最新の観てきた!クチコミ一覧

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ヨゴレピンク

ヨゴレピンク

スラステslatstick

駅前劇場(東京都)

2025/02/19 (水) ~ 2025/02/26 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

とあるバスツアーの設定で、トラブルに巻き込まれる?人たちのお話。小松台東よりだいぶソフトな感じで、登場人物の背景が見え隠れするさまが面白かった。露になるのは主人公女子2人だけど、女子あるある、もっとドロドロを期待してしまいました。人と人ごコミュニケーションしていくのに、距離感の計り方が苦手な人、世の中にたくさんいるから、ちょっと参考になるかな(ならないか)

ネタバレBOX

緒方さんの足元が気になって気になって、話が最初あまり入って来なかった…フリーダム過ぎるカメラマン最高です。
佐藤さんのキャラもいとおしい。
皆さんのキャラ、それぞれ分かるけど、もっと掘り下げてもいいかなと感じました。
ヨゴレピンク

ヨゴレピンク

スラステslatstick

駅前劇場(東京都)

2025/02/19 (水) ~ 2025/02/26 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

若き日のキラキラピンクの恋ではなく、ちょっと(かなり?)渋めのピンクの恋愛物語?
そうか、出会いはやはり偶然というのはなかなか無いからそういう設定になるのか。
さて・・・?
と思って見ていたら・・・

ネタバレBOX

チラシに書いてあったようなお話では無いと思えました。恋愛物語はどこまで行っても始まらず、そのまま終わってしまいました。
アフタートークで「チラシに書いてあったようなお話で無いと思うのですが」という質問があり、小松台東さんが「その点は本当にすみません」と答えていて、稽古が進むうちに変わって行ってしまったようでした。
とは言え、なんんともシュールな展開が面白かったです。
ボンゴレロッソ 2025

ボンゴレロッソ 2025

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2025/02/19 (水) ~ 2025/02/25 (火)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

猿若祭二月大歌舞伎

猿若祭二月大歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2025/02/02 (日) ~ 2025/02/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「スケールの大きな『阿古屋琴責』」

 玉三郎が当たり役である阿古屋を東京では7年ぶりに再演した。

ネタバレBOX

 平家の武将景清の行方を詮議するべく庄司重忠(菊之助)と岩永左衛門(種之助)の前に召喚された遊君阿古屋(玉三郎)は、琴、三味線そして胡弓の三曲を弾かせ、その音色に乱れがなければ潔白を証明するという拷問にかける。

 相変わらず花道から出てきた姿はまさに女王の貫禄といったところで見るものを否が応でも源平の合戦の時代へ引き込んでいく大きなスケールである。三曲の演奏も掛け合いの三味線とよく合って惚れ惚れするような聴き応えである。特に最後の胡弓での微細にわたる高音に客席は水をうつかのごとく静まり返っていた。

 菊之助の庄司が手強く、種之助の岩永はおかしみがあって見ごたえのある一幕であった。
KUNIKO PLAYS REICH COMPLETE

KUNIKO PLAYS REICH COMPLETE

NPO法人芸術文化ワークス

横浜赤レンガ倉庫1号館(神奈川県)

2025/02/01 (土) ~ 2025/02/01 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「音の戯れに酔いしれる」

 パーカッション奏者の加藤訓子によるライヒのプロジェクトである。同日2公演で完全演奏となる会の昼の部、加藤のソロパフォーマンスを聴いた。どれもCD化されていない作品であり貴重な機会となった。

ネタバレBOX

 1曲目の「エレクトリック・カウンターポイント」はひとつのフレーズを執拗に繰り返すところに中毒性が生まれる。一瞬バチを落としたもののすぐに立て直したくだりでは思わずハラハラした。

 本来は6台のマリンバで奏でるところを、事前録音に合わせて加藤ひとりで演奏してしまうという「シックス・マリンバズ・カウンターポイント」が2曲目である。同じフレーズが徐々に位相をずらしていくところが聴かせた。

 鉄琴の音が特に印象に残る「ヴァーモント・カウンターポイント」を経ての終曲「ニューヨーク・カウンターポイント」でも音の戯れを大いに堪能した。
令和7年初春文楽公演

令和7年初春文楽公演

日本芸術文化振興会

国立文楽劇場(大阪府)

