最新の観てきた!クチコミ一覧

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メモリーがいっぱい

メモリーがいっぱい

ラゾーナ川崎プラザソル

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2025/01/24 (金) ~ 2025/02/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

良かったです。メモリーがいっぱいでした。泣けました。最近は涙よりも先に鼻水が垂れてくるので、マスクの中がぐちゃぐちゃになりました。
レプリカントほどのロボットではありませんが、お父さんの愛はプログラムのなせる技ではないと信じたい。
たくさん笑えるシーンもありまして、私的には缶蹴りのシーンの小技(?)がツボでした。

ケレン・ヘラー

ケレン・ヘラー

くによし組

シアタートラム(東京都)

2024/12/19 (木) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

観劇後すぐは、観客が登場人物たちを十分に理解し、愛するための要素が人物造形にも文脈にも足りていないように感じて、それだけに物語に没入しづらかったり、クライマックスシーンで描かれる痛みをその濃度で受け取れなかったように感じていた。しかし、本作が描きたかった本質はそこではなく、むしろ逆なのかもしれない。
売れる=愛されるということへの疑問や、大衆から浴びせられる愛の不確かさと脆さ、幸せである状態よりも不幸である状態の方が注目が集まるという皮肉…。そういったこともがこちらに問いかけられているのかもしれない、という気持ちになってからが本当の余韻の時間であったように思う。
そんな観劇後すぐには気づけなかった本作がもつ途轍もない問いかけとエクスキューズに後々くらった。

「笑い」という暴力、過激化する欲求、「面白さ」の成立と同時に失われるもの、その残酷。
(とくに前半は)一見そうはみえないようなポップな手触りとなっているけど、その実切実なまでの社会への批評性が通底する作品だった。その意図の有無は分からずとも、奇しくもこれが今こその改革を要するM-1直前の上演であったことも含めて。
「笑い」を巡る暴力性や歯止めのきかない承認欲求、頭ひとつ抜きん出るために過激化していくパフォーマンス、SNSをはじめとする匿名性を有したメディアを通じて顔の見えぬ者によって築かれる名声や評価、そうした中で見失われる本質、そして、されども貫かれる狂気と信念。振り返るたびに示唆に富んだ上演であったと痛感する。

アンナの銀河

アンナの銀河

演劇集団nohup

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/01/22 (水) ~ 2025/01/27 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いやー、面白かったです。最初ノアの方舟的な話かな…と思いましたら、完全にアンネの日記のオマージュでしたね。話のテンポもよく演技もすばらしくお世辞抜きで楽しめました。ふつうに次作を期待しちゃいたくなってしまう劇団です。これからの活躍にめっちゃ期待させていただきますね^^

ゲイ・モノローグ

ゲイ・モノローグ

y/n

STスポット(神奈川県)

2024/12/13 (金) ~ 2024/12/16 (月)公演終了

実演鑑賞

初日。ギリギリだったけど、観られてよかった。

おぐセンターでのワークインプログレスのような公演で「この言葉と風景を多くの人に」と感じていたあるシーンが、前後の文脈含めてより強固なものになっていた。
他者の気持ちを「想像すること」を忘れずにいたいと生きているつもりでも、「想像することさえ必要でなくなればいい」と思う人がいることまでは想像が及んでいなかった。
この題材においてはマジョリティに振り分けられる自分、そんな自分が知らずに手にしている特権性のようなものを痛感させられた。必要な機会だった。

私はこの公演を田舎の両親にも観てほしいと感じた。
y/nのレクチャーパフォーマンスは都市部のみならず地域にも持ち出される意義があると思う。なんなら教育現場でやってほしい。もちろん持ち出しではなく国のお金で。その意味があると思う。死と生/性と生が痛切に背中合わせとなったあの言葉を私は忘れない。忘れてはならないと思う。必要な時間だった。
(※この題材のパフォーマンスを受けて、「満足」してしまうことは作品が伝えようとしていたこと、それを受け取った自分の体感にも逆行する行為に感じるため、「満足度」は空きにします。ただ、観られてとてもよかった。)

おわるのをまっている

おわるのをまっている

劇団 贅沢貧乏

シアタートラム(東京都)

