劇団朱雀 祭宴
劇団朱雀
かめありリリオホール(東京都)
2023/05/19 (金) ~ 2023/05/31 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/05/19 (金)
最高に楽しい初日だった。幕が閉まると幕内からもハイになったメンバーの「フゥー!」が聞こえてきて、舞台も客席も全員が楽しんでて、素敵な空間だった。
Cafe キャッテリア
Stray Cityシリーズ「Club キャッテリア」製作委員会
ステラボール(Stellar Ball)(東京都)
2023/05/12 (金) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/05/12 (金) 18:00
初ステラボール観劇。
2階席、ほぼVIP席。座席ゆったり、足元広々、ドリンクホルダー付(シャンパングラスライトを逆さにして入れるとピッタリ)舞台より少し高いくらいで距離も遠くない、涙の有無はわからないけど表情はちゃんと見える。
キャットタワーをイメージしてるであろう舞台セット、あちこち階段だらけで、しかもそこを登ったり降りたり飛んだりめっちゃする。足腰大丈夫か...ステアラみたいだな。
アンサンブルの黒服さんたちが白服に1人ずつついて細かいことこちょこちょやってるのがとても可愛かった。
「嘘だらけのホストの世界で嘘がつけないクロがNo.1を目指す」という物語が「全てが虚構の演劇界で真っ直ぐがむしゃらな若手が主役を目指す」という現実とリンクしているようにも感じられる脚本が、好き。嘘が付けないクロっていうのがさ、凌雅くん確かに嘘苦手そうだし。客の望む理想の姿を演じてみせる、全部嘘だって言うのが笹森くんなところも、なんとなく意識が高くて自己プロデュース力ありそうなイメージだったから私の中でビタっとハマってた。私たち客は理想の姿を彼らに見る、それを汲み取って求められる姿を彼らは見せてくれる、お互いに嘘だとわかってて成り立つ世界。ほんとにね、そうよね。かが屋さんの脚本天才じゃん。まっきーの「No.1の席はひとつしかない。そこを目指し続けることは苦しく大変で、疲れる(意訳)」て台詞が重たかった。
ひとりひとり本当の姿というか、本音を話すシーンがあるのも良い。
PARADURE -パラデュール-
壱劇屋
すみだパークシアター倉(東京都)
2023/04/22 (土) ~ 2023/04/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/04/22 (土) 18:00
キャストが変わるとこんなにも違うのかと驚いた。
性別まで違うキャラがいるからそりゃあ当たり前なんだけど、それぞれの役の作り方や台詞の投げ方・受け取り方、物語へのアプローチの仕方がみんな違っていて、同じ台本同じ台詞なのに全く別の物語を見ているようだった。
昼に1度見ているからなのか、なにか調整が入ったのか、キャストが違うからなのか、Bのほうが台詞聞き取りやすかった。聞こえない部分はもちろんあるけど、全体的に。
1人1人を見ていくと「こっちが好き」てのはあるんだけど、チームで見た時に優劣はつけられない。つけるものでもないし、どちらも素晴らしくて選べない。
Aの四賢人は問題児の集まりで、Bは優等生の集まりってのがものすごくわかる(笑)どちらも天才秀才の集まりなんだけど、Aのほうが癖が強い。Bの四賢人はなんだかんだ人付き合いはそれなりに出来そう。Aは友達と呼べるのは4人だけで、そもそも友達なんていらねぇって全員言いそう。フェチリタをのぞいて。
竹村さんが演じるフェチリタは言葉を選ばずに言えば少し障害のありそうな、突出した才能がある代わりに精神が幼いような印象をうけるんだけど、伊藤さんのフェチリタは年相応に心身ともに成長していて更に才能もある。純粋さはもちろんあるんだけど、それが竹村さんほど全面に出てないというか…割と普通の人に見える。良い悪いじゃなくて、こんなに違う演じ方が出来るんだなって。
キャストビジュアルでは気付かなかったんだけど、メインキャストの衣装がチームごとに違う!Aセグメトはジャケット肩掛けだけどBセグメトは片マントだし、Aガストンは落ち着いたスーツだけどBガストンは光沢のあるスーツだし、Aジョスはジャケット着てる(ベスト無し)のにBジョスはベストだけで「整えろ」って言われても気をつけしただけで何も変わってないの可愛すぎたし、Aフェチリタはずっと長袖だったはずなんだけどBフェチリタは上を脱ぐと半袖になる!たまらん!たまらんよお!