2025/01/03 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「大顔合わせの『九段目』」

 初春文楽公演第二部は「忠臣蔵」のサイドストーリーである加古川本蔵親子の物語である。

ネタバレBOX

 まずは加古川本蔵の妻戸無瀬(人形:和生/浄瑠璃:靖太夫)と小浪(人形:簑紫郎/浄瑠璃:呂勢太夫)母娘が由良助が暮らす山科へと向かう道中を描く八段目「道行旅路の嫁入り」から。清治ら三味線の合奏に酔いしれると浅葱幕が落とされて、行路の戸無瀬と小浪の姿がパッと舞台に映える。道中で小浪が見せる恥じらいを、簑紫郎と呂勢太夫がうまく見せた。

 さて、数ある浄瑠璃のなかでも特に難曲として知られる「九段目」に今日では最高の顔ぶれが揃った。まずは歌舞伎ではほとんど上演されることのない「雪転がしの段」で、祇園一力茶屋から太鼓持や仲居らを連れきこしめした体で帰宅した由良助(玉男)が、雪だるまを作って遊ぶ。奥から出てきた妻のお石(一輔)が入れた茶を飲み一子力弥(玉勢)が茶屋の人間たちを返す。そこから由良助が腹の底に隠していた忠義の意思を語る、この変化を玉男と睦太夫の語りがうまく見せる。七段目「祇園一力茶屋の段」の華やかさの余韻とここからの緊張をうまく見せる場面である。

 やがてやってきた戸無瀬と小浪がお石に力弥への縁談を請うものの受け入れられず、思い余った戸無瀬が小浪を大石家の庭で殺そうとする異様な場面となる。ここでは「鳥類でさえ子を思う」の浄瑠璃に和生の戸無瀬がうまくはまって一番の見応えである。お石が祝言を挙げる代わりに加古川本蔵の首を差し出せと戸無瀬に迫る場になって、虚無僧に身をやつした本蔵(勘十郎)が姿を表す。由良助が遊興にふける姿をなじる本蔵をお石が槍で突き刺そうするところ悶着となり、奥から出てきた力弥にわざと腹を突き刺させ、己の本心を告げるまでの巌のような大きさを勘十郎が見せる。今際の際となり奥から出てきた玉男の由良助との邂逅も、今日の人形遣いの重鎮二人の大顔合わせで大いに堪能した。
鏡男・実盛

鏡男・実盛

日本芸術文化振興会

国立能楽堂(東京都)

2025/01/24 (金) ~ 2025/01/24 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「問答が明らかにする武将の未練」 

 加賀の国篠原にやってきた遊行の上人(宝生欣哉)は、里人(茂山逸平)ら地元の人々から、説法の前後に独り言を言っていて不審がられている。上人にだけ見える老人(友枝昭世・前シテ)はかつてこの地で木曽義仲軍に討たれて命を落とした斎藤実盛の逸話を披露し、自分こそその実盛であると告げて姿を消す。夜になり念仏を唱える上人の前に姿を表した実盛の亡霊(友枝昭世・後シテ)は、白髪を黒く染め錦の直垂をまとった出で立ちでその壮絶な最期の様子を再現して闇へと消えていった。

ネタバレBOX

 友枝昭世の老人は、橋掛かりから「紫雲の立って候ふぞや」と本舞台の方を見て合掌する姿が哀切を極める。伴奏のない無音の空間で繰り広げられる上人とのやり取りは緊迫感があり、この二人が対話を重ねるごとに老人が自身の正体を明かすプロセスが明快である。ようやく始まった地謡の「幻となって失せにけり」で揚げ幕のほうへゆきかけるも、一度正面を切ってからゆくというプロセスが、実盛の此岸への未練をあらわしていた。

 後ジテの実盛の幽霊は前ジテから一転した勇壮さで驚くとともに、地謡とともに仏への信仰についての問答に迫力がある。馬上で手塚の太郎に討たれるくだりの勇壮さと嘆きが強く伝わって哀切極まるところであった。

蒙古が襲来

蒙古が襲来

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2025/02/09 (日) ~ 2025/03/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/02/19 (水) 18:00

