただ何度も再演しているので新鮮味には欠けた。別のお芝居も観たかった。

それぞれに十分楽しませてもらったけど、均衡を突き破るような爆発的な面白みを感じるお芝居も観たかった、というのは求めすぎだろうか。
どこにもいない

どこにもいない

啓蒙ヌードル

ART THEATER 上野小劇場(東京都)

2023/02/24 (金) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/02/24 (金) 19:00

85分。休憩なし。

コウセイ

コウセイ

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2023/02/23 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/02/24 (金) 15:00

105分。休憩なし。

なるべく派手な服を着る

なるべく派手な服を着る

MONO

AI・HALL(兵庫県)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/02/24 (金) 19:00

初演(2008)で迷路の行き来が笑いを誘った記憶がよみがえってきます。2008年の舞台では、退団した西野千雅子さん、増田記子さんが在籍していればこの役をしていたなと思いながら当時観劇していました。
再演、良かったです。
家庭の団欒から崩壊そして再生、MONOらしい面白おかしく展開してあっというまの2時間でした。梢(立川茜さん)の存在感が光っていた。

ネタバレBOX

終盤、いつも忘れられていた五男を兄弟逹が名前で呼び当時のことを思い出し、そして恋人だった梢が声をかける場面は感動的でした。
時間よ止まれ

時間よ止まれ

東京タンバリン

小劇場B1(東京都)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/28 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

東京タンバリンさんは回転運動が好きですよね、小劇場のデ・パルマか。

点と線のオブリビオン

点と線のオブリビオン

9-States

駅前劇場(東京都)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

めっちゃいい!演者も舞台美術も!アットホームドラマと思ったら、えっそーゆー感じ?お見事です♪

日記

日記

カリンカ

OFF OFFシアター(東京都)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/28 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

プロマイドもっと買えば良かった

15 Minutes Made in本多劇場

15 Minutes Made in本多劇場

Mrs.fictions

本多劇場(東京都)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

緒方恵美が妖怪みたいだった

コウセイ

コウセイ

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2023/02/23 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

岡田更生館事件を元にした話だが陰鬱な感じだけではなく、面白さと人の温かさを描いているのはさすがラビット番長。
見ごたえのある1時間40分でした。

このページのQRコードです。

拡大