「四賢人」て呼ばれるようになった時のポーズがAチームは割とその場ではノリノリでポーズとって後でぶちぶち言うんだけど、Bチームはその場でも乗り気じゃないしその後も文句言ってるしで素直すぎる(笑)Bのヨネネス、3人から少し距離おいてスン...と立ってるだけで、それだけでなんとなく彼女の性格とかが感じられるの面白いなぁ。
PARADURE -パラデュール-
壱劇屋
すみだパークシアター倉(東京都)
2023/04/22 (土) ~ 2023/04/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/04/22 (土) 14:00
・西分さんの殺陣がまたパワーアップしてた。めちゃくちゃカッコよかった。戦闘時にグローブはめるところとか良すぎるし、あの武器が暗器でベルトってのが最高。暗器を使う世界線はピカルーンでもブラスミでもないから...次の新作なのか。わざわざ王の名前が出てるってことはきっと。
・セグメト様のオラオラした感じ最高だよ。トップと両腕が女性って、マジつよつよ。スプーク、可愛い。(Aキャスト)
・シオンさんが稽古3日ってのが信じられない。とても舞台上で自由に動いてて、1番笑いをとってた。「真実はいつも1つ!」
炎炎ノ消防隊
DMM STAGE
天王洲 銀河劇場(東京都)
2023/03/29 (水) ~ 2023/04/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/04/01 (土) 18:00
大阪で幕を開けた炎炎ノ消防隊、東京千穐楽の前日。
開演30分前、普段なら1階ロビーも2階ロビーも劇場内も観客でいっぱいの銀河劇場なのに駅から劇場までの道も空いてればロビーもガラガラ。劇場を間違えたかと不安になるくらい。スカスカの物販でパンフを買って、いざ客席に入って愕然とした。前半分くらいしか埋まっていない客席なんて銀劇での観劇経験のなかで初めてだった。いつだって1階席は満員だった。…もしかして、評判が悪い?一切情報を入れずに来ちゃったけど今作ハズレなのか?こんなスカスカの客席で前楽を迎えるのか?こんな客席を役者さんたちに見せていいのか?頭の中をぐるぐるそんな思いがうずまいて、嫌な意味でドキドキしながら幕が上がった。
結論からいうと、めちゃくちゃ最高の舞台だった。熱量も高いし脚本も良かったチームワークもいい、全体的によくまとまってて全く飽きたりダレたりする瞬間がなかった。こんなに最高の仕上がりなのになんで客席埋まってないのかわからない!悔しい!