いろいろと話題の公演だが、ベテランが集まって味のある舞台。(3分押し)109分。
 鎌倉時代の対馬の村で(と劇中で分かる)、蒙古が攻めてくるのでは、と騒ぎになってる顛末…、の物語。笑いを目指したというより、同窓会の要素が大きく、役者陣を活かそうとする脚本だが、終盤がビックリ。優秀な反戦劇になっていると思うが、予想してたものとは一寸違った。三谷幸喜って動きで笑わせる人だったかな、の気持が残る。

『300年の絵画と鉄仮面の姫君』

『300年の絵画と鉄仮面の姫君』

KENプロデュース

萬劇場(東京都)

2025/02/20 (木) ~ 2025/02/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

入場スタッフさんの対応も丁寧で会場内の雰囲気もとても良かった。
入り乱れる勢力,演技に目が離せませんでした。

ボンゴレロッソ 2025

ボンゴレロッソ 2025

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2025/02/19 (水) ~ 2025/02/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ダンス盛りだくさんの華やかなお芝居で楽しかったです。
待機や出はけの物音とか気配が消えると尚良いかなぁという感じです。

ハイ・ライフ

ハイ・ライフ

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2025/02/07 (金) ~ 2025/02/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

前作があまり私の好きなものではなかったので、この劇団2回目を見ても同じ感想ならばもう見ないかなとかなり失礼な気持ちで拝見しました。

前作とはストーリーが全く違うので、単純に比較出来るものではありません。
しかし今回の舞台は、大きな声で怒鳴るシーンも多々ありましたが全く気にならなかった。
むしろ、とてもリアルな感じでした。
上演時間1時間50分があっと言う間に感じられ、自分でも驚きました。

そして見る前に大変失礼な気持ちで出向いてしまったこと
心からお詫び申し上げたい素晴らしい作品だと思います。

お伽の棺

お伽の棺

有限会社ベルモック

すみだパークシアター倉(東京都)

2025/02/19 (水) ~ 2025/02/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

二面の客席に挟まれた舞台。囲炉裏を中心にした板間。四隅の蝋燭に火を点ける。登場人物はちょっとアイヌっぽい出で立ちにも見える。引き戸の開け閉めの音を平台の側面に備え付けた小さな木のスライドの音で表現。機織りの音も算盤を使ったりの工夫。(鈴木めぐみさんの発案らしい)。全て役者達でこなす。

『鶴の恩返し』の横内謙介流解釈。『いとしの儚』に感覚が似ている。肉欲と残酷で醜悪な暴力に塗り潰される無力な弱者が、この世のものとは思えない程美しい光景を垣間見る刹那。負の絵の具を塗りたくった先に見えた異形の曼荼羅。

決して嘘をついてはならない掟がある貧しい寒村。稲葉能敬氏は雪道で行き倒れになった高橋紗良さんを見付け、家まで運ぶ。だが母である鈴木めぐみさんは「余所者は危険だから棄てて来い」と命ずる。稲葉氏は母の言いつけに逆らったことがなかった。ずっと女房が欲しかった稲葉氏、若い女を手放すことに苦悶するも母の剣幕に負け、女を連れて外へ。だがやはり連れ帰って来てしまう。

稲葉能敬氏は性欲と村の掟と母からの支配に苦しみ悶える男。小心者で嘘をついた己の良心の呵責に苛まれ、そして何一つ出来ない。
鈴木めぐみさんは息子を支配する母親像の権化。
高橋紗良さんは適役だと思う。何者だかはっきりとしない陽炎、蝋燭の炎の揺らめき。
北直樹氏は村の男で村一番の権力者の長者に織物を納めている。

高橋紗良さんが織る見たこともない美しい真白な織物。降り積もった雪より白く、丹頂鶴のような艶やかさ。その白さに聖なるもの、尊きものまで感じさせる。
ラストは鮮烈。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

鈴木めぐみさんが序盤で殺されるのは残念。もっと観たかった。性欲の高まりで衝動的に殺したように見えるのは残念。それが狙いなのかも知れないが。

高橋紗良さんは異人だが、アイヌっぽくはない。樺太(サハリン)の少数民族ウィルタ(オロッコ)のイメージ。ニヴフ(ギリヤーク)ではないような。三日三晩徹夜で籠もり機織りを完成させるなど非人間的な面も感じさせる。