2024/12/07 (土) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初日を観劇。三度に渡る拍手、劇場に満ちるその音がとても温かくて落涙。あの拍手には作品や作家や劇団への待望と敬愛が、それから、複雑な心身を抱えながら其々の今を生きる互いへの労いや祝福が込められている様に感じてならなかった。みんなで抱きしめ合うみたいな拍手だった。
ここ数日それこそ不調ゾーン入っちゃってたけれど、シアタートラム行ったらそこにはとても勇気がいったはずの、だけどその分やさしい言葉や景色があって、「わたしも同じことあるよ」って言ってくれる人がいて、好きな人に沢山会えて、私はこの人たちと一緒にあの温かい拍手してたんだな、と思ってまだ胸がいっぱいの帰路。
そういうことがすこやかな心を保つためにはとても必要なのだということを気づかせてくれる劇。

その後しばらくして、色々やらなきゃなのに何もする気が起きず後ろめたさにまたやられていたとき、とりあえず温か靴下はいてあのホテルのみんなを思い出していた。そうこうしてたら観てほしい人の顔が浮かんで連絡して、こちらがもらった言葉に励まされたりして。しんどい時こそ出会ってほしい演劇だなと痛感する。そういう演劇はとても少ないとも思う。

平和によるうしろめたさの為の

平和によるうしろめたさの為の

城山羊の会

小劇場B1(東京都)

2024/12/04 (水) ~ 2024/12/17 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

城山羊の会観ずして年は越せんぞ、ということで今年も無事観劇。背徳的快楽に身を任せる時とその前後。エッチで上質な会話劇にぼんやり浮かぶ寂寞と切実。共感してしまったよ。城山羊が初の友人を誘ったのですが観る前から絶対面白いという安心感の元おすすめでき、実際はそのさらに上をいく面白さ!

まよかげ/Mayokage

まよかげ/Mayokage

篠田千明

世田谷代田 仁慈保幼園 Piazza(東京都)

2024/12/05 (木) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

お迎えからその足で、篠田千明『まよかげ/Mayokage』初日に10歳、6歳の子どもらと。
一緒にいながら3人別々の光や影や音を追い、其々に心を動かすとてもいい時間だった。
私はワヤンを見つめる時とその影を追う時を交互に重ねながら、魂の在処や赦しや畏れについて考えるなど。
たかくらかずきさんの手がけるキャラクターたち、その愛嬌にもぐっと心を奪われる。子どもらは1つずつ好みのグッズも購入し早速絵を描いていた。とても面白かったと。思い切って連れてきてよかった。それぞれ好きな神様や怪物や生物を発表し合う帰路。畏怖についてのQに対して子どもたちが選んだAも含めて気づきの多い夜だった。

三月の5日間

三月の5日間

7度

北千住BUoY(東京都)

2024/12/05 (木) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

※会場での通し稽古の見学ですが、とても興味深い公演で記録しておきたいので残します。ご了承ください。(ゆえに公演としての満足度については空きにさせていただきます)

チェルフィッチュ初演はおろかリクリエーションも観逃してる私にとっては初めての『三月の5日間』。前説から渋谷の街の風景のみならずそこに身を置いた時の体感をも握らせる導入がとても効いていて、不思議な没入感を堪能。一人芝居というよりは一人語りという感じで声が印象的な演劇でした。照明や音響、BUoYという独特な空間との共振あるいは違和が加わった時、また別の体感が生まれるのではないかと思います。

レットイットビーム

レットイットビーム

コメディアス

OFF OFFシアター(東京都)

2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初めてのコメディアスを『レットイットビーム』で。
文字通りレーザービームを駆使した科学と演劇の融合、インディージョーンズのアトラクションのような体感。
もうこれは変態的なまでの飽くなき偏愛と探究心を以て「光」という科学、文明、いや神秘に迫る大実験劇。発明レベルの圧倒的舞台装置、反射と屈折、そして、その光路の果てに現れる科学では証明不可能なヒューマニズムとユーモア。新たな"光"が眩しい演劇だった!