前作から見始めたけど、前作も今作もキャス変多数。1作目から続けて出てるキャストもいるけど大半は途中参加。今回からの新キャラもいる。でも、その差は全く感じなかった。アニメを履修できてない部分に入ってしまったから原作再現率がいかほどかはわからないけど、舞台として無理なく違和感なくまとまっていたからきっと原作再現度も高いに違いない。
前作が初主演初座長だった凌雅くん。役者としてもまだ未熟で、台詞を言う時の癖や体に力が入りすぎて足音が煩かったり色々気になるところがあった。座長として皆をまとめて引っ張っていくというよりは、周りが座長を支えることでまとまっているという感じだった。それが、今回、舞台上での存在感が桁違いに上がっていた。座長として先頭に立って作品を引っ張っていた。その背中を見て皆がついてきてる感じがした。感覚としては皆で肩組んで横並びって感じだとは思うんだけど、一座としてのまとまりや座長としての在り方が全然違ってた。たくさんの舞台に出て、いろんな先輩たちと共演して、そのひとつひとつが凌雅くんの力になってるんだなって感じられて、推しの成長を感じて私はとても幸せでした。凌雅くんの芝居で情緒をぐちゃぐちゃにされたかったから、着実にそうなっていっているのが嬉しい。
前回より肉弾戦のアクションが増えていてみんなかっこよかった。カロンとのバトルすごかったなぁ…身体能力をフルに使ってる感じ。マキさんも最高だった。
前回はアドリブで遊ぶシーンが多かったけど今回は控えめで、それが逆に作品としてまとまってたので良かったと思う。
新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX
『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』製作委員会
IHIステージアラウンド東京(東京都)
2023/03/04 (土) ~ 2023/04/12 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/03/16 (木) 12:00
オオアカ屋の前説、ゲームとゲームファンへのリスペクトに溢れてて泣いてしまった。
まんちゃん、素敵だよ。
舞台の間口はあまり開けずにここぞ!という場面で広く使ってる。奥行があるので5列目でも「遠いな」と感じることがあった。
第78回「a・la・ALA・Live」
a・la・ALA・Live
阿波おどりホール(座・高円寺内) (東京都)
2023/12/25 (月) ~ 2023/12/25 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
感想遅くなりました。何回か拝見している皆さんですが、いろいろなパフォーマンスが拝見できて良かったです。それぞれに味があっていい催しだと思います。楽しい時間を過ごせました
ミナト町純情オセロ〜月がとっても慕情篇〜
劇団☆新感線
東京建物 Brillia HALL(東京都)
2023/03/10 (金) ~ 2023/03/28 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/03/10 (金) 17:30
寺西くん。何者なんだこの子。初めましてなんだけど、歌えて踊れて芝居もうまい。初演のインテリヤクザとはまた少し違ったインテリヤクザで、振り切って芝居する若手大好きだから一瞬で好きになってしまった。
劇団女優陣無双。聖子さんは言わずもがな、カナコさとみエマの御三方もめちゃくちゃ良い役。オセロって純粋で愚かな男のどうしようもない物語だと思ってたけど、これは女達の物語だった。よしこ姐さんのボンテージもたまらん。似合いすぎる。
じゅんさんの初演版ではゲストが演じてた役を今回はほとんど劇団員が担ってる。たまらん。物語を進めていくのは劇団員、ゲストの3人がどんな芝居をしてもまわりの劇団員が全部おいしくまとめてくれる。聖子さんがシリアスも笑いも全部背負ってくれてる。
2階から見下ろしてると舞台上にシートが貼ってあるのが見えて「あ、なにかこぼすんだな」ってわかる。ワクワクしちゃう。牛乳と血。
河野さんが最初から最後まで頼れる兄貴でかっこいいんですけど?!モリを使った殺陣もかっこよかったよ!