この物語の核に村の掟の真の目的がある。長者から絶対的な信用を得て、年貢徴収を村人の自主管理に任せて貰うこと。納める年貢の量を少しでも減らして村人の取り分を増やさないことにはとても暮らしてはいけなかった。支配者を騙す為に善良な村人を演じる必要があったのだ。支配者から少しでも不審に思われてはならない。母殺しなんてあってはならない。全ては余所者の異人の仕業、退治するのだ!ただ愚直に村の掟を信奉していた稲葉氏は世界が崩れ落ちる様を見る。全ては嘘だった。

演出の狙いに粗が見える。母子の愛、男女の愛を丁寧に描かないとラストは生きない。ちょっと違う気がした。ラスト前、天井から布が囲炉裏に落ちる。それが引き上げられて無惨に血塗られた反物、飛び去った白い鶴となるのだが、その仕掛けの仕込みを見せちゃ駄目だろう。勿体ないな、と思った。その美術は見事な物だっただけに。

ツルミビタン=鶴身美反?
エアコンの自動運転なのか、二度程作動音が始まったのが雰囲気を壊して残念。
おーい、救けてくれ!

おーい、救けてくれ!

SPACE U

ギャラリーLE DECO(東京都)

2025/02/19 (水) ~ 2025/02/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

Cチームを観劇
まずはスペシャルゲスト白尾祐典さんのヴァイオリン演奏
小さな空間、至近距離での生演奏というのは初めではないですが、こんなにも真正面からヴァイオリンと向き合い、ヴァイオリンをダイレクトに感じ取れる機会はかなり貴重
約15分だったとはいえ至福の時間、痺れました

休憩後に本編開幕
おそらくチームの中では一番若いペア、その若さが良い方向に作用していたのではないかと
牢屋の賄い人である少女は あまりに世慣れしておらず、投獄された青年に心を許していく様、その先にはどうも嫌な予感が・・・
静かな演劇を予想していたのですが、なかなかにパッショナブル
うまくいけばいいのにと思うのだけれど、どうにも嫌な予感が
予感が当たったか否かはネタバレのため自粛、是非劇場にて

おーい、救けてくれ!

おーい、救けてくれ!

SPACE U

ギャラリーLE DECO(東京都)

2025/02/19 (水) ~ 2025/02/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

前半のフリューゲルホルンの生演奏は選曲もよくて楽しめました。後半の芝居は唐突でスピーディな展開の翻訳劇ですが、なかなかに面白かったです。

美しい日々

美しい日々

新国立劇場演劇研修所

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2025/02/11 (火) ~ 2025/02/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

見応えあり。
新国立の研修所公演は結構観ており意外に(?)当たり率が高いのだが、本作も「観に来て良かった」と初台を後にした。今期研修生の発表は二度観られた。先日の岡本健一演出「ロミジュリ」は有名戯曲の料理法=演出が攻めており、俳優らは古典世界を生きるよりは現代性を体現する素材として懸命に立っていた印象だった。「争い」の本質にこそ瞠目すべき、との明快な演出だった。
これとは打って変わって今作では、人物の存在を観察・凝視される現代口語演劇の登場人物として舞台に立ち、別の難課題にしっかり組み合っていた印象。松田正隆の初期戯曲?(ちゃんと調べてないが)と言われると分かるのは、他の代表作たちが徹頭徹尾リアルな現代口語演劇であるのに対し、象徴的・脳内風景とも見える場面が劇進行に介在している。そして十分魅力的な戯曲である。(演出は研修所で三度も取り上げたという気持ちは分かる。)
二部構成。前半は都会の一隅、木造アパート(台所は共同)につましく住まう互いに知らぬ間柄の二組の人間模様で、第二部へと向かう第一部のラストは貧しい兄妹が住む部屋での殺人事件(そうであったとは二部ではっきり分かるが)。一方の独身男が住む部屋では別種の破綻がじっとり進む。戯曲か演技の的確さか、新居の話さえしている婚約者との決定的破綻の原因が、後に能天気な元生徒(昨年まで教師だった男を慕う)がわざわざやってきて読み上げる「観察記録」によって「性生活」にあったことが暴露されるのだが、その前段で既に「それ以外にないよな」と観客は確信している。仄めかしとそれへの言及。男の「不全」又は「それの物足りなさ」がアイテムとなる物語はどの時代にも在るが、この時代におけるそれは救いの無さの象徴として十二分に機能する。
そして男が友人に弟の実家に身を寄せると言った九州の田舎の広い家の居間が、第二部の舞台。田舎が持つ開放性(自然に開かれている)と、この家の特徴だろう「人間の良さ」が、都会の毒を舐めた人間の躓き、傷を逆に浮き上がらせるが、悲観に飲まれそうな主人公たちが、どこか清々しさを湛えている。その微かな希望のようなものに胸がざわつく。