たずね先

たずね先

ワワフラミンゴ

プーク人形劇場(東京都)

2024/11/28 (木) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今日の”たずね先”は大好きなプーク人形劇場(劇場ぴったり)。
色んな人に「絶対好きだよ!」と言われつつ観逃してしまってたのですが、こんなにもやさしくかわいく、可笑しくて愛らしい演劇が今新宿に発生していること、私も忽ち1億人に言って回りたくなった。心がほぐれる時間。みんな愛おしい。

もう一つ大事なことは、ワワフラミンゴ初観劇の人対象の初フラミンゴ割使わせてもらったということ。これもまたとってもやさしい、うれしい計らい。私みたく観たくて観逃してきちゃった人や演劇にむずかしい印象をお持ちでなかなか劇場に足が向かない方も是非この機会にと思いました。心がふかふかになります。なりました。

赤砂

赤砂

不条理コントユニットMELT

SPACE EDGE(東京都)

2024/11/30 (土) ~ 2024/12/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

MELT『赤砂』久々のEDGEで。ビジュアルやコピーにしろ映像や音楽にしろめっちゃかっこいいのに、しっかりくだらないの本当清々しい。凄まじいスケールの話とあまりにみみっちい話が往来した結果、これぞ人類?と核心に迫られた気になってしまったのも手腕か。配役も空間もバチ決まりのSF 悲喜劇でした。

間の時間

間の時間

愛知県芸術劇場/Dance Base Yokohama

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2024/12/07 (土) ~ 2024/12/09 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

愛知県芸術劇場×Dance Base Yokohama「パフォーミングアーツ・セレクション」Bを10歳娘と。
個性豊かな3つのパフォーマンスがそれぞれ自分の心身の別々の場所を訪れる。そのアクセスで初めて気づく感覚や感情、記憶もあり踊りの奥深さや身体が否応なく抱えるドラマを改めて思い知った。濃密な時間だった。


①柿崎麻莉子「Can't Sleeper」自分の身体との対話について考えさせられた。耳を澄ませたらその囁きがふとどこからか漏れ聞こえてくる様な柿崎さんと堀田さんの身体の動きや流れ。それらが重なり、解けてまた重なっていく中、なぜか遠い郷愁に触れた気がした。観客の言葉との交わりにも胸がぎゅっと。

②岡田利規×酒井はな『ジゼルのあらすじ』古典を網羅した人の身体から発せられる現代口語。ジゼルの物語と酒井さんの生き様が混ざり合って"あらすじ"に止まらぬ新たな全幕を見た心地。酒井さんのコメディエンヌっぷりに感嘆しつつ"悲劇のヒロインらしさ"に収められる女性へのクエスチョンも受け取った。

③島地保武×環ROY『あいのて』裏面や側面をもがぐっと開かれた舞台がそのまま心象風景へと繋がる様な時間。刻まれた記憶や意識/無意識に重なる履歴、身体に宿る様々なアーカイブその在処へと導かれるパフォーマンスだった。ラップの韻と身体の動と静の間がまさにあいのて如くハマった瞬間ドキッとした。

ダンスは全然詳しくなくて子が習うようになって興味を寄せるようになったのだけど、身体とはこんなにも自由で無限なのだと改めて感じてこの体感忘れたくないな、と綴った。B以外の作品観られなかったのが悔やまれるけどインタビュー読んで想像するなどもして踊りを知らぬ身体で踊りたくなる一日でした。
観劇中娘の爪先がトゥシューズを履く時みたく自然にのびゆくのが目に入り一緒にきてよかったと心から。あの爪先を久々にみた。(訳あってお休みしていたバレエを年明け再開するにあたり不安がないか気になってたけど今日「楽しみになってきた」と言っていた。バレエもヒップホップも楽しんでほしいな)

アンナの銀河

アンナの銀河

演劇集団nohup

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/01/22 (水) ~ 2025/01/27 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

月曜日の12時開演という他とは重ならない時間の上、座席間がゆったりしてて良かった。

『リタの教育』『オレアナ』二作同時上演

『リタの教育』『オレアナ』二作同時上演

稲葉賀恵 一川華 ポウジュ

シアター風姿花伝(東京都)