蜘蛛巣城
KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2023/02/25 (土) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/02/25 (土) 14:00
マクベス。私にとってのマクベスといえば「メタルマクベス」なので、頭の中であの人はこの人で...と変換しながら観ていた。
百姓から腕一本でのし上がった鷲津武時。夫を愛しすぎるが故に「こんなものではない」と出世を望む妻。この夫婦が特別野心家だったわけじゃない、たまたま、選ばれてしまっただけ。鷲津は妻を心から愛し、優しく、そして弱かった。
マクベス夫妻の「相手がどんなに惨めになろうとも、たとえ壊れてしまっても、絶対に見捨てることは無い」という最期まで添い遂げようとする様が美しく悲しく大好き。
キングダム
東宝
帝国劇場(東京都)
2023/02/05 (日) ~ 2023/02/27 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/02/19 (日) 13:00
原作は未履修。実写映画を流し見した程度。
オープニングの王と王毅2人だけのシーンで完全に掴まれてしまった。なんだろう、漫画もアニメも未履修なのに「本物だ」て思ったんだよ。本当にそこに浮き出してきたような。お二方とも板の上での存在感がありすぎる。あんなに広い舞台なのに全く感じさせなかった。
子役の動きが凄い。え、子供…え?は?ガッツリ動ける子を起用してるのかな。体操とかやってそう。子役同士の打ち合いがあんなバチバチだなんて思わなかったので大変驚きました。
子役に限らず、出演者全員バチバチに動ける人ばっかりだ。ダンスが凄かったり、身体能力オバケだったり。
高野くんはダンスも殺陣も動きが綺麗だから、舞台上での躍動感がよかったなぁ。我武者羅に前だけ見ている。小関くんの落ち着いてるけどアツイ演技と高野くんの全力な感じが心地いい。
声優である梶さんのお芝居は初めて見た。舞台上からエレンの声がする。良い役を、良い芝居で魅せていたなぁ。これは有澤くんと全然違うんだろうな、というのが容易に想像出来る。タイプが違いすぎるもの。
河了貂、可愛い。声がまず可愛い。なんだあの可愛い生き物は。映画の環奈も可愛かったけど、舞台河了貂まったく負けてない。
.5俳優の帝劇0番だから観たい、というのと同じくらい、ゆっくんが帝劇に立つから観たい、ていうのがあった。ゆっくん、役的に仕方ないけど出番少ない。でも、出てくると戦うから誰よりも美しく剣を扱う姿は観客の印象に残ると思う。低い声で静かに話す左慈、台詞大丈夫なのかって心配してたけど(だいぶ失礼)ちゃんとしっかり聞き取れた。薔薇サム後半で若干崩れてたから、何言ってるか分からないってなってなくて良かった。「剣とは力、剣とは速さ」て言ってて、確かにこの台詞を言って説得力があるのはゆっくんかもしれないけど、それは速さに関してだけなのでは…私の目には剣がとても軽く見えた。激強だから獲物を軽々と扱うことで凄さを感じさせる、という演出もあるかもだけど、やっぱり剣の重さが見えないのは物足りない。他のキャラクターの剣に力がこもっているから、すごく左慈が異質に見える。…そういう演出なのか?ビジュアルは100点満点です。ひらみ最高。ひっつめお団子最高。
盆があるようには見えなかったけど、セットがぐるぐる回ってて大変良い。舞台に奥行があるので場面転換時に暗い舞台奥からぬーっと次のセットが出てくるの最高。山の王の間で高さのあるセットがわーっと出てきたのはゾクゾクしたなぁ。映画で見たやつだー!ってなった。
上から見ると舞台一面にバミリがあって、点だけでなく線のバミリもあった。セットに階段が多いからまるで星空みたいにちっちゃいバミリがたっくさん光ってて、暗転のある舞台はそれも楽しいよなぁ。
カテコで王毅が出てきた時、一瞬で「場を支配」していた。カテコまで圧倒された。
禺伝 矛盾源氏物語
舞台『刀剣乱舞』製作委員会
TOKYO DOME CITY HALL(東京都)
2023/02/04 (土) ~ 2023/02/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/02/09 (木) 14:00
舞台上から舞台下まで垂れ下がった源氏物語が書かれているであろう巻物。いつもの前口上はない、この物語はあの本丸の物語では無いから。1人ずつの名乗りも、静かで、なにか違和感がある。ほんの少しのひっかかり。
.5俳優と同じくらい、宝塚の役者は“原作物”を再現するのが上手い。立ち姿がまったくもってそのもの。
最初は声を聞き分けるのが難しく誰が喋ってるかわからなくなったけど、そのうち慣れた。
光源氏が刀剣男士以上にイケメン。
姫鶴の気怠さとめちゃくちゃヤンキーなところと「かぁいいね」にやられまくり。南泉がとても可愛い。光源氏の一言一言にツッコミをいれるところ最高。