ネタバレBOX

冒頭から暫く、ロミジュリ等で求められる「過剰さ」の演技の残滓があり、現代口語演劇の俎上に乗りづらい感覚を覚えていたが、物語の進行に従い気にならなくなり、「それが正解だった」とまで言えるか分からないが、人物の等身大の心情が理解できた。
ヨゴレピンク

ヨゴレピンク

スラステslatstick

駅前劇場(東京都)

2025/02/19 (水) ~ 2025/02/26 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

松本哲也作品は久々になる。行間に語らせる戯曲を書く特徴はあったけれど、今回はまた独特な世界。不思議な世界。特徴ある役者たち共々に、好物であった。
熟年縛りの婚活パーティの参加者男二人女二人、無対象で手前側にも参加者がいる設定のようで俳優らが正面を向いて椅子に腰掛けて並ぶ。右端の男は他が自己紹介する度に小さなカメラで構え、向かい側に気を遣いながら写真を撮る。後で彼は「カメラマン」だと紹介される。司会であるコーディネーター合わせて6人の芝居。無対象の人々がいる、という事もあるが、舞台上の余白、時間的空白で妙な間が生まれのがいい。思い切った場面の省略も、場転で流れるMが惚けていてこれがまた良い。

地上最後の冗談

地上最後の冗談

銀プロ

OFF OFFシアター(東京都)

2025/02/18 (火) ~ 2025/02/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

韓国演劇界、注目の喜劇作家オ・セヒョク。みょんふぁさん一推しで今作の翻訳も担当。ブラックな笑いを売りにしているらしい。舞台は捕虜収容所。台詞は関西弁、九州弁を多用してニュアンスが日本人にもよく伝わってくる。駄洒落などかなりテキレジしているのだろう。
順に処刑される事が決まっている捕虜達は死の恐怖に怯えている。端の部屋の五人は足音と銃声のサイクルから、自分達が殺される迄の時間を想定する。

効果音と演奏を担う藤崎卓也氏が下手に座る。ブリキ缶のようなカホンに跨りパーカッションとしてリズムを刻む。口笛。赤い太いホースを吹いて銃声に。鏧(きん)を叩く。棒ざさらの音。

捕虜収容所の端の部屋の五人。
佐藤B作氏は次長課長河本の「おめえに食わせるタンメンはねぇ!」の声質に似た作り声が漫画チックでよく通る。この中で一番目上だと威張っている老兵。
長橋遼也氏はフジモンみたいで心根があったかい奴。
清田智彦氏は笑いのセンスが残念ながら兎に角ない奴。
佐藤銀平氏は熱血漢。
宮地大介氏はコミカルなリアクション。

逃れられない死が間違いなく順番に訪れる。とても受け入れ難い恐怖。更にそこに予期せぬ新入りが放り込まれる。しかも少年兵。年端もいかぬ子供を徴兵し戦地に送り込む国家の非道さ。もう銃殺まで数十分しかないのだ。

少年兵は宏菜さん。やっぱ凄い天性の勘。甲高い笑い声が「ケケケケケ」と飛び出て皆ゾッとする。
有馬自由氏は敵兵、銃殺の執行役。香港功夫映画に出てきそうなユーモラスなヒールできっちり決めてみせる。

上質な役者陣の醸し出す緊張感。超満員の観客が押し寄せた。佐藤B作氏の集客力か?生と死の極限状況で人間が出来ることとは?サルトルの『壁』のフリー・ジャズ。
是非観に行って頂きたい。
この豪華全キャストのサイン入りポスターが何と1000円!!