2025/01/11 (土) ~ 2025/01/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「リタの教育」も観劇。今回の企画の主眼だが「オレアナ」と同キャストによる二人芝居、男性教授とその研究室を訪ねて来る女学生、という設定も同じだ。
設定は同じだが、当然ながら話も役柄も違う。「オレアナ」はある決意を秘めた学生との緊迫の一夜と最後に後日談がある一気呵成の芝居だが、本作は若い既婚女性が「一般人枠」に応募し教授との対話の中で「知る」喜びを獲得して行く数年にわたる経過を描いた休憩有り2時間超えの芝居。女性は夫との生活の中で素朴に感じた疑問、「このままでは先に進めない」という予感が「学び」に向かわせた模様なのだが、文学系の教授に彼女は畏怖する事がなく「あんた」と呼び、彼女なりの言葉で物事に迫って行く。その理解のプロセスが独特で教授は彼女の吸収力や学ぶモチベーションを発見する。「教える」喜びを思い出したかのようである。
「オレアナ」はハラスメントという剣呑なテーマを扱ったが、後者は「教える・学ぶ」関係の根本を抉る辛辣な喜劇、と言える。だが彼女が学生らとの交流を話し、海外旅行の話をすると微妙な感情がもたげるのが分かる。物事の理解が増した彼女は学生らとも積極的に付き合い、特に親しい一人の女子学生の意見をまじえて話すようになる。彼女が訪ねて来て間もない頃、こんなやり取りがある。彼女が書いた(ある文学作品を読んでの)セオリーを無視したレポートの中に魅力を見出したらしい教授がいる。彼女が言う、「テストに合格するために何が必要かを教えてほしい」。と、教授「その方法はあるし教える事もできる。だがそんな無味乾燥なつまらないもののために、君が持っているこれ(レポート用紙を示しながら)を捨てる事に何の価値がある」・・数年後、彼女の訪問が間遠になり、教授はどこか荒んでいる。彼女は相変わらずこの場所を自分の場所としていたいにも関わらず、教授は元々好きだった酒の毒がいよいよ回り、酩酊状態で教壇に立って放言をした事が問題となり処分を受ける事になる。懲戒は免れ、オーストラリアにある学術施設に2年間放逐される事となり、荷造りの日に彼女が研究室を訪ね(あるいは呼び出したかして)最後にシーンとなるが、ドラマの頂点はその少し前、教授にとっての危機が全開の時。反発のやり取りの中で女学生はついに「嫉妬」の言葉を出す。前は可愛い赤ん坊だったのに、今は自分で何でもできる。それを認めてほしい、私たちは対等だと。これに対しだったら出て行くがいい、と教授が言うのに対し彼女は「ここは残しておきたい」と訴える。自分にはここが必要であり、訊ねる事は少なくなっても自分にとっての場所なのだと。明確に親離れと子離れの話と相似なのだが、ボロボロに見える教授が彼女にある事を言う。それは彼なりの文学観・世界観の表明である。即ち彼女は学問というツールを用いて学生らと議論をし、アカデミックな仕事に勤しむ手腕を手にした、のであるが、それはたかだか大学(あるいは学問の世界)で暮らす事ができる方法であるに過ぎない。本当に学問的である事、真実を見るために切り開くべきフィールドを探し続ける態度こそ、価値あるものだ・・。この芝居で、リタが怯む一瞬が過ぎるのはここだけであるが(私がそう感じただけで殆どサブリミナルなサインであったが)、去り際の場面と合せて、彼が研究者としての体裁や人からの評価に飢えた薄っぺらな人物である事を免れている。ささやかに盛り込まれたテーマは演劇製作においても、政治においても、革新であろうとする事とは何か、について考えさせられる。

微妙なニュアンスの描出によって人間の関係の変化を抉り出し、厳しい現実の中に希望を見出させる二作であった。

メモリーがいっぱい

メモリーがいっぱい

ラゾーナ川崎プラザソル

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2025/01/24 (金) ~ 2025/02/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 ベシミル! 役者陣の演技が良い。父・大地役、大地の親友・翔太役が特に気に入ったが上手い役者が揃い、演出、脚本もグー。舞台美術も気に入った。

ネタバレBOX

 川崎市の市政100周年記念事業の一環として若手演劇人によってプラザソルで上演されている今作、こういうとちょうっと硬いが家族連れで観て楽しめるというコンセプトで創られ、話は結婚を決めたりつが彼・登志夫と共に故郷の離島を訪ねるが、未だ彼に父がロボットであることは話しておらず、彼は挨拶の席で父に殴られてしまった。何故、人間であるりつの父がロボットなのか? この理由を島の婆さん・キヌが説明するという形で進むので物語の筋も組み立て方も分かり易い。尺も2時間と程よく、何といっても結婚の挨拶に久しぶりに故郷を訪ねたりつの父・大地が型落ちのロボットという設定が良い。而も