OPで扇を持ってくれてありがとう。ヅカOGが男士になると決まった時から期待していた。やっぱり日舞基礎のある人達が持つ扇は美しい。ふんわりやわらかく手におさまった扇がひらひらとしなやかにひらめく。作品のための稽古や練習だとここまでは使いこなせない。これが、観たかったんだ。そして、揃うことに慣れた人達だから個性も感じるのに角度やスピードに乱れがない。もっとキャラクター固有のものが見えてもいいけど、揃っているダンスは単純に美しいし圧巻。あの宝塚に血のにじむような努力をして入った人達だから、踊るという点において当たり前に段違い。歌舞伎同様、どんな役を演じても役者としての品の良さが見えなきゃいけない世界だと思うので、刀剣の付喪神を演じるというのはピッタリなんだと思う。
『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』(再演)
ムシラセ
駅前劇場(東京都)
2023/07/13 (木) ~ 2023/07/18 (火)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★★
ムシラセの『つやつやのやつ』は演劇祭での短編、初演、再演と全て観て来ましたが、何度観ても新たな気持ちで面白さを発見でき、配信では細かい演技やニュアンスも確認できました。
『ファン・ファン・ファンファーレ!』もオタクの気持ちが身につまされて、痛いほど分かる。
観劇初心者の方でもすんなり観られる作品だと思います。
桜姫東文章
木ノ下歌舞伎
あうるすぽっと(東京都)
2023/02/02 (木) ~ 2023/02/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/02/02 (木) 18:00
タイル張りで段差のあるセット、客席に対して斜め向き、くすんだ色のカーテン(定式幕的な使い方だったけど浅葱幕っぽかった)、開演5分前アナウンス後、演者たち自ら細々としたセッティングをしに出てくる。
近くの人が「昔のお風呂みたい」と言っていたけど、このセットはたぶんプールじゃないかな。大きな窓、青を基調にしたタイル、大きな浴槽のような部分から突き出た鉄の手摺...これはプールに入る時に使うあの梯子に違いない。室内プールだと思う。朽ちてボロボロになった。
衣装はクラブにいそうな、渋谷系やお兄系。高貴な身分の桜姫と僧侶たちはファーを身に纏う。お付の局はしっかりしたロングコート。庶民になるにつれスカジャンやダメージジーンズ、柄シャツなどになっていく。侍は革ジャン。
木ノ下歌舞伎は初めてなもので、毎回こういう感じなのか今回だけなのかわからないけど、あえてテンポ感を外した間をたっぷり使う演出。今何待ちですか?みたいな時間がちょいちょいあるけど、それが次第に気にならなくなっていくしその間が心地よくすらなっていく。台詞もあまり感情的にはならず一本調子、棒読みともとれるような「演じている感」がない。全員がほぼ出ずっぱり、袖に入っても裏を通ってすぐ出てくる、そして各自次の出番を待ちながら端っこや舞台ツラに寝転がって屋号を呼んだり時には笑ったりしながら演じる仲間を見ている。稽古場のようにも感じた。開演もシームレスなら演じている時とそうでない時の境もシームレス。
ロミオ&ジュリエット
ロミオ&ジュリエット製作委員会
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2023/01/28 (土) ~ 2023/02/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2023/01/28 (土) 18:00
上手側がごそっと見えない見切れ席。A席だから仕方ない。舞台ツラセンターあたりから舞台奥袖幕あたりまで斜めに見切れ。
初日ソワレ。配信のためカメラ入ってる。
客入れの音楽は無し、自然音?に混ざって戦闘機っぽい音がしている気がする。 子供たちの声と教会の鐘。
ミュージカル「進撃の巨人」
「進撃の巨人」-the Musical-製作委員会
⽇本⻘年館ホール(東京都)
2023/01/14 (土) ~ 2023/01/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/01/23 (月) 18:00
初めての青年館ホール。
1階後方列だったけど前の人の頭が邪魔になることなく観やすい、近い、良い。
開演前に巨人の足音が聞こえてるのドキドキする。何分前って決まってるんだろうなぁ。開演直前のひときわデカイ地響き、興奮した。隣のお姉さんは本気でビクゥッてなってた。
新春浅草歌舞伎
松竹
浅草公会堂(東京都)
2023/01/02 (月) ~ 2023/01/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/01/10 (火) 15:00
「吃又」
吉右衛門さんの芸を引き継いで、歌昇種之助兄弟の又平夫婦。歌昇さんの台詞や表情に吉右衛門さんを感じる。芸は生きている。
種之助くんの女房が絵を見つけた所、歌舞伎座で観た勘九郎猿之助夫婦の時よりあっさりめに感じた。お家の違い?