ネタバレBOX

済州島(チェジュド)四・三事件という内戦がモデルだそうだ。韓国の南にある火山島、済州島。1948年アメリカ支配下の韓国で共産主義的な思想を持つと見做された島民への大虐殺が行われる。3万人以上が殺され、島にある村の7割が焼き尽くされた。

中盤、宏菜さんの髪が帽子から全部出てしまい、「実は女だったのか!」となるのかと思ったら皆無視。何事もなかったように進行。ミスなのかと思ったらクライマックス、自ら帽子を叩き付けるシーンもある。演出の技の一つなのだろう。

佐藤銀平氏VS宮地大介氏の小噺合戦位から停滞感。やっぱ笑いの狙いがちょっと違う。笑いには厳しくあって欲しい。

宏菜さんVS佐藤B作氏も見もの。ラストの佐藤B作氏の長い独白はシェイクスピア劇みたいだった。

死とは何なのか?ある種の救いなのか?“死”を許すことか?
楽屋 ~流れ去るものはやがてなつかしき〜

楽屋 ~流れ去るものはやがてなつかしき〜

ルサンチカ

アトリエ春風舎(東京都)

2025/02/15 (土) ~ 2025/02/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/02/19 (水) 19:30

最初、なぜ『楽屋』をやるのかよくわからなかった。

だけど実際に舞台を観てみたら非常によくわかった。わりとメジャーな脚本と言う印象だけど、個性と歴史観と女優の魅力が非常によく出る舞台だった。

ちなみに、いつも思うのだけど、近代演劇とは果たしてモダニズムなのだろうか?とれともプリミティブなのか?

…それは日本では、戦前と戦後と言ってもいいのかもしれない。戦前と言っても、昭和14年ころを境に全く違う。それまではジャズなどアメリカ文化が盛んだった華やかな時代、それ以降は戦中。戦後はナショナリズムのモダニズムの夢敗れた自由な時代。つまりプリミティブ。

日本は戦争の前後で割と自由な時代を二回経験した。その自由な数十年間は、なんだか個人的には日本の文化のなかでは宝のような期間で、その豊穣の時代があったから日本の文化的豊かさがあったんじゃないかな、とも思う、今はないけど。


その合わせ鏡のような自由を映しながら二人の女優が舞う。髪型も似ていてお互いをディスりあうが、観客として見るなら正直、そこまで違うのかな、とも思う。それが原作者の意図なのかは知らないが、舞台の上で観測するなら極めて近似した二人の女優である。違うのは二人の年だけ。ただ戦前は豊かだったためか少しアメリカ的、戦後は同じく戦争でめちゃくちゃになって貧しかったフランス的のようにも映る。それは感情移入なのかは知らないが。映画という分野で言うなら逆かもしれないが、演劇という分野では少なくともそうだっと自分には見える。貧しくて自由な時代は、人目を憚らずに内省的になれるから、貴重である。それはあるいは政治家が内省的になるからかもしれない。…そんなことを、まさに不景気で内省的だっ90年〜00代に父親が総理大臣をしていた高校の同級生のことを考えながら思う。なんだかそんな感じだ、と。ただ、そうした雰囲気も舞台上では女優の色によって自由に演出され、そういう意味では歴史的でありながら余白に演出家や俳優の色がにじみ出る非常によくできた脚本と言っても良いのかもしれない。

モダニズムとプリミティブを感じるのは女優の元々の印象ゆえか。

ここにアニメの影響の強かった原作の時代以降の80年代〜の影響が見れなかったのは少し淋しいかもしれない。あるいはここが演出家の腕の見せどころだったのかもしれないと舞台を観ながらふと思う。

(ネタバレに続く)

ネタバレBOX

精神病院か墓場から抜け出たような女優が出現するが、これは1900年代近辺の芸術作品によく出る類型と言っても良い。その時代は多くの作品で精神病者をネタ元にした。ただし当時の芸術作品は精神分析のいまの進歩に及んでいない気がする。そもそも表現形態からして相性が悪いように自分には見える。多少は道化の要素を含み、当時だから許された類型の一つとして現在では慎重に扱ったほうが良い型のような気もする。そもそも現代には文学の歴史を知らない人も多いから、注意が必要かも。