大地を演じている役者さん(豊田 豪さん)の演技は秀逸。
 舞台美術も平台を多数幾重にも重ねて作り、而も踊り場に当てられた部分は一部を他の平台で支えることによって安定させる構造になって居る為長方形、正方形、直方体等矩形で構成されているが、ただ積み上げる単純な構造にならず緊張感のある作りになって居る。のみならずホリゾントには高低差のある木製の丁度アイスクリームのバーのような形の文様が踊りアクセントを付けている他、名画・ヴィーナスの誕生のように貝殻から立ち上がるヴィーナスの代わりに放射状に広がる光線が放射状に広がって独特のアクセントを付けている。役者陣の演技は良い役者を揃えてレベルの高い演技であり、演出もグー。脚本も押しつけがましさがなくホームドラマの定石を弁えつつそれを感じさせない作りで笑いも随所に鏤められ今作の肝・親子の愛とそれを支える島の人々の情、ヒロインの父が人型ロボット(試作機)であるという異常な状況を島の大人たちに受け入れさせるのがヒロインの学校友達であるという実に自然な描き方も素晴らしい。
 子供というものは、孤りで大きくなったような勘違いをしでかし勝ちだ。然し齢を重ね父母を亡くして長い時を経て初めて親の注いでくれた深い愛や慈しみの有難さ、その何物にも代えられぬ稀有な僥倖を知って後悔するのではないか? そんな思いをしみじみ噛みしめさせてくれた秀作である。
『鯨よ!私の手に乗れ』『りぼん』

『鯨よ!私の手に乗れ』『りぼん』

オフィス3〇〇

本多劇場(東京都)

2025/01/08 (水) ~ 2025/01/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

直前に観劇を思い立ったものの本多は後方が厳しかったなと些か逡巡。しかし宣した以上は観るべしと足を運んだ。顔は判然とせずとも芝居はよく届いた。歌の比重が高く、ヘッドセットのマイクのためか誰が喋っているか探す場面が多々(自分が喋ってるという芝居してちょ、と内心こぼす)。
戦時下の日本や戦後の幾つかの時期を、説明抜きに行き来する3◯◯ならではのカオス演劇。中心となる女性たち(同潤会アパートの住人たち)は縁りの女優か、知らぬ名もあるが演技が「届く」面々。全体としてアンサンブルも含め華やぎ賑やかしい出演陣が舞台を埋め、群像たちの個体識別は未完に終わったが、様々な「喪失」の悲哀の重層低音を響かせる3時間近いドラマは「再会と獲得」を暗喩するラストで締め括られた。何のかの言って最後には渡辺えり氏がこの機に再演に付した思いが切々と迫って来るのであった。

取り戻せ、カラー

取り戻せ、カラー

アマヤドリ

吉祥寺シアター(東京都)

2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

広田氏の私小説的物語であるそうだが、もちろんフィクションを織り交ぜているとしても、この、かなり壮絶な半生と、祖父母や両親の人生と、これから向き合わなくてはいけない「母」や「きょうだい」「きょうだいの家族」「自分の家族」と、これから先を生きる者たちが抱えるかもしれない「血の繋がり」の呪縛等々を「舞台作品」とし世に出したことに、まず感服する。
そして、タイトルの「取り戻せ、カラー」は、これからカラーを取り戻しに行く広田氏の覚悟と決意表明のようにも感じて、胸が熱くなる。
登場人物が多く、時代が行き来するので混乱するかと思ったが、そこはさすが実力の確かな役者さん揃い。素晴らしかった。
特に相葉るかさんは、ちょっと、いやかなりエキセントリックな母親を見事に演じていて素晴らしかった。

「アマヤドリ」活動休止前最終公演とのこと。
いろいろな事情があるとは思うので、何年先になるかはわかりませんが、どうか近い将来に「カラー」を取り戻して更に深みを増した広田氏の脚本・演出で「活動再開記念公演」が行われることを切に願う。

ネタバレBOX

夜逃げやら何やらあったからなのか、途中から某宗教団体は退会したようだが、がっつり宗教活動をしていた両親の元で育った時間が一番長い長女が、現代医学を否定し、何かちょっと怪しいスピリチュアルに傾倒しているのが妙にリアルだった。宗教が全て悪いと言うつもりはないが、幼少期の体験はその後の人生に大きく影響することが少なくないので、宗教から離れても、そっちに拠り所を見つけちゃったのかと思うと、なんだか切ない。
妻の死後、女を作って子ども三人を捨てるように祖母に丸投げしたマンサクと、血の繋がらない晋作を自分の子どもだと言い切るケンヂの対比や、親は子どもを捨てても、子どもは親を捨てられない、血の呪縛から逃れられない苦悩なども見事だった。
メモリーがいっぱい