死ぬと決めて絵を描ききった又平の魂が抜けてしまった感じ、ゾクゾクするし、そんな亭主を支えて「よう描けました。御苦労でござんした」と声をかけ続ける女房の様子や、キツく筆を握りしめた指を1本ずつ外してあげて、その手をさすりながら泣く様子は胸が締め付けられる。種之助くんの控えめなすすり泣き、良い。
苗字が許されてからのハッピーな空気が前半と打って変わって晴れやかな気持ちにさせてくれる。
松也さんおいしいお役でさすがの存在感。下半身の安定感。莟玉くんも良かったなぁ。前髪の美少年、しっかりとした芯があって又平に対しても同門の兄弟弟子としての思いを感じる。
「連獅子」
微笑みを浮かべながらの子獅子なんて初めて見た!動きのひとつひとつが綺麗なのと、親子で動きのシンクロ率が高くて、お互いがお互いに合わせてるのが見てて気持ちいい。音のとり方も似てるのかも。
毛の回しかたは2人ともイマイチかなぁ…なんか物足りなくて、いまいち気持ちが入らなくて拍手は出来なかった。ガンガン回せばいいってもんでもないし、回数やスピードより大きく美しく回してほしい。
新春浅草歌舞伎
松竹
浅草公会堂(東京都)
2023/01/02 (月) ~ 2023/01/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/01/10 (火) 11:00
「双蝶々曲輪日記 引窓」
橋之助くんの濡髪は大きさはまだまだ感じないけれど、一生懸命に全力なのは伝わる。そのまま真っ直ぐつとめてほしい。はーちゃんがめちゃくちゃ良かったんだけど、なんだ、どうしたんだ、これが成長ってやつなのか?仕事用のキリッとした所と、本来の性分であろうほんわかした優しい感じ、その演じ分けがとても良かった。客席からの拍手も「お決まりだから」じゃなく自然とおこっていように感じた。
「男女道成寺」
この演目は引きで見るのが正解だなって思う。白拍子姿のみっくん、独特の美しさ。雰囲気がある。もっとあの姿で踊ってるのが見たかったなあ。
新悟ちゃんのスッとした清廉な白拍子姿。見た目より激しく息もきれるだろうに、それを感じさせない涼やかな表情。すらりと伸びた細く長い指がひらひらと柔らかくひるがえる様が美しすぎる。
常盤津や長唄お囃子の皆様と役者の作り出す空気感、1番盛り上がったところで幕が閉まる所が憎いよなぁ。
日本演劇総理大臣賞
ロデオ★座★ヘヴン
駅前劇場(東京都)
2023/12/27 (水) ~ 2023/12/30 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
総理大臣名義の演劇賞というタイトルから勝手に演劇人の自虐、皮肉を読み取り、作者柳井氏の新境地?とシニカル系コメディを想像して「余話」を観に行った所が、もろシリアス劇。一体どんな本編が?と前振りにまんまと乗せられ足を運んだ。
とある劇団の芝居の稽古場面と、日本演劇総理大臣賞の選考会議の場面が交互に描かれる(最後にはその関連が分る)。
稽古場では演出家の病欠のため作家(澤口渉)が駆り出され、三人芝居の場面稽古を進めているが、「演出はこうは言わなかった」「じゃ俺に聞くな」等のやり取り。そこへ大きな咳払いをし口を挟んでくる者がある。刑事である。「色恋の気配は好ましくない」等と難癖をつけ、「検閲で引っ掛かる」「検閲で言われたら直す」「私が検閲官に申し入れても良いのだぞ」が作家と刑事の毎度のやり取りとなる。俳優の一人桑山(鶴町憲)は「聞く必要はない」と強気だが、劇団主宰で女優の雪子(百花亜希)は制止する。
一方選考会議は開始早々、「12人の怒れる・・」のフォーマットが現われる。選考会議の趣旨にそぐわぬ進行だが「12人」が下敷きだと分ると飲み込める、ただしパロディ、逆転劇という娯楽性に引っ張られるリスク。だが選考に残った二作品の内容が観客に推測でき、討議の帰趨(勝ち負け)より「内容」へ集中できる具合にはなっていた。
選考委員の約全員が推したのが「紙吹雪」、一人だけが「残り火」を推した。
「紙吹雪」を推した委員の面々とは、まず委員長である日本演劇界の重鎮・岸(榊陽介/当人至って真面目な性質)、彼を「先生」と持ち上げ高慢に振舞う若手評論家・諸星(伊藤俊輔/「12人」では最後まで容疑者を犯人と決めつけている役に相当)、女流劇作家小谷栢楊(ハクヨウ/島口綾/場違いな所に来たと及び腰で付和雷同)、今一人の女性劇作家・宮古(小口ふみか/堂々と自説を語り自立心が強い)、演劇雑誌発行人をする古橋(高野絹也/かつてプロレタリア演劇に傾倒した)。
一人「残り火」を推したのが、演出家・羽田(ハタ/音野暁)。評論家諸星は彼を詰って「残り火のどこが良いのだ」と迫るが、議事によりまずは「紙吹雪」を推す弁を聴く事となる。
この話の筋は聴いていると岸田國士作「紙風船」そのまま。だが最後は隣家の庭から紙風船でなく、紙吹雪が飛んで来て、夫婦の倦怠に嫌気がさした妻が家を出て行く、となる。
一方の「残り火」は、実は劇団が稽古をしているその作品だ。選考会議で「紙吹雪」の優れた点が挙げられて行く中、「残り火」にもそれがある事、さらに時代と切り結ぶ批評性において「残り火」が先んじているとの評価に辿り着くのだが、稽古シーンで芝居が掘り下げられて行く(そこに刑事が持ち込む難題も絡んでいる)プロセスと、選考会での議論がシンクロして行くのが終盤である。
劇団のシーンの進行の過程では、演劇人の一斉検挙といった事件もある。そして最も割かれる議論は、プロレタリア演劇への弾圧から「転向」した彼らが再び公権力に屈する屈辱に抗おうとする中、「制約を飲んででも優れた芝居を世に出すこと」が出来るのか、であり、その可能性を信じ、見出す姿勢へと劇団は変化を刻む。女座長は刑事と二人になった時、検閲に掛かるだろう箇所を事細かに指摘し続けてくれた労に感謝を述べるシーンがある。刑事の顔に表情が微かによぎる。劇の終盤で作家が召集令状を受け、三日後の出発だと団員に告げた時、この刑事が頭を垂れている(台詞はなく、見過ごされて不思議でない)。
作家は戦死し、「残り火」は土壇場で上演不許可となる。
選考会で「残り火」を推した演出家とは劇団での演出であり、時間的には選考会が暫く後の事、作家の弔い合戦であったと分る。選考会議では最後の一人(頑なな評論家)が私的事情(妻との離婚)を暴露され票を変える所で結論が出るが、同席した役人である嵯峨野は平然と「総理は「紙吹雪」を殊のほか気に入られている」と最初に言ったはずです」と、暗にそれに沿って会議を進めるべきであったと岸を難じ、相応しい議事を設えて提出するように、と言いおいて席を立つ。
日本演劇総理大臣賞、という賞が実際にあったのかも?と観ながら思ってしまったが、それは無いようである。
本作では選考会議が「評価」を為さねばならない作品が二つ登場するが、史実に基づかないフィクションにおいて難しいのはこういう所で、「選考に残る作品」は実際に戯曲の中には具体的な形で存在させる事ができない(劇作家の中である程度の想定はできるだろうが)。選考会議での議論の描出に厳密なリアリティを持たせる事はその意味で困難。作者が念頭におく「演劇作品の評価軸」を語る材料として辛うじて存在し得るにすぎない。従って、結論ありきの議論となり、穴は沢山ある。
が、その疵を凌駕するものがある。
「残り火」の主人公の女流歌人は、著名な歌人の有力な弟子(既に売れてもいる)でありながら袂を分かたざるを得ず、歌人の道を諦めて山奥にいる従兄の下に身を寄せていたが、その彼女の下に弟弟子に当たる青年が訪ねて来る。姉弟子の変わらぬ意志の前に身を引くしかない青年は、去り際に、自分が作った句の評価を求める。酷評を受けるが、ふと彼女はこう直せばいい、と直しを提案する。一つの印象的な句が出来上がる。恐らくは彼女を慕っていたのだろう弟弟子を見送る、姉弟子の中に、新たな生の活力が宿る。(そんな感じのラスト)
師匠に破門された身で句作を、それを世に問う道を諦めた彼女は、師匠に従わなかった事を以て意志を貫徹した自立の人であった、が、弟子は彼女に俳句を作ってほしいと懇願しに山奥を訪ね、彼女が頑なに閉じていた句作への扉を静かに開く。
選考会では、「紙吹雪」が持つ現代性、批評性、観客との対話といった評価軸が、「残り火」にもある読みへと導かれ、表現を巡る息苦しい世相の中におかれた演劇の現在に、「残り火」の女歌人は重ね合わせる事ができる、優れて現代的な作品、という理想的な結末に至るのだが、時代の大きな力の前では雑草の茎を折るようにあえなく潰される。架空の演劇賞選考会議であるが、仮にそうしたものがあったとして、そうした運命にあるだろう。2020年からのコロナ禍の下で味わった演劇製作者の無力感が、反映しているように私には思えたが、日本社会が芸術を不要不急とした事の疵は深い。コロナ下の中でも棲息できた芸術文化は勿論あるが、私という人間にとっては(芸術が不要不急ではない人間にとっては)大きなダメージだった。芸術文化「以外」の人間の営みの「尊さ」を思い出させる場面が、果してあったろうか。むしろ逆ではなかった。
時代が窮迫の状況を迎えたとしても、この芝居の演劇人たちのように劇作りにこだわり、芝居を作り続けようとする営みを、今の演劇人たちも続けようとするのか・・という問いを私は読み取る。同時に、彼らの営みを私たちは応援するのか、その勇気を持ち続けられるのか・・も問うている。
長い正月
20歳の国
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/12/29 (金) ~ 2024/01/08 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/12/31 (日) 13:00
約100年という時間を2家族の大晦日という「超」定点観測で表現。見事。数年前までは中途半端にヤンキーな高校生の熱い姿を描く群像劇が得意な劇団でしたが、主宰の竜司さん、いい具合にオジサンになってきたなあ。今後、どういう作品を作っていくのか、なおさら楽しみになりました。
大晦日の昼公演でやったステージ上ツアーも楽しかったです。照明って熱いんですね。初体験でした。
天使の群像
鵺的(ぬえてき)
ザ・スズナリ(東京都)
2023/12/21 (木) ~ 2023/12/29 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/12/26 (火)
まず劇場に入り舞台美術に目が釘付け!いったい何が始まるのだろうか!??と。
そして始まると…。そのための客席前方の空きだったのか!
後方で前の席に大きな方が、なので三分の一ほど視界が削られてしまったけれど、舞台に鏡が使われていて、それに映る世界もまた良かった。
現実味があるだけに恐ろしく、今後どうしてゆけば良いのかも託される終わり方で、とても楽しめました。