ちなみに舞台上の鏡はその精神病のメタファーである、と言い切れるように思う。

ここでようやく、ここに出る役者たちはひょっとしたら一人の女優のプリズムのような内面の多面性を表してるのかもな、とも思う。
語弊があるとあれだけど、精神病によって女性性を表現しようとしていると言っても良いように思う。この女性の多面性は、内面の多様性であるとともに観客に向ける女優の多面性でもある。気のせいかこの多面性が豊かなほど女優として優れていると見なされることが多い気がする。これは男優と違うところだと思う。

ここで舞台上の女優たちの視線が気になってくる。そういえば始まったときから、ずっと客席をみていた。鏡越しでも、直接でも。

男性と女性の多面性は違うと思う。

男性は垂直的というか、権力に対しては嘘を振り撒き、横では密談し、下には隠して蹴り飛ばす。そういう多面性。僕は今までそういう虚言癖の人間の屑を役所で嫌と言うほどよく見てきた。女性も多少はあるかもしれないが、どちらかと言うと360度に対して合わせ鏡のように相手の夢を映し出せることを至高の喜びと思ってるのではないかと思ったりもする、僕はだけど。

女優たちは観客を夢見ている。

それが病なのかは知らないが、渇望しているのが観客からはわかる。鏡は女優の観客の視線を増殖させる良い装置でもある。観客の渇望を病的と言うならば悲しすぎるから、喜劇であると同時に悲劇。

最後にラフマニノフとかではなくバッハにしたのが一種の答えなのかもしれない。

ラフマニノフは分析的で重層的で無比。多くの作曲家に影響を与えたが近づくものはいない。バッハは川の流れのようで神聖。オルガンといえばバッハ。

楽屋を読むにはラフマニノフかな、と思ったらバッハ。今まで夢見て乾いたまま死んだ魂へのレクイエムだからバッハなのか。

途中から狂おしいくらいの悲しみが、戯曲を蘇らせてくれて良いなと思う。

もうちょっと書き足します
ハイ・ライフ

ハイ・ライフ

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2025/02/07 (金) ~ 2025/02/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

両バージョン鑑賞

「余裕あり。ふらりとどうぞ」「余裕あり。今すぐ予約!」
朝に夕に流れてくる流山児主宰の気迫のFacebookに、大楽の1本だけ観るつもりがどうしても両方観たくなって、無理矢理予定をこじ開けて両バージョンを拝見した。

しかし、肉体的にも精神的にも、ここまで激しくぶつかり合う芝居ってまずお目にかかれない。
「悪の美学」なんてかっこいいものではなく「どうしてそうなるんだよ」「何考えてるんだよ」とツッコミながら観ているのに、それでいて、このブザマな4人の男たちが幸せになってほしいと祈ってしまうのはなんだったんだろう。

まず西沢バージョンを拝見して、塚原ディックの膨大な台詞からあふれる説得力にこちらまで納得させられそうになり、バグ、ドニー、ビリーそれぞれのジャンキーたちにあり得ない感情移入をしてしまい、やっぱりこちらも観てよかったと興奮気味に思ったのが先週のこと。

その後に流山児バージョンの千穐楽。
そこでもう一段、腰が抜けた。
これだけの役者さんの、これだけの真剣勝負が観られるってどんだけ贅沢なんだ!
ここまですごい芝居が観られるとは思わなかった。単純に、いや、もう、とにかく面白かった。理屈じゃない。
ストーリーは先にわかっていながら、金縛りにあったような状態で口を開けっぱなして観ていたと思う。
この日この時間に自分がこの場に居てこの作品が観られたことに、とてつもない幸せを感じた。
これが区民割引で4000円!安すぎる!

蘭獄姉妹の異様な妄想

蘭獄姉妹の異様な妄想

悦楽歌謡シアター

遊空間がざびぃ(東京都)

2025/02/12 (水) ~ 2025/02/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/02/15 (土) 19:00

観ていて少しずつ浮遊していた。
終わってからもあの曲が脳内再生され
そうだ、歌謡シアター!!音楽なのだ!シャウトなのだ!!
ふふふ

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