メモリーがいっぱい

ラゾーナ川崎プラザソル

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2025/01/24 (金) ~ 2025/02/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

主役のロボットの父(豊田豪)の演技、我々ロボットを想像するようなや動きや台詞回し。それは面白いのですが、暗転の場面、普通、そこでは演技はしないものです。でも彼は暗くなってもロボットを演じていました。実は以前、『ガラスの動物園』と言う芝居、ローラ役の女優、足が不自由な役なのですが、暗転になると普通の動きをしていました。それを批判的に書いていた投稿がありましたが、私は芝居のルール、その良し悪しは分かりませんでした。でも暗転の場面でも観客は目を凝らしています。俳優が、そこまでの注意を払うのがよく分かりました。

アンナの銀河

アンナの銀河

演劇集団nohup

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/01/22 (水) ~ 2025/01/27 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/01/23 (木) 19:30

 『アンナの銀河』のタイトルやあらすじを読んだ感じだと、藤子F不二雄のSF(少し不思議)な漫画の話とかのパロディ的なSFコメディ劇と思って期待して観に行った。途中劇中にはっきり出てこない星人が優生思想で人間を研究対象で下等に見ているのがナチスを彷彿とさせる。
 さらにシェルターでアンナと他の家族が生活する。共同で隠れてシェルターで生活するが途中で大人同士のイザコザが起きたり、不倫が起きたりし、実験用ペットとして15年間シェルター外の入れ物の外から観察してきた星人が痺れを切らせて未知のウィルスを食べ物を作り出す機械の中に混入し、アンナ以外全滅するが、アンナだけ生き残り、引き続き観察が続けられる。といった在り方が『アンネの日記』を書いていたアンネとその一家が密告されて、ナチスに捕まり、アンネは病気で亡くなるという事実と偶然かもしれないが酷似して(厳密なやり方は違うものの)重なる部分が多くて、ちゃんと劇作家·演出の人は『アンネの日記』を読み込んで、アンネフランクに関わる文献を徹底的に調べ上げた上で書いて上演しているなと感じ、感心してしまった。
 それまでのけいかではハラハラドキドキ心配になり、時に戦慄さえ感じて、終始緊張しっぱなしで、時々笑える場面も多々ありつつも、劇の進行から片時も眼が離せなかったが、終わり方が『アンネの日記』を換骨奪胎した上にアンナが救われるということで、安心して胸をなでおろすことができた。

 アンナが劇中書く日記をアンナ自身が独白で読み上げる形式が普通の劇より説明的な感じがやや否めないものの、それが逆に新鮮で特徴的。アンネフランクの生涯は劇にもたくさんなっていると思うが、『アンネの日記』をアンネが独白形式で読む説明感強めでありつつの群像劇で、要所要所の重要な山場の場面さえ押さえれば、観客が劇に引き込まれつつ、最後にお涙頂戴的なことでなく、無理なく感動して、自然と涙が出てこれる演出方法で、本当の『アンネの日記』の劇化の際に参考になるんじゃないかと考えた。もちろん説明的すぎるのも良くないと思うので、適度なバランスは大事だと思うが。

 『アンネの日記』における性的描写やアンネが明るくお喋りで落ち着きがないが無邪気でありつつませていて、段々日記を書く中盤頃から思春期なのを意識し始めたりする、アンネがよくその辺にいる普通の女の子だといったエピソードがあるが、『アンナの銀河』においても似たようなエピソードをちょこちょこ挟む劇作家·演出の人の妙な忠実ぶりには感慨深かった。

どらきゅらぁズ

どらきゅらぁズ

四宮由佳プロデュース

サンモールスタジオ(東京都)

2025/01/21 (火) ~ 2025/01/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

キリキリした緊張感、熱量で押してくるみたいな芝居じゃない。
このゆるさはきっと自覚的なもので、なかなかうまくいってると思いました。
そこがダメな人もいるだろうけど、自分は肩の力抜いて観られて悪くはなかった。
シンプルなセットのなか、棺桶の使い方は面白かったですね。
3つあった親子関係には、ちょっとホロリとした